Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW:Day of Infamy」What If Wake Island Relief Operation Solo-Play AAR Part.3

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さて、1941年12月前半ターンの日本軍移動フェイズ、戦闘フェイズに続いて、突破フェイズ。つまり移動フェイズ=第1海上移動セグメントに続く、第2海上移動セグメント。復仇に燃える日本軍は、第6戦隊・第6水雷戦隊をまとめて、空母サラトガ隊の捜索に投入。合計駆逐艦10隻を含むこの海上任務グループは、索敵に+3修整が得られたが(駆逐艦3隻ごとに+1修整、最大+3まで)、ダイス目が低くこれに失敗。同じく呂号潜水艦戦隊も、サラトガ隊の捜索に失敗してしまった。うーん、もしかして第6戦隊(索敵修整+1)、第6水雷戦隊(索敵修整+2)で、2回判定した方が良かったかも。

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一方、第2航空戦隊も、零戦0.5ステップをCAP(戦闘上空哨戒)に上げつつ、航空巡洋艦利根・筑摩の零式水偵を発艦させ、エンタープライズ隊の捜索に向かわせた。しかしこの水偵隊も索敵に失敗。日本軍に、さらなる嫌な予感が漂い始めた……

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代わって、突破フェイズ=第2海上移動セグメントのアメリカ軍の移動。空母エンタープライズ隊も、第2航空戦隊の索敵にTBD-1を発艦させた。しかしこちらも日本軍を発見できず。ええい、どっちもヘタクソか! でも空母戦ってこういうものよね。

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そして殊勲の空母サラトガからも、索敵にTBD-1が発艦。すると、またしてもこれが日本軍艦隊(第6戦隊+第6水雷戦隊)を発見。早速、空母サラトガから攻撃隊としてSBD-3 0.5ステップ✕2が発艦した。そして攻撃隊の索敵判定も、またもや成功。サラトガ隊は、20%という確率ながらも、続けて日本軍艦隊の攻撃に成功したのだ。そして上空直掩の無い日本軍艦隊にSBD-3が舞い降りた……

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重巡洋艦(CA)4、軽巡洋艦(CL)3、駆逐艦(DD)10という大所帯めがけて、SBD-3が迫る。しかし大所帯ながらも、日本軍が対空力として合算できるのは、主力艦(巡洋戦艦以上)1+巡洋艦1+駆逐艦1の対空力まで。対空力は、カウンター左下の左側の数値だが、駆逐艦はまったく対空力が無い。そのため重巡洋艦1隻の対空力1で射撃を行ったが、当然のように効果は無かった。ちなみに軽巡洋艦(CL)の対空力「*」は、0.5、2隻あれば「1」として扱うという意味である。

前回同様、SBD-3は作戦爆撃力3だが、近距離爆撃(+50%)と、急降下爆撃機による作戦爆撃任務(+50%)で、作戦爆撃力6となり、6回爆撃判定が行える。10面体ダイス1個を振って8以上なら命中で1ヒット、10ならクリティカルヒットで再判定。SBD-3隊は、重巡洋艦部隊に狙いを定めた。結果……

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重巡古鷹への爆撃は、6回中3回成功し3ヒット。古鷹の防御力は5(カウンター右上の数値)なので、ヒットポイントは3となり、あえなく撃沈。重巡加古には、1ヒットが与えられた後、2回目の命中がクリティカルヒット(ダイス目10)となり、クリティカル表で再判定し、これが2ヒット命中となり、合計3ヒットでこちらも撃沈となった。さらにSBD-3は、余った爆撃力で重巡衣笠にも1ヒットを与えた。衣笠は、ヒットポイント3のうち1ヒットなので中破というところか。にしてもサラトガ隊、恐るべし……

そして、ここで日本軍プレイヤーターンが終わり、両軍の航空機はいったん任務を終えて帰投し、続いてアメリカ軍プレイヤーターンとなる。アメリカ軍の移動フェイズ=第3海上移動セグメントは、アメリカ軍から行うため、再度、空母サラトガが日本軍艦隊を索敵・攻撃する番となる。つまり、上手くいけばダブルムーヴになるわけだ。ただし索敵によって得られた「発見」は、プレイヤーターン中にしか効果が無いため、日本軍からアメリカ軍へプレイヤーターンが切り替わってしまうと、すでにその効力は無くなっている。そこでサラトガ隊はもう一度、索敵機を飛ばし、日本軍艦隊を発見し直す必要がある。しかし、さすがにこの索敵ダイスは失敗。それでもサラトガ隊は、ウェーク島に入り、積んでいたF2A戦闘機0.5ステップを揚陸した。

エンタープライズ隊も、再び第2航空戦隊戦隊を捜索したが、これも失敗。とりあえずこちらもウェーク島ヘクスに入り、サラトガ共々CAP(戦闘上空哨戒)を張り、日本軍を待ち受ける形とした。うん、まあ、エンプラ隊は良いところがまったく無かったが、第2航空戦隊を誘引してウェーク島から引き離し、間接的にサラトガ隊を援護したという意味では、十分仕事をしたなと。

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そして次は、第3海上移動セグメントの日本軍の移動だが、さすがに輸送船団全滅、重巡2喪失、1中破とあっては、作戦を中止する他ない。第2航空戦隊は日本本土へ、第6戦隊・第6水雷戦隊はサイパン方面へ撤退した。日本軍の獲得勝利ポイントは、航空スコードロン0.5撃墜の1.5ポイントのみ。喪失ポイントは、重巡(CA)撃沈2で-6、輸送ポイント撃沈4で-4、差し引き-8で連合軍勝利と相成った。

