Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】陸上自衛隊・戦理戦術教本

このBlogには「戦例に見る小部隊の戦術」という検索ワードで来られる方も多い。先日、神保町の軍事専門古書店・文華堂さんに寄った時も「戦術との出会い」の在庫を尋ねている方をお見かけした。そこで自分の持ってる古書戦術教本をまとめて御紹介しておこう。ウォーゲーマーでも、ご興味のある方は多いと思うし、ネット上に情報も少ないし。

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・「戦理入門」(陸上自衛隊幹部学校修親会・1980)

TACTICS誌「石川輝の戦術講座」で紹介されていた、作戦レベルでの兵力運用を説いた本で、古今東西の戦例を引き合いに出しているため、作戦級ウォーゲーマーなら、きっとスラスラ読めるだろう。ただし古い本であり、内容的に反論する声もある。

・「戦術原則の基礎的研究(上下)」(吉田雅良・1974)

「石川輝の戦術講座」で紹介されてた本その2。上巻は攻撃、追撃、防御について、下巻は後退行動、遅滞行動、部隊交代、特殊気象と地形、対着上陸戦闘、対空挺戦闘、空中機動作戦等についてそれぞれ、どんな事に留意すべきかを説ている。より具体的ではあるが、専門色も強くなっている。

・「戦例に見る小部隊の戦術」(武岡淳彦・1973)

サブタイトルは「初級幹部・陸曹のための戦術書」。野外勤務、陣地攻撃、浮動状況、 夜間攻撃、陣地防御などについて解説し、各項目ごとにテスト問題も掲載している。掲載された戦例は、太平洋戦争が中心。精神訓話的部分もあるが、まあそれも本書の味かなと。

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・「戦術との出会い(上中下)」(陸戦学会・第4版1998)

サブタイトルは「戦術の初学」だが、最も難解。これは手こずる。ゲームで言うと難易度9以上。攻撃のプロセスを細分化して詳解しているが、正直ウォーゲームの参考書としては、ここまで必要ないかも。専門度が増している分、ゲームにも活かしにくい感じだった。ちなみにハードカバー版もあり、そちらは古書店でも高価。

どれも「自衛隊の本だなあ」と思うのは、隘路を利用した防御が多かったり、対上陸戦闘はあるけれど、他国への上陸作戦は載っていないとか、寒冷地戦闘はあっても、砂漠戦闘は書いていないとか。もしご興味があれば、古書店ヤフオク等で探してみてください。