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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」Futility'39 Solo-Play AAR

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「TSWW : Hakkaa Päälle」の陸戦練習シナリオ「Futility'39(無益)」をVASSALでソロプレイしてみた。ソロプレイと言っても、ソ連軍2スタックが、フィンランド軍1スタックを攻撃するだけで、ぱっと見は、ソ連軍51戦力vsフィンランド軍8.5戦力=戦力比6:1だが、TSWWシステムの陸上戦闘で、どのように戦闘結果を出すかを知るシナリオになっている。一応シナリオには、その計算式がすべて書かれているので、ある意味、プレイ例と言ってもいい(しかしシナリオの計算式には間違いが……)。

まず防御側フィンランド軍スタックは、5-6歩兵師団、(1)-6スキー歩兵大隊、2-6砲兵大隊、1-6軽対空砲大隊という内容である。戦闘力(1)ユニットは、0.5戦闘力として数えるので、このスタック全体の防御力は、5+0.5+2+1=8.5となる。

しかしこの時期(1939年12月)のフィンランド軍の戦闘効率補正(CEV)は、✕1.4であり、このスタックと補給連鎖でつながっているという設定の指揮官Mannerheimは、防御時に戦闘効率補正を+0.5上げてくれるので、1.4+0.5=最終戦闘効率補正は✕1.9となり、このスタックの最終防御力は、8.5✕1.9=16.15(端数も残す)となる。 

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これに対してソ連軍左側のスタックは、5-18戦車旅団、11-6歩兵師団から成っている。この戦闘力が、まず地形によって修整されるため、森(✕1.0)、河川(✕1.0)、陣地化ヘクスサイド(歩兵は✕0.75、戦車は✕0.5)によって、5✕0.5=2.5攻撃力と、11✕0.75=8.25攻撃力となり、合計10.75攻撃力となる。 

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またソ連軍右側のスタックは、11-10-18戦車旅団、7-6-14砲兵連隊が2、10-11-6歩兵師団となっている。これも地形効果は同様で、戦車旅団が11✕0.5=5.5攻撃力、砲兵2個で14✕0.75=10.5攻撃力、歩兵師団が10✕0.75=7.5攻撃力、すべて合計して23.5攻撃力となる。そして先のスタックの10.75攻撃力と合わせて、合計34.25攻撃力となる。

さらにこの時期のソ連軍の戦闘効率補正(CEV)は、✕1.0なのでそのままだが、今回の場合は、一般補給下での攻撃(つまり攻勢補給が消費されていない)という設定なので、戦闘効率補正(CEV)が✕0.75となり、34.25✕0.75=最終攻撃力25.69となる。

さらにダイス修整として、森で-1、河川で-1、陣地化ヘクスサイド-2、ソ連軍の制空権掌握で+1、気温が凍結で-2、合計-5修整となる。本来なら戦車部隊は、戦車ショック効果(ASE)というダイス修整が得られるのだが、この冬戦争シナリオでは、それが許可されていない。

そしてソ連軍の最終攻撃力25.69:フィンランド軍の最終防御力16.15から、1.59:1となり、ソ連軍が%ダイスを振って、59以上なら戦闘比1:1、59未満なら戦闘比2:1でダイスを振る。今回は、41が出たので戦闘比2:1として、戦闘結果表で1d10を振ると、7が出たが、ダイス修整-5で結果は2「HR(Half Retreat 1/2後退)」となり、攻撃側ソ連軍は、スタックポイントの1/2を失って後退することとなった。

ソ連軍は全体として、歩兵師団(4スタックポイント)✕2、戦車旅団(2スタックポイント)✕2、砲兵連隊(1スタックポイント)✕2という規模なので、歩兵師団2個を減少戦力面に裏返し、戦車旅団と砲兵連隊を1個ずつ除去して、総スタックポイントの1/2を失うこととした。ここで歩兵4スタック、戦車2スタック、砲兵1スタック分が失われたが、この1/3が戦闘補充として、ソ連軍の補充プールに蓄積される。つまり歩兵1と1/3補充ポイント、戦車2/3補充ポイント、砲兵1/3補充ポイント(いずれも端数は残す)が、ソ連軍補充プールに入ったわけだ。しかし、もしも戦車や戦闘工兵などが、ダイス修整が得られるほどの効果を発揮したうえで損失を被ったなら、そのダイス修整を生じさせた兵科のユニットから優先して損失を割り当てなければならない……というのが、TSWWの陸戦解決である。

このルールを先日、Karter氏に説明したところ『それはもうゲームじゃない』と言われたが、たしかにその通りだと思う。実際には、この基本的な陸戦を支援するために、対地攻撃機を飛ばし、それを迎撃する敵戦闘機との空戦を解決し、対空射撃を解決し、さらに攻撃側スタック内の戦車スタック数を数え、防御側スタック内の対戦車スタック数を数えるなどの作業があるため、さらに面倒臭くなるだろう。

とは言え、これほどまでに遊びやすさを置いてけぼりにして、シミュレーション(模擬実験)に振り切ったシステムがあるのも悪いことではないし、実験ツールとしては非常に面白い。もちろん時間的・エネルギー的に余裕のある人でないと扱えないシステムなので、万人には勧めないし、ヒマ人の自分としても、どこまでつき合えるのか分からないが、とりあえず本格シナリオのソロプレイまで漕ぎ着けようと思う。次は空海戦を味見しなければ……