とは言え、キャンペーンシナリオで、アメリカ軍プレイヤーとしてこのウェーク島救援作戦をやるかと言われると、かなり微妙だ。今回アメリカ軍は、かなりダイス目に助けられたが、本来まだ1941年中は日本軍の方が修整的にも有利だし、あと1ターン待って1942年に入ってからの方が互角に近い状態で戦える。しかしまだ不利な1941年12月中でもこれだけやれるというのも、大きな参考になるなあと。

さて次は、年明けに独ソ戦前半を扱う「TSWW:Barbarossa」も出るだろうし、その前に「TSWW:Hakkaa Päälle」に戻って、フィンランド冬戦争の、本格的陸戦シナリオに挑戦したいところ……

【The Second World War】「TSWW:Day of Infamy」What If Wake Island Relief Operation Solo-Play AAR Part.2

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では仮想・第二次ウェーク島攻略戦、開始。まだまだ練習ソロプレイなので、VASSAL上で考えながら部隊を動かし、その手順を記録していこう。

1941年12月前半ターン。先手、日本軍の移動フェイズから。すでにウェーク島近海に到達していた第2航空戦隊から、A6M2こと零戦0.5ステップ(20機相当)、D3A1 Valこと99艦爆0.5ステップ✕2(40機)、B5N2 Kateこと97艦攻0.5ステップ✕2(40機)が作戦爆撃任務に発進。その目標は、第一次攻略戦で日本軍を撃退した、ウェーク島の沿岸陣地(レベル5=砲撃力10、重巡加古・古鷹、衣笠の砲撃力11と同等)である。最も航続距離が短いのは99艦爆(航続距離15)だが、ウェーク島までは3ヘクス飛行するものとし、額面航続距離の1/4以下なので、近距離爆撃=爆撃力+50%とする。

これに対してウェーク島守備隊のアメリカ軍も、迎撃にF4F-3ワイルドキャット0.25ステップ(なにせ稼働機が4機しかない)が発進。日本側航空部隊は、護衛グループ(零戦)と、任務グループ(99艦爆97艦攻)に分かれるが、迎撃側F4F-3は、まともに護衛の零戦隊とやり合ってもいいし、真っ直ぐ爆撃機隊に向かってもいい。ただ後者の場合、爆撃機隊に向けて空戦を行う前に、護衛の零戦隊から射撃を受けるので、あまり望みは無い。ということで、F4F-3は零戦隊と空戦に。零戦は、空戦攻撃力4・防御力3。F4F-3は、空戦攻撃力2・防御力2(機数が少ないので戦力も低い)。両軍の練度を表す、1941年の海軍戦闘補正(NEM)は、日本軍が+2、アメリカ軍は0。空戦は同時解決だが、零戦隊は、戦力差+2、ダイス修整+2、ダイス目9で修整後11、結果は相手方の「1」ステップロスでF4F-3を撃墜した。対するF4F-3は、戦力差-1、ダイス修整0、ダイス目4で「R(帰還)」となり、零戦隊は無傷で帰投した。

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さらに第2航空戦隊上空には、CAP(戦闘上空哨戒)の零戦を0.5ステップ配置。航空巡洋艦利根・筑摩のE13A1 零式水偵は待機。呂号潜水艦戦隊は、このメガヘクス内に哨戒ゾーンを形成し、敵艦隊が進入次第、それを観測し、攻撃する構え。そして(上の写真では隣のヘクスに表示しているが)ウェーク島ヘクスには、艦砲射撃を行う第6戦隊、第6水雷戦隊と、上陸部隊が移動してきている。

作戦爆撃任務の解決は、移動中どこでもいいので、とりあえず移動が終わった段階で、沿岸陣地への爆撃を判定してみよう。沿岸陣地に対しては、8爆撃力を投下する毎に1ヒットを与えられ、沿岸陣地レベルを1下げるには、2ヒットが必要となる(ただしこのターンのみ。恒久的なダメージではない)。97艦攻の作戦爆撃力は3、99艦爆の作戦爆撃力は2だが、近距離爆撃なので+50%となり、それぞれ爆撃力は4.5、3となる。さらに99艦爆は、タイプD=急降下爆撃機なので、作戦爆撃任務では爆撃力+50%となるため、結果4となる。それぞれ2ユニットずつあるため、4.5+4.5+4+4=合計17作戦爆撃力となり、これがすべて投下されれば2ヒット、沿岸陣地を1レベル下げられる。

ただし爆撃の前に、対空射撃を解決しなければならない。沿岸陣地は、本来ならレベルの1/2の対空力を持つため、ウェーク島の沿岸陣地は対空力2.5を持つはず。しかし、カウンターの右上には対空力を表す「1」という数値があるため、今回はこれを適用する。たぶん海岸砲に比べて、対空砲が少ない陣地なのだろう。そして対空力1、海軍練度補正0では、当然のようにハズレ。

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これによって17作戦爆撃力が海岸陣地に投下され、そのうち16爆撃力によって2ヒットが与えられた。余り1作戦爆撃力に関しては、100面体を振って12以下なら1ヒットを与えるものとする(1/8=12.5)。そう、そこまでやるのだ。まあ、出目は39なので、これはハズレ。沿岸陣地は、1レベル低下となった。

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日本軍の移動が終わると、今度はアメリカ軍の移動である。空母エンタープライズ隊は、第2航空戦隊に隣接する海上ゾーン(メガヘクス)まで接近。索敵任務としてF4F-3スコードロンを発艦させた。索敵範囲は1海上ゾーンであり、10面体ダイスを1個振って8以上なら発見となる。ダイス目には、海面状況、海軍効率補正(NEM)、観測修整が加わるが、今回の場合、1941年の連合軍空母の飛行任務+1しかつかないため、7以上が出ないと第2航空戦隊を発見できない。そしてダイス目は4。空母エンタープライズ隊は、第2航空戦隊を発見できず、いったんウェーク島沖から退避した。ううむ、1941年のアメリカ海軍はこんなものか……(1942年から海軍効率補正+1もつく)

