昨年発売されたOCS(Operational Combat Series)第14作「Beyond the Rhine」をMMP社の秋季セールにて購入した。本体74ドル+送料67.15ドル。事前にプレオーダーもしていたが、昨年は経済的にバタバタしていたので、いったんキャンセル。しかし一年経って安く買えたわけだから、これは結果オーライ。(正価は134ドル。プレオーダー時でも100ドルだった)
本作が扱うのは、1944年9月から1945年4月(ドイツ降伏間際)までのWWII西部戦線。ゲームスケールは、1ターン=1/2週間、1ヘクス=3.5マイル。OCS東部戦線は1ヘクス=5マイルだが、西部戦線は3.5マイルで統一するらしい(今年発売された「Sicily II」も3.5マイル/ヘクス)。
お題は、フランスを解放した連合軍によるドイツ侵攻戦役+ドイツ軍の冬期反攻で、時期的にはマーケットガーデン作戦、スヘルデ河口戦、アーヘン攻囲戦、アルザス・ロレーヌ戦、バルジの戦い、ライン渡河戦あたりを含んでいる。しかし「お膳立ては史実通りだが、細かな展開は史実に沿わないであろう」のがOCSだし、細かな作戦を再現するものでもないだろう。その実アバウトなキャンペーンゲームなのだOCSは。シナリオは、全10本。バルジ戦までの秋季キャンペーン、バルジ戦からのキャンペーン等があるが、プレイし易そうな(マップ1枚、10ターン前後)のシナリオも3本収録されている。
マップは全4枚+バルジ戦シナリオ「A Time for Trumpets」専用マップ1枚。険しい地形に加えて、びっしりと書き込まれた西方防壁マークがものものしい。ちなみにシナリオ名は、バルジ戦の古典的戦記から取られている。多くのバルジ戦ゲームで参考文献として挙げられているが、あいにく未読。
A Time for Trumpets: The Untold Story of the Battle of the Bulge (English Edition)
- 作者: Charles B. MacDonald
- 出版社/メーカー: Endeavour Press
- 発売日: 2015/07/21
- メディア: Kindle版
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カウンターシートは全8枚、カウンター総数2240個。そのうちアメリカ軍から見てみると、徹底的に効率化されたWWII最強の機動軍隊という感がある。機甲師団は、砲兵連隊まで装軌化されているため、敵ZOCにでも押し通っていける。独立砲兵も火力108・射程5、火力36・射程4と強力だが、これが移動モードでも、火力54、火力18を発揮するのだから恐ろしい。予備モードにして戦線後方に控えさせておけば、駆けつけ阻止砲撃で大概の敵は混乱させられるだろう。司令部も、移動モードですら指揮範囲が9もあり(ドイツ軍は戦闘モードでも10か8)、こちらも機動戦向けである。
しかしだだっ広いフランス西部では、その機動戦能力も遺憾なく発揮されただろうが、あいにく本作の舞台は、オランダの沼沢地やアルデンヌの森林、堅牢な西方防壁線と、機動戦には不向きこのうえない。さらに積雪、泥濘ともなれば、さらに足も鈍るだろうし、そのあたりの苦戦っぷりを味わえそうだ。
一方のドイツ軍は、やはり敗色濃厚とあって、歩兵師団のAR(アクション・レーティング)は低く、国民擲弾兵大隊、東方大隊に至っては、痛ましい限りだ。もちろん細かくリサーチされたであろう各種部隊は、WWII末期戦ファン心をくすぐるが、ゲームでの展開を考えるに、どうせみな連合軍の砲爆撃で呆気なく混乱させられ、たいした活躍もできないんだろうなとも思えてしまう。舞台が守りやすい地形なのは良いが、反撃するにも厄介な地形だし。空に目を向ければMe262やHe162ジェット戦闘機もあるが、そちらも末期戦の徒花的なイメージが。
それでもまずは、バルジ戦シナリオ「A Time for Trumpets」(マップ1枚、全9ターン)から挑戦してみたい。バルジ戦と言いつつも、既存のバルジ戦ゲームより広範囲を扱っているため、視点も変わって見えそうだ。まあOCSのことだから、攻勢部隊が飛び出したはいいが、逆奇襲をくらって意気消沈、出オチで終わり、という展開もままあるだろう。とりあえず年内にはソロプレイにたどり着きたいと思う。
※そう言えば、アントニー・ビーヴァーがバルジ戦の本を出版したが、これ翻訳出ないのだろうか。
Ardennes 1944: The Battle of the Bulge
- 作者: Antony Beevor
- 出版社/メーカー: Penguin Books
- 発売日: 2015/11/03
- メディア: Kindle版
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