Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Operational Combat Series】OCSv4.3とエラッタカウンターまとめ

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Dropbox - OCS v4.3 rules (beta).pdf

ConsimworldのOCS(Opeartion Combat Series)スレで、OCSv4.3(ベータ版)が公開された。恐らく今年中に発売される新作「OCS:Smolensk」に同梱されるのだろう。まだ細かい差分はチェックしていないが、大きな変更は無いようだ。ただ個人的には、オプションルールとして「Supply Caches」なる概念が登場したのが目に付いた。地図盤外で補給ポイントを管理し、それを奪いにやって来る、いわゆる「Raider(略奪者)」プレイを防ぐ目的のようだ。OCSスレでは早くもユーザーから『マーカーは用意するのか?』という質問が寄せられていたが、実際どうなることか。

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Dropbox - OCS 4.3 Charts Proof 1 Blue V3.pdf

また、OCSv4.3のチャートも公開。なんと青い!これも大きな違いは無いと思うが……

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Dropbox - OCS Errata Counters (MMP).pdf

またOCSに関する話題としては、最近、DSSSMさんが「Guderian's Blitzkrieg II」のキャンペーンを行う際に必要なエラッタカウンターについて書かれていたが、実はOCSのエラッタカウンターは、公式にひととおりまとめてPDF化されている。これもなぜかMMPの公式サイトではなく、ConsimのOCSスレで公開されているのだが、『訂正カウンターは欲しいけど、それが付録に付いている雑誌を買うのは面倒だ』と思われる方は、こちらを印刷して自作すれば宜しいかと。

【参考文献】「独ソ開戦の真実 ジューコフ回顧録完全版が明かす」

「独ソ開戦の真実」(旧題「独ソ戦争はこうして始まった」)を購入。ドイツ軍による侵攻前後の、ソ連側の政治状況を分析した一冊。特に1969年に刊行された「ジューコフ回顧録」から検閲削除された部分と、後にジューコフ自身で追加された部分に着目し、開戦前後で疑心暗鬼になっていたスターリンの心情を読み解こうとしている。もちろん、ヒトラーも含めて、政治指導者の心情そのものは目に見えないものだから、どうしてもその言動から類推するしかないし、それもあくまで類推の域を出ないのだろうが、さまざまな可能性として読んでみると、想像力は刺激される。 

自分も以前、ジューコフ元帥の回顧録は持っていたが、あいにく数年前の断捨離で処分してしまった。まあ、今なら最新版を買った方が良いのだろうけど。 

Marshal of Victory: The Autobiography of General Georgy Zhukov

Marshal of Victory: The Autobiography of General Georgy Zhukov

  • 作者:Zhukov, Georgy
  • 発売日: 2020/05/19
  • メディア: ペーパーバック
 

【Company Scale System】「Guam:Return to Glory」The Devil's Horns Solo-Play AAR

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CSS(Comapny Scale System)シリーズ「Guam:Return to Glory」のシナリオ3「The Devil's Horns」をソロプレイしてみた。本シナリオは、1944年7月21日のサイパン島アサン海岸へのアメリカ第3海兵師団の上陸戦闘を扱うもの。全7ターン。使用範囲は、ハーフマップ程度と、手頃に遊べるサイズだ。

守る日本軍は、上陸海岸の隣に海軍砲3ユニットを配備し、主力は海岸から1km(2ヘクス)内陸の、断崖上に陣地と塹壕を築いている。また山間部には、第48独立混成旅団の砲兵5ユニットが潜み、北には機動予備として第321大隊と戦車中隊が控えている。史実の日本軍同様、砲爆撃に備えてサイパン戦よりも陣地を強化したうえ、隙あらば上陸海岸に突っ込んで、水際撃滅を狙う形になっている。

攻めるアメリカ軍の上陸初日の目標は、正面の断崖陣地だが、さてどうなるか。 

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まず第1(0700時)ターン。アメリカ軍の事前砲爆撃は、さしたる効果も無く、日本軍は空きヘクスに待ち伏せユニットを配置し、さらにイベントで狙撃兵を召喚。アメリカ軍に砂浜から出る隙を無くして上陸を待った。上陸第一波は、グリーン・ビーチで混乱3となった他は、無事、砂浜に揚がっている。