※ルール間違い。索敵機として使用できるのは、タイプA(攻撃機)、タイプD(急降下爆撃機)、タイプR(偵察機)のみ。

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代わって、空母サラトガ隊がウェーク島ヘクスに接近し、やはり索敵にF4F-3を発艦させた。1海上移動セグメント中には、特定の1海上任務グループしか索敵できないため、空母サラトガは、日本軍上陸船団の索敵を行った。こちらも発見の確率は同じながらも、ダイス目は9。これにより見事、日本軍上陸船団を発見してしまった。当然、空母サラトガから、SBD-3ドーントレス爆撃機0.5ステップ✕2(40機)、TBD-1デヴァステーター雷撃機0.5ステップ(20機)が、海上爆撃任務として発進した。

ここで、さらに攻撃隊が上陸船団を発見できたかどうか判定する。10面体ダイス1個振って、6以上なら成功だが、ダイス目は7。サラトガ艦爆隊は、上陸船団を捕捉した。

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サラトガ隊は、TBD-1を駆逐艦睦月に、SBD-3を輸送船団に向けた。日本軍は、主力艦1+巡洋艦1+駆逐艦1までの対空力を合算できるが、あいにく駆逐艦睦月は対空力0(カウンター左下の左の数値)。仕方なく輸送船団の対空力1で迎え撃つが、効果は無かった。

SBD-3は、作戦爆撃力3だが、近距離爆撃(+50%)と、急降下爆撃機による作戦爆撃任務(+50%)で、結果6となる。さらに対艦・急降下爆撃は、成功のダイス目修整+2が加えられる。TBD-1は、コードV(対艦魚雷装備)なので、魚雷力3となる。

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結果から言うと、サラトガ隊の攻撃は大当たり。TBD-1の魚雷攻撃は、判定3回のうち2回命中し、さらにヒット判定で2ヒットを駆逐艦睦月に与え、これを撃沈。SBD-3も、それぞれ判定を6回行い、それぞれ4回ずつ爆撃を成功させ、海上輸送4ポイント(防御力3なので2ヒットで1輸送ポイント撃沈)をすべて撃沈した。第2舞鶴陸戦隊も、第4工兵連隊もウェーク島沖で海没……

いや、正直ここまでアメリカ軍の攻撃が成功するとは思わなかった。なにしろ、先に書いたように、艦隊索敵(40%で成功)と攻撃隊索敵(50%で成功)に成功する必要があるため、アメリカ軍が爆撃を行える確率は20%しかなかったはず。エンタープライズ隊のように、索敵段階でしくじるのが普通なのだが、そこからさらに命中、輸送船団を全滅させるとは……。かなりダイス目にも助けられたが、アメリカ軍にとっては会心の一撃真珠湾の復讐である。

※ルール間違い。本来は索敵用にTBD-1(タイプA)を使用していたため、爆撃に参加できるのは、SBD-3✕2ユニットのみである。まあ、それでも輸送船団は全滅ということで。

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さて戦闘フェイズ。ウェーク島ヘクスに到達した第6戦隊・第6水雷戦隊は、本来なら、この後に控える強襲上陸に備えて、上陸艦砲支援射撃(AGS)を行うはずだった。しかし上陸船団が壊滅してしまったので、沿岸陣地を砲撃しても仕方ない(ヒットは与えられるが、あくまでこのターンだけの一時的なもので、恒久的なダメージにはならない)。

しかしそこは練習ソロプレイ。もしウェーク島の沿岸陣地に対し、上陸艦砲支援射撃を行っていたらどうなるか、計算してみよう。各艦艇の砲撃力は、カウンター左上に記されている。第6戦隊・第6水雷戦隊すべての艦艇の砲撃力を合算すると、合計76。この砲撃力を8で割った数値が、沿岸陣地に与えるヒット数となるが、観測用の水偵があれば、6で割れる。幸い、4隻の重巡には、観測用の水偵が搭載されているため(カウンター中央下のFがそれを示す)、76÷6=12.66となり、確実に12ヒットは与えられる。沿岸陣地はすでに爆撃によって2ヒットを被っているため、合計14ヒットとなり、7レベルダウンし、このターン中はもはや機能しなくなったはず。

対する沿岸陣地も、先の爆撃によって1レベル下がった4レベル陣地として8砲撃力で、駆逐艦に撃ち返すだろう。

いや待て。ということは、第6戦隊・第6水雷戦隊だけで、5レベル沿岸陣地を潰せたということか。まあ、そういった計算も、本来は事前にやっておけという話だが、まだ「合計砲撃力÷8(または÷6)=与えるヒット数」という計算式が頭に入っていなかったので、これからは気をつけよう。またこの計算式は、地上ユニットを支援する戦闘艦砲支援射撃(CGS)でも同じで、「合計砲撃力÷8(または÷6)=地上ユニットに加算する戦力」となるので、覚えていた方が良さそうだ。

だとすれば、第2航空戦隊の爆撃は必要なかったわけで、むしろ日本軍も、蒼龍隊・飛龍隊に分かれて、それぞれエンタープライズサラトガの索敵・攻撃に向かわせた方が良かった? または、第2航空戦隊と輸送船団を合流させて、零戦2ユニットでCAP(戦闘上空哨戒)をした方が良かったかも。まあ、今さら後の祭りだが、あまり最初から理詰めで計算してプレイするよりは、むしろこれぐらいの被害が出ると分かった方が今後の参考にもなるしね。 

とにかく上陸船団が壊滅した今、日本軍のウェーク島占領の道は断たれたし、戦力の喪失という意味でも、勝利ポイント的に負けている。ならば日本軍としては、これからアメリカ軍艦艇を撃沈し、巻き返すしかない。逆にアメリカ軍としては、このまま退避しても引き分けに持ち込めるが、さてどうなるか……

