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Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの置き土産

【Grand Operational Simulation Series】System Analysis part.1

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「Wacht am Rhein 2012」「Hurtgen:Hell's Forest」として発売されたGOSS(Grand Operational Simulation Series)2作であるが、いったいどのようなシステムであるのか、解析記事を書いておきたいと思う。本ゲームシステムは、1ユニット大隊レベルの精密作戦級で、プレイ難度はかなり高そうに感じられる。実際、詳細かつ煩雑なシステムではあるが、昨今のウォーゲームが総じて遊びやすさを念頭に作られている今この時に、あえて時流に逆行するような作品として世に投じられたのは興味深い。自分としても、取り組み甲斐のあるシステムだと感じており、一歩ずつではあるが、この恐竜のような精密作戦級システムを解き明かそうと思う。

まず戦闘結果表(正式には陸上強襲表)を見てみよう。陸上強襲では、戦力比を立て、攻防双方がd100を振り、その差によって戦闘結果が導き出される。ダイス修整は、練度差、装甲・対戦車ボーナスの差、同一連隊ユニットが参加しているかどうかに加え、防御ヘクスから3ヘクス以内に戦闘予備ユニットが存在するかどうかによって決定される。また戦力比シフトは、攻撃側のモード、防御側の優勢地点確保、拠点・塹壕の有無、指揮官、砲兵等による。この複雑なチャートから、すぐに戦闘感覚を掴めるはずもな く、まずは、どの程度の戦闘比で、どのような結果が得られるかを、「Hell's Forest:Hurtgen」の練習シナリオ「Bloody Backet」を例として、机上計算してみよう。

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防御側ドイツ軍スタックは、標準的な歩兵大隊+III号突撃砲中隊である。スタックの合計攻撃力は 7、合計防御力は9。対する攻撃側アメリカ軍もごく標準的な歩兵大隊+M4戦車中隊のスタック。こちらは合計攻撃力11、合計防御力11。両軍のヘクス地形は森林、かつ拘束地形(Constricted)である。1ヘクスから攻撃可能なスタック制限は、大隊+1ユニットのみである(通常ヘクスでのスタック制限は、3個ユニットかつ2個大隊まで) 。

M4戦車の攻撃装甲値4、III突の防御装甲値4のため、戦車による装甲ボーナスに差は無い。ただし森による対戦車修正-2が入り、x10でダイス修正-20と。※装甲値は、 攻撃力、防御力の右上に記された数値。もし差があるなら、1差毎にダイス修正10を得られる。

アメリカ軍は、同一連隊に所属しているため、複数のスタック で攻撃すれば連隊集中ボーナスが獲得できる。2ユニットならダイス修正+10、3ユニットならダイス修正+15。アメリカ軍攻撃練度7、ドイツ軍防御練度6のため、練度差ボーナス1につき、ダイス修正+5が得られる。

もしアメリカ軍が単独スタックで攻撃した場合、攻撃力11:防御力9で、戦闘比1:1となり、ダイス修正は、装甲値による-20、練度修正+5で -15。アメリカ軍の%ダイスで得られる結果は、54以下で何も無し、55~74ならドイツ軍に練度チェックを強い、75~89で任意損害1、90~99で練度チェック+任意損害1、100以上で任意損害1+強制損失1を与えられる。任意損害とは、ステップ損失とヘクス後退の組み合わせによって消化できる損害である。ドイツ軍にダメージを与えるには、95以上のダイ ス目が必要。かなり無理目である。

一方ドイツ軍は、09以下を出せば2任意損害+2強制損失、80以下の目で必ず強制損失1を含む結果をアメリカ軍に与えられる。つまり1:1攻撃は、ほぼ必ずアメリカ軍がステップ損失を食らうも、ドイツ軍は無傷か、ただ単に後退する可能性が高い、と判る。この場合の攻撃をドイツ軍が恐れる必要はほとんど無いだろう。

次にアメリカ軍による2スタックによる攻撃を考えてみよう。2スタック攻撃では、準備強襲が必須となり、戦力比2:1から準備強襲シフトで3:1となり、連隊集中ボーナスが上がり修正-5。アメリカ軍側は、ダイス目75以上を出せばドイツ軍に強制損失1を与えられ、ドイツ軍側はダイス目80以下なら何らかの損失をアメリカ軍に与えられる。これでもまだ攻撃としては厳しいだろう。

ではさらに3スタック攻撃を考えてみよう。3スタック攻撃ならば戦力比3:1から準備強襲で4:1となり、さらに連隊集中ボーナスが上がって、ダイス修正0となる。この戦力比コラムから戦闘解決表の「攻撃側有利欄」に変わるため、アメリカ軍はダイス目60以上を出せば強制損失1を与えられ、 ドイツ軍はダイス目70以上で結果無しとなってしまう。まあ攻撃を実行するかどうかの判断は、このあたりがボーダーラインであろうか。

森に籠もる敵に対しては4:1なら攻撃してもいい……ある意味、当たり前と言えば当たり前な判断ではあるが、それが見えにくいのもGOSSの地上強襲表である。しかし「あくまでも当たり前の戦闘結果が出る」と云うことさえ判ってしまえば、強襲を行うに際しても、ざっと戦力比だけ見て、その攻撃が通るかどうか判断できるようにも思う。今回は、戦いづらい森林の、歩兵中心の戦闘を例としたが、次回は装甲差のあるスタック同士の戦闘を解析してみたいと思う。このシステムで、M4とティーガーII型がどれほど違うのか、確かめてみよう。