第2(0900時)ターン。またもアメリカ軍の砲爆撃はイマイチ。最初に活性化した第48独立混成旅団は、増援のFurukawa大尉率いる第321大隊+第9戦車連隊第2中隊をもって、上陸海岸レッドビーチ1に接敵。あいにく第2アクションの射撃は外れたが、これを観測部隊として、山間部の砲兵5ユニットがレッドビーチ1へ全力砲撃を叩きこみ、見事、上陸第一波の海兵第3連隊の2個中隊を除去。さらに空いたレッドビーチ1へ歩兵1個中隊を滑り込ませ、早くも上陸海岸を占拠した。

レッドビーチ1を奪われたアメリカ軍だが、早く上陸海岸を出ないと、渋滞による混乱を被ってしまうため、レッドビーチ2のスタックは、内陸へ前進。この後、先に日本軍直接指揮チットが出ればレッドビーチ2まで奪われる可能性もあるが、このターンは、アメリカ軍師団チット1、連隊チット3を投入しているため、アメリカ軍側のチットが先に出るだろうと予想し、あえて海岸をがら空きにした。

しかし、アメリカ軍のこの決断が命取りに。直後に引かれたのは、まさかの日本軍直接指揮チット(確率1/8)。すかさずFurukawa大尉の第321大隊が、レッドビーチ2まで奪い、アメリカ軍の上陸地点を2つ封鎖した。当然、この後引かれた上陸チットでは、レッドビーチ1&2に上陸できず。またこの状況を如実に反映したかのように、イベントで第3海兵師団の部隊練度が1低下。それでもグリーン・ビーチに揚がった海兵スタックが、レッドビーチ2へ白兵戦を仕掛け、なんとかこれを奪回。しかしアメリカ軍の上陸スケジュールは、大幅に変更を余儀なくされた…… 

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第3(1100時)ターン。先手を取ったアメリカ軍は、奪われたレッドビーチ1に砲爆撃を集中し、日本軍2個中隊を除去。残った日本軍戦車中隊には、隣のレッドビーチ2から海兵中隊2個+LVTアリゲーター戦車中隊1個で白兵戦を挑み、なんとかレッドビーチ1も奪回した。しかし日本軍第321大隊の残余が、再びレッドビーチ1に隣接。先のターンと同様、観測役を務め、上陸後に混雑しているレッドビーチ1に、またも間接砲撃を叩き込み、海兵中隊3個とアリゲーター中隊1個を全滅させた。そしてまたこの戦況を反映したかのように、イベントで第48独立混成旅団の部隊練度が1上昇。日本軍の水際撃滅作戦は、功を奏しつつある……

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第4(1300時)ターン。アメリカ軍は、先手で航空支援チットを引き、レッドビーチ1に入り込んだ日本軍中隊を空爆で吹き飛ばした。しかしこのターンの日本軍増援、Miyanashi大尉率いる第319大隊がタイミング良く駆けつけ、空いたレッドビーチ1に滑り込んでこれを維持。これがまた観測役として、今度は隣のレッドビーチ2へ砲撃を叩き込み、ここでも海兵中隊2個を全滅させ、空いたレッドビーチ2を再奪回した。そしてこの戦況をまたもや反映したかのように、イベントで日本軍第29師団の部隊練度も上昇。

アメリカ軍も、再び隣のグリーンビーチからレッドビーチ2を攻め、日本軍中隊を潰走させて、レッドビーチ2を再奪回したものの、時間も無かったため、今回はここでソロプレイを終えた。

感想。アメリカ軍としては致命的な判断ミスを冒したし、日本軍としては勝機につけこんでやれるだけのことはやった感がある。前作「Saipan:The Bloody Rock」も併せて、上陸海岸を日本軍が奪ったのは初めてだが、このような短期シナリオでは決定的一撃となることが分かった。もちろん所詮、防御効果の無い砂浜ヘクスなので、日本軍がいったん奪っても、すぐ砲爆撃で潰されてしまうのだが、次から次に継続的に部隊を送り込んで海岸を占拠し続け、隣接する海岸に間接砲撃を誘導すれば、アメリカ軍に重大な損害を与えられる。しかしまさか最初の4ターンで海兵7個中隊、LVT1個中隊が除去されるとは……。

まあ、今回は日本軍砲兵も大活躍したが、GTS(Grand Tactical Series)で見られた、砲兵と連絡を付けなければならない制限や、その連絡が途絶える可能性が、CSSではばっさり削除され、システムとしてユルくなったのも、活躍の一因かもしれない。

