Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Advanced Squad Leader】「Operation Watchtower」

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2001年に発売された、ASLヒストリカルスタディ第1弾「Operation Watchtower」を海外オークションにて購入。本作は、1942年8月~1943年1月までのガダルカナル島での戦闘、特にいわゆる「ムカデ高地」(アメリカ側ではEdson's RidgeまたはBloody Ridge)と呼ばれる、ヘンダーソン飛行場南の高地での戦闘中心に収録している。これも当時は買うのをスルーして、ほぼ同じテーマのTCS(Tactical Combat Series)「Bloody Ridge」を買ってしまったが、もはやTCSも手放している。あの頃はまだ、TCSに夢と希望を抱いていたんだよなあ……

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マップには、そのムカデ高地=Edson's Ridgeが描かれている。史実では「夜襲の仙台(第二)師団」に属する川口支隊を中心とする日本軍が、夜陰に乗じてこの高地に白刃突撃をかけ、第一線陣地は抜くも、第二線陣地に食い込んだところで敗退。高地を守備していたアメリ海兵隊エドソン中佐が叫んだとされる『お前たちに無くて、敵にあるのはガッツだけだ』『お前たちは、永遠に生きたくないのか』が有名。 

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しかしこのマップ、実は厄介な問題がある。と言うのも、地上レベルとレベル1丘の見分けがつきにくいのだ。サード・パーティ製ならいざ知らず、本家MMPの出版物としては、いささか難があると言えよう。また、単独マップとしては大き過ぎるというサイズ的な問題もある。

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MMPは、その後、訂正マップを印刷し、ユーザーに配布している。こちらがその訂正版。つまり今回購入したモノには、訂正マップも含まれていたワケで、その点については、ひと安心。しかし本作には、他にも制作上のミスがあったのだが、それについては後述…… 

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シナリオは、16本収録。ムカデ高地マップを使うシナリオ以外にも、既存のボードを組み合わせて、マタニカウやタシンボコなど、ガダルカナル島内の戦闘をシナリオ化している。

http://www.desperationmorale.com/products/operations-special-issue-3/

しかし、詳しくは⇧に書いてあるが、元々本作は、Front Line Productionsというサード・パーティから発売される予定だった。そして本来は、このムカデ高地の地図と、マタニカウ川の河口付近の地図との2枚セットとして企画されていたそうだ。ところがデザイナーとMMPの連絡が上手くいかず、ムカデ高地だけで発売されてしまったのだ。そしてその経緯がネット上で公開されたため、多くのASLerから失望の声が届き、遅まきながらMMPも、本作発売から9年後の2010年になって「Operation Special issue #3」に「Hell's Corner」なるタイトルで、マタニカウ河口の地図とシナリオを付けている。先のマップ問題もそうだが、総じて見るに本作は、本家MMPが出版したASL作品の中でも、いろいろとダメな部分の多いモジュールだったのだろう。

とは言え、ムカデ高地のマップだけでも価値はあるし、そのあたりの事情も知ったうえでの購入なので、個人的には不満は無い。やっぱりASLでのムカデ高地戦も手元に置いてプレイしたいし。

そしてその「Hell's Corner」=「Operation Special issue #3」も自分は買い逃しているので、いずれそちらも入手したいと思う。これからヤフオクなどの中古市場で、この「Operation Watchtower」を購入される方には、そういった事情もある作品だということも、ご承知おきいただきたい。