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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW : Singapore !」

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2015年に発売された、TSWW(The Second World War)シリーズ「Singapore !」を購入。こちらは、1941年~1945年の南アジア戦線を包括したセットである。こちらもLieutenant版(地図とカウンターのみ、ルールと図表はデータ)を購入した。しかしやけに重いと思ったら、ほぼハーフサイズの地図が22枚+追加ミニマップ1枚が入っていて、カウンターシートも10枚(カウンター総数2800個)と、かなりのボリュームになっている。

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とりあえず我が家の六畳間に地図を広げてみたが、フルマップで言えば11枚以上なのだから、全部広げきれるワケもなく。手前のボックスが小さく見えるのは錯覚……

とりあえずメーカー側から、また VASSALモジュールも送っていただいたので、地図の広さについては、VASSAL画面で確認していただきたい。

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……まあ、こういう範囲である。西はインドから、タイ、イギリス領ビルマ(現ミャンマー)、フランス領インドシナ(現ベトナムカンボジア)、オランダ領東インド(現インドネシア)、イギリス領マレー、ボルネオと、いわゆる南方資源地帯が、TSWW(エウロパ)スケール=1ヘクス15マイル(24km)で描かれている。

扱う期間が長いだけに、シナリオも豊富。まず練習シナリオとして「日本軍のラングーン侵攻」「日本軍のカルカッタ空襲」「マレー沖海戦」「仮想・バッカニア作戦」「バリ島上陸戦」があり、本格シナリオとしては「マレー電撃戦」「ティモール侵攻戦」「タイvsヴィシーフランス戦争」「第一次・第二次アキャブ作戦」「ジャワ島侵攻作戦」「ジッパー作戦(マレー奪回戦)」「インド侵攻作戦」「キャピタル作戦(ビルマ奪回戦)」「インパールとコヒマ戦」「トレードウィンド作戦(モロタイ島奪回戦)」「仮想・ティモール奪回戦」「仮想・タイ=インドシナ奪回戦」「コックピット作戦(サバン島攻撃)とトランサム作戦(スラバヤ攻撃)」「オーボエ作戦(オランダ領東インド奪回戦)」がある。

正直、浅学な自分としては『その作戦なに?』『その島どこ?』と言いたくなるシナリオも多々あり、いかに自分が、この南方地域での戦闘に関する知識が薄いか痛感させられた。特に、日本軍が攻め込んだマレー作戦やインパール戦はある程度知っているものの、その奪われた領土を、連合軍が取り返した経緯については、あまり知らないあたり、我ながら知識が偏っているなあと大反省である。

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地図を拡大してみると、こんな感じ。こちらはインパール周辺。TSWWも、OCS(Operational Combat Series)に負けじと、詳細な補給システムを搭載しているので、それを用いてインパール戦がどのように展開されるのかは、是非確かめておきたい。 

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こちらが日本海軍の艦船と航空機カウンター。先に購入した北太平洋戦線を扱う「Day of Infamy(以下DOI)」同様、こちらもかなりの数が揃えられている。後発の「DOI」(2017年発売)と比べてみると、同じ艦船でも数値が異なるモノがあるが、それは「DOI」の評価を優先した方が良いのだろうか。ちなみに大和級戦艦3番艦「信濃」の姿も見える。

航空機に関しては、本作では1945年まで扱うため、1943年までしか扱わない「DOI」には登場しない機種が多々登場する。頼もしく見えるのは、N1K1J Georgeこと局地戦闘機紫電(空戦攻撃力12・空戦防御力8)か。これならP51K(空戦攻撃力10・空戦防御力9)や、P47D25(空戦攻撃力11・空戦防御力10)にも太刀打ちできるが、なにせ数が少ない。そして紫電が登場するであろう1945年ともなれば、日本海軍の戦闘補正(NEM)はマイナス2、アメリカ海軍はプラス3と、大きく練度差が開いているので、もはやどうしようもない気が……

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こちらは、日本陸軍カウンター。師団の多くが山岳部隊アイコンを持っているため、戦闘効率補正はプラスされ、峻険な地形も踏破できることになっている。問題は、それを支える補給面がどのように表現されているかだが、それもやはりインパール戦で試すしか。

陸軍機も、Ki-84-II Frankこと四式戦・疾風(空戦攻撃力11・空戦防御力8)が頼りになりそうだし、陸軍機の戦闘補正(CEV)は、終戦時でもプラス1なので、海軍機よりは粘れるかもしれない。いや……

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こちらは、オランダ海軍。スラバヤ沖海戦だけを扱ったシナリオは無いが、ジャワ島攻略シナリオの中で発生するのだと思う。

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こちらは、イギリス海軍。マレー沖で喪失された戦艦プリンス・オブ・ウェールズ巡洋戦艦レパルスはもちろん、未完成に終わったライオン級戦艦(主砲は40.6cm3連装✕3)が4隻とも収録されている。防御力は大和級と同格(最も堅い)だが、砲撃力では劣るという設定。

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こちらは、イギリス連邦軍の地上部隊。グルカ兵部隊の兵科アイコンに、グルカナイフ(ククリ)が描かれているのが、ご愛敬。イギリス空軍機にも、スピットファイアVIII(空戦攻撃力13・空戦防御力10)などというゴッツ頼もしい機種が登場。

またアメリカ軍には、ビルマ戦線で跳梁跋扈した戦闘工兵隊があり、唯一の指揮官カウンターとして、アメリカ式中国軍を指揮した、ジョゼフ・スティルウェル将軍が登場。戦闘効率補正(CEV)は、プラス0.1しか上昇させないが、作業成功表ではダイス+3というあたり、地味ながらも確実に仕事はこなしてくれそうだ。そしてアメリカ軍には、B29A爆撃機も登場しているが、1ユニット(40機)で戦略爆撃力39は、この時代最強か。空戦防御力も11あるため、これでは紫電が迎撃しても、追い返せないかも……

他にも、インドシナ駐留ヴィシーフランス軍や、タイ軍ユニット等もあるが、毎度毎度言うように、それを見て『おお、日本が建造したタイ海軍の潜水艦ウィルンも入っているぞ!』などと喜べるほど、自分は兵器マニアではない。そもそも南方戦線の全体的な流れすら把握しているか怪しいレベルなので、本作に触れたついでに、この方面の資料も読み込んでいこうかと思う。

とりあえずの第1目標としては、やはりインパール作戦シナリオか。先に購入した「DOI」もまだ練習シナリオの段階だが、TSWWとしてまとめて取り組もうかと。 

太平洋戦争 3―決定版 「南方資源」と蘭印作戦 (歴史群像シリーズ)

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