Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Operational Combat Series】「Baltic Gap」Doppelkopf AAR

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先月に引き続きOperational Combat Series「Baltic Gap」の「Doppelkopf」シナリオを再戦した。今回も自分がソ連軍を受け持ち、Mi-boh氏はドイツ軍第39装甲軍団(第4、第5、第12、第14装甲師団)と独立装甲部隊群を担当。Kartar氏がドイツ軍第40装甲軍団(第7装甲師団、グロスドイッチュラント装甲擲弾兵師団)、リガ市街の部隊を受け持った。

今回は開始から2.5ターン(ドイツ軍、ソ連軍、ドイツ軍、ソ連軍、ドイツ軍ターンの順)まで進捗。ドイツ軍は第1ターンの攻勢だけで、平野部に点在するソ連軍歩兵師団を4個ほど除去し、ソ連軍の要であり勝利点都市でもあるSiauliai(W1615)への突破口を開いた。しかしその攻勢によってドイツ軍はSP(補給ポイント)の大半を使ってしまい、攻勢の戦果を拡大できずに終わっている。逆にソ連軍は攻撃された歩兵師団の生存を諦め、防衛のためのSP消費をせず、戦闘力1/2となる不利をわざと被った。そのためソ連軍はユニットこそ失ったものの、SPはまったく消費していない。

ドイツ軍両氏は毎ターン得られる4SPを双方2SPずつ分け、増援部隊もほぼ等分していたが、どうもこの配分ではどちらも攻勢が継続できないようだ。恐らく補給源のTilsit(W0129)に近い第40装甲軍団方面は戦線を支えるだけにとどめておき、さほどSPも増援を送らなくてもよいのかもしれない。

その代わり第39装甲軍団には余計にSPを送ると共に、突出した装甲師団の側面を守るための歩兵部隊も送る必要がある。今回も第39装甲軍団は、ソ連軍に殴り込んだはいいが、側面包囲を恐れてもう一歩が踏み出せず、最終的に攻勢発起地点まで後退することになってしまったのだ。

もっともこの展開は、ソ連軍の運用を前回とは変えたことにも起因する。今回自分は前線のSiauliaiに航空機を積み上げ、主要な前線をまるまる空軍支援の傘の下に入れた。またSiaulaiからはドイツ軍第40装甲軍団に対して易々と爆撃が行え(この方面はドイツ航空基地が無く、空軍支援下に無い)その行動をほぼ封じることもできた。当然ドイツ空軍も制空戦闘を挑んできたが、なんとかそれを撃退できたのも大きい。

またソ連軍は、リガ市の包囲を歩兵師団に任せ、そちらから独立戦車部隊を抽出し、ドイツ軍第40装甲軍団への対処に送り込んだ。先にも書いたがドイツ軍第40装甲軍団には「点」を撃破する強さはあるが、側面を守る歩兵部隊がいない。そこでソ連軍は独立戦車部隊で「面」を制圧するように前線を埋め、その背後に予備モードの戦車軍団を配することに努めた。

このため2.5ターンの間、ソ連軍は地上部隊で攻撃することはほとんど無く、ただ移動に専念し、第40装甲軍団の包囲を目論んだ。実際これが功を奏し、包囲を恐れた第40装甲軍団は攻勢発起地点まで下がったが、ソ連軍はすでにその位置すら包囲できるところまで持ち込んでいる。ソ連軍司令部が前進すれば、移動モードの戦車ユニットを補給状態のまま、ドイツ軍後方の司令部、燃料集積所へ送り込める位置にもいた。またソ連軍は巧くすれば第39装甲軍団後方のTilsit、Memel(W1234)も狙える位置にあり、史実通りドイツ軍北方軍集団をドイツ本国から切り離す可能性も見えていた。位置取りだけでかなり「詰み」に近いところまで持って行ったと言える。

OCSでは戦闘のたびにSPを消費するため、可能な限り無駄な戦闘を控えるべきだが、今回はそれを徹底したおかげで、まったく攻撃せず、移動だけである種の「詰み」にまで持って行けた形である。かつて「Advanced Squad Leaderは(射撃ではなく)移動のゲームである」と云う評を見たが、もしかしたら「OCSも(戦闘ではなく)移動のゲームなのかもしれない」……と感じた。

もっとも、移動と補給のやりくりに徹し、地上戦闘をまったくせずに勝ちに持ち込むのは「戦わずして勝つ」兵法を体現した感はあるものの、ゲーマー的な満足度としては今ひとつな感もあった。やはり地上戦闘のダイスを振らないとウォーゲームをした気にならないのは、ゲーマーの性(さが)だろうか。OCSとしてはこれが正解なのだろうが、正解=満足とも限らないのが面白いところである。