Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

Against the Odds #8「Fortress Berlin」Solo-play AAR

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8ヶ月間も放置していた「Fortress Berlin」にようやく着手。ヴァリアント・ルールは多々あるが、 初めてのソロプレイなので、素のルールのみで試してみた。

本作のターン・シークエンスは、増援、回復、移動、戦闘をくり返すシンプルなもの。ただし戦闘には間接砲撃、混合砲撃(間接と直接を組み合わせた連携砲撃)、近接突撃がある。戦闘解決も個性的で、火力差と防御修整から戦闘コラムを導き出した後、ダイスを振ると云うシステム。慣れないうちは戸惑うが、慣れればいいのだ慣れれば。

まず序盤。ソ連軍がベルリン北東部からなだれ込む。迎え撃つのは、頼りない国民突撃兵(1火力)が大半だが、あちこちでEX(相互除去)を発生させ、10火力ソ連歩兵師団が相討ちとなる。正直、この陣地線突破の段階ではソ連軍の方が損害が多かった。ソ連軍としては大戦力の歩兵師団+小戦力の戦車旅団をスタックさせ、EXをくらっても戦車を犠牲にして、歩兵を生き残らせるべきだったが、そういったスタック作法を知らなかったため、かなりの歩兵師団を失うこととになった。一方のドイツ軍も、少ない手駒を失うワケにはいかず、 積極的な反撃はほとんど行わなかった。

しかしソ連軍も、さすがに陣地線を突破すると勢いづいた。来援したばかりのミュンヘベルグ装甲師団スタックを早々と包囲殲滅し、ベルリン東方の高射砲塔も間接砲撃一発でEXに持ち込み除去。さらに手薄だった南方からも部隊を侵入させ、一気にティアガルテンへ到達。ドイツ軍はテンペルホフ空港の高射砲部隊を解散し、再編成した国民突撃兵で新たな防御線を構築したが、所詮は焼け石に水である。ソ連軍間接砲撃マーカーも増え、ドイツ軍の足止め部隊はあちこちで吹き飛ばされた。

進撃するソ連軍に応じて、ドイツ軍も後退したいのだが、ZOCルールによってこれがなかなか難しい。敵ZOCからの離脱は可能だが、敵ZOCto敵ZOC移動は禁止である。たとえ味方ユニットが存在しても敵ZOCは打ち消せない。従って、いったん敵ZOCに包囲されると、そこから抜け出すことは至難であり、各地で孤立したドイツ軍部隊が包囲殲滅されていった。オーソドックスなZOCルールではあるが、盤上のユニット密度が高い本作では、特に強力に作用しているように感じた。無論、ベルリン最終戦としては真っ当な表現である。

遂に陸軍省海軍省も陥落し、ソ連第9親衛機械化軍団が総統地下壕へ隣接。ドイツ軍最後の希望である第11SS装甲師団も、シュプレー河北岸に後退したため救援不可。ベルリン市内には川が多く、意外と身動きしにくいのだ。第11ターン、5月1日。もはやこれまでと総統は自害。 史実よりわずかに遅いものの、ほぼヒストリカルな終幕となった。総統死後もゲームは続行できるが、ソロプレイもここで終了。

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ちなみに写真右上でDR(混乱)マーカーを被っているのは、第502SS重戦車大隊ユニットである。ティーガーII型戦車を装備したこの大隊ユニットは、戦闘モードで防御修整6(最良)を誇り、それが功を奏したのか、攻め寄せるソ連軍の嵐を巧みに凌ぎきり、かろうじて生き残った。

感想。先にも書いたが、ターン進行はさほど面倒ではない。ただやはり戦闘結果の求め方は、斬新すぎて未整理な感じも受けた。地図もユニットも判別しにくいが、とにかくそれも慣れの問題である。ちなみにVP計算もしなかった。本作は、勝敗を競うゲームと言うより、ベルリン陥落を「目撃」するゲームであろう。いろいろ難点は挙げたが、また遊びたくなっているのも事実。陰鬱な市街地図に部隊がひしめき合い、国民突撃兵部隊が次々に除去される様は、まさに終末。ソ連軍も難なく進撃できるわけではなく、1ヘクスの奪取に手間取ったり、意外なEXで損害を喰らうなど、ドイツ軍最後の抵抗に切歯した。とにもかくにも、個性的過ぎるアートワークと相まって、ベルリン最終戦の雰囲気は十分過ぎるほどに感じられる作品だ。機会があれば、今度はヴァリアントを入れてプレイしたいと思う。