Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW : Day of Infamy」Climb Mt.Niitaka Solo-Play AAR Part.3

f:id:crystal0207:20190602144544p:plain

「Day of Infamy」「ニイタカヤマノボレ」シナリオのソロプレイその3。1941年12月前半ターンの第2海上移動セグメントを終わって、ここから第3海上移動セグメント。真珠湾奇襲に成功した日本軍機動部隊だが、すでにこの時点で残燃料は75%である。真っ直ぐ日本に帰るにしろ、アメリカ軍空母部隊と戦うにしろ、この第3海上移動セグメントが終われば残燃料50%となり、次の第4海上移動セグメントの終わり(残燃料25%)には、油槽船団と合流して洋上補填を受けたいところだ。

しかしハワイ近海まで油槽船団を接近させれば、敵空母部隊から襲われる危険もあり、油槽船団を撃沈されれば、機動部隊本隊の生存も危うくなる。となると機動部隊も、いつまでもハワイ沖にいるよりは、さっさと日本へ向けて帰り、油槽船団と合流した方が良いのだろう。

とは言え、このままアメリカ軍空母を放置して帰るのも、いかがなものか。では、淵田美津雄攻撃総隊長が進言したとされる『どうせ帰るなら、中央航路を真っ直ぐ帰り、アメリカ軍空母と出会ったら、これを撃滅する』案を採択して、ミッドウェー方面に向かってみよう。

f:id:crystal0207:20190603092217p:plain

第3海上移動セグメント。日本軍機動部隊は、ハワイ沖を離れ、ミッドウェー島方面に進み、アメリカ軍TF12(空母レキシントン)を索敵範囲に収めた。TSWWの空母索敵システムは、わざわざ索敵機をどこかに飛ばすのではなく、索敵任務に1スコードロンを充てたら(その索敵機カウンターは艦隊上に置いたまま)、索敵範囲内(1海上ゾーン以内)にいる敵部隊を発見したかどうか、判定する。基本的には、1d10を振って8以上が出れば「発見」だが、日本軍は海軍効率補正(NEM)による+2修正(1941年のみ)、空母機による+2修正(1942年5月まで)が得られるため、4以上なら「発見」できる。結果、ダイスは7で、日本軍機動部隊は、TF12を発見した。

また日本軍は、ハワイに帰投するであろうTF12の退路を阻むため、潜水艦も周囲に展開。TSWWの潜水艦は、2ステップなら半径1海上ゾーン、1ステップなら自身がいる海上ゾーンを範囲とする哨戒ゾーンを有し、これを通過する敵艦船を探知すれば、攻撃が行える。

早速、日本軍機動部隊は、TF12を撃滅すべく、戦闘空中哨戒(CAP)に零戦✕5を残し、攻撃隊(零戦✕4、九九式艦爆✕7、九七式艦攻✕9、総計276機相当)を発艦させた。しかし艦隊が索敵に成功しても、攻撃隊が敵艦隊を発見できるとは限らない。1d10を振って6以上なら敵艦隊を発見できるが、今回はダイスで8が出て、発見に成功した。このようにTSWWシステムでは、二段階の敵発見チェックが課せられる。

f:id:crystal0207:20190603094922p:plain

まず護衛の零戦✕4スコードロン(13.8✕5=55.2機相当)が、空母「レキシントン」から迎撃に上がったF2A3バッファロー戦闘機(20機)と空戦に入った。零戦隊は、技量と物量に任せてF2A3隊を撃墜したが、負けじとバッファロー隊も、零戦1スコードロンを撃墜している。

f:id:crystal0207:20190603101948p:plain

続いて攻撃隊の配分。まず第一目標の空母「レキシントン」(ヒットポイント6)には、艦攻✕3、艦爆✕4、総計96.6機を充て、次に3隻の重巡洋艦(ヒットポイント3)に艦攻✕2、艦爆✕1ずつを充てた。このあたり、実はルールには明確に書いていないが、FAQを読むと『航空攻撃を解決する前に、目標を宣言しなければならない』とあるので、結果次第で目標を変更するのは不可とした。

f:id:crystal0207:20190603102637p:plain

これに対してTF12は、対空力(艦船カウンター左下の左の数値)合計13で対空射撃を開始。まだ1941年当時は、アメリカ軍に有利な対空修正も少なく(しかし戦争後期になるにつれ、凶悪なまでに進化する)、空母「レキシントン」を狙った艦攻1、艦爆2、重巡「シカゴ」を狙った艦攻2、艦爆1を妨害し、その爆撃力を75%低下させたにとどまった。

ちなみにアメリカ軍は、艦隊の全対空力を使用しているが、これは早くから輪形陣を採用したためである。一方の日本軍は、開戦当初は輪形陣を採用していないため、1943年6月ターンまでは、どれだけ艦隊に艦船があっても、対空射撃に使えるのは、主力艦+1巡洋艦+1駆逐艦までという制限がある。

f:id:crystal0207:20190603104626p:plain

そして攻撃した結果、空母「レキシントン」に対しては、魚雷攻撃8回のうち3回命中して3ヒット、艦爆隊の急降下爆撃(爆撃力✕50%)9回のうち2回命中して2ヒット、合計5ヒットとなり、ヒットポイント6の「レキシントン」を沈めるにはあと1ヒット足らず、ぎりぎり大破で踏みとどまった。攻撃隊は17回、1d10を振って、6以上が出れば命中なのに、5回しか当たらないとは不甲斐なし。

