Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

Command Magazine #137「慶長出羽合戦」AAR

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今日は、久しぶりにKarter氏と自宅ウォーゲーム会。お題は、Karter氏が購入してくれたコマンドマガジン137号「慶長出羽合戦」である。本作は、関ヶ原合戦と時を同じくして、上杉軍(総大将は直江「愛」兼続)が最上義光領へ攻め込むも、関ヶ原での西軍敗報を聞くや、一転、退却戦に移るという一連のキャンペーンを作戦級スケールで再現している。この戦役、隆慶一郎の「一夢庵風流記」最後のクライマックス場面でもあり、久しぶりに「花の慶次」も押入から取り出して読みつつ、自分が最上方を担当、Karter氏が上杉方を担当することとなった。ちなみに「西軍敗報が来ないかもしれない」オプションルールを採用。両プレイヤーとも先が見えないまま、プレイを始めることとなった。 

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序盤、上杉軍(青ユニット)は、サドンデス勝利条件である長谷堂城方面へ総大将・直江兼続率いる主力部隊を向かわせ、さらに上山城、畑谷城へと部隊を進ませた。ちなみに前田慶次を含む黄色字の戦闘力ユニットは、ZOC浸透能力や2ヘクス戦闘後前進が可能であり、さながら戦車隊的な役割である。主力先鋒を突き進む前田慶次は、バルジの戦いで言えば第1SS装甲師団か。「大ふへん者」と書かれた旗指物をなびかせたケーニッヒスティーガーに乗った前田慶次SS中佐が目に浮かぶ……

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対する最上軍(赤ユニット)は、モスクワを防衛する1941年冬のソ連軍の如く、各地から招集したユニットを五月雨式に前線に投入し、ドイツ軍…じゃねえ上杉軍の前進を阻むつもりだった。しかし上杉軍は、早々と畑谷城を落として、最上軍の貧弱なユニットを各個撃破。これにより最上軍は、反撃に備える予備兵力まで失うハメに陥った。

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ゲーム中盤には、ようやく最上軍の援軍として伊達軍3ユニットが到着。さながらレンドリースでモスクワ前面に送り込まれたM3リー戦車か(伊達軍ユニットは緑色だし)。最上軍も、黄色戦闘力ユニットを機動予備として後方に確保し、戦術チットを装備させて反撃に備えるはずであった……

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しかし上杉軍の進撃は止まらず、遂にサドンデス条件のひとつである上山城が陥落。もうひとつのサドンデス条件・長谷堂城にも前田慶次が迫っている。また地図盤北方から進入した上杉軍別働隊(丙丁)も合流し、羽州街道から山形城の裏口へ南下中。これもなんとなく「ロシアン・キャンペーン」で南下してくるフィンランド軍を思わせる動きであった。 

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しかし上山城陥落直後、関ヶ原での西軍の敗報が到着。このタイミングで、最上軍の損害は全回復するが、あと1ターン早ければ、上山城のダメージも全回復し、陥落することもなかったのに……

とにかくここで上杉・最上というターン手順が、最上・上杉に入れ替わり、一時的に最上軍がダブルムーヴを獲得。しかも最上軍の攻撃は有利に1シフトするということで、最上軍のエース・鮭延秀綱が前田慶次に攻めかかってこれを退却させ、直江兼続本陣に突撃。戦術チットの威力もあって、直江兼続に3ダメージを与えたが、返す刀で直江・前田コンビに除去される始末。「花の慶次」ならこの鮭延秀綱の攻撃、『デュフフ……直江兼続の首はいただいたぜ~』と言って調子に乗って攻めかかり、その2ページ後で前田慶次の朱槍で突き殺される、ド腐れキャラみたいな展開だった…… 

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結局、関ヶ原で西軍が敗れたとは言え、すでに最上軍に反撃できる兵力が無く、上杉軍はそのまま攻勢を継続。これが原哲夫マンガなら『たとえ関ヶ原で負けようと、我らの戦はこれからよ!』とか何とか言って突撃するシーンですな。上杉軍は、通常の移動・攻撃という手順ではなく、攻撃・移動という手順に切り替えて、不利な戦闘1シフトを帳消しに。最終的に長谷堂城は落ちず、サドンデス勝利とはならなかったものの、得点差で上杉軍の勝利と相成った。

感想。久々の戦国ゲーム(しかも作戦級)ということで、かなりプレイは盛り上がった。先の見えないオプションルールも面白かったし、導入も必須だと感じた。しかしその場でルールを直読みしての初プレイとは言え、今回の最上軍はまずかったと思う。序盤で簡単にユニットを失いすぎてしまったし、反撃はほとんど出来なかった。もっとユニットを温存しなければならないが、前線の手当を全然しないのも難しいだろうし、その案配は、もう少しプレイしなければ分からないなと。

それにしてもコマンドマガジンの付録ゲームをプレイしたのは、2011年1月10日の「ホワイト・デス」以来7年ぶり……こちらも申し訳ないほど久しぶりだったなと。 

コマンドマガジン Vol.137『慶長出羽合戦』(ゲーム付)

コマンドマガジン Vol.137『慶長出羽合戦』(ゲーム付)