Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Grand Tactical Series】「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」O Canada Solo-Play AAR

f:id:crystal0207:20160324143657j:plain

引き続き「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」シナリオ検証作戦を継続中。今回はD-Day当日のジュノー海岸上陸から翌日日没までの戦闘を扱う「O Canada(初めて知ったがカナダ国歌の名前だとか)」をソロプレイしてみた。

タイトル通り、主役はカナダ第3歩兵師団である。このシナリオでは上陸戦闘から始まり、地図盤中央を横切る連絡道路Bを確保しつつ、地図南端にあるカルピケ飛行場近くまで進出すれば勝利となる(盤上のオレンジ色のマーカーがカナダ師団の目標地点)。対するドイツ軍は、海岸近くに第716歩兵師団の部隊が散らばっているだけで、地図盤の南半分はほとんど部隊が存在していない。

このスッカスカの戦区に駆けつけるのがドイツ第12SS装甲師団だが、D-Day当日の昼間に登場するのは3ユニットだけで、主力の第25装甲擲弾兵連隊(パンツァー・マイヤーことKurt Meyer大佐指揮)はD-Day日没後に到着する。翌D-Day+1日には、IV号戦車装備の戦車大隊も到着するため、本格的な反撃は6月7日からになる(盤上の青いマーカーが第12SS装甲師団が確保すべき地点)。

f:id:crystal0207:20160324143739j:plain

まずは6月6日0700ターン、海上チットによる第一波上陸からスタート。しかし荒れた海面状況によってDD戦車2中隊が全滅。海岸障害物を除去する役目の第79機甲師団の工兵戦車も2ステップロス、独立工兵中隊も2中隊が全滅と、カナダ師団は手痛い損害を被った。それでも第一波が上陸し終わった時には、抵抗拠点レベルを0に、海岸障害物レベルは2までに低下させている。

f:id:crystal0207:20160324194430j:plain

さらにカナダ第7歩兵旅団はWn33陣地を撃破し、カナダ第8歩兵旅団が突破口レベルを0に低下。0700ターン終了時には、全突破口啓開となっている。第48海兵コマンドは早くも海岸を脱し、縦隊モードで地図盤西端へ向かっている。

f:id:crystal0207:20160324203637j:plain

0900ターン、カナダ師団はWn27、Wn28、Wn28b、Wn29、Wn30、Wn31陣地を順調に撃破。いまだ海岸の地雷原が除去しきれていないため混雑しているが、内陸へ向けて進出し始めた。ドイツ軍は、ひたすら後衛ユニットを捻出し、なんとかカナダ軍の進出を遅らせようと試みている。

f:id:crystal0207:20160325113239j:plain

1100ターン。派遣ポイントが枯渇してきたカナダ師団は一休み。Wn26陣地を潰しつつ、内陸のドイツ軍に接近していく。 海岸には後続の第9歩兵旅団も揚がっている。

f:id:crystal0207:20160325154609j:plain

1300ターン。このターンに海岸が掃討(Clear)され、海岸オーバーレイが外された。

カナダ第8歩兵旅団は、写真右上に見えるDouvres-la-Delivrande(49.012)付近の陣地に迫ったが、ここには陣地+歩兵中隊スタックが2つ存在し、どちらも2ステップ、部隊練度は高く、しかも地雷原に囲まれたうえ、要塞ヘクスに塹壕を築くという恐るべき鉄壁ぶりである。なおかつ陣地も歩兵中隊も自主指揮下(Auto-Command)ユニットという変わり種。

カナダ師団は、この強固な陣地含めて東に第8旅団を向かわせ、西には第7旅団、後続の第9旅団を中央に進めることにしたが、どうもこの選択はあまり良くなかったようだ(理由は後述)。

f:id:crystal0207:20160325161230j:plain

1500ターン。西端では海兵コマンドが側面からドイツ軍戦線へ斬り込み、第9歩兵旅団も徐々に前線へ上がってきている。Douvres-la-Delivrandeの陣地周辺では、独立工兵中隊が地雷原を啓開中。陣地へはM10駆逐戦車、対戦車砲なども射撃を浴びせているが、なにせ要塞ヘクス+塹壕+陣地の防御修正は酷く、10面体ダイスで「0」を出すしか被害が出ないような状況である。

ドイツ軍戦線後方では、唯一の第12SS装甲師団擲弾兵中隊が、必死に後衛を捻出し、二次防衛線のようなものを構築している。後衛とは言え一応、最良の複合火力、しかも射程が3あるため、カナダ師団もおいそれとは近づけないだろう。またここまで第12SS装甲師団は、指揮・派遣ポイントを溜めに溜めまくっているので、翌日はフォーメーションチット連発の反撃が試みれるはず。

f:id:crystal0207:20160325173837j:plain

1700ターン。カナダ師団はようやく派遣ポイントを充填し、第7・第8歩兵旅団フォーメーションチットで攻勢に出た。第7歩兵旅団は、独立重火器中隊の支援もあって、Ste-Croix-sur-Mer(69.010)近辺のドイツ軍を撃滅。地図盤中央に陣取っていた対戦車砲スタックも潰し、海兵コマンドと共に地図盤西側の第716歩兵師団ユニットをほぼ掃討した。

f:id:crystal0207:20160325173929j:plain

一方の第8旅団は、La Delovrande(47.010)近辺の陣地を潰したものの、例の要塞陣地には苦戦中。一応、二度にわたる強襲によって北の要塞の歩兵中隊は全滅させたが、陣地ユニットはなお健在である。

ただし良く考えれば、この2つの陣地はカナダ師団の勝利条件にはまったく関係ない。もしかするとカナダ師団はこれを放置して内陸に進み、陣地の処理は1900ターンに上陸してくるイギリス第51歩兵師団第153歩兵旅団に任せればいいのだろうか?と気づいたところで仕切り直したくなり、ここでソロプレイを終えた。

恐らくそうなのだ。キャンペーンゲーム的に考えても、イギリス第51歩兵師団は6月11日以降、東に進んでイギリス第6空挺師団戦区に入るのだから、東寄りに上陸するはず。主役のカナダ師団は、もっと西寄りに展開し、ドイツ軍の増援が来ないD-Day当日のうちに内陸深くまで進出する方が良いのだろう……というあたりが分かったのが今回の収穫か。※追記:D-Day当日のジュノー海岸上陸後の戦況図を発見。やはりLa Delovrandeの陣地をスルーしている。

No. 48 (Royal Marine) Commando - Wikipedia, the free encyclopedia

今回は第12SS装甲師団の反撃までたどり着けなかったが、恐らく指揮・派遣ポイント満タンの状態で6月7日朝から暴れまくるはずなので、そのあたりも楽しめそうだ。マップ1枚のシナリオだが、まる2日間の戦闘を完遂するには、リアルタイムでも2日ぐらいかかるかもしれない。そういった部分も見定めたうえで、いずれ再挑戦してみよう。

しかし上陸から内陸侵攻まで通してプレイすると、まるまる1個師団、または1上陸海岸戦区を統轄するだけで手一杯な気がした。キャンペーンシナリオでは連合軍プレイヤー4人(3つの上陸海岸戦区と空挺師団担当)を揃え、それに対応してドイツ軍も4人揃えたうえで、合計8人でプレイしろと書いてあるが、たしかにうなづける。