Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

CMJ #48「Decision in France」Campaign Solo-Play AAR

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先日の猿遊会で「最近マーク・シモニッチは遊びやすいゲーム作りに流れている」という立ち話をしてきた。たしかに彼がデザインした「Ukraine'43」の初版・2版の差異など見るとそれが顕著だが、遊びやすくなった分、デザイナーの個性が薄れるのもちと寂しい。しかしシモニッチ旧作品ともご無沙汰のため、久しぶりにどんな感じだったか思い出そうとコマンドマガジン48号付録「Decision in France」をソロプレイすることにした。本作はターンの進行こそオーソドックスだが、戦闘規模(マグニチュード)、移動しなければ防御力2倍など個性的なルールも多々あり、かつてのシモニッチ風味を思い出せるかなと。

一応キャンペーンゲームとして1944年6月25日ターンから開始。ちなみに前回ソロプレイしたのは、購入直後の2003年だと思う。ほぼ12年ぶりだろうか。

48号本誌記事を参考にして選択ルール44.0「ヒトラーの意志」(ドイツ軍が連合軍ユニットから離れる際には、そのヘクスに3ステップ以上残さないと離れられない)を採用。ドイツ軍は大ダメージをくらわぬよう、各スタックに積むのは6ステップまでを意識する(戦闘時、双方7ステップ以上だと戦闘規模が上がり、戦闘結果表で2回ダイスを振って両方の結果を適用する。双方の損害が上がりやすい)。

先日の教訓を胸に、あらかじめ戦闘結果表を確認しておくと、戦闘比1:1攻撃では5/6で攻撃側が損耗をくらうが、1/2の確率で防御側にステップロスが与えられる。さすがに1:2攻撃で防御側に損害を与えられるのは1/3だけだが、連合軍としては1:1攻撃で損害をくらってでも、補充が厳しいドイツ軍をちくちくと削っていき破断界に持ち込む、という感じだろうか。

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さてソロプレイ開始。上写真は第3ターン終了時(マーカー類は外してある)。半島北部のシェルブール(ヘクス1335)を占領し、とって返してきたアメリカ軍が順調に南下。アメリカ第19軍団は早くもサン・ロー(1935)に食い込み、ドイツ第84軍団を包囲しつつある。一方、イギリス軍戦区では、カーン(2131)を守っていたドイツ第21装甲師団が残り1ステップまで削られ、増援の第1SS装甲師団と交替。

第4ターンは好天(連合軍に有利な戦闘比1シフト)に恵まれ、アメリカ軍はドイツ第84軍団を包囲殲滅せんとしたが、運悪く戦闘結果は「-(無し)」。曇天の第5ターンも連合軍の攻撃ははかどらず、戦線は微動だにしなかった。

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第6ターン。曇天にもかかわらず、イギリス第30軍団がドイツ第47装甲師団(と言っても疲弊した第21装甲師団と雑多な部隊)をオルヌ川の向こうへ押し出し、ヘクス2133へ前進した。これに対しドイツ軍は、第2・第21・教導・第12SS装甲師団をもって4方向からの反撃を実施。史実のリュティッヒ作戦にも似た、今回のソロプレイ初の戦闘規模2の2:1攻撃だったが、結果は「A2D1」で第12SSと第2装甲師団がステップロスしてしまった(基本的に強いユニットから損耗する)。

この反撃失敗に乗じて、イギリス軍はドイツ第1SS装甲軍団(第12SS装甲師団+a)をも後退させ、カーンに籠もる第1SS装甲師団を4方向から攻め上げる。残り3ステップ(半減)となった第1SS装甲師団はたまらず第272国民擲弾兵師団と交替し、カーンから撤収。しかしこの272師団も奮戦し、なかなかカーンを明け渡さない。史実でのカーン陥落は7月9日(第5~第6ターン)だが、7月28日(第12ターン)になってもこの街を保持しづけた。第9~第12ターンの天候が、曇天・悪天・曇天・悪天と連合軍には不都合だったせいもあるが、この期間の攻撃ははかばかしくなかった。※下写真は第12ターン終了時。

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第13ターン、ようやくカーン陥落。しかしイギリス軍は次に、オルヌ川沿いに防衛線を張るドイツ第1SS装甲軍団(第1SS装甲師団+a)の処理に苦慮することとなった。結局、絨毯爆撃で第1SS装甲師団の残余を吹き飛ばし、第101SS重戦車大隊をなんとか除去して前進したが。

一方アメリカ軍は、兵力は潤沢にあるものの、戦闘後前進ヘクスが半減されるボカージュ地形に苦戦。戦闘結果の「-(空振り)」も頻発し、なかなか前へ進めなかった。しかし第13~第15ターンの連続好天を活かし、ようやくアヴランシェ(2239)から突破口を開いた。

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上写真は第18ターン終了時。この直後の第19ターン(8月18日)、やっとアメリカ軍は30戦力(8戦力歩兵師団3+2戦力機甲騎兵連隊3)をブリタニー地方へ突破させたが、史実と比べると6ターンぐらい遅い。それでもなんとかアメリカ軍は目前の敵を一掃し、ドイツ軍背後のアルジャンタン(2632)へ突進。史実のファレーズ包囲網の再現である。

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こちらが第20ターン終了時。このまま進めばドイツ軍がごっそり包囲されるだろう……と見えたところで今回のソロプレイは終了とした。

12年ぶりのソロプレイとは言え、前回はもっと早く連合軍が突破したように思う。イギリス軍はカーンで、アメリカ軍はボカージュ地帯でつまずき過ぎたのだろうか。まあランダム天候の影響もあるだろうが、もう少し連合軍を上手く回したかった。

そして12年前にも感じたことだが、20ターンかけてもフルマップの1/8程度、実質ノルマンディ半島周辺しかプレイに使わなかった。もっと早く突破すればパリ周辺、さらにはベルギー領まで使うのだろうが、さすがにブランクも長く、もっと熟達も必要なようだ。

かつてのシモニッチ風味については、味わえたのかどうだか良くわからない。しかし実際プレイしてみると、本作はシモニッチ旧作品群の中では薄味な方で、北アフリカ戦ゲーム「The Legend Begins」の方が重たく、クセが強かった気がする。かつてのシモニッチ風味を味わうなら、むしろそちらだったか。そんな味わいの違いすら忘れてしまった12年のブランクであった……