Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Grand Tactical Series】「The Devil's Cauldron」 A Bridge too Far Solo-Play AAR

f:id:crystal0207:20140216113310j:plain

「The Devil's Cauldron」の「A Bridge too Far」シナリオをVASSALでソロプレイした。

まず9月22日0900ターン、ナイメーヘンを出発したイギリス第43歩兵師団は二手に分かれ、 主力・第214歩兵旅団はオーステルハウトへ、第129歩兵旅団はベムメルへ。一方、北方ではドイツ第9SS装甲師団ゲルハルト戦闘団が、自由ポーランド空挺陣地を襲うべく堤防へ接近しつつあった。続く1100ターン、 「ドイツ軍直接指揮」「ドイツ第10SS装甲師団」チットが続けて引かれ、凄まじい阻止砲撃がイギリス第43歩兵師団に降り注ぐ。しかし第214歩兵旅団も、オーステルハウトに突入するや強襲と間接砲撃によって3陣地を撃破し、市街をほぼ制圧した。イギリス軍の進撃は順調そうに見えるが、実は第43歩兵師団の指揮ポイントはこの時点で枯渇しており、継戦能力は著しく低下している。

1300ターン、イギリス軍第214歩兵旅団先鋒は、さらにスリッキィ・ウィッキィへ進み、増援の第5DCLI大隊はエルスト直行ルートへ向かった。ところが師団右翼を担う第129歩兵旅団は、 ドイツ軍ネーベルヴェルファー砲に叩かれ、早くもM4シャーマン中隊を喪失。輸送車両から下車した歩兵も堤防上で制圧された。1500ターン、ドイツ第9SS装甲師団ゲルハルト戦闘団は、指揮ポイントを最大の19まで蓄積。これを使って10ユニットに一気に堤防を駆け上がらせ、 自由ポーランド空挺陣地への突入を開始した。一方、イギリス第129歩兵旅団は、さらにネーベルヴェルファー砲を食らい、歩兵中隊1を除去されたうえ、まったく前進できずにいた。おまけに「イギリス第43歩兵師団」チットも最後に引かれたため、第214歩兵旅団もまったく動けず、イギリス軍の進撃に暗雲が漂い始める。※一番最後に引かれたチットは、そのターンにはプレイされず、翌ターンの一番最初にプレイされる。

1700ターン、自由ポーランド空挺旅団は、前ターンからまたぐ形で 「第1空挺師団」x2「連合軍直接指揮」チットを続けて引き、接近したゲルハルト戦闘団を一方的な連続射撃で迎え撃った。これにより堤防に登ったゲルハルト戦闘団20ステップ中7ステップが失われ、残るすべてのユニットが制圧か損耗打撃を被る大損害。 それでもゲルハルト戦闘団が強襲を試みると、 参加した4ユニット中3ユニットが除去される始末で、戦闘団は後退を開始した。

1900ターン、イギリス軍はフォーメーション・チットを引いて前進はしたものの、指揮ポイントが少ないため続けて攻撃ができず苦戦する。その拙攻ぶりを嘲笑うかのように、ドイツ軍の阻止砲撃が炸裂。第5DCLI大隊、第129歩兵旅団が歩兵中隊を2個ずつ失った。しかし第214歩兵旅団は、スリッキィ・ウィッキィのドイツ軍陣地に対し、なけなしの指揮ポイントを払って強襲をかけ、これを撃滅。自由ポーランド空挺旅団はいまだ無傷であり、後退するゲルハルト戦闘団に追い打ちを浴びせ、3ユニットを屠る活躍を見せた。

夜間ターン。日没後は視認範囲が狭まり、移動・射撃・強襲にもペナルティが適用。その代わり回復しやすくなるので、各部隊ともメンテナンスにいそしむ。しかし連合軍にとって痛恨なことに 「第43歩兵師団」チットが最後に引かれてしまったため、同師団は闇に紛れて前進するチャンスを失ったどころか、 このターンの間に指揮・派遣ポイントを貯めておくことも出来なかった。 そしてドイツ軍は、温存していた「クナウスト戦闘団」チットを投入。翌日は戦車隊による機動反撃を狙う……と云う辺りで初日は終了。

