Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの置き土産

【Operational Combat Series】The Gamers「Enemy at the Gates」

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【回顧録:この記事は2014年3月に回想した記事である】

Operational Combat Series「Enemy at the Gates」を購入したのは2001年7月だったと思う。本作はフルマップ4枚を用いてウクライナスターリングラードを戦場とし、1942年11月のソ連天王星作戦から1943年3月の第三次ハリコフ戦までの期間を扱っている。本作はOCS第二作として1994年に発売されたが、2008年には本作の範囲は勿論、青作戦全体をカバーした「Case Blue」が発表されており、そちらに吸収合併されたうえアップデートされた形にも見える。

ただし本作のシナリオ10本すべてが「Case Blue」に収められているわけではない。マップ1枚だけを使うチル河畔の戦闘や、スターリングラード救出作戦、星作戦シナリオ、マップ2枚を使う小土星作戦、マンシュタイン将軍のバックハンドブロウ・シナリオは「Case Blue」未収録。ただし自分が星作戦シナリオをソロプレイした時は、攻勢に出たソ連軍がハリコフを奪えぬままSS装甲部隊に撃滅されると云う展開になってしまった。あのシナリオは、設定に難があるかもしれない……

ENEMY AT THE GATES

ENEMY AT THE GATES

 

本作とOCS第一作「Guderian's Blitzkrieg」は、コマンドマガジン33号の東部戦線ゲーム特集で酷評されている(「ルールが過激すぎ、ゲームを破綻させてしまっている」)が、恐らくレビュアーの方は、OCSのダイナミックさに戸惑い、違和感を覚えられたのだろう。たしかにだだっ広いロシアの平原に緩いZOCを適用しているため、OCSに慣れないうちは、あちこちから後方へ浸透され、戦線が破綻するだろう。特に短期シナリオで、その破綻を修復あるいは反撃する間が無く、一発くらって終わり、なんじゃこら、となる場合もままある。自宅会でもOCSを初めて遊んだ時は「面白いが、ひとつのミスが致命傷になりすぎる」と評された。奇襲によって戦力比の見通しが立ちにくいのも、「ここは3:1だから攻撃側に損害は無い、だったら攻撃しても安全だ」式にリスクを計算したいウォーゲーマーとは相性が悪い。

しかしOCSの理念に沿って長期シナリオをプレイすれば、浸透されないよう師団を分割して戦線を埋め、後方の補給ポイントや司令部には護衛部隊も付け、それでも兵力の少ないドイツ軍は徐々に戦線が伸びきり、ソ連軍はその脆弱な部分に付け入って突破し、後方を蹂躙するが、その突破部隊に対してドイツ軍がすかさず反撃を加えて叩き合いに……と、至極まっとうに、WWII東部戦線を再現すると思う。

それでは戦線が守り切れないじゃないか、と言われても、実際守り切れなかったからドイツ軍戦線は破綻したのだし、既存のウォーゲームのZOCは強すぎるのだよ、というデザイナーの解釈も面白いと思う。

戦闘も「奇襲で6コラムシフトするかもしれない」と覚悟したうえで行えば良いだけの話で、それだけ攻撃というものは不確実なのだよ、既存のウォーゲームはその振れ幅が狭すぎるのだよというデザイナーの解釈も、自分は面白いと思ったが、受け容れられない方がいるのも無理はない。

まあそのあたり含めて、何を基準として過激なのか、振れ幅がでかすぎるのかと問えば、それは恐らくこれまでにその人が遊んできたWWII作戦級ゲームであろうし、それが固定観念として邪魔をし、OCSがインストールできなかったのかもしれない。様々な先入観や固定概念を外して見ると、OCSの良さも味わえると思うのだが、それが難しいのなら、仕方ない。OCSは合わなかったとして、他の作戦級ゲームを遊べばいいだけの話だ。ただOCSに限らず、そのゲームの理念を理解せず、受容もできず、理念に沿ったプレイをせぬままに、そのゲームを語るのは止めておいた方がいい。