Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「宿命のバルバロッサ作戦」

宿命の「バルバロッサ作戦」 (WWセレクション)

宿命の「バルバロッサ作戦」 (WWセレクション)

 

シックスアングルズ主催の山崎雅弘氏の新刊、「宿命のバルバロッサ作戦」を購入。バルバロッサ作戦とは銘打っていても、取り扱う時期は1920年代から。WWI後、密かに再建されたドイツ国防軍と、それに関わったソ連軍を「同じ乳母に育てられた二匹の怪物」と評して分析している。個人的には、作戦立案時のドイツ軍の驕慢が興味深く、フランスに勝ったのだからソ連にも勝てるだろうという安易な思いこみや、西ドヴィナ及びドニエプル川到達以降の第二段作戦の不明瞭さなど、バルバロッサ作戦が非常に甘い見通しで始められた事も記されている。また、作戦期間中のドイツ軍将官の諍いも印象深い。山崎氏は「ロンメル戦記」でも同様の確執を露わにしているが、かつてドイツ軍寄りの視点で伝聞されてきた英雄達を、より生々しい人間として剥き出しにした感がある。

できれば、このような最新の知見が反映された、WWII東部戦線またはバルバロッサ作戦ゲームに触れたいところだが、さて何があるかなと。たとえば「OCS:Guderian's Blitzkrieg II」だと、わざわざ参考文献のくだりで『パウル・カレルなんて参考にならんわ』と切り捨てているので、そういった部分も明記されているゲームを頼りにしたいところだが、購入前にそれが確認できるとは限らないしなあ。