しかしこれがもしキャンペーンシナリオを始めるつもりだったなら、アメリカ軍プレイヤーが『お願いだから最初からやり直そう』と言い出しかねない状況だった。とりあえず、上陸海岸を日本軍が奪うと、アメリカ軍がどれだけ酷い目に遭うかが分かっただけでも収穫である。以後、気をつけよう……

【Company Scale System】「Guam:Return to Glory」Santa Rosa Solo-Play AAR

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昨日に引き続き、CSS(Company Scale System)「Guam:Return to Glory」のシナリオ2「Santa Rosa」をソロプレイ。こちらは1944年8月7日(アメリカ軍上陸18日目、キャンペーンでは終盤)、グアム島北部に位置するSanta Rosa山とMataguac山近辺に追い詰められた日本軍の拠点4カ所(赤い丸マーカーで表示)を、アメリカ第77歩兵師団が攻めるというもの。範囲はハーフマップ、シナリオ期間まる2日(16ターン)と、遊び応えと手頃さのバランスがちょうど良さそうだ。

攻めるアメリカ軍としては、オーソドックスに、左翼の第306歩兵連隊(紫のカラーバー)でMataguac山へ、中央の第307歩兵連隊(黄色のカラーバー)は交通の要衝Yigo村へ、右翼の第305歩兵連隊(赤のカラーバー)は道無きジャングルを進みつつSanta Rosa山へ向かわせることにした。

対する日本軍は、タコツボを掘りつつ、待ち伏せ(Ambush)ユニットと呼ばれる小部隊を捻出して、アメリカ軍の前進を鈍らせるしかない。一応、後方には機動予備として軽戦車1個中隊も控えているが…… 

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さて第1(0700時)ターン。アメリカ軍、前進開始。航空支援と艦砲射撃のコンボがうまく決まり、第307連隊は、早くもYigo村南東の日本軍陣地を陥落させた。

第2(0900時)ターン。再び航空支援が的中し、なんとYigo村の日本軍陣地も全滅(指揮官Maruyama少佐も戦死)。日本軍はあわてて、ガラ空きになったYigo村に機動予備の戦車中隊を滑り込ませた。 

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第3(1100時)ターン。このターンもアメリカ軍の航空支援から始まったが、Mataguac山前面で粘っていた最強レベルの待ち伏せユニット(火力3、防御力-2)が爆撃で吹き飛ばされたうえ、Yigo村に入ったばかりの日本軍戦車中隊も一発で除去されてしまった。再びガラ空きになったYigo村には、タイミング良く、日本軍322/3中隊が滑り込み、なんとか拠点を維持しているが、村にはすでに第307連隊の2個スタックが迫りつつある。またMataguac山の前哨部隊も蹴散らされ、第306連隊が急斜面に取り付いた。 

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第4(1300時)ターン。第306連隊が、Mataguac山頂の日本軍陣地を陥落させ、時を同じくして、Yigo村も第307連隊の手に落ちた(赤丸マーカーを緑丸マーカーに変換)。その2地点の間では、いまだ頑強に日本軍が粘っているが、すでに混乱4(除去寸前)にまで追い込まれ、日本軍戦線は破綻しつつある。

しかしここまで毎ターン師団チットを投入してきたアメリカ軍にも疲労の色が見え始め、すでに勝利条件2カ所を落としたということもあり、第5(1500時)ターンは師団チットを購入せず、疲労の回復に努めた。しかし1100時、1300時と「アメリカ軍の派兵(Dispatch)ポイント+3」という有り難いイベントが続き、第77師団は日没前にもう一度、攻勢をかけることにした。 

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この日最後の日中ターンである第6(1700時)ターン。またもアメリカ軍の航空支援が炸裂し、空爆だけで日本軍待ち伏せユニット3個が吹き飛ばされた。これによって日本軍の前線は完全に破綻し、アメリカ軍中央を進む第307連隊は、道路沿いに一気にSanta Rosa山の麓まで進出。日本軍戦力を東西に分断した。日本軍も、ここまでの戦闘で多くの待ち伏せユニットを失ってしまい、二次戦線を繕うだけの余裕が無い(除去された待ち伏せユニットは再利用不可)。この後、夜間ターンから翌日へとシナリオは続くが、今回はシナリオの味見ということで、ここでソロプレイを終えた。

