Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Battalion Combat Series】BCS Rules v1.2 と 将来のBCS企画

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来年発売予定のBCS(Battalion Combat Series)第3弾「Brazen Chariots」に同梱されるであろうBCSv1.2基本ルールが公開されたので、早速翻訳してみた。実際の製品版とはまた変わるかもしれないが、とりあえずの第一印象ということで。

BCSv1.2 Rules

基本ルールの変更点は、ごくわずか。

・「状況による後退」ユニットが緊要地形にいなかったり、準備防御でなければ、移動面に裏返す。

・指揮範囲外への攻撃は不可(戦闘後前進による指揮範囲外への前進を防ぐため)。

・フォーメーションの補給段列(Combat Train)が適正ヘクスにいない場合、増援の登場が遅れる。

個人的に興味深い(使ってみたい)選択ルールは、このあたり。

・2ヘクス以上での射撃戦(Engargement)で「双方ステップロス」を無視する=2ヘクス以上での射撃戦で相手にステップロスを負わせる確率が下がる=一方的なアウトレンジ射撃の有利さを減らす。

・命令ルールの導入。各ターン、フォーメーション毎に、経由地点⇨目標地点だけの簡単な移動経路を書いておき、それに従って移動する。また回復と準備防御をする場合も、あらかじめターン開始時に計画する(つまりターン途中で、いきなり回復や準備防御はできない)。

・敵HQや補給段列がいるヘクスに自軍ユニットを突入させた場合、実際そのヘクスに敵HQや補給段列がいたかどうかの実在チェックを行う(敵HQや補給段列の位置など、そう簡単には分からないの意)。2/3の確率で『実はそのヘクスにはいませんでした』となる。

またBCSv1.2には、BCSの入門記事が付いているが、

このゲームの仕組みは非常にエレガントですが、あなたのこれまでのゲーム体験は、このシステムを学ぶうえで、助けとなるよりも、むしろ妨げとなる場合があります。BCS と出会ったなら、作戦級ウォーゲームをプレイするうえでの知識を、すべてを捨てなければなりません。ジェダイ・マスターの言葉を引用するなら『お前は、今まで学んだことを捨てなくてはならぬ』のです。

という文章から始まるあたり、このシステムの革新性と突飛さを象徴している。

実際、この入門記事で書かれているBCSプレイのコツとして『大きく考える』=『個々のユニットを見るのではなく、フォーメーションとして考える』のは、たしかに大事だと思う。だからこそ、個々の敵ユニットを除去するのではなく、敵フォーメーション全体を壊滅・混乱させることを考えるべきであり、そのために敵HQや補給段列を狙いに行くことも重要なのだが、そこにばかり囚われて強引にプレイするのを抑えるために、選択ルールとして「命令」「実在チェック」が生まれたのかなと。命令ルールは、TCS(Tactical Combat Series)よりずっと簡単な形ながらも、これなら無理なくプレイできるし、特にソロプレイでは役立ちそうだと感じた。

自分も、先月のMMPセールで、ようやくBCS第1弾「Last Blitzkrieg」を注文したので、到着次第、このBCSv1.2+選択ルールで試したいと思う。

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ちなみにBCS第4弾「Panzer's Last Stand」(45年ハンガリー戦)のテストプレイも始まっている。ただしシリーズの番頭さんであるCarl Fungに、最近、お子さんが生まれたので、その育児に忙殺され、開発が遅れるかもしれないが。 

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こちらは、さらに将来発売予定の44年コブラ作戦。大隊レベルでノルマンディ半島突破戦を扱うゲームって(「GOSS:Atlantic Wall」はそれを含むが)、単体では珍しいかも。 

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さらにCarl Fungは、フォリオサイズのミニBCSも検討しているらしい。こちらは、なんと「BCSノモンハン」の地図盤。まあ、これは地図だけ作って終わるかもしれないが、なかなか興味深いテーマである。

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さらにCarl Fungは「BCSクレタ島」の地図も、チラ見せしている。これも実現するんだかどうだか。Carl Fungとしては、1940年フランス戦も検討しているようだが、フランス軍の反撃を扱おうとすると、1日(BCSでは1ターン)で反撃が終わってしまうため、ちょっと難しいのかもしれない。

とは言え、バルジ、チュニジア北アフリカに続いて、ハンガリーコブラ作戦が出れば、かなり魅力的なシリーズになるような気がする。BCSは、それなりに戦車ディティールも盛り込みつつ、プレイアブルな大隊級シリーズなので(GOSSも好きだが難しすぎる)、これからのラインアップに期待したい。