Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

CMJ 3W 「Wave of Terror」

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コマンドマガジン別冊「Wave of Terror」を購入。本作はマップ2枚でWWIIバルジ戦を再現したゲームである。ゲームスケールは1ターン=1日、1ヘクス=1.5マイル=2.4km、1ユニット=大隊。スケール的には細かめの作戦級ゲームだと連想しがちだが、ルールは10pほどで、実際プレイした際にも非常に遊びやすいゲームだなと感じた。

ターン・シークエンスも、基本的には移動・戦闘(カプレットと呼ばれる)を繰り返すだけだ。ただカプレットを、移動・戦闘の順で行うか、戦闘・移動の順で行うかをプレイヤーが選択できる。先に戦闘を行う場合は戦闘比を1有利にでき、両軍2回ずつカプレットを行うと、1ターンが終了する。

扱うユニットは多めだが、ルールが簡単なため、自分も5~6回ソロプレイした。しかし初めのうちは、なかなかドイツ軍が西側の地図盤へ突破できなかった。だったら東側の地図盤だけでいいではないかと、しばらくはマップ一枚で遊んでいた記憶もある。そのうちようやくドイツ軍が西側へ突破できた時は少し感動したものだ。

ただ自分は「史実通り突破できないからダメなゲームだ」とも思わなかった。史実の突破が、連合軍の恐慌による偶然の産物だと考えるなら、ゲーム上で冷静に処理した結果そうならないのも無理はない。そこで史実に合わせるべく、様々な特別ルールを当てるバルジ戦ゲームが多いが、本作は意外なほどそのようなルールが少ない。ある意味、史実に寄せることを無視してバルジ戦ゲームを作るとどうなるか……と云う実験的意味合いすら感じたものだ。

史実に寄せるゲームも、寄せないゲームも両方あっていい。どちらを選ぶか、どちらに惹かれるかも個人の好みによる。自分も、好みから言えばもっとディティールを盛り込んだゲームが好きだが、多人数で気軽にバルジ戦をプレイしたいと思ったら、本作を選ぶだろう。あいにく2011年に出た「ザ・ベスト版」には触れていないが、どのようにルールが改訂されたのか、気になってはいるのだ。