Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

GMT「Labyrinth」AAR

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YSGA例会にて、N村氏に「Labyrinth」を教えていただいた。本作は、9.11テロ以降のアメリカvs聖戦派テロリストの戦いがテーマ。アメリカは、12資産分のイスラム国家を良好な政治体制に導くか、聖戦派テロリストを盤上から根絶すれば勝利。聖戦派は、6資産分のイスラム原理主義国家(2国は隣接)建設、またはアメリカの国威を1まで下げ、15イスラム国家体制を貧弱にするか、あるいはアメリカ国内で大量破壊兵器テロを実行すれば勝利である。基本システムはお馴染みのカードドリブンだが、2枚ずつプレイする珍しいルール。アメリカは政治体制によって使えるカードが制限され、聖戦派は政治体制によって作戦成功率が変わり、 さらに関係各国の政治姿勢(穏健or強硬)も関係してくる。

最初にプレイしたのは、9.11直後から始まる「Let's Roll !」シナリオ。初戦は自分が聖戦派を担当。まずアメリカは、アフガニスタンに大規模軍隊を送り込み、反米・イスラム原理主義国家から強引に同盟国へ体制変更。国際世論もアメリカを支持し、アメリカ国威も上昇していく。対する聖戦派は、パキスタン、ヨルダン、エジプト等に工作員を集め、大規模ジハードによるイスラム原理主義国家建設を狙うも、その都度アメリカの介入によって工作員を掃討されていく。しかし聖戦派がヨーロッパに浸透し始めると、各国政治姿勢が軒並み「穏健」となり、「強硬」状態のアメリカは孤立。さらに中央アジアにいた聖戦派テロリストが「HEU」イベントを成功させ、ロシアor中国から流出したらしい大量破壊兵器を入手。これを受け取ったヨーロッパ工作員がアメリカ本土に潜入し、念のためブラフの通常プロット(テロ活動)を配置してみた。ここでアメリカは残る手札1枚で通常プロットを阻止するも、その後に配置された大量破壊兵器プロットには為す術無く、ワシントンが核爆発テロで焼き尽くされ、聖戦派の勝利となった。我ながら恐ろしい勝利条件を満たしてしまった……

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昼食後の2戦目は、陣営を入れ替え自分がアメリカを担当。やはりアフガニスタンパキスタンへ軍事介入し、武力勝負を挑んでみた。ところが武力介入が国際世論の反発を招いたらしく、アメリカはダイスロールに失敗してぐんぐん国威を下げ、初戦同様、ヨーロッパの政治姿勢も「穏健」になっていく。さらにイベントでアメリカの政治姿勢も「穏健」にされたため、ここで頭を切り換え、軍事介入に頼らない「穏健」勝利を目指してみた。当然聖戦派は、アメリカが大規模介入しないのを良いことにエジプトに工作員を集め、イスラム原理主義国家建設を狙う。まさに非対称戦争な展開だが、聖戦派はダイス運に祟られ、大規模ジハードに連続失敗し、エジプトを奪えなかった。この間にアメリカは国威を上げてイデオロギー戦争修正を増し、エジプトと同盟を結び、アメリカ軍を駐屯させ、大規模ジハードを阻止。ならばと聖戦派は中央アジアに矛先を変え、大規模ジハードによって遂にイスラム原理主義国家を建設し、隣接するアフガニスタン(アメリカ軍は撤退済み)にも工作員を送り込んでいく。しかしアメリカも、イスラム各国に次々イデオロギー戦争をしかけ、トルコ、ヨルダン、サウジアラビア、湾岸諸国を良好な政治体制に移行させ、最後にエジプトを取り込んで12資産をクリアし、勝利した。

最初はゲームの仕組みがよく分からなかったが、ルールが飲み込めてくると俄然面白くなってきた。お互い勝利条件が複数あるため、どの戦略を選ぶか悩むし、特にアメリカは国際世論に逆らわず、臨機応変に強硬策、穏健策へ舵を切るべきと思った。展開の振れ幅は大きいが、1プレイ2時間ほどだし、一日に複数回プレイするのも可能。好ゲームだと思う。