ゲルハルト戦闘団は甚大な損害を被ったが、大まかに見て戦局はドイツ軍優勢に推移している。イギリス第43歩兵師団は、ドイツ軍の前哨陣地を潰すだけで指揮ポイントを枯らし、翌日にも大がかりな攻撃が行えるかは不明。いかにもイギリス軍らしい拙攻と言えば、その通りなのだが。

9月23日0700ターン。払暁、第214歩兵旅団がヴァルブルグへ前進。市街には、クナウスト戦闘団のSS歩兵2個中隊が陣地を築いていたが、突破すれば義勇ポーランド空挺旅団への回廊が確保できる要衝である。そうはさせじと、クナウスト戦車隊がヴァルブルグ周辺へ展開。ティーガーI型中隊はイギリス軍の機会射撃を受けて損耗するも、一撃でM4シャーマン中隊を除去し、他の戦車中隊もイギリス軍歩兵を除去していく。

0900ターン。ドイツ軍は「直接指揮」「クナウスト戦闘団」「第10SS装甲師団」と続けてチットを引いてイギリス軍に阻止砲火を浴びせるが効果はあまりなし。イギリス第214歩兵旅団は、ヴァルブルグ陣地へ歩兵強襲をかけたが、精鋭SSの抵抗は激しく1中隊が除去され攻撃は頓挫した。

1100ターン。先手を取った連合軍は、クナウスト戦車隊に間接砲撃を浴びせ、ダメージこそ無いものの、弾幕マーカーによって戦車隊の火力を減じた。その隙に第7近衛竜騎兵大隊のM4シャーマンがヴァルブルグ陣地に強襲をかけ、1陣地を奪う猛攻を見せる。北方では、再び指揮ポイントを貯めたゲルハルト戦闘団が堤防に登り、自由ポーランド空挺旅団への攻撃を開始した。今回は連合軍側チットに妨害されずに強襲を行い、1陣地にダメージを与える。

1300ターン。クナウスト戦闘団は、まず間接砲撃で第214歩兵旅団を叩き、前進したティーガーI型中隊は、第7近衛竜騎兵のM4シャーマンを撃破する。だが第214歩兵旅団も、弾幕マーカー下で奇跡的な回復を行い、残るヴァルブルグ陣地に砲撃を集中した後、強襲でこれを撃滅した。

1500ターン。ゲルハルト戦闘団必死の強襲により、遂に自由ポーランド空挺陣地1が除去。戦線を突破したゲルハルト戦闘団の歩兵に対し、自由ポーランド空挺旅団は迫撃砲を撃ち込んで対抗する。クナウスト戦闘団も指揮ポイントが枯渇気味だが勇戦中。 そしてこのクライマックスに、またも「第43歩兵師団」チットが最後に引かれ、最終ターンを前にしてイギリス軍は1ターンお休みとなった。

最終1700ターン。イギリス第214歩兵旅団は、まずクナウスト戦車隊に間接砲撃を浴びせた。弾幕マーカー下にすることで機会射撃ゾーンを1ヘクスに減じ、第7SOMLI大隊歩兵による強襲でIV号H型中隊を制圧する。ここで第7近衛竜騎兵のM3ハニー戦車中隊が突破開始。制圧されたIV号戦車の隣ヘクスをすり抜け、ティーガーI型の機会射撃も避け、堤防の切れ目からエルスト北方のスノーデンホーク橋まで突っ走り、一気に自由ポーランド空挺旅団戦区まで達した。このルートを、ドイツ軍の射撃ゾーンに収めずに済めばイギリス軍勝利だが、クナウスト戦車隊があっさりと後退して連結ルートを封鎖。指揮ポイントもチットも尽きたイギリス軍に、それ以上のことはできず、 ここでイギリス軍の敗北が決定、シナリオ・エンドとなった。

と云う感じで、久々に「The Devil's Cauldron」を堪能した。チット引きによる振れ幅は、時として戦局に重大な影響を及ぼし、非常にドラマチックに作用するので、今回もかなり楽しめた。限られた指揮・派遣ポイントの使いどころも悩ましく、阻止砲撃の活用タイミングなど、戦術的段取りも考えさせられる。ゲームとしては、もっとイギリス軍を積極的に使いたかったが、なにせチット引きなので、必勝法とか研究できないのが良い。ただ作戦研究の余地はあり。イギリス軍の進撃ルートがこれで良かったかどうか……いずれ再挑戦してみよう。