Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

GMT 「Ardennes'44」

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GMT「Ardennes'44」を購入。「Ukraine'43」を作ったマーク・シモニッチの新作WWIIバルジ戦ゲームということで期待も高く、和訳が公開されるより早く、自分でルールを読み込んでプレイしてみた。実際、本作は、自分の中では「連隊級ベストバルジ戦ゲーム」の地位に就くことになった。(大隊級ベストバルジ戦ゲームは、BCS:Last BlitzkriegやGOSS:Wacht am Rhein)。

本作のゲームスケールは、1ターン=12時間、1ヘクス=1.6マイル=約2.6km、1ユニットは旅団・連隊~大隊を表している。マップは1.5枚だが、2012年に発売された再販バージョンではマップ2枚に変更されている(あいにく2012年版は買わなかった)。

ターン・シークエンスは補給、移動、回復、戦闘を繰り返すもので、さほど難しくは無い。戦闘も、戦闘比を立てて1d6で解決するシンプルなものだが、Firefightなる別表に移行する戦闘結果もある。シモニッチの「The Legend Begins!」「Ukraine'43」は面白いものの非常に重たいゲームでもあったが、それに比べればあっさりした感はある。

そんな本作のどこが、自分の中で「連隊級ベストバルジ」に輝いたかと問われれば、実はあまり明確な答えは無い。おおまかに言うなら、全体のバランスが自分にとってちょうど良かったのだろう。戦車毎にクオリティを付けて戦術面の雰囲気を出す一方、砲兵支援は単純に戦闘比シフトだけで表現する等、メリハリの効かせ方が好みだったのだ。また渋滞マーカーを置き、それをランダムに取り去ることで、不確実な渋滞を表現するなど、煩雑にならない程度に様々な味わいを加味しているのも巧いと思う。

自分の場合、小学生の時に初めて読んだ戦記がジョン・トーランドの「バルジ大作戦」だったこともあり、バルジ戦ゲームには思い入れがある。そんなバルジ戦ゲームの中でも「連隊級ベスト」に就いた本作は、いまだにスタンダードな名作だと思っている。ただバルジ戦は、より詳細に、戦術面を掘り下げた、大隊級の方が好きなのだ。