こちらもシナリオ1同様、CSSの入門用にはちょうど良いサイズのシナリオだった。ゲーム的にも、固定位置からの攻撃だけ扱うシナリオ1よりも面白いと思う。日本軍も基本やられっぱなしなのだが、一応、待ち伏せ部隊の配置などで、あれこれ頭を使う部分はあるし。しかしCSS第一弾の「Saipan」もそうだったが、アメリカ軍の航空支援が強力過ぎる。毎ターン、5つも6つも、地形修整など無視する空爆が飛んでくるの、日本軍プレイヤーからすれば嫌過ぎる……

【Company Scale System】「Guam:Return to Glory」Barrigata Solo-Play AAR

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風邪をひいたせいで延び延びになっていたが、CSS(Company Scale System)「Guam:Return to Glory」に、ようやく着手。まずはシナリオ1「Barrigata」からソロプレイしてみた。このシナリオは、1944年8月2日(アメリカ軍上陸から13日後、キャンペーンでは後半)、バリガタ山の麓にあるバリガタ村に塹壕を築いた日本軍第47独立混成旅団に対し、アメリカ第77歩兵師団が攻撃をかけるというオーソドックスなもの。1300時ターンから夜間ターンIまでの4ターンで、バリガタ村ヘクスの争奪が勝利条件となる。

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最終ターンの状況がこちら。M5スチュアート火炎放射戦車に支援された米軍スタックが、ヘクス35.41、36.42と2カ所の日本軍塹壕に白兵戦を仕掛けてこれを占領したが、それ以外では日本軍の陣地線を突破できず、シナリオ的には日本軍勝利と相成った。

アメリカ軍には潤沢な砲兵・航空支援があったものの、密林や村落に塹壕を築いた日本軍戦線は意外に堅く、単発の射撃ではなかなか戦果が上がらなかった。やはり砲兵か航空支援で混乱させた後、白兵戦を仕掛けるのが常道なのだろうが、日本軍もさくさくと回復したので、アメリカ軍が攻めかかるタイミングを逸した形となった。アメリカ軍としては、射撃火力を上げるために、3個中隊+支援火器(可能なら戦車)+指揮官というキラースタックを作ったが、火力が高まっても防御力が上がるわけでもなく、当然のように日本軍から狙い撃たれ、何度も混乱の憂き目を見た。特に今回は、日本軍側のキラースタック(Miyanashi大尉指揮)が、先手を打ってアメリカ軍側のキラースタックを射撃してその行動を封じる場面が続き、Miyanashi隊は包囲されているものの、最後までバリガタ村ヘクスを死守してみせた。とりあえずCSSの基本システムを学ぶにはお手頃なシナリオなので、まずはここから入門するのが穏当かなと。

【参考文献】エルヴィン・ロンメル「砂漠の狐 回想録 アフリカ戦線1941~1943」

「砂漠の狐」回想録――アフリカ戦線1941~43

「砂漠の狐」回想録――アフリカ戦線1941~43

 

ロンメルの、ある意味、正規版とも言えるような回想録が出たので購入。自分も以前、リデル・ハート編による「ロンメル戦記」を買って読んだが、なぜかもう処分してしまった。リデル・ハートの評伝「リデルハートとリベラルな戦争観」や本書を読むと、どうやら内容に難があったようだが、処分したのも正解だったのかもしれない。もはやパウル・カレルの「砂漠のキツネ」もアテにできないし、今のところは、本書頼みということか。

最近の北アフリカ戦ゲームでは「BCS:Brazen Chariots」がお気に入り。「BCS:Baptism by Fire」もあるが、あれは本書の範囲から外れるカセリーヌ戦だしね。

Command Magazine #137「慶長出羽合戦」AAR

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今日は、久しぶりにKarter氏と自宅ウォーゲーム会。お題は、Karter氏が購入してくれたコマンドマガジン137号「慶長出羽合戦」である。本作は、関ヶ原合戦と時を同じくして、上杉軍(総大将は直江「愛」兼続)が最上義光領へ攻め込むも、関ヶ原での西軍敗報を聞くや、一転、退却戦に移るという一連のキャンペーンを作戦級スケールで再現している。この戦役、隆慶一郎の「一夢庵風流記」最後のクライマックス場面でもあり、久しぶりに「花の慶次」も押入から取り出して読みつつ、自分が最上方を担当、Karter氏が上杉方を担当することとなった。ちなみに「西軍敗報が来ないかもしれない」オプションルールを採用。両プレイヤーとも先が見えないまま、プレイを始めることとなった。 

