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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Grand Operational Simulation Series】「Wacht am Rhein 2012」Ride of the Valkyries Solo-Play AAR Part.1

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ではバルジの戦い・第6装甲軍シナリオ「Ride of the Valkyries」ソロプレイ開始。天候と地表状況は史実を採用。まず12月16日払暁ターン。前線に接したドイツ歩兵師団群が奇襲攻撃を開始。ドイツ第3降下猟兵師団はアメリカ第14騎兵グループのスタックを一蹴。第277国民擲弾兵師団も幸先良く、アメリカ第99歩兵師団の防御線を突き崩し、第12国民擲弾兵師団はロスハイマーグラーベン(5523)の強固なアメリカ軍陣地目指して慎重に移動を開始した。この払暁ターンと続く16日午前ターンまでは、ドイツ軍の地上強襲に対して奇襲効果の戦力比+1シフトが付く。

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続く16日午前ターン。アメリカ軍は地上強襲を受けたユニットのみが活性化でき、大半の部隊はまだ移動もできずにいる。ドイツ軍はさらに奇襲攻撃を続けたが、早くも軍全体の弾薬ポイントを使い切り、砲兵ユニットの中でも弾薬切れが頻発している。

そんな中、第12国民擲弾兵師団が5個大隊がかりで攻めたロスハイムグラーベンは陥落ならず。一級道路(赤い線)を守るアメリカ軍陣地は最後の1ステップを残してこの地に粘り、突破を目論む第1SS装甲師団の前に立ちはだかった。パイパー戦闘団も、第3降下猟兵師団を追い抜く形で前進しても良かったのだが、午後ターンの攻撃を待って様子を見ることに。また北の第326国民擲弾兵師団は、モンシャウ(5011)前面のアメリカ軍陣地を攻めたものの、まる1個大隊を失って後退している。

※風光明媚なモンシャウへの砲撃を禁じたヒトラー命令ルールもあり。

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16日午後ターン。ドイツ第12国民擲弾兵師団は、さらに突破口を広げたものの、第3降下猟兵師団がロスハイムグラーベン西のアメリカ軍拠点を攻めて敗退。このまま本道が空くのを待ってはいられないと、パイパー戦闘団は第3降下猟兵師団を追い抜き(移動中のオーバースタックは認められている)、二級道路を走ってホンズフェルド(5223)のアメリカ軍工兵中隊をオーバーラン攻撃で駆逐した。また偽アメリカ軍部隊シュティーラウ戦隊もジープに乗って出動。アメリカ軍後方地域への浸透を開始した。

一方アメリカ軍は、続く16日夜間ターンに第5機甲師団A戦闘団をモンシャウに派遣。第7機甲師団も来援したが、こちらはシナリオ範囲外のサンヴィット(4430)へ向かうというお約束的な戦略移動。

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明けて12月17日午前ターン。ドイツ軍の弾薬状況はさらに悪化し、砲兵支援がほとんど出来ない状態に陥った。それでもようやく前線に到着した第12SS装甲師団の先鋒が、第326国民擲弾兵師団と協力し、突出したワーレルシャイトの十字路(5515)を攻撃。しかしすでに奇襲から目覚めたアメリカ軍の阻止砲撃は凄まじく(このターンより前は一緒に砲撃できるのは砲兵2個ユニットまでという制限があった)、攻撃に加わった3スタックすべてにステップロスを与えて攻撃を頓挫させた。ドイツ軍もV号パンター装備とはいえ、森林+拠点による装甲効果の減殺によってその威力を発揮できていない。

またこのターンの攻撃では、第12国民擲弾兵師団も4ステップロスをくらい、第277国民擲弾兵師団に至っては累積11ステップロス=ほぼ4個大隊喪失という壊滅的なダメージを被っている。さすがに奇襲効果が切れ、アメリカ軍の砲兵が息を吹き返した状態で、エルゼンボルン正面を抜くのは難しい。

