Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Advanced Squad Leader】ASL112「Out of Cowardice」Solo-Play AAR

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引き続き、ひとりASL復習会Part.4。そう言えば、2006年に買った枢軸中小国モジュール「Armies of Oblivion」も遊んでないなあと気づき、良さげな東欧系シナリオを探したところ、ASL112「Out of Cowardice」が手頃なサイズではないかと。設定としては1941年4月、ドイツ軍、イタリア軍と共にユーゴスラビアに侵攻したハンガリー軍が「ちょっとした抵抗を受ける」というもの。しかしROARの対戦記録を見ると、ハンガリー軍9勝、ユーゴ軍51勝と圧倒的にユーゴ軍が有利そうなシナリオである。

使うのは地図盤50の半分のみ。全6ターン。防御側ユーゴ軍がdr(D6)で決定した個数の建物を、ハンガリー軍が奪えば勝利。本来、ユーゴ軍+パルチザンは隠匿マーカーを用いるが、ソロプレイなので割愛。パルチザンは、勝利条件の建物に配置され、ユーゴ軍はその村を守る高地付近に配置される。ハンガリー軍(トルディI型軽戦車1輌、チャバ装甲車1輌あり)は、第1ターンに盤端から進入する。

トルディ (戦車) - Wikipedia

チャバ (装甲車) - Wikipedia

問題は、両軍のELR(戦闘経験レベル値)だ。士気チェックに失敗した際、士気値+ELRを越えてしまうと、そのユニットは1段階、質の低いユニットカウンターに置き換えられ、回復しても、以後はその質の低いユニットとして機能するというルールだが、今回のシナリオでは、ハンガリー軍のELRが2、ユーゴ軍のELRは1しかない。つまりハンガリー軍3-4-7分隊は士気7+2=9、ユーゴ軍4-3-7分隊は士気7+1=8を越えると質が低下してしまうし、これはかなり頻出しやすい数字だと思う。ハンガリー軍3-4-7(一線級、そもそもこのユニットからして、よその国の軍隊なら半個分隊だ)は3-3-6(徴集兵)になり、ユーゴ軍4-3-7(新兵)はそれ以上質の悪いユニットが無いため、戦意喪失(敵に隣接されると降伏する)状態になってしまう。ちなみにユーゴ・パルチザンはELR5。いやそれが普通なんだが。

こりゃあバランスが悪いと言うより、酷い展開になるのでは……と思ってソロプレイを始めたところ、いきなり第1ターンの戦闘だけで、ハンガリー軍11個分隊のうち、2個分隊が除去、3個分隊がELR落ちで3-3-6に置き換え、さらに7-0指揮官が損耗で除去、トルディI型軽戦車の主兵装20mm砲が故障(後に完全使用不能)という、あまりプレイバランスを気にしない自分でも『こりゃ酷いなあ』という展開になったので、あらためて最初からプレイし直すことにした。

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仕切り直しての第1ターン表。盤端から進入したハンガリー軍は、ユーゴ軍と横一線に並んで撃ち合うことに。しかしこれは失敗。ハンガリー軍は、分隊とは言え3火力しかないのだから、ユーゴ軍新兵分隊の4火力に撃ち負けて当然。普段使っているドイツ軍やソ連軍と同じように動かしていてはダメだ。『自分はダメな軍隊を扱っているんだ』と意識を切り替えないと。一応、ユーゴ軍も各所で士気チェックを強いられたが、意外にダイス目が良く、混乱もせず、頑強に粘っている。盤端ではハンガリー軍2個分隊がユーゴ軍1個分隊相手に白兵戦を挑んで混戦となっているが、この後の第1ターン裏で、まさかの敗北を喫し、2個分隊とも除去された。

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第1ターン裏では、取り巻きの歩兵がいなくなったトルディ軽戦車に対し、ユーゴ軍8-0指揮官+4-3-7分隊が白兵戦を仕掛け、これを移動不能とした。トルディ軽戦車は、車載機関銃で白兵戦に応じ、ユーゴ軍は混戦に。この混戦に対して第2ターン表、ハンガリー軍が隣接ヘクスから射撃を行い(つまり自軍の戦車と脱出した乗員もろとも撃つ)、8-0指揮官は混乱、4-3-7分隊は混乱・戦意喪失。その戦意喪失した分隊に、ハンガリー軍が隣接していたため、ユーゴ軍分隊は降伏して捕虜となった。ところが第2ターン裏、今度はそのハンガリー軍+捕虜スタックめがけて、ユーゴ軍が射撃を行い(つまり囚われた捕虜もろとも撃つ)、ハンガリー軍2個分隊ともELR落ちで3-3-6となり、捕虜も撃たれて半個分隊になるという、東欧製B級戦争映画(そんなものが実在するかは知らんが)のような展開に。

で、そのあたりの処理に馴れていないものだから、ルールブックをひっくり返して、あちこちを読むうち疲れてしまい、今回のソロプレイは2ターンまでで終わりとした。まあ今日は、あまり使ったことがない戦意喪失や車輌への白兵戦ルールなどを確認できたので良しとしよう。ハンガリー軍にしても『分隊分隊と思うな、半個分隊と思って使え』という教訓を得たので、いずれまた違うシナリオで触れてみたい。そしてこういう経験の積み重ねがASLには必要だと思う。元祖Squad Leaderも、段階的にルールを修得するシステムだったし、ASLも、無理して最初から全部のルールを完璧に使いこなそうとして結局プレイできないなら、まず自分が把握できているルールだけで遊ぶのもアリだと思う。