一方、重巡洋艦3隻は呆気なく撃沈され、特に「ポートランド」と「アストリア」は、雷撃隊だけの攻撃で沈んでしまい、艦爆隊の出る幕無し。こんなことなら、余った艦爆隊も「レキシントン」攻撃に割り当てれば良かったと思っても後の祭りである。

また、北方の油槽船団は、機動部隊との合流地点に向かい、囮部隊の駆逐艦2隻は、ミッドウェー島へクスに入って艦砲射撃に備えたところで、日本軍の第3海上移動セグメントは終了。この後は、返す刀でアメリカ軍の第3海上移動セグメントとなる。

f:id:crystal0207:20190603111249p:plain

しかし大破した空母「レキシントン」を擁するTF12は、もはやハワイに帰港するしかない。艦船は、被ったヒット数だけ移動力が低下するため、移動力8の「レキシントン」は移動力3に低下し、TF12も高速空母戦闘グループとして1海上移動セグメントに21海上ゾーンを移動できたのが、現状では通常速度の空母戦闘グループとなり、14海上ゾーンしか移動できない。そして日本軍潜水艦の哨戒ゾーンを避けて移動すると、第3海上移動セグメント内では、真珠湾に帰り着けないが、これも仕方ない。

ちなみに艦船の修理には、与えられたヒット+2d10ターンかかる。たとえば空母「レキシントン」が、第4海上移動セグメントに真珠湾に帰港し、次の1941年12月後半ターンから修理に取りかかっても、2d10で10と6が出れば、5+10+6=21ターン後、1942年10月に完全復旧するわけだ(燃料ポイントを消費して90%までいきなり修理を済ませる、応急修理ルールもあり)。

残るTF8(空母エンタープライズ)は、一応、日本の機動部隊へ接近し、航空攻撃をかけられる位置にあるが、たとえ索敵に成功し、攻撃隊を送り込めても、機動部隊上空にはCAPの零戦✕5が待ち構えており、それを突破できる見込みはほとんど無い。まだ1941年の時点では、技量的にアメリカ軍にとって非常に不利なため、ここで消耗するより、明けて1942年以降を待った方が吉と。だったら日本軍の油槽船団を襲えば……とも思うが、そちらはさらに遠く、TF8が第3海上移動セグメントで到達して索敵できる、ぎりぎり範囲外に位置している(それも日本軍は計算しないといけない)。

燃料的に考えても、史実での空母「エンタープライズ」は12月初頭にハワイを出航し、いったん帰港する途中なのだから、12月前半ターン、第1・第2海上移動セグメントで洋上を移動し、すでに残燃料は50%という設定のはず。その補給状態で、またミッドウェー方面まで出撃するというのも厳しい……ということで、このソロプレイも、ここで終了するのが宜しいかと。

f:id:crystal0207:20190603114858j:image

というワケで一応、TSWWの本格的っぽい空海戦シナリオに触れてみたが、今回のソロプレイですら、1ターンの中の海上移動セグメント2回分を進めただけに過ぎない。かなり濃密かつ詳細なシステムではあるけれど、より詳細なレベルのWWII空母戦ゲームに比べればシンプルだし(特に索敵)、個人的にはこれで十分だなと。戦略的には、海軍部隊の補給的な縛りで悩めるし、戦術的には、対艦攻撃プロセスに見られるようなダイスの振り合いも楽しめるし、なかなか上手い具合に出来ていると思う。

今回のソロプレイにしても、もし日本軍機動部隊が、空母「レキシントン」の発見にしくじり、逆に「レキシントン」「エンタープライズ」からの波状攻撃を食らったらどうなるのか、そしてもし日本軍の空母が損傷を受けたら、日本への帰路でどのような支障が生じるのか、を考えるのも楽しい。なんだかんだ言って、実は史実通り、真珠湾を一発奇襲したら、損傷を受けずにさっさと避退して、第二段作戦に備えるのがベストなんじゃないかとも思ったり。

そういった「戦争の模擬実験装置」という意味でも、今回のように、ほぼほぼ史実に近い戦果が出たうえ、現実的に可能な範囲での仮想状況も試せるのは、機能としてかなり良いなあと。このシミュレーション・マシンに『日本軍が上陸・占領したハワイ諸島に、アメリカ軍が逆上陸・奪還作戦をしかける』(シナリオQ:Never Fear, The Marines are Here!)を入れたら、どんな結果が出てくるんだろうと思ったり。 

またソロプレイはVASSALで進めたものの、傍には地図盤を広げて両軍の行動範囲をヘクスで数えたり、資料を眺めて『そもそも奇襲された時点で、空母エンタープライズは、どれだけ燃料を消費していたのだろう』とか調べたりと、まさに「ひとり図上演習」状態だった。いや、基本ウォーゲームはどれも「図上演習感」があるのだが、このTSWWは、自分が今までプレイした中でも、かなり「図上演習感」のあるシステムだった(次点はOCS)。まあ、さすがに重たいシステムなので、次から次へとプレイするのは厳しいが、少しずつ消化できればと思っている。 

また今回、プレイ中にさまざまな疑問が生じ、FAQも参照しつつ進めることになった。本来はルールに書いていないと困る事も多々あるので、「TSWW:Barbarossa」が発売されたら、新ルールを確認しなければ。いずれしろTSWW探求の旅は、まだ続く……