Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

GMT「France'40」Dynamo Solo-Play AAR

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ここしばらく「Sickle Cut」シナリオばかり遊んできたが、昨日は2in1である本作の片割れ、「Dynamo」シナリオを初めてソロプレイしてみた。お題はもちろん連合軍のダンケルクからの撤退作戦である。

ここまで連合軍を追い詰めてきたドイツ軍装甲師団は、ほぼ消耗しきっており、いずれもステップロス状態。しかも上層部からの停止命令(Halt!マーカー)があるため、第3ターンまでは自由が効かないし、第6ターンからは撤収し始めてしまう。

対する連合軍は、ダンケルクとそれに続く海岸ヘクスから15ユニット(イギリス軍10ユニット以上を含むこと)をイギリス本国へ脱出させれば自動的勝利となる。ただし脱出可能となるのは第4ターンから。しかもダンケルク(2113)ヘクスからは各ターン最大2ユニットまで、2213・2312の海岸ヘクスからは1ユニット送り出させるかどうかという具合である。写真右上に見える緑色のベルギー軍ユニットは、第5ターンにすべて降伏・除去される予定。

 

ともかくも連合軍は、自動的勝利に必須のイギリス軍から海岸線に向かわせ、フランス・ベルギー軍はそれを守る形で戦線を維持させた。ドイツ軍もHalt!マーカーを逃れた装甲師団によって包囲網への突入を図ったが、消耗しているうえ空軍支援も少なく「Sickles Cut」のようにはうまく立ち回れない。

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それでも第4ターン、ようやく行動の自由を取り戻したドイツ装甲師団群は、包囲網を西から突き崩し、逃げるイギリス軍と守るフランス軍の分断に成功。これによって補給源を断たれた内陸のフランス軍はごっそり補給切れに。第5ターンにはベルギー軍も消え失せ、ドイツ歩兵師団が津波のように海岸へ殺到した。

しかし連合軍の脱出も順調に推移。勝利条件に関わる脱出ユニットは、規模などどうでもいいので、消耗しきって戦闘では使い物にならない0-0-3歩兵から順次、イギリスへと送り返していく。

ドイツ軍は遮二無二、海岸線へ斬り込み、遂には第3装甲師団がダンケルク港ヘクスに隣接し、これを直接攻撃したが奪取はならず。現場指揮官たちは、さらなる攻撃続行を叫んだであろうが、あえなく撤収命令が下った。

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そして第9ターン。遂に自動的勝利となる15ユニットが脱出に成功し、連合軍の自動的勝利となった。ドイツ軍は第8ターンにも2312海岸ヘクスを攻撃し、防御側後退の結果を得たが、そこを守るのはモントゴメリー師団長率いるイギリス第3自動車化歩兵師団。モントゴメリーは断固たる防御ダイスを振り直し、海岸線から追い落とされることもなく見事、殿軍の役割を果たすという美しい場面もあった。

 

しかしドイツ軍のダイス目次第では、連合軍の脱出も阻まれた可能性が高く、かなりぎりぎりのラインでの勝利だったとも言える。また勝ったとは言え、連合軍はひたすら後退するばかりだし、勝った実感の薄いシナリオかもしれない。あくまで「Sickle Cut」のオマケと捉えてもいいし、オマケにしては面白い、というところだろうか。

ちなみにこの「Dynamo」の地図盤と「Normandy'44」のユニットを組み合わせれば、1944年6月の連合軍カレー上陸作戦(仮想)シナリオができるんじゃないかと思ったが、まさかそんな追加モジュールはC3i誌に付かないだろうな……(あるいは来年出る本作のコマンドマガジン日本語版付録とか)