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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの置き土産

【Battalion Combat Series】BCS Rules v1.1 First Impression part.3

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WWII大隊作戦級BCSルールv1.1の第一印象・その3。OCS先輩は「13:1で攻撃したはずなのに、逆奇襲をくらった結果3:1になってしまった」という振れ幅の大きい戦闘システムだったが、BCSにそのような戦闘の変動はない。むしろBCSは、第2活性化に成功し、1ターンに4回の攻撃回数を獲得することで、相手へのダメージを倍加させる、という感じだろうか。

やはりBCSで振れ幅が大きいのは、フォーメーションが部隊機能判定(SNAFU)に失敗して、いきなり師団・戦闘団全体が戦闘・移動不能に陥る部分か。さながら「あの師団、昨日まで元気に戦っていたのに、急に倒れるなんて疲れていたのかな……」という過酷な労働環境を彷彿とさせるシステムなので、勤労ウォーゲーマー諸氏は、自身のワークライフ・バランスを考える意味でも、この「疲労」に主眼を置いたBCSシステムに是非触れていただきたい。

カセリーヌ峠の戦い1943―ロンメル最後の勝利 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ 世界の戦場イラストレイテッド)

カセリーヌ峠の戦い1943―ロンメル最後の勝利 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ 世界の戦場イラストレイテッド)

 

さて面白いと思ったのは、射撃戦(Engagement)の処理だ。多くのウォーゲームでは、射撃と言えば一方的に撃ち、相手へのダメージを判定するが、BCSではお互いに撃ち合った結果を判定する。つまり撃ったのは自分なのに、逆に自分だけが損害を被る……という場合もあるのだ。まして射撃戦を自分から仕掛けると、疲労レベル上昇チェックをしなければならないため、ムダ撃ちは避けたい。もちろん、射程2を持つユニットが2ヘクスの距離から射撃戦を仕掛け、射程1しか持たないユニットからステップロスを被った場合、その損害は無効となる……という、いわゆるアウトレンジ射撃も再現されている。

射撃戦では、ユニットの射撃値(AV)+アクションレーティング(AR)の差分を基にして判定する。これも射撃値+ARが戦闘力になっている感じだ。上のサンプル画像で言うと、ドイツ軍のティーガーI戦車中隊は射撃値4+AR5=基本値9であり、アメリカ軍戦車大隊は射撃値2+AR4=基本値6。その差3。ティーガー中隊が射撃側なら、ダイス2個振って6以上でアメリカ軍戦車大隊の1ステップロス&後退となる。アメリカ軍戦車大隊が射撃側なら、ダイス2個振って9以上で双方ステップロス、運良く12が出ればティーガー中隊がステップロスだ(そしてティーガー中隊は1ステップしかないため全滅し、再建不可なので二度とゲームには帰ってこない)。

また、他のウォーゲームでは、射程内に侵入した敵ユニットに対して、防御側ユニットが臨機射撃を行うが、BCSでは、もしも防御側ユニットの実効射撃ZOC(Real AV ZOC)に入ったなら、侵入したユニット側が射撃戦を仕掛けなければならない。これは停止射撃戦(Stopping Engagement)と呼ばれるが、なるほど、これも仕掛けた方が損害を被る場合があり、実質、臨機射撃としての役目を果たしている。

そのような射撃戦含めた攻撃を、各スタックは行動中に2回まで行える。攻撃回数を2回消費したら、そのスタックは行動完了となるので、2回目の攻撃を移動のどの時点に持ってくるかが鍵だ。行動を開始したヘクスからまったく動かず、2回攻撃してもいいが、それで行動は終わる。あるいは移動→攻撃→移動→攻撃(完了)でもいい。移動→攻撃→攻撃(完了)でもいい。攻撃→移動→攻撃(完了)でもいい。

また各フォーメーションは、あらかじめ攻撃(目標)OBJマーカーを配置し、そのマーカーから2ヘクス以内にしか攻撃できない(射撃戦はマーカー範囲外も可)。この攻撃OBJマーカーは、各師団・戦闘団の索敵能力、情報収集能力、攻撃計画力を表しており、部隊機能判定(SNAFU)に成功すれば、通常通り、各活性化毎に2マーカーを獲得できる。攻撃箇所を2カ所にしてもいいし、2枚のマーカーを重ね置きしてダブル攻撃OBJゾーンを形成すれば、攻撃に有利な修整が付く。しかし部隊機能半減なら攻撃OBJマーカーは1枚しかもらえない(つまり1カ所しか攻撃できないし、ダブル攻撃OBJゾーンは形成できない)。しかし偵察ユニットによる、敵ユニットへの偵察行動(ダイス1個振ってアクションレーティング以下なら成功)に成功すると、追加の攻撃OBJマーカーが配置できる。

さらに戦闘に関する砲爆撃、準備防御、後退のルール、もっと言えば補給まわり……主要補給ルート(MSR)とその遮断や混線(Crossing the Stream)、前線補給部隊(Combat Trains)とその機能不全状態(Ghost Side)等々にも触れたいが、そろそろ書き疲れてきたので、この辺でお開きに。Part.4は、現物として新作「Baptism by Fire」が届いてからということで。

まあ、ルールを読んだだけの第一印象としては、やはりOCSやTCS同様、独創的なシステムながらも未洗練な部分も散見され、ルールがver3.0とかver4.0になる頃には安定するのでは?とも思ってしまう。システムとして完成させずに走り出し、走りながら修理していくという、ある意味、The Gamersブランドの伝統芸を継承しているかもしれない。デザイナーのDean Essigが「このルールは曖昧だけど、あまり理屈っぽく考え過ぎたり、悪用しないでね」とプレイヤーの善意やお作法に委ねているのも、ああ、この人も変わらないなあと思ったり。とは言え、なんだかんだ書きつつも、かなり惹かれているシステムだし、走りながら修理するプロセスにもつき合う気満々なので、今から取り組むのが楽しみだ。