Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】アルバート・C・ウェデマイヤー「第二次大戦に勝者なし (上下)」

第二次大戦に勝者なし〈上〉ウェデマイヤー回想録 (講談社学術文庫)

第二次大戦に勝者なし〈上〉ウェデマイヤー回想録 (講談社学術文庫)

 
第二次大戦に勝者なし〈下〉ウェデマイヤー回想録 (講談社学術文庫)

第二次大戦に勝者なし〈下〉ウェデマイヤー回想録 (講談社学術文庫)

 

柏の古書店にて、講談社学術文庫版の「第二次大戦に勝者なし(上下)」を再購入。以前、旧版(読売新聞社のハードカバー版)を持っていたが、処分してしまい、でもやっぱり要るなあということで、再び入手した。この文庫版もすでに絶版なので、定価以上の買い物となったが、まあ、仕方ない。

本書は、第二次大戦時のアメリカの戦争計画にも携わった、ウェデマイヤー将軍の回想録。しかし久しぶりに読むと、このウェデマイヤー将軍、マーシャル参謀総長の下でアメリカの動員計画そのものを立案し、戦争前のドイツ陸軍大学留学時代にはゲッベルスゲーリングなどナチスの要人にも会い、クラスメイトには後にヒトラー暗殺計画の実行犯となるフォン・シュタウフェンベルグ(当時)大尉がいて、イギリス出張ではチャーチル首相とも会い、英米カサブランカ会談にも同席し、オーストラリアではマッカーサー将軍に会い、ガダルカナル島も視察し、パットン将軍の参謀としてシチリア島上陸作戦にも参加し、ビルマ、中国戦線にも行くという、まるで戦争大河ドラマの主人公のように、第二次大戦の名場面、主要人物と巡り会い続けるという、なかなか数奇な運命をたどっている。彼を主人公にしたら、面白いドラマが作れるかもしれない。

しかし最初に読んだ時は、アメリカの戦争計画を立案したプロセスの方に驚いた記憶がある。枢軸側に勝つためには、アメリカとしては850万人の動員が必要であるとする「勝利の計画」は、その規模の大きさに目眩すら覚える。そしてそれが可能だというアメリカの国力にも。