【Wargaming Column】My World War II X'mas Tree 2019

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※War-Gamers Advent Calendar 2019 参加企画

今年の夏、猿遊会主催のたかさわさんの音頭で、N村さん、vk-satoさんと江古田で飲んだ時、ウォーゲームのスケール(戦略級~作戦級~戦術級)の話題が出た。ウォーゲームのスケールというのも、かなり曖昧で、時代やテーマによって異なるし、人によって定義も異なるよねという話になったのだが、今回は、自分なりのウォーゲーム・スケールという奴を、我が家で所有されているWWII(第二次世界大戦)陸戦ウォーゲームをお題に、季節柄、クリスマスツリーに見立てて分析しようと思う。

【Wargaming Column】江古田4人会・2019夏 - Wargaming Esoterica

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まずクリスマスツリーの一番上に、お星様の如く輝くのは「政戦略級」とも言うべき、GMT「Gathering Storm」。リデルハートなら大戦略級」と呼ぶかもしれない。11月に買ったばかりでまだ未プレイだが、一応、我が家のWWIIゲームの中では、一番スケールが大きい。ここでは、実際の戦争の帰趨よりも、いかに戦争に備えるかという国家戦略がテーマとなり、当然、政治、外交、経済という要素が含まれる。むしろ戦争そのものは指揮しなくてもウォーゲームとして成立するあたりが、次の「戦略級」との違いであり、特徴かなと。まあ、このスケールは出版点数も少ないし、今のところ「Gathering Storm」と、そのアジア版「Storm over Asia」(未発売)だけあれば良いかなと思っている。ちなみに1ターン=3ヶ月。

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その一段下に置かれるのは、オーソドックスな「戦略級」であるGMT「A World at War」。単純に言えば、戦争全体を指揮するスケール。もちろん、政治、外交、経済も含まれるものの、「政戦略級」とは違ってそこだけで留まらず、実際の戦争の遂行がメインテーマとなる。このスケールも今現在、我が家では「A World at War」しかない。以前は「第三帝国」「World in Flames」にも手を出したが、すでに断捨離済み。しかし「A World at War」は、1ユニット=軍団級、1ターン=3ヶ月だが、たとえばGMT「Unconditional Surrender !」は、1ユニット=軍級、1ターン=1ヶ月と、このスケールでも表現する部隊規模、時間はいろいろだし、その違いも楽しめる。

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我が家のツリーで、その下に位置するのが、アドバンスド・エウロパ・シリーズことTSWW(The Second World War)シリーズ。こちらは、政治、外交要素は無く、1ユニット=師団級、1ターン=半月なので、作戦級と呼んでもおかしくない。ところがTSWWの場合、戦略爆撃や潜水艦戦争など戦略戦闘も扱うため、単純に作戦級とも言い難い。ここはいっそ、戦略級っぽい作戦級=「戦略作戦級」と名付けるのはどうだろうか。また東部戦線全体や、日中戦争、冬戦争、スペイン内戦といった、単なる作戦レベルを超越したスケールという意味で「戦域級」と呼んでもいいかもしれない。 なにしろTSWWの場合、昔の陸戦メイン・海空戦は付け足しというエウロパシリーズとは違って、空戦マシマシ、海戦マシマシ、補給要素全部載せみたいなメニューになっているので、だいぶ違ってくるぞと。

この「戦略級」と「作戦級」の狭間のゾーンもなかなか面白く、以前所有していたSPI「第二次欧州大戦」も、1ユニット=師団級、1ターン=1週間の戦域レベルの作戦級でありながら、生産を含めた戦略級でもあった。また1ユニット=軍団級、1ターン=2ヶ月の「ロシアン・キャンペーン」は、時空間的には戦略級なんだけど、あくまでデッカい作戦級だと思っている。

そう、おおざっぱに「作戦級」とは言え、1ユニット=師団級~連隊級~大隊級、1ターン=1週間~1日~半日では、出来ること、やらされることも違ってくる。「戦略と戦術の間にあるのが作戦」という概念は良しとしても、第二次大戦の東部戦線のように、アホのように広大な作戦域や、長期間の作戦もあり、単純にひとくくりにするのもどうかなと。また局地的・短期的な作戦が軸となれば、より細かいディティールが彫り込まれて、戦術級寄りになってくる。言ってみれば「作戦級」は、このクリスマスツリーの幹であり、もっとも枝葉が伸びている部分なので、このスケールはもう少し細分化して見てみよう。

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まず、我が家のオーソドックスな「作戦級」ゾーンを占めるのは、OCS(Operation Combat Series)。1ユニット=師団級、1ターンは、基本的には1/2週間。TSWWが扱うような戦略次元は省き、あくまで作戦次元だけを扱い、キャンペーンシナリオともなれば、自分で数ヶ月単位の作戦も立案できる。その一方で、装備戦車によってユニットの戦力が異なったり、航空機に機種の違いがあるなど、ちょっとした戦術的ディティールも盛り込まれているのも特徴。

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我が家で言うと、Simonitch御大の「Stalingrad'42」「Ukraine'43」あたりも、OCSと同じく戦略次元は扱わない、1ターン=師団級、1ターン=1週間未満の「作戦級」。ただしOCSより、戦術的ディティールは省かれているため、よりシンプルかつ純粋な「作戦級」と言えるかもしれない。実際、このあたりが一般的には人気もあるだろうし、出版点数も多いように思う。『うちのクリスマスツリーは、その部分が一番枝葉が伸びてますよ』と仰るウォーゲーマーも多いだろう。しかし我が家のツリーでは、この「純粋な作戦級」という奴が一番少ないのだ。以前はあれこれ買い集めたけれど、どうも物足りず、断捨離によって剪定され、今残っているのは、むしろ上層の戦略次元を採り入れていたり、下層の戦術次元まで再現するようなものばかり。この一番ポピュラーなあたりに、物足りなさを感じるというのもどうかと思うが、欲張りなウォーゲーマーなので仕方ない。

