Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Advanced Squad Leader】Primosole Bridge Campaign Game II 「Paying the Devil's Bill」Solo-Play AAR

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2017年は「OCS:Sicily II」「OCS:Tunisia II」「BCS:Baptysm by Fire」「GTS:Operation Mercury」とWWII地中海モノに明け暮れた1年だった。なので今年最後のソロプレイも、ASL(Advanced Squad Leader)の地中海系シナリオで〆ることに。選んだのは「ASL Journal #6」(2005年発売)の付録「Primosole Bridge Campaign Game」。こちらは1943年7月13日、シチリア島のプリモソーレ橋近辺にイギリス第1空挺師団が降下したところから始まるキャンペーンゲーム。史実では、イギリス空挺部隊がいったん撃退され、あらためて海岸から上陸したイギリス軍部隊が橋の奪取を目指す。キャペーンゲーム全体としては7月17日までを扱い、午前・午後・夜間に戦闘シナリオが行われ、その合間合間では、両軍プレイヤーがポイントを払って部隊を購入し、増援部隊をやりくりするというものである。自分もASLキャンペーンゲームはほとんどプレイしたことがなかったが、ちょうど今年4月に和訳も公開されたので、この機会にちょっと試してみることにした。

※「Primasole Bridge」の和訳はこちら。A grove of ASL

「Primosole Bridge Campaign Game」には3つのキャンペーンゲーム(CG)がある。最初はCG1に挑戦しようかと思ったが、夜間の空挺・グライダー降下から始まるため、ちょっと面倒臭いなーと思い却下。結局、上陸したイギリス軍による橋の奪取を扱うCG2「Paying the Devil's Bill」を選んでみた。 

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防御側・枢軸軍は、ドイツ軍降下猟兵工兵中隊(4-6-8分隊×12、火炎放射器と爆薬装備)、80mm野砲支援あり、88mm対空砲は確定。さらにポイントを消費して、増援として降下猟兵機関銃小隊、対戦車砲小隊(40mm対戦車砲✕2)、突撃砲小隊(III号突撃砲✕2輌)、イタリア軍迫撃砲小隊を購入。各部隊には「完全戦力か半減戦力かチェック」や「付随する指揮官チェック」を行い、実際の戦力を決定する。今回はすべて完全戦力で、降下猟兵工兵中隊には、9-1指揮官1、8-1指揮官2が付くことになった。

枢軸軍は、橋の南北を確保しているが、橋の南側に配置できるのは6個分隊まで。砲は、橋の南に置けない。4つのトーチカ(1+5+7)は、配置箇所が決められている。また橋には、すでに破壊された車輌の残骸があり、通りにくくなっている。地図盤の南端には3カ所、連合軍の進入口があるため、とりあえずそれを塞ぐ形で6個分隊を配置しようとしたが、半個分隊ずつ散開させても、さすがに数が足りず、西側の進入口は開けることに。購入した増援部隊の中には、最初から配置可能な部隊もあるため、対戦車砲小隊は、橋の北詰に配置。機関銃小隊とイタリア軍迫撃砲小隊も、川の北岸に配置し、南部での戦闘を支援できるようにしてみた。

対する攻撃側・イギリス軍は、シャーマンIII(a)戦車小隊✕2(うち1個が半減戦力だったため、総数3輌)、事前の砲爆撃に加えて、軽歩兵中隊✕2(4-5-8、4-5-7、4-4-7各分隊4個)、機関銃小隊、迫撃砲小隊を購入した。軽歩兵中隊2個の指揮官は、8-1指揮官3、8-0指揮官3と、やや頼りない。

地図盤への進入口は3カ所あるが、ドイツ軍陣地の正面にあたる中央部は避け、東西2カ所から1個軽歩兵中隊ずつ進入させ、両翼包囲を狙うことにした。しかしイギリス軍の事前砲爆撃は、建物やトーチカの防御効果によってドイツ軍にまったく被害を与えられず。東側から進入した軽歩兵中隊が、砲爆撃に耐えたドイツ軍から激烈な臨機射撃を受け(ドイツ軍が射撃DR3を3回叩き出す)、早くも3個分隊を除去される始末。しかも潰走しようにも、後退するスペースが無い。一応、盤外へ脱出し、次回の戦闘で復帰するルールもあるのだが、これは作戦としてマズ過ぎるということで、やり直し決定。 

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結局、事前の砲爆撃はまったく効果無しというところから再開。イギリス軍は、両翼包囲を諦め、西側の進入口から1個軽歩兵中隊のみを入れ、川幅が狭くなったところから渡河し、ブドウ&オリーブ畑を通って橋の北側の村落に向かうことにした。またシャーマンIII(a)3輌は、南側陣地へ砲撃を行っている。 

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これに対して枢軸軍は、対岸から40mm対戦車砲でシャーマンIII(a)を狙い撃つも、正面装甲に弾かれるのみ。そこで増援のIII号突撃砲✕2輌に橋を渡らせ、シャーマンIII(a)と正面から撃ち合ったが、双方ともに、やはり側面から射撃しないとほぼ撃破できないことが判明(先に砲威力ぐらい見ておけ)。 

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イギリス軍は、迫撃砲で煙幕を張りつつ、北岸に軽歩兵中隊を渡河させたが、残る1個軽歩兵中隊をそれに続かせるか、それとも戦車と共に南側陣地を攻めさせるか、悩んでしまった。やはり南側陣地は盤端からあまりに近く、潰走して逃げ込める遮蔽物も無いことから、結構攻めにくいよなあと。また枢軸軍としても、開けてしまった西の進入口に対しては、平野部に塹壕を築いて兵を置けば良いのでは?と思い、そうするとイギリス軍は西から対岸に渡ることも難しくなり、うーん、このシナリオどうすればいいのだ……と、煮詰まってきたので、2.5ターンほど進めたところでプレイを止めてしまった。まあ、長丁場のキャンペーンゲームなので、こうして一回味見してみて、そこから配置をどうするか、部隊を出す順番をどうするか、よく考えた方が良いかもしれない。

もし次回キャンペーンゲームを味見するなら、「ASL Journal #9」の付録「Suicide Creek Campaign Game」(1944年1月ニューブリテン島グロスター岬でのアメリカ第1海兵師団と日本軍との戦闘)にしようかなと。そちらも和訳は公開されているし、来年は早々に「CSS:Saipan」にも取り組むので、2017年の地中海イヤーから、2018年は太平洋イヤーになるかもしれない。

そう、作戦級スケールの「OCS:Sicily II」で触れた戦場に、戦術級スケールの「ASL」で触れ直すというのも、なかなか面白いと思った。しかしこの手のASLキャンペーンが楽しくなると、ヒストリカル・モジュールが欲しくなってしまうのが困ったところ。今までは『そこに手を出すとまた金がかかる』と思って回避してきたが、プレオーダー中の「HASL:Red Factories」(スターリングラード戦のヒストリカル・モジュール)が発売されたら、手を出してしまうかも……気をつけよう。