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それでも第1SS装甲師団パイパー戦闘団は、小径や二級道路をくねくねと進んで、マルメディ(4020)へ到達。1スタックのみでの非準備強襲だったため、街に籠もるアメリカ第291工兵大隊を1ステップ削っただけだったが、ようやく突破らしくなってきた。

しかし様子を見ずにもう1ターン早く突破を果たしていれば、アメリカ軍増援の第1歩兵師団第26歩兵連隊が到着する前に、エルゼンボルン後方へ攻め込めたかもしれない。もっともそこへ行くにはワルシェ河を渡らねばならず、V号パンターの重みに橋が耐えられるかどうかは怪しいところ。ちなみに橋崩落の可能性は70%。橋が落ちれば、補給線が切れた状態で橋頭堡に孤立するため、かなりリスキーだと思う。

またオイペン(4105)~マルメディ間の一級道路には、フォン・デア・ハイテ率いる空挺1個中隊(降下猟兵ではなく単なる歩兵中隊)が舞い降り、増援として移動中だったアメリカ第1歩兵師団の砲兵部隊に襲いかかったが、あえなく撃退されている。

さらに17日午後ターン。アメリカ軍は、マルメディへ迫ったパイパー戦闘団に対し、航空攻撃をお見舞いして1ステップロスを与え、邪魔なハイテ空挺隊も除去した。ハイテ隊は、アメリカ軍増援・第9歩兵師団第47歩兵連隊の到着を遅らせたものの、降りた甲斐はあったような、無かったような……(運が良ければ ハイテ隊は3個中隊降下する)

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パイパー戦闘団は満を持してマルメディを攻撃。アメリカ第291工兵大隊を除去できれば、戦闘後前進(機械化ユニットは最大4ヘクス)で一気にスタヴロー(3521)か、補給集積所のあるフランコルシャン(3618)へ達するはずだった。ところが攻撃ダイスが極端に悪く(100面体を振って03)、第291工兵大隊は1ステップを保持したまま、ワルシェ河の向こうへ退却。これを再度攻めれば、橋を落とされる可能性もあり、痛い攻撃ミスとなった。

続く第1SS装甲師団の部隊は、仕方なくリニューヴィル(4123)からスタヴローへ進撃。翌18日午前ターンからスタヴローを攻撃する、という意味では史実と同じタイミングだが、拙攻な感が拭えない。

ちなみに足の遅い第501SS重戦車大隊は、師団の最後尾についている。なにしろVI号b型ケーニッヒスティーガーが橋を渡った場合、90%の確率で橋が崩壊してしまうのだ。強いことは強いが、自分の重さで後方への連絡路を切るなぞバカ兵器にしか見えないし、こんな橋の多い地域にそれを投入した無計画さに呆れる。1940年の対仏戦の頃とは違って、ドイツ戦車は重くなりすぎたのだ……

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このターン、ドイツ軍第12・第272・第326国民擲弾兵師団は、いったん歩兵ステップを補充するため、攻撃の手を緩めている。第3降下猟兵師団は、 ビュトゲンバッハ湖南のアメリカ軍陣地を攻め、敗退。第12SS装甲師団は、アメリカ軍阻止砲撃が不発だったこともあり、ようやく拠点をひとつ潰してエルゼンボルンへじわりと迫った。しかし第12SS装甲師団もこの時点で6ステップロスをくらっており、こちらも先が思いやられる……

というあたりでシナリオ前半終了。ここまでの感想としては、今までプレイしたバルジ戦ゲームの中でも再現度はかなり高いなと。それが良いか悪いかは別として、第1SS装甲師団もきっちり18日からスタヴローを攻めることになった。

それからドイツ軍戦車の重みによる橋崩壊ルールが良い味を出している。ドイツ軍としては、橋をどれだけ越えなければならないか、で突破ルートを吟味するし、実際そうだったのかもしれない。ドイツ軍重戦車ユニットは、能力値としては高く評価されているものの、事実上この狭隘な地形を踏破できないようなルールになっている。そのドイツ軍プレイヤーに夢を見させないシビアさ、突破なんて物理的に無理だったと突きつけるドライさ、結構好きだ。