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さらにツリーを下がって、1ユニット=連隊級、1ターン=半日の局地的・短期的な「作戦級」ゲーム……「Ardennes'44」「Holland'44」あたりになると、OCS等より、もっと戦術的ディティールが彫り込まれ、その駒さばき(戦車と歩兵をスタックさせて諸兵科連合効果を得よう等々)は、作戦というより戦術行動になってくる。また作戦もかなり規定され、その枠内での自由度も低くなる。乱暴に言うなら、作戦をやらされる作戦級。当然『俺は自分なりの作戦を立てたいのにそれができない!』と文句が出てもおかしくない。しかしこれがつまらないかと言われるとそんなこともない。世の中には『自由に作戦を考えていいよ』と言われても困る人たちもいるし、中間管理職よろしく、下された作戦命令をどこまで効率的に遂行できるかを楽しめるのが、この手のゲームだと思う。

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さらにツリーを下りていくと、1ユニット=大隊級、1ターン=8時間(午前・午後・夜間)の「作戦級」ゾーンに入る。ここを占めるのは、まずGOSS(Grand Operational Simulation Series)。軍団単位の管理システムもある一方、さらに戦術的ディティールも細かくなり、戦術級っぽい作戦級=「戦術作戦級」とも言える。「Atlantic Wall」に関して言えば、大枠としてはノルマンディ上陸・半島突破作戦という長期的な作戦を扱いながらも、キャンペーンゲームの中で、グッドウッド作戦のような2~3日程度の局地的な作戦を、いつ、どこで、どの部隊で行うかという作戦立案もできるという欲張りさん。

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そしてGOSSと同じく、1ユニット=大隊級ながらも、1ターン=1日という「作戦級」としては、BCS(Battalion Combat Series)がある。BCSは、GOSSと同じ大隊級とは言え、戦車ユニットに射程があって撃ち合うため、さらに「戦術作戦級」寄りだと思う。戦術戦闘面ではBCSの方が細かく再現されているが、タイムスケールとしてはGOSSの方が1日の動きをより細分化している。

こうして見てみると、「戦略と戦術の間にあるのが作戦」という概念は正しいものの、第二次大戦で言うなら、大は数ヶ月規模の東部戦線から、小は数日規模の局地戦まで、「作戦」というスケールはかなり幅がある。そしてここまで作戦域の幅が広い戦争というのも、第二次世界大戦以外に例が無いし、だからこそ多くの作戦級ゲームが生まれているのだろう。

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さらにその下には、1ユニット=中隊級ゾーンがあるが、あまりこのスケールのゲームは多く発売されていない。我が家ではGTS(Grand Tactical Series)とCSS(Company Scale System)という兄弟シリーズが占めているが、どちらも1ターン=2時間で、実際のプレイは戦術級的なのに師団管理もある。このあたりは、作戦級っぽい戦術級ということで「作戦戦術級」と呼んでいいだろう。個人的には、この1ユニット=大隊~中隊という「戦術作戦級」「作戦戦術級」(ややこしいな)が大好物。

ちなみにこの呼び方、音楽評論家のピーター・バラカン氏による『ジャズっぽいロックがジャズロックで、ロックっぽいジャズがロックジャズ』という、非常に単純かつ深遠な呼び方に倣っている。つまり軸足が後ろに来る。「戦術作戦級」は、あくまで作戦級という立ち位置ながら戦術級テイストを備えている。「作戦戦術級」は、あくまで戦術級に軸足を置きながら作戦級テイストを備えているということ。いやもちろん、その立ち位置なり軸足という判断にしても、あくまで俺の中での話よ。

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そしてWWIIクリスマスツリーの一番下の土台には「戦術級」が控えている。我が家でこの土台を支えているのは、1ユニット=分隊級、1ターン=2分の「Advanced Squad Leader(ASL)」シリーズ。まあ、なかなかプレイできていないし、コレクター的にもなっているが、集めるのもASLの楽しみよね。

そして「戦術級」には、他にも1ユニット=小隊級があるが、あいにく我が家では今現在、そこが空いている。そもそも自分は、まさにその1ユニット=小隊級である「Panzer Leader」からこの趣味に入ったのに、今ではそこが無いというのも不思議な話。

第二次大戦の「戦術級」には、架空の地図盤を用いて擬似的な戦場でプレイするものと、史実の地図盤を用いてプレイするものがある。自分の場合、擬似的な「Panzer Leader」「Squad Leader」から入ったものの、「The Devil's Cauldron」で史実の地形を用いる戦術級に触れてから、俄然、史実派に傾いてしまった。恐らく今現在、自分が夢中になれる、史実に沿った地図盤を用いてプレイする小隊級ゲームと出会えていないのが問題なのだろう。以前はTCS(Tactical Combat Series)がそこを埋めていたが、ちょっと趣味が合わず(Not for Me)、すでに断捨離してしまったし。

そういう意味では、ASLも、架空地形を用いるシナリオよりは、史実に沿ったヒストリカル・モジュールに触れたいと思っている。そのキャンペーンゲームになると、手持ちの部隊をいつ盤面に投入するかという、師団規模ぐらいの管理も楽しめるし。まあ、そこもなかなか手が出せていないので、とりあえずはモジュールをいろいろ集めている段階。

さらに「戦術級」には、1ユニット=個人級、あるいは1ユニット=1機、1艦を表す個体級もあるが、もうそこには手を出さないと思う。ASLも、車両だけは1ユニット=1輌=個体級だし、そもそもASLだけでお金がかかるので、他の「戦術級」に手を出す余裕が無いというのも真実。このゾーンはもう、ASL一筋で行くしか……

