Operational Combat Series第13作「Reluctant Enemies」が到着。本作のテーマは、1941年6月ヴィシー・フランス領レバノンへの連合軍の侵攻=エクスポーター作戦である。OCS初となる1枚マップの作品であり、ユニットとマーカーも合わせて280個に収められた手頃なサイズになっている。またOCS初心者向けの小冊子The OCS Starter Guideも入っており、まさにOCS入門にはうってつけの一作だ。
タイトル「Reluctant Enemies」は「気乗りのしない敵同士」「戦うことに葛藤を覚える敵同士」と云った意味がある。これは勿論、枢軸軍として戦わねばならないヴィシー・フランス軍の葛藤や、それを攻撃しなければならない連合軍(特に同じ国民である自由フランス軍)の思いから来ているのだろう。参考文献リストを読むと、どうやら下記の戦史書からタイトルを得たようだ。
The Reluctant Enemies: The War Between Britain and France, 1940-42
- 作者: Warren Tute
- 出版社/メーカー: HarperCollins Publishers Ltd
- 発売日: 1990/01/15
- メディア: ハードカバー
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マップに収められているのは地中海に面したベイルート、ハイファから、内陸のダマスカス、アンマンと云った辺りである。なかなか落ち着きのある色調で、この色合いで「OCS Tunisia」をリメイクしてくれないか……と思ったりもした。
このエクスポーター作戦を扱ったゲームとしてはWargamer#15「Drive on Damascus」やLegion Wargames「Slouch Huts & Eggshells」が出版されているが、それらの地図盤と比較してみると、切り取り方がまた異なるのがよくわかる。
シナリオは全21ターンのキャンペーンと、作戦序盤のみ(9ターン)を扱う「Secure the Levant」の二本立てである。基本ルールブックは、シリーズ前作「The Blitzkrieg Legend」添付のOCSv4.01からOCSv4.01aへ更新されているが、エラッタと明確化が反映されているだけで、大きな変更はないようだ。「Reluctant Enemies」自体の特別ルールもごく少ない。
連合軍、ヴィシー・フランス軍ともに、扱う陸上ユニットはそれぞれ50~60個ほどである。 フルカラーの配置表もあるため、プレイヤーへの負担も軽減されている。ただし本作に収められたマーカーだけで事足りるのかどうかは定かではない……
そしてぱっと配置表を見た感じ、ユニット数に比して補給ポイント(SP)が結構あるようにも感じた(特に連合軍)。毎ターンの補給登場表を見ても、それなりのSPが来るようだ。もしかするとSPのやりくりで四苦八苦する戦いではなく、もっと余裕をもってSP配分を学べるゲームなのかもしれない(無論、派手にSPを使えば四苦八苦することになるが)。それもOCS初心者への配慮だとすれば拍手モノだが、この点についても実際遊んでみて確かめたい。
本作はシリア・レバノン戦役というマイナーな題材だが、サイズ的には絶好のOCS入門作である。やはり最初はこの程度のユニット量でOCSシステムを会得するのが良いだろうし、本作でシステムを学んでから他のシリーズ作に挑むのも良い。 自分も近いうちに本作に取り組み、OCSの習熟度を上げるつもりだ。