Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】Robert.S.Rush「Hell in Hurtgen Forest」

Hell in Hurtgen Forest: The Ordeal and Triumph of an American Infantry Regiment (Modern War Studies)

Hell in Hurtgen Forest: The Ordeal and Triumph of an American Infantry Regiment (Modern War Studies)

 

カンサス大学出版部のModern War Studiesシリーズ「Hell in Hurtgen Forest」を購入。本書は、1944年秋のヒュルトゲン森林戦を扱った一冊で、同じくヒュルトゲン戦を扱ったTactical Combat Seriesゲーム、「Objective:Schmidt」の副読本になればいいかと思って買ったら、ゲームの方は、11月2-6日のシュミット近郊の戦いをテーマとし、こちらの本は、11月16日以降のグロッシャウ近郊の戦いがテーマだった。期待していた内容とはちょと違うけど、まあいいか……

視点部隊は、アメリカ第4歩兵師団第22歩兵連隊。この連隊、D-DAY当日はユタ・ビーチに上陸を果たし、戦闘経験含めて十分な戦力を有していたにもかかわらず、わずか二週間のグロッシャウ戦で約2800名の死傷者を出し、連隊兵力の53.9%を失うという大損害を被っている。この第22歩兵連隊の損害を克明に分析するのが本書の狙いで、一日ごとにどの部門の、士官・下士官・一般兵が何人失われたか、また補充兵はどれだけ入ってきたか、負傷兵がどれだけ復帰したか、それによって連隊の戦力がどう変化したかを解析し、軍隊組織の戦力維持についての研究書になってます。

そう、よくビジネス書で「軍隊に学ぶ組織論」みたいなのも見かけるが、一般企業と軍隊が決定的に違うのは、毎日人が死ぬか死なないかだと思う。仕事を覚えたベテランが死に、絶えず新人が入ってきてまた死ぬ、そのローテーションを前提として戦力を維持しなければいけない、大変な職場。ま、さすがにそれを題材にしたウォーゲームは少ないだろうが、久しぶりに「Objective:Schmidt」をプレイしたくなった。