とまあ、2019年の我が家のWWIIクリスマスツリーはこのような構成に。そしてこの構造も、来年、3年後、5年後にはどうなっているか分からないので、いずれまたツリー構造が変わってきたら、あらためて記事にしてみたい。そしてこのツリーの空戦版、海戦版、戦国時代版、ナポレオン戦争版等のバリエーションも作れるし、自分が所有しているウォーゲーム・コレクションをすべてツリー構造化しても面白いかと。普段、自分が触れているウォーゲームを構造的に分析してみると、どこが多くて、どこが少ないか、どう偏っているかが分かるのも面白い。まあ、分かったからといって、その偏りをどうにかする必要もなく、その偏りこそが、その人の個性であり好みなのだけれど。

【The Second World War】「TSWW:Day of Infamy」What If Wake Island Relief Operation Solo-Play AAR Part.1

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夏頃からVASSAL上でセットアップしていた「TSWW:Day of Infamy」の仮想・ウェーク島救援シナリオをようやくソロプレイしてみた。

史実での、日本軍による(第一次)ウェーク島攻略作戦は、1941年12月8日、真珠湾奇襲と時を同じくして開始された。しかし日本軍は、この島を簡単に攻略できると考え、その攻略部隊は、軽巡3隻、駆逐艦6隻という、わずかな陣容であった。しかし実際に上陸作戦を開始すると、海岸砲台からの砲撃と、守備隊戦闘機(戦闘可能だった、わずか4機のF4F-3)によって、駆逐艦2隻を撃沈され、退却するという散々な結果に終わっている。そこで12月23日、あらためて、重巡青葉を中心とする砲撃部隊や、真珠湾帰りの第2航空戦隊……空母蒼龍・飛龍を加えて、第二次ウェーク島攻略作戦を行い、ようやく島を占領した。

これに対してアメリカ軍も、空母エンタープライズサラトガを送ってウェーク島を救援しようとしたが、真珠湾での大打撃により、太平洋艦隊司令長官をキンメルからニミッツに変更する時期にあたり、その指揮系統の混乱から作戦は中止されている。

しかしこのシナリオは、もしも空母エンタープライズサラトガウェーク島の救援に向かっていたら?という想定を検証するものである。その場合、第2航空戦隊との間で、史実のセイロン島沖や珊瑚海海戦より前に、空母部隊同士の戦闘が発生するわけで、なかなか興味深い仮想シナリオではないかと思う。

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では、両軍の参加兵力を見てみよう。

まず日本軍は、第2航空戦隊(空母蒼龍、飛龍、航空巡洋艦筑摩、利根、駆逐艦2)、第6水雷戦隊(軽巡夕張、龍田、天竜駆逐艦6)、第6戦隊(重巡青葉、古鷹、加古、衣笠、駆逐艦4)に上陸部隊という陣容。シナリオの指定として、第6戦隊は、単独の艦砲射撃部隊として配置してもいいし、第2航空戦隊の援護部隊として配置してもいい。ただし「Day of Infamy」ルール17.C.1.g.iiiによって、日本軍艦隊は(空母が合成風力を得るべく艦隊から離れることを許しているため)1943年6月後半ターンまで、航空攻撃に対して、主力艦1+巡洋艦1+駆逐艦1までしか対空力を合算できないという制限がある。そのため、いくら艦艇を集めても、空母戦闘グループとしての対空力は上がらないので、今回の第6戦隊は、あくまで艦砲射撃部隊とした。

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対するアメリカ軍の2個空母戦闘グループは、その対空火力をすべて合算できる。また空母サラトガには、史実通り、ウェーク島に揚陸する戦闘機と海岸砲台ユニットも、輸送船に乗船する形で随伴している。となると、日本軍艦隊を攻撃する役目はエンタープライズ隊が担わせ、サラトガ隊はあくまで輸送船団の護衛とするのが良さそうだ。

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次に、シナリオの指定として、真珠湾帰りの日本海軍第2航空戦隊は、すでに燃料の1/3を消費した状態となっている。以前プレイした真珠湾奇襲シナリオでは、あまり燃料面には触れなかったが、今回はもう少し詳しく見てみよう。
各艦艇には、1移動フェイズ(約3.75日間)に戦略地図上を何ヘクス移動できるかを示す、戦略移動力(SMA:Strategic Movement Allowance)がある。戦略移動力は、カウンターには記載されておらず、別表に記されている。1ターン中には、4回の海上移動機会(自軍の移動フェイズ、自軍の突破フェイズ、相手方の移動フェイズ、相手方の突破フェイズ)があり、各艦艇は、戦略移動力の4倍の燃料、つまり1ターン(約15日間)での移動機会4回を、まるまる移動できるだけの燃料が積まれている。それ以上、ターンをまたいで移動を継続したいなら、洋上補給が必要ということ。

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VASSAL上では、各艦艇の戦略移動力は、カウンター右下に、水色の枠内に表示される。また、その隣の白い枠内に表示されている数字が、残余燃料である。

日本軍の空母飛龍の場合、戦略移動力は38なので、満タンならその4倍の、燃料152となる。しかしシナリオ開始時は、その2/3しかないため、残余燃料は100とする。しかし同じ空母蒼龍の場合、戦略移動力は29なので、満タン燃料で116、その1/3の残燃料76となる。

実際、空母蒼龍の積載燃料は3400トン、航続距離7680浬であり、空母飛龍の積載燃料も3750トン、航続距離7670浬とあるので、あまり差は無いように思う。ただ、空母飛龍は、公試で10250浬を達成したという話もあり、それを元に戦略移動力に差が付けられたのかもしれない。

と、ここまで読んで『TSWWって燃料消費計算が面倒だなあ』と思われたかもしれないが、むしろ「一律1/3消費済み」という処理は、TSWWとしてはかなり省略されているし、おおざっぱだ。

