Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】Thomas Arnold「The Renaissance at War」

The Renaissance at War (Smithsonian History of Warfare)

The Renaissance at War (Smithsonian History of Warfare)

 

スミソニアン戦史シリーズ「The Renaissance at War」を購入。これ東洋書林から翻訳が出ている「図説 古代ギリシアの戦い」「図説 古代ローマの戦い」と同じシリーズだそうで、もし邦題を付けるなら「図説 中世ルネッサンスの戦い」になるのか。扱うのは1450年から1610年頃までで、日本の戦国時代とまるかぶり。カンブレー同盟戦争だのユグノー戦争だの80年戦争だの、いずれも日本語で読める書籍が少なく、ウォーゲームも限られているが、ミニチュアゲームの世界では人気ジャンルなのだろう。

前半は兵科の解説で、第一章「The New Fury」で火砲と攻囲戦を、第二章「The New Legions」で歩兵と火燧銃、輜重隊を、第三章「The New Caesars」では騎士とピストルを採り上げている。特に火砲の開発過程、射程距離などの性能も詳しく紹介され、
砲兵隊が携行した装備(釘やストーブ、ショベル)の数も列挙されている。

後半は、ルネッサンス期戦役の解説で、第四章「Cross versus Crescent」は、キリスト教vsイスラム教を軸としてロードス島マルタ島の攻囲戦、アルカサルキビル会戦を図解。第五章「Duelling Kings」は、ハプスブルグ家とヴァロア家の戦争が主で、カンブレー同盟戦争ラヴェンナ会戦、イタリア戦争パヴィア会戦を図解。第六章「Faith versus Faith」は、フランス宗教戦争/ユグノー戦争や、80年戦争/ネーデルランド独立戦争を扱い、アントワープ攻囲戦を図解。

とにかくカラー図版が多いので、自分のような洋書初心者にも読みやすい。その分、突っ込みは浅く、文章量は物足りないかもだが、ルネッサンス期の戦争をざっと俯瞰したい方にはオススメ。