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Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの置き土産

【Battalion Combat Series】BCS Rules v1.1 First Impression part.1

MMP BCS Last Blitzkrieg MMP BCS Baptism by Fire

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そろそろ発売予定のBCS(Battalion Combat Series)第2弾「Baptism by Fire:The Battle of Kasserine」(業火の洗礼:1943年2月カセリーヌ峠での戦闘)をMMP社に直接プレオーダーした。昨年、シリーズ第1弾の「Last Blitzkrieg」(こちらは1944年12月のバルジ戦)が出た時は、自分好みのWWII大隊作戦級ということで、興味は持ったものの、購入するまでには至らなかった。ところが「Baptism by Fire」の情報を追ううち、ネットに上がっていたBCSv1.1ルールを読み始め、おっ、これはなかなか面白いシステムなのでは?と気づき、結局BCSv1.1を訳し終わってしまった。まだ現物には触れていない段階だが、現時点でのBCSv1.1への感想をまとめておこうと思う。

BCS Rules v1.1 NM

デザイナーズノートを読むと、そもそもBCSは、先輩格OCSの大隊バージョンとして企画され、最初のうちは『補給ポイントを燃料と弾薬に分けよう』などという正直迷惑な方向性で開発が進められていたようだが、実際のBCSは、そのような形には落ち着いていないのでご安心を。

その先輩格OCSでは「補給」に主眼が置かれていたが、BCSでの主眼は「疲労」に置かれている。OCSは「いくら部隊があっても補給が無ければ役立たず」なシステムだったが、BCSは「いくら部隊があっても疲労しているなら役立たず」なシステムだ。

両軍プレイヤーは、それぞれ幾つかのフォーメーション(師団や戦闘団)を持ち、先攻プレイヤーから、ひとつずつフォーメーションを活性化させて行動(移動や戦闘)を行わせる。行動は、スタック単位で解決し、ひとつのスタックが移動・戦闘を解決したら、同じフォーメーションの別のスタックの行動を解決する。各スタックには2回までの攻撃回数(Fire Events)が許されており、移動途中での攻撃も可能。フォーメーション内のすべてのユニットが行動を完了したら、第1活性化が終わる。

ここでさらに第2活性化チェック(フォーメーションによって成功率が異なり、優秀な師団・戦闘団は第2活性化に成功しやすい)に成功すると、もう一度、そのフォーメーションのユニットが行動を行える。第2活性化まで完了すると、後攻プレイヤーに手番が移り、後攻側のフォーメーションがひとつ活性化される。そして同じことの繰り返し。ある意味「I Go, You Go(俺の番、君の番)」システムとも言える。

つまり、優秀なフォーメーションは1ターンに2回活性化でき、そうでもないフォーメーションは1回しか活性化できない。だったら優秀な師団や戦闘団が存分に暴れ回れるのかと思いきや、そこで足枷になるのが「疲労」である。「師団・戦闘団の継戦能力」とも言えるだろうか。

各フォーメーションは、活性化を終える際、もし攻撃に関する行動を取っていたなら、疲労レベルが上がったかどうかを判定する。疲労レベルは、完全充足(Fresh)⇨疲労レベル0⇨1⇨2⇨3⇨4と上がり、疲労レベル4になったら第2活性化は行えない(v1.1での改訂)。フォーメーションは、まるまる1ターンを回復に費やせば、疲労レベルを1回復できる(ただし完全充足には戻らない)が、恐らくはある程度の疲労を抱えたまま、作戦を続けることになるのだろう。作戦目標を達成するまでに師団・戦闘団が疲弊しきるかどうかがプレイの鍵になるため、疲労面から考慮するに無駄な攻撃は避けた方が吉。

そして疲労レベルは、各フォーメーションが活性化の前に行う部隊機能判定(SNAFU)に関係してくる。この部隊機能判定(SNAFU)に「成功(Pass)」すれば、そのフォーメーションは通常の制限内で移動・戦闘が行える。しかし「機能半減(Partial)」になると、攻撃目標の選定が半減、移動力半減、砲兵ポイント半減と、フォーメーションの戦闘能力がまさに半減してしまう。さらに「失敗(Fail)」に陥ると、移動も戦闘も不能となるのだ。疲労レベルは、この判定値にモロに影響するため、疲れてきたフォーメーションは、たとえ強力なユニットがあろうが、機能停止に陥ってしまうわけだ。

ちなみに「失敗」に陥った場合、すぐさま「じゃあこのターンは回復するね」とばかりに回復転換(Failure Flip)チェックに成功すれば、疲労レベルを1回復できるが、それにすら失敗したなら本当に機能停止だ。

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たとえばバルジ戦を扱う「Last Blitzkrieg」で言えば、ドイツ軍第1SS装甲師団パイパー戦闘団の活性化値(上画像、最上段、一番右のHQユニットのサイコロの目)は3であり、六面体サイコロを1個振って3以上が出れば第2活性化が行えるという、恐ろしく優秀なフォーメーションである(活性化値は4で優秀、5で普通、6で劣悪)。しかし活性化した分、多くの攻撃を繰り返せば、当然疲労レベルが上がる確率も増し、疲労が溜まれば突然、機能不全に陥ることになる。優秀なフォーメーションなだけに、1ターンに2回活性化して突破もできる反面、他の師団が追随できず、史実通りスタヴローあたりで孤立するかもしれない。いや、まさにそういう状況を再現したいのだろう。そういつた戦闘と疲労のジレンマをどう管理するかが、BCSのキモのように感じた。

そしてこの「疲労レベル」「部隊の継戦能力」「スタック順に解決」「移動途中での攻撃可」「I Go, You Go」というコンセプトは、昔懐かしいSPIのセントラルフロント・シリーズを彷彿とさせるなあ……と気づいたあたりで、よし、では手を出してみようと思った次第。

またBCSv1.1の戦闘システムも、なかなか興味深いのだが、それについてはpart.2にて。