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序盤、上杉軍(青ユニット)は、サドンデス勝利条件である長谷堂城方面へ総大将・直江兼続率いる主力部隊を向かわせ、さらに上山城、畑谷城へと部隊を進ませた。ちなみに前田慶次を含む黄色字の戦闘力ユニットは、ZOC浸透能力や2ヘクス戦闘後前進が可能であり、さながら戦車隊的な役割である。主力先鋒を突き進む前田慶次は、バルジの戦いで言えば第1SS装甲師団か。「大ふへん者」と書かれた旗指物をなびかせたケーニッヒスティーガーに乗った前田慶次SS中佐が目に浮かぶ……

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対する最上軍(赤ユニット)は、モスクワを防衛する1941年冬のソ連軍の如く、各地から招集したユニットを五月雨式に前線に投入し、ドイツ軍…じゃねえ上杉軍の前進を阻むつもりだった。しかし上杉軍は、早々と畑谷城を落として、最上軍の貧弱なユニットを各個撃破。これにより最上軍は、反撃に備える予備兵力まで失うハメに陥った。

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ゲーム中盤には、ようやく最上軍の援軍として伊達軍3ユニットが到着。さながらレンドリースでモスクワ前面に送り込まれたM3リー戦車か(伊達軍ユニットは緑色だし)。最上軍も、黄色戦闘力ユニットを機動予備として後方に確保し、戦術チットを装備させて反撃に備えるはずであった……

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しかし上杉軍の進撃は止まらず、遂にサドンデス条件のひとつである上山城が陥落。もうひとつのサドンデス条件・長谷堂城にも前田慶次が迫っている。また地図盤北方から進入した上杉軍別働隊(丙丁)も合流し、羽州街道から山形城の裏口へ南下中。これもなんとなく「ロシアン・キャンペーン」で南下してくるフィンランド軍を思わせる動きであった。 

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しかし上山城陥落直後、関ヶ原での西軍の敗報が到着。このタイミングで、最上軍の損害は全回復するが、あと1ターン早ければ、上山城のダメージも全回復し、陥落することもなかったのに……

とにかくここで上杉・最上というターン手順が、最上・上杉に入れ替わり、一時的に最上軍がダブルムーヴを獲得。しかも最上軍の攻撃は有利に1シフトするということで、最上軍のエース・鮭延秀綱が前田慶次に攻めかかってこれを退却させ、直江兼続本陣に突撃。戦術チットの威力もあって、直江兼続に3ダメージを与えたが、返す刀で直江・前田コンビに除去される始末。「花の慶次」ならこの鮭延秀綱の攻撃、『デュフフ……直江兼続の首はいただいたぜ~』と言って調子に乗って攻めかかり、その2ページ後で前田慶次の朱槍で突き殺される、ド腐れキャラみたいな展開だった…… 

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結局、関ヶ原で西軍が敗れたとは言え、すでに最上軍に反撃できる兵力が無く、上杉軍はそのまま攻勢を継続。これが原哲夫マンガなら『たとえ関ヶ原で負けようと、我らの戦はこれからよ!』とか何とか言って突撃するシーンですな。上杉軍は、通常の移動・攻撃という手順ではなく、攻撃・移動という手順に切り替えて、不利な戦闘1シフトを帳消しに。最終的に長谷堂城は落ちず、サドンデス勝利とはならなかったものの、得点差で上杉軍の勝利と相成った。

感想。久々の戦国ゲーム(しかも作戦級)ということで、かなりプレイは盛り上がった。先の見えないオプションルールも面白かったし、導入も必須だと感じた。しかしその場でルールを直読みしての初プレイとは言え、今回の最上軍はまずかったと思う。序盤で簡単にユニットを失いすぎてしまったし、反撃はほとんど出来なかった。もっとユニットを温存しなければならないが、前線の手当を全然しないのも難しいだろうし、その案配は、もう少しプレイしなければ分からないなと。

それにしてもコマンドマガジンの付録ゲームをプレイしたのは、2011年1月10日の「ホワイト・デス」以来7年ぶり……こちらも申し訳ないほど久しぶりだったなと。 

コマンドマガジン Vol.137『慶長出羽合戦』(ゲーム付)

コマンドマガジン Vol.137『慶長出羽合戦』(ゲーム付)