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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW : Singapore !」The Gates of India : Imphal and Kohima 1944 Solo-Play AAR Part.4

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第3(1944年4月前半)ターン。両天候ゾーンで「晴天(Good)」となったこのターンは、両軍とも積極的な攻勢に出て、殴り合いの展開となった。

先手、日本軍プレイヤーターン。まず補充で、第33師団124連隊を復活させ、カレワ(PCF0425)に配置。トンザン(PCF0227)から連合軍が逆撃に出れば、第15軍司令部まで危うくなるので。

そして第15師団+第33師団の残余によるインパール正面への総攻撃。今回は、後方のラングーンにいた第15師団67連隊も呼び寄せ、4個連隊+2個砲兵連隊で、3個インド旅団に攻めかかった。しかし近接航空支援(CAS)に出撃した一式戦と九七式重爆は、スピットファイアVIIIに迎撃され、あえなく全滅。イギリス軍も、航空補充が到着しているため、新鋭機をインパール前線に送り込んでいるのだ。さらにイギリス軍は、いつものヴェンジェンスII急降下爆撃機とハリケーンIIC戦闘機に近接航空支援をさせ(作戦爆撃力11=2地上戦力追加)、さらに山向こうのコミーラから遙々飛んできた、対地支援用のモスキートVI戦闘攻撃機たちに戦場航空阻止(BAI)を行わせた(作戦爆撃力17=日本軍の戦闘効率補正10%減)。

日本軍は地上戦力20(攻勢補給下)✕0.9(戦場航空阻止)=18、イギリス軍は地上戦力13+近接航空支援2=15、戦闘比1.2:1でd100を振り、出目は24だったので、戦闘比1:1。晴天とは言え、ジャングル山岳ヘクスへの攻撃はダイス修整-3。日本軍は山岳部隊扱いなので+2。最終ダイス修整-1。出目は2。AH(攻撃側1/2)。イギリス軍3個旅団は6スタックポイントなので、日本軍はその1/2の3スタックポイントを失い、砲兵連隊1を除去、歩兵連隊2を狂信面に裏返した。

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北部では、いまだ補給負荷2状態の日本軍第31師団が、コヒマ目指して進撃中。それを阻むのは、第37グルカ兵旅団などの精鋭部隊。こちらは両軍とも航空支援を送る余裕が無く、素の地上戦闘となった。しかし攻撃側日本軍は地上戦力8✕0.25(補給不可2)=2、防御側イギリス軍は地上戦力6、戦闘比1:3、ダイス修整-1で、結果はHR(攻撃側1/2、防御側後退)となった。イギリス軍側は、4スタックポイントあるので、日本軍はその1/2の2スタックポイントを失い、偵察大隊を除去し、1個連隊を狂信面にした。それでもイギリス軍は後退し、遂に第31師団はコヒマへ隣接することになった。戦闘比1:3でも押し進むとは、第31師団恐るべし。そしてこの、連隊規模のユニットが除去されても「狂信面」ユニットとして残るというのが、日本軍の頑強さを上手く表しているように思う。

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戦線後方では、第53師団が、チンディット隊狩りに着手。ブロードウェイ滑走路を守る第111グルカ兵連隊を除去し、連絡線を確保した。

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アキャブ方面では、第54師団が到着し、前線を固めている。しかしせっかく工兵大隊が修理したアキャブの空軍基地に対し、再びイギリス軍爆撃隊が襲来。またも3ヒットをくらって、空軍基地は全損状態となった。これはもうイタチごっこだな……

ちなみに両軍の補充に関しては、東南アジア戦域全体で受け取れる数は書いてあるものの、このシナリオで幾ら受け取れるかは書いていない(TSWWのシナリオは、だいたいおおざっぱである)。とりあえず今回は、戦域全体の半分として補充を受け取っている。

ただ、日本軍が1944年3月に一式戦III型(Ki-43-III)を受け取るのは、早過ぎるのでは?と思っている。手元の資料を見ると、III型が試作されたのはこの時期だけれど、量産・配備に入ったのは、もっと後のはず。まあ、多少オマケして登場させてはみたが……

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手番代わって、連合軍プレイヤーターン。

まずコヒマに迫った第31師団に対し、イギリス軍は、増援の第6旅団を含む、4個旅団+2個連隊で攻撃。イギリス軍の地上戦力は20(攻勢補給下)、日本軍の防御力は5✕0.5(補給負荷2)=2.5。戦闘比8:1、ダイス修整-3(晴天のジャングル山岳)。結果、EX(双方損失)。日本軍は、狂信面の124連隊1個となり、イギリス軍は第50空挺連隊を失った。ええい、まだ残っているとはしぶとい……

