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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW : Singapore !」The Gates of India : Imphal and Kohima 1944 Solo-Play AAR Part.3

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第2(1944年3月後半)ターン。天候は、引き続き「悪天」「酷暑」。

先手、日本軍プレイヤーターン。インパールを目指す第15軍第15師団は、歩兵連隊3、砲兵大隊2、工兵大隊1をもって、第100インド(軽歩兵)旅団を攻撃。このインパールへの正面攻撃こそ、最も戦力が集中された箇所なので、一式戦・隼(Ki-43)✕2ユニット、九七式重爆(Ki-21)✕1ユニットで近接航空支援(CAS)も付けることに。これに対してイギリス軍も、ハリケーンIIC✕2(オレンジ色の数値ユニットはオーストラリア空軍機)で迎撃。空戦により、双方とも戦闘機を1ステップずつ失い、九七式重爆も帰還させられた。さらにイギリス軍は、ハリケーンIIC✕0.5ユニット、ヴェンジェンス急降下爆撃機✕1.5ユニットをもって、戦場航空阻止(BAI)任務を敢行。この戦闘地域に21✕0.9(悪天)=18.9作戦爆撃力を投下し、日本軍の戦闘効率補正(CEV)を15%低下させた。それでも第15師団は、戦闘比3:1で第100インド旅団を1ヘクス後退。第100インド旅団にダメージが与えられなかったのは残念だが、じりじりとインパールへ迫っている。

一方、南から攻める第33師団の2個連隊は、第48、第63インド(山岳)旅団が籠もるトンザンを攻撃。これがEX(双方損失)となり、第48インド旅団を除去したものの、スタックポイント的により少ない日本軍2個連隊がステップロス。この2個連隊は、ユニット裏面が「狂信面(Fanatic)」であり、万歳突撃によって、自分の除去を前提とした自殺攻撃が可能となっている。

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一方、北から攻める日本軍第31師団は、すでに全ユニットE2(補給負荷2、攻撃力1/4、移動力と防御力は1/2)ながらも、ウクルルの第49インド旅団を攻撃。これが戦闘比1:2だったにも関わらずDR(防御側後退)となり、ウクルルを確保した。ううむ、補給負荷のまま押し進むとは、第31師団恐るべし。TSWWの戦闘も、意外と低戦闘比でなんとかなるものだな。いや、実はこれ、インパール作戦部隊がみな「山岳部隊(面倒な地形でも有利なダイス修整が付く)」扱いなのが大きいと思う。

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続いて後手、連合軍プレイヤーターン。増援として地図盤西端にイギリス軍第4、第5、第6半自動車化歩兵旅団(各スタックポイント2規模)が到着。半自動車化ユニットを鉄道輸送する際は、スタックポイントが2倍となるので、各ユニットはスタックポイント4と見なされる。インド国内で連合軍が利用できる鉄道輸送量は、10スタックポイント分のみ。つまり1ターンに2個旅団までは輸送できる。移動力12のユニットは、1移動力を消費すると33鉄道ヘクスを移動できる。これにより、まず第4、第5旅団が、1移動力を消費して、鉄道でダッカの西のバイラブ・バザール(PBF2233)まで移動。そこから大河川を渡河して(6移動力消費)対岸の平地ヘクス(1移動力消費)へ渡り、再び別の鉄道網に乗り替え、また1移動力を消費して14ヘクス先のディマプールに到着。ここまで9移動力を消費し、残り3移動力を使って舗装道路を移動し、第4旅団はインパールの2ヘクス北に到着、第5旅団はコヒマに配置された。

残った第6旅団は、次ターンに移送する予定だが、ダッカからこれを空輸する手もある。ダッカの航空補給部隊には、2.5スタックポイントを輸送できるだけの輸送機が配属されているが、その航続距離は40ヘクス(ダコタ機)。そしてダッカからディマプールまでは20ヘクスなので、ちょうど航続距離の1/2=短距離輸送となり、1移動フェイズ中に2往復して、倍の5スタックポイントまで空輸できる。さらに1944年の連合軍の空輸効率(TEV)が1.5なので、最終的には5✕1.5=7.5スタックポイントが輸送可能となる。2スタックポイントのイギリス軍旅団も余裕で運べる計算だ。

しかしこの航空補給部隊は、あくまで(各ユニットや空軍基地を補給下に置くための)兵站ポイントの輸送用である。1兵站ポイント=6スタックポイントなので、ダッカの空輸能力(7.5)で空輸できるのは1兵站ポイントのみ。これが切れると、ディマプール、レドの連合軍が干上がってしまうので、部隊輸送には回せない。日本軍からすると、この航空輸送ルートは一応、一式戦で迎撃できる範囲にある。ただし、そのルートの護衛には、この地域最強の戦闘機スピットファイアVIII(空戦攻撃力13、防御力9)がついているので、返り討ちに遭うのは必至…… 

また連合軍は、いったん除去された第48、第123インド旅団を補充ポイントを使って復活。それぞれインパール正面とトンザンに送り、防備を固めた。インド部隊に関しては、毎月2歩兵スタックポイント(1個旅団相当)の補充が得られるので、多少の損害なら、どうにかなるかと思う。