本来、各艦艇は、フェイズ毎に燃料消費が異なるが、海上任務グループとして編成されると、同一の移動力で移動しなければならない。第2航空戦隊の場合、空母を含んだうえ、すべての艦船が戦術移動力7以上のため、高速空母グループとして編成される。高速空母グループは、各フェイズ毎に21移動力でまとまって移動できる。

ここで面倒なのは、各艦艇の戦略移動力の差である。空母蒼龍は戦略移動力38、飛龍は29、航空巡洋艦筑摩と利根は31なので、1フェイズ中に21移動力消費できる。問題なのは、2隻の駆逐艦の戦略移動力が18しかないことだ。エンジンの大きい空母と巡洋艦は余裕で進めるが、駆逐艦は、通常の戦略移動力18を3超過消費して追随しなければならない。そのため、第2航空戦隊がそのまま移動を続けると、4回目の移動あたりで、駆逐艦の燃料が足りなくなってくるから、やはり洋上補給するか、駆逐艦の燃料が枯渇する前に寄港する……という計算も本来はしなければならないのだ。

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もっとおおざっぱなことに、このシナリオでは、具体的に日本軍を配置するヘクスが記されていない。ただ、真珠湾奇襲が、このシナリオに先立つ1941年12月前半ターンに行われ、その最後の移動機会で、第2航空戦隊はハワイ沖から退避したとしよう。そしてこのシナリオが開始される1941年12月後半ターンの最初の移動フェイズでウェーク島に接近するものとする。

また仮想状況として『日本軍は、アメリカ軍の救援部隊を察知していたのか?』という問題がある。 もし日本軍が、アメリカ軍の来援に気づいていなければ、第2航空戦隊はその航空戦力のすべてをウェーク島の航空制圧・地上爆撃に使うだろう。当然、母艦や、艦砲射撃部隊、上陸部隊の航空直掩は行わず、アメリカ軍空母の航空攻撃には対処できなくなってしまう。

そこで今回のソロプレイでは、日本軍はアメリカ軍の救援を察知しているものとする。ただ、その場合、第2航空戦隊の航空戦力を、どう割り振ればいいのかという問題が生じる。ウェーク島の爆撃を優先するのか、それとも母艦や上陸部隊の直掩にも戦闘機を回すのか。しかし飛龍・蒼龍合わせても、戦闘機隊は、零戦2スコードロン(0.5ステップ✕2)しかない。すべてをカバーすることはできないのだ。となると、母艦の直掩に零戦1スコードロン、ウェーク島爆撃隊の掩護に零戦1スコードロンということか。艦砲射撃用の第6戦隊、第6水雷戦隊、そして上陸部隊本隊に直掩機は回せない。まあ、シナリオの勝利条件的には、ウェーク島を取ることで得られる勝利ポイントの方が大きいため、日本軍としては、敵艦隊の撃滅は後回しにせざるを得ないか。この『島の占領を優先するのか、それとも敵艦隊の撃滅を優先するのか』という問題は、ミッドウェー作戦でも生じたジレンマでもあるので、ある意味、リトル・ミッドウェーとして、このシナリオを試してみることにしよう。

逆にアメリカ軍としては、島を取られても、艦船を撃沈したポイントで勝てる可能性もあるかもしれない。しかし、いくら第6戦隊、第6水雷戦隊が空からの攻撃に対して丸腰だと言っても、巡洋艦駆逐艦をいくら沈めても、ウェーク島を失ったポイントを埋め合られるほどではない。飛龍、蒼龍を2隻とも撃沈できれば、釣り合うかもしれないが、1941年の、まだ練度の低いアメリカ軍にそれが出来るかどうか。

というあたりを念頭に置いたうえで、ソロプレイ開始。しかし相変わらず、TSWWソロプレイは、図上演習的というか、事前に考えることが多くなるし、能書きも多くなるなあ。ちなみにこのソロプレイ、第二次ウェーク島攻略戦78周年記念プレイでもある。 

GMT「Ardennes'44 3rd printing」Solo-Play AAR (Battle of the Bulge 75th Anniversary)

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今年はバルジ戦(1944年12月)75周年ということで、8月に購入したGMT「Ardennes'44  3rd printing」をようやくソロプレイ。と言っても、初版以来9年ぶりに触れるため、あくまでリハビリというか、ルールを思い出すための練習といった程度。ドイツ軍の配置も、プレイブックを見て、ほぼそのまま踏襲。しかしよく見ると、第3版のプレイブックに載っている図版は、第2版のものらしく、ユニットの修整が反映されていないことに気づいたが、まあいいか。

そういや9年前の前回のプレイは、横浜のウォーゲーム・クラブ、YSGAのバルジ大会で『初心者に教えてあげて』と言われて行ったら、当日、マッチングが変更され、ベテラン組に投入され、連合軍でボコボコにやられたんだっけ。そうだ、あれ以来「Ardennes'44」がトラウマになって、第2版も買わなかったんだ。そう考えると、感慨深い再会である(ただしもう二度と近藤さんのマッチングは信用しないぞ)。 

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ドイツ第5装甲軍の攻撃は、ENG(交戦・退却も前進も無し)を連発し、いきなり壁にぶち当たった。 

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第6SS装甲軍は、史実通り、第1SS装甲師団パイパー戦闘団が突破。 

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第3ターンあたりで、ようやく教導装甲師団も前進。しかし第2装甲師団と共に渋滞マーカーにハマって、やや停滞気味。 

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パイパー戦闘団の先鋒は、一気にStavelotの手前まで進出。 

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返す刀で、連合軍増援のアメリカ第7機甲師団が南下。これを邪魔するはずだったハイテの空挺部隊は降下に失敗したが、こちらもグライフマーカーで移動を阻んでいる。