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そして激戦が続くインパール正面では、イギリス軍3個旅団も反撃。今回は、すべての航空支援を戦場航空阻止(BAI)に投入したが、これに対して日本軍は、試作型(ということでオマケとして登場させた)一式戦III型戦闘機で迎撃。空戦攻撃力8、防御力7と、II型を上回る性能だったが、やはりスピットファイアVIII型にはかなわず、あっけなく全滅。だからさ、もう微妙な改良でどうにかなる相手じゃないんだってば。

結局イギリス軍は、38作戦爆撃力を投下し、4レベル阻止ゾーン(ゲーム上、最も拘束力が強い)を形成。これにより日本軍の戦闘効率補正は25%減少し、E1(補給負荷)となった。

イギリス軍は地上戦力13、日本軍は地上戦力13✕0.75(戦場航空阻止)=9.75。戦闘比1.33:1。d100を振って21が出たので、戦闘比2:1に上昇。ダイス修整-3(晴天のジャングル山岳)。結果、DR(防御側後退)。日本軍を面倒なジャングル山地から叩き出し、沼地ヘクスに後退させた(沼地ならダイス修整がゆるい)。

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イギリス軍はアキャブでも、歩兵旅団4+戦車大隊1+重砲兵大隊1をもって、第55師団が籠もる陣地を攻撃した。本来なら戦車ショック効果(ASE)も加味するところだが、攻撃先のジャングル山岳ヘクスに対しては無効。ここでもイギリス軍は、航空支援をすべて戦場航空阻止(BAI)に投入。作戦爆撃力25を投下して、3レベル阻止ゾーンを形成。日本軍の戦闘効率補正を20%減少させた。

イギリス軍は攻撃力25、日本軍は防御力6✕0.8(戦場航空阻止)=4.8。戦闘比5.2:1。d100を振って03が出たので、戦闘比6:1に上昇。ダイス修整-3(ジャングル山岳)。結果、HX(相互1/2)。規模の小さい日本軍は壊滅したが、第55師団112連隊が狂信面となって陣地を維持。イギリス軍は、戦車大隊を失った。ここでもしぶとい日本軍……

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そして北のフーコン渓谷でも、米中軍がようやくカマインを攻撃開始。アメリカ軍は、作戦爆撃力13を投下して、1レベル阻止ゾーンを形成し、日本軍第18師団の戦闘効率補正を10%減少させた。

米中軍は攻撃力15、日本軍は防御力7✕0.9=6.3。戦闘比2.38:1。d100を振って49だったので、そのまま戦闘比1:1。ダイス修整-2(晴天の沼地)。結果、HR(攻撃側1/2、防御側後退)。米中軍は、メリルズ・マローダーズを失ったものの、第18師団をカマインから叩き出し、これを占領した。

とまあ、このターンは各地で戦闘が発生したが、戦闘比1:3でも前進に成功したり、戦闘比8:1でも相手を殲滅しきれなかったりと、TSWWの戦闘結果表の特徴も表れてきた。自分は論理的な人間ではないので、細かい表分析はできないが、ひとつの戦闘比に21欄も結果があるため、かなり振れ幅のある戦闘結果表になっている。もちろん、戦闘比で優勢になれば、有利な結果が出やすくなるのは当然なのだが、ダイス修整が良ければ、低戦闘比でもどうにかなる場合もあり、ダイス修整が悪ければ、高戦闘比でもイマイチな場合もある、という戦闘結果表になっている。

ちょうど最近読んだ「戦史の探究」Blogさんでも、こういった話題が出ていたが、たとえ戦闘比3:1でも、優勢な側が確実に勝てるわけではない、という研究成果もあるそうだ。TSWWの戦闘結果表も、恐らくこの手の分析を反映しているのだろう。なので、戦闘比を上げると同時に、修整要因とも言うべきダイス修整を高めることも大事だなと。しかし、ダイス修整を有利にするには「戦車を沢山持ってくる」「厳しい地形は攻めない」なのだが、あいにくビルマ戦では、どちらもその機会が少ないので、そのあたりは「TSWW:Barbarossa」で確認するしかない。

また日本軍が、除去されても狂信面ユニットとして残るというしぶとさは、ある意味「Advanced Squad Leader」の日本軍ルールと同じく、他の国々からすれば考えられない、規格外の頑強さを上手く表していると思う。正直、このシナリオを実際にプレイするまでは、インパールやコヒマまで攻め込めないだろうと思っていたが、いやいや、無理筋ながらも結構進めているではないかと。もちろん、日本軍も破断界が近づいてると思うので、それが見えてくるまで、もう少しこのソロプレイも続けてみよう。