Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

GMT「A World at War , 3rd printing」

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先日のGMTのセールで、第二次世界大戦を包括した戦略級ゲーム「A World at War」第3版を購入してしまった。いや、ほんと「してしまった」感が強い。ルールは多いわ、帳簿付けは多いわ、これ以上面倒なタイトルを抱えてどうするとも思ったが、実は最初に出た時から欲しかったシロモノ。初版が出た2003年当時は、お小遣いに余裕が無く購入を断念し、第2版が出た2013年当時は、すでにウォーゲームの断捨離フェイズに入っていたのでこれまた見送り。しかし2018年に第3版が出たところで、自分としても、第二次大戦の戦略級ゲームをひとつ手元に置くならこれだなということで購入決定。GMTからは、もっと手頃なWWII戦略級である「Triumph and Tragedy」や「Unconditional Surrender !」が出ているのに、わざわざ「A World at War」に手を出してしまうあたりに自分の業の深さを感じる……

それはともかく、この「A World at War」は、かつてアバロンヒルから発売されていたWWII欧州戦略級「Advanced Third Reich」とWWIIアジア太平洋戦略級「Empire of the Rising Sun」を合体させたモノ。自分も以前、アバロンヒルの「第三帝国 Rise and Decline of the Third Reich」は所有していたが、結局プレイに至らず、手放してしまった。その断念もあって「A World at War」にも手を出さなかったのだが、やはり学生時代からの憧れのゲームでもあるし、もう一度再挑戦してみようかと思い購入した。今年は、かつて断念したGDWエウロパシリーズに、あらためてTSWWとして再挑戦しているし、そういう時期なのかもしれない。

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こちらがヨーロッパ地図盤=「Advanced Third Reich」部分。1ヘクス=60マイル(約96km)。 

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フランスのマジノ線、ドイツの西方防壁(ウェストウォール)に描かれた要塞マークを見ると、ああ「第三帝国」直系の子孫なんだなあと思う。 

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こちらがアジア太平洋地図盤=「Empire of the Rising Sun」部分。1ヘクス=100マイル(約160km)。

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ルールブックは、200ページオーバー。そしてブックとは言っても製本されておらず、「Advanced Squad Leader」のようにバインダーに入れる式になっている。まあ、この中に、第二次大戦の陸戦、海戦、空戦、兵站、経済、研究、諜報、外交、政治、各国事情がすべて網羅されているのだから、多くなって当然か。一応、ルールの序文には『プレイ時間の90%で使われるのは、このルールのうち10%だけですよ』と書いてあるが、それでも20ページ以上じゃないか。いや、たしかに滅多に使わないルールが多数あるだろうし、そこが「第三帝国」系の面白さかもしれない。

かつてシミュレイター誌に掲載された「第三帝国」の記事でも『プレイし始めて3年経つけれど、未だに読み忘れルールが発見される』『読んでないルールが発見されると、展開がガラッと変わる』『重箱の隅をつつき回して見たこともないルールをほじくり出してくる奴がいる』とあったが、当時高校生だった自分も、それが妙に面白そうに感じたのだから始末に負えない。

ちなみに「A World at War」は、専用サイトも開設され、そちらには最新版ルール(2019年以降)もアップされている。もし読むとしたら、最新版と向き合う必要もある。

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そしてルールブックとは別に、100ページ以上の記録表ブックも付いている。この記録表は「A World at War」の基本概念とも言える、BRP(Basic Resource Points:基本資源ポイント)の、各国別の、各年度別の記録シートが大半を占めている。また開戦前の主要国間の緊張関係や、軍事研究や建艦の進捗、中小国との外交関係、潜水艦戦についての記録表もあり。よく『帳簿付け的なゲームはしたくない』と仰るウォーゲーマーの方もおられるが、そういった方々にとっては、まさに悪夢のようなゲームだろう。正直、自分も実際プレイできるんだか自信は無いが、せっかくなら、本格的に取り組んでみたいとは思う。 

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こちらは海軍のTF(タスクフォース)管理ディスプレイ。 

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黒地に白字はドイツ軍ユニット。始祖である「第三帝国」のデザインを踏襲している。戦艦ジークフリード(BB4)なる仮想艦がちらっと見えるが、他にも戦艦モルトケ(BB4)、戦艦グロスドイッチュラント(BB5)、戦艦フリードリッヒ・デア・グロッセ(BB5)なる仮想艦もあり。このレベルの戦略級ゲームで、なにも個々の艦船に名前を付けなくてもいいじゃないかという向きもあるだろうが、デザイナーズノートには『有名艦支持者の圧力団体』からの要望があったとある。まあ自分も、艦船ユニットに艦名は付いていて欲しい派だなあ。 

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こちらはイギリス軍。移動力が2種類あるのは、欧州地図盤用と、アジア太平洋地図盤用。 

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ソ連軍も、欧州とアジア太平洋の双方に登場するため、移動力は2つとなっている。 

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黒地に金字は日本軍。こちらも仮想艦として戦艦肥前(BB5)、紀伊(BB5)、尾張(BB5)、薩摩(BB5)があるが、果たしてその建艦にBRPを注ぎ込むほどの価値があるのかどうか。そして空母蛟龍(CVB4・こういう当て字で良いかどうか知らんが)はともかく、空母八咫烏(CVB4)?空母Yurei(CVB4)?幽霊? 

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こちらがアメリカ軍。「A World at War」は、カウンターシート全10枚、カウンター総数2800個だが、アメリカ軍だけで、まるまるシート2枚分を占めている。 

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総じて、第二次大戦の戦略級ゲームというだけではなく、今までに発売されたウォーゲームの中でも、ルールが多いゲームトップ3には入るであろう超大作。さらに言えば、帳簿付け含めてプレイの手間もかなりかかりそうだが、せっかく入手したので、少しずつ触れていきたい。幸い、2003年版のルール和訳は手元にあるので、まずは最新版ルールとの差分チェックからか。まあ、実際にプレイするのはだいぶ先だろうし、しばらく積みゲー状態になるだろうが、我が家のWWII戦略級ゲーム枠は本作で決定と。