と、第3ターンまで進めたところで、今回のソロプレイはお開き。久しぶりだったせいか、ルールの確認に手間取り、たいして進められなかった。まあ、ちょっと触れておくだけでも意味はあるというものよ。

ただ、個人的には、この9年間で、より詳細な大隊級バルジ「GOSS:Wacht am Rhein 2012」や「BCS:Last Blitzkrieg」に触れ、パイパー戦闘団の戦闘を切り取ったシナリオだけ遊ぶ方が好きになっている。「Last Blitzkrieg」では、Monshau戦区もばっさりカットしているが、たしかに「Ardennes'44」でも、要るんだかどうだか、微妙に感じてしまった。とは言え、1ユニット=連隊級で、おおまかにバルジ戦全体を扱ったゲームを手元に1つ置くとすればこの「Ardennes'44」なので、ひとつの定番枠として、また触れてみようと思う。

【参考文献】アントゥリオ・エチェヴァリア「軍事戦略入門」

軍事戦略入門 (シリーズ戦争学入門)

軍事戦略入門 (シリーズ戦争学入門)

 

創元社から新しく刊行されることになった「シリーズ戦争学入門」の第一弾「軍事戦略入門」を購入。著者は、アメリカ陸軍大学教授等を務めるアントゥリオ・エチェヴァリア。恐らくはコリン・グレイと同様、旧来的な軍事思想のクラウゼヴィッツ学派で、マーティン・ファン・クレフェルトに代表される新戦争学派・第4世代戦争学派とは異なる戦略思想の持ち主かと。やはりこういった本は、著者がどのような戦略思想の持ち主なのかという立ち位置を確認してから読むのが大切。

本書では、軍事戦略を「殲滅・撹乱戦略」「消耗・疲弊戦略」「強制・抑止戦略」「テロ・テロリズム戦略」「斬首・標的殺害戦略」に分類し、そのメリットとデメリットをそれぞれ簡単に解説している。分量的にもほどほどで、戦例も挙げて説明しているので、非常に読みやすく感じた。サイバー戦略、金融戦略にも触れているが、それが旧来のプロパガンダ、経済戦と根本的に違うのかという疑問も呈している。

また、リデルハートが提唱した「間接アプローチ戦略」に関しても、「自らの理論に合うように歴史を切り貼りしており」と手厳しい。実際、第二次大戦で勝利したのは「直接アプローチ」で攻めきったソ連軍じゃないかと。まあ、ウォーゲーム上でも、派手で一発芸的な「間接アプローチ」は人気があるが、自分としてはむしろ地味に戦果を積み重ねていく「消耗・疲弊戦略」の方を多用するタイプ。ウォーゲーマーも、戦略的にいろいろなタイプがいるしね。

【Advanced Squad Leader】「Winter Offensive Bonus Pack #9」「#10」「Action Pack #14」

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毎年恒例、MMPのBlack Friday Saleで買ったASLの小物3点が到着。いや、もうセールで安くなっているモノの中に欲しいブツはひとつしか無かったのだけれど、とりあえずまとめ買いということで。

まずは昨年発売された「Winter Offensive Bonus Pack #9」。こちらはなんと、ヘクス径55mmという、1/285ミニチュア使用も可能なデラックスASLの地図盤4枚とデラックスASL用シナリオ5本のセット。デラックスASLと言えば、1985年、ASLが世に出るのと同時に、第1弾モジュール「Streets of Fire」が、1987年には第2弾「Hedgerow Hell」 が発売されたが、あまり人気が無かったのか、それ以来、出版は途絶えていた。そこへなんでまたデラックスASLの追加なのかと思ったら、来年その2つのモジュールを合わせ、雑誌などで追加されたシナリオをすべて収録した「Delux ASL Redux」が発売されるとのこと。それに先だっての地図盤とシナリオの発表だそうだ。

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自分も、デラックスASLには興味は無く、2つのモジュールも所有していなかったが、まとめて発売されるなら……ということで、一応「Delux ASL Redux」はプレオーダーを入れてある。まあ、よく考えれば、これから先、年老いて視力も落ちてくると、これぐらいデカい地図盤でないと扱えなくなるかも…… 

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そして今年発売の「Winter Offensive Bonus Pack #10」も購入。こちらは両面印刷の横型地図盤10a/b、11a/bとシナリオ4本収録。「Forgotten War」に合わせて、朝鮮戦争シナリオも1本あり。 

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さらに今年発売の「Action Pack #14」も購入。こちらはスタンダードな縦型地図盤#84と、横型地図盤12a/b、シナリオ12本収録。そのうち1944年6月のサン・ロー付近での戦闘を扱ったAP135、AP136シナリオは、マイクロ・キャンペーンゲームとして継続プレイが可能になっている。こちらもアメリカ軍モジュール「Yanks」発売に合わせてか、ノルマンディ上陸以後の西部戦線、フランスでのシナリオばかり。 

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ちなみに「Action Pack #14」の表紙には、イギリス軍のバグパイプ兵が描かれているが、バグパイプ兵が登場するシナリオは無し。いや実際「ASL Annual '89」に、バグパイプ兵ルールがあったので、もしやそれを実装したシナリオが出たかと思ったがそんなことは無かった。ちなみにこのルールでは、バグパイプ兵の演奏範囲内?にいる敵ユニットはその音色で気が散り、バグパイプ兵の演奏技量を修整値として士気チェックを行い、DRに失敗するとPINになったり混乱するという。また同時に、バグパイプ兵の演奏範囲内にいるイギリス軍単独兵(SMC)は、戦意高揚(A10.8)が得られるという利点もあり。またバグパイプ兵が射撃された場合に、楽器が壊れたかどうか判定もあり、ご興味のある方は、カウンターを自作して、イギリス軍が登場するシナリオで使ってみるのも良いかも。