サンセットゲームズから再版された「Drive on Stalingrad」を購入した。本作は1977年にSPIから発売され、1983年にTSRからも再版されているが、あいにく自分はどちらも触れていない。自分は1980年代、案外作戦級ゲームの有名タイトルを素通りしてきたので、1999年の復帰以降はいろいろ遊んでみようと。
本作は、1942年6月に始まるドイツ軍の青作戦からスターリングラードの攻防、ソ連軍の反攻・天王星作戦に至る期間を扱っている。ゲームスケールは1ターン=1週間、1ヘクス=16km、1ユニット=師団~連隊。基本システムは「Panzergruppe Guderian」を流用しているが、ソ連軍ユニットもすべて戦力未確認ではなく、少しは戦力の目算が立つようになっている。フルマップ2枚を用いるセミ・ビッグゲームだが、基本ルールはさほど難しくない。自分も何度かプレイしたが「遊べるビッグゲーム」的な感触を得ている。ただサンセット版はエラッタが多く、それを参照するのが酷く面倒に感じたが。
また本作の特徴として「ヒトラー命令の介入」が挙げられる。ドイツ軍プレイヤーには、都市の死守や、装甲師団の投入方向について制限され、それを違反した場合、ユニットを除去されたり、ソ連軍に勝利ポイントを献上するはめになる。
こういったプレイヤーの自由裁量を奪うルールは多々あるが、これがどうにも気にくわない、自分の好きなようにプレイさせてくれと云う意見を聞く。たしかに「やらされている」感が強すぎると、自ら思案してプレイする必要はない……と感じる気持ちもよく判るし、自分も他の束縛のきついゲームでそう思ったことはある。ただ自分はなぜか本作では、あまり「やらされている」感を覚えなかった。これはもうケースバイケースなので一概には言えないが、当時の理不尽な状況を味わえるのもウォーゲームの魅力のひとつだし、当時の状況を省略して自由気ままに指揮でき過ぎるゲームと云うのも、それはそれで興ざめする。この辺り、本当に好みが如実に出るかもしれない。
恐らく自分は、それなりに制限を楽しめるウォーゲーマーだったのだ。これはもう持って生まれた資質であり、それが無い人が「ヒトラー命令」に拒否反応を示すのも無理はないことである。制限のあるゲームにも、それを受け入れられるか否かにも善悪はないのだ。
スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
- 作者: アントニー・ビーヴァー,堀たほ子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2005/07/15
- メディア: 文庫
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