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そのトンザンでは、狂信面となった第31師団の2個連隊に対し、第63、第123インド旅団が反撃に出た。狂信面ユニットは、戦闘比に関係無く、万歳突撃によって相手ユニットを除去できる可能性があるため、攻め込まれる前に潰そうという判断である。この戦闘にもハリケーンIIC✕2、ヴェンジェンスII✕1が近接航空支援(CAS)に就いたが、もちろん日本軍も一式戦✕1で迎撃に出た。結果、ハリケーンIICをステップロスさせたものの、一式戦は2ステップロス除去となり、ヴェンジェンスの8作戦爆撃力が投下され、地上戦力2が追加。戦闘比6:1でDE(防御側全滅)となり、第31師団は全滅と相成った。そして日本軍第15軍司令部へ通じる道を守るユニットも皆無となったが、悪天では、インパールにいるイギリス第IV軍団司令部からの主要補給ルートもそこまでは届かず、イギリス軍はあえて前進はしなかった。

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一方、アキャブ方面では、完全に制空権を握った連合軍が、今のうちに地歩を固めておこうと、第36、71インド旅団+重砲兵大隊で、日本軍第51師団の偵察大隊を攻撃。イギリス軍は、ヴェンジェンスIII急降下爆撃機などを近接航空支援(CAS)に投入し、戦闘比9:1(上限)で、日本軍2ユニットを除去した。

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さらにレド、フーコン渓谷方面では、スティルウェル将軍麾下の米中軍2個師団と、アメリカ第5307臨時混成連隊「メリルズ・マローダーズ」が、日本軍第18師団の2個連隊が守るカマイン(PCF1937)へ向けて前進中。ただし米中軍の陸上補給ルートはそこまで届かず、空中補給に頼るしかない。

米中軍の後方、テズ(PCF1948)の航空補給部隊には、4ユニット合計8空輸能力の輸送機が配属されている。いずれも航続距離40~60ヘクスなので、10ヘクス先のフーコン渓谷までは短距離輸送となるが、これは飛行場に下ろす空中輸送(Airlift)ではなく、飛行場ではない土地に落とす空中投下(Airdrop)なので、輸送量は通常通りとなる(通常の航続距離内では1/2となる)。さらに1944年の連合軍の空輸効率(TEV)1.5を掛けて、16スタックポイントまで空中投下可能。ただし投下した補給物資が確実に受け取れるとは限らず、空挺部隊の降下同様、混乱チェックを行う。

ユニットを一般補給下とするには、1スタックポイント毎に1一般補給ポイント(GSP)が必要で、攻勢補給下とするなら、同じく2一般補給ポイントが必要となる。1スタックポイント空輸能力で、投下できるのは1/3兵站ポイント=6一般補給ポイント。ここ、ややこしいとこ。1スタックポイント空輸能力で運べるのは、6一般補給ポイントだが、1スタックポイント規模のユニットが必要とするのは、1か2一般補給ポイント。ユニットを荷物として運んだ時の重さと、そのユニットが必要とするメシの量は違うと。

ということで、手元に補給物資さえあれば、16空輸能力✕6一般補給ポイント✕0.9(悪天)=86一般補給ポイント(4+1/3兵站ポイント)まで投下できる。もしそれが100%地上部隊に行き渡れば、86個連隊相当を一般補給下とするか、42個連隊相当を攻勢補給下に置ける。しかし、さすがにそんな大量の兵站ポイント/一般補給ポイントは手元に無い。

とりあえず毎ターン、2/3兵站ポイント=12一般補給ポイントなら供給できそうなので、メリルズ・マローダーズ(1スタックポイント規模)に加えて、米中軍2個師団(合計8スタックポイント規模)を送り込んでみた。投下の混乱チェックは、3一般補給ポイント毎に判定されるので、12ポイントを投下するなら、判定は4回。どれか1回失敗しても、部隊は一般補給下になれるだろうという目算。そして第1、第2ターンとも空中投下に成功し、フーコン渓谷部隊は一般補給を維持して、カマインへと向かった。

ちなみにこの空中投下ルートは、シュウェボ(0921)にいる一式戦部隊の航続距離(17ヘクス)外である。ただし、延長距離飛行(航続距離✕1.5)を行えば、このルートを妨害できるが、その場合は空戦攻撃・防御力が25%減少するため、一式戦の場合、空戦攻撃力7から5、防御力6から4へ低下したうえで、護衛のP51やP47D5を戦うことになるのでまず止めた方が…… 

その後方では、レド公路が途切れたままだが、ここに道路を通すには、レドから騰越(Tengchong)まで、2ヘクス置きに1スタックポイント(連隊)規模の工兵ユニットを配置する必要があり、それが為されていない場合、いったん道路を啓開しても、またジャングルの草木がわらわら生えてきて、道路が無い状態に戻るという恐ろしいルールが。そしてそんな多量の工兵ユニットもこのシナリオでは存在しないので、そこを啓開せずにどうにかしろと。史実でも、レド公路が開通したのは、1944年9月に拉孟・騰越が陥落した後の、1945年1月になってからだし、シナリオ範囲外ということで無視。

とまあ、連合軍は、部隊や物資の移送計算ばかりが忙しいが、もし多人数プレイをするなら、他の補給が細かいビッグゲーム同様、補給専従プレイヤーが欲しいかもしれない。なにしろ戦域レベルの兵站を管理するため、単なる作戦級レベルのゲーム(OCS:Burmaとか)なら自動的にやってくる増援部隊や補給物資についても『そもそも、何をどれだけ運べるのか』『それをどのように運ぶのか』『どれから優先して運ぶのか』『その輸送線をどう守るのか』『その輸送線を妨害できないのか』というあたりまで考える必要がある。もちろんこの兵站構造は、ガダルカナル島や、北アフリカでのシナリオでも同様だろうし、TSWWに触れるなら、一度がっつり学んでおいた方が良いと思う。

そんな感じで、ずっとルールとチャートと首っ引きながらも、第3ターンへ……