Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Company Scale System】「Saipan:The Bloody Rock」Shattered Jewels Solo-Play AAR

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昨年末に購入したCompany Scale System(CSS)第1弾「Saipan:The Bloody Rock」のシナリオ1「Shattered Jewels」を初めてソロプレイしてみた。本シナリオは、1944年7月6日夜から翌7日夜(アメリカ軍上陸22~23日後、キャンペーンで言えば終盤)にかけて、日本軍守備隊が『もはやこれまで』と自暴自棄になり、玉砕突撃を仕掛ける場面を再現している。

日本軍の万歳突撃は、士気が3上がった状態で白兵戦アクションが行えるが、敵弾にも当たりやすい(防御修整+3)ため、事前の臨機射撃でバタバタと薙ぎ倒される可能性が高い。さらに玉砕突撃となると、移動アクション後に、追加の指揮ポイントを消費することなく、白兵戦アクションが行えるが、個別スタックでの白兵戦のみとなる(万歳突撃では、複数スタックによる大規模攻撃が可能)。

このシナリオ1では、まず玉砕マーカーを置かれた日本軍の3スタックが、タコツボ(Foxhole)に入ったアメリカ第27歩兵師団第105連隊の陣地に斬り込みをかけ、その後のターンでも続々と玉砕スタックが波状攻撃を行い、アメリカ軍がそれを迎え撃つという、まるで昔のインベーダーゲームのような状況を再現する。そのインベーダーたる日本軍が、自分と同じ国の人間というあたりが、なんとも悲しいが……

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さて第1ターン。日本軍は、まずヘクス50.15のアメリカ軍歩兵中隊に玉砕スタック3個中隊を突っ込ませるも、あえなく全滅。次に日本軍は、アメリカ軍で唯一タコツボに入っていないヘクス49.14の2個歩兵中隊を狙ったが、臨機射撃で指揮官・梅津大尉と2個中隊を喪失。続く白兵戦でも、アメリカ軍の英雄カウンター、Baker一等兵の活躍もあり、3個中隊とも除去された。ただし使い切りであるBaker一等兵カウンターがいなくなった後、さらに2つ目の玉砕スタックが突撃。これまた臨機射撃で2個中隊を失ったが、残る1中隊が良好なダイス差を叩き出し(白兵戦は両軍がダイスを振って修整を適用した後その差を適用する)、アメリカ軍を混乱4(混乱としては最悪、あと1段階落ちると除去)に追い込んだ。しかし照明弾下にあった日本軍は、この後、アメリカ軍が直接指揮チットを引いた後、射撃を受け、最初の3スタックは完全に殲滅された。

続く第2ターンには、新手の玉砕スタック2個が登場したが、日本軍が動き出す前に、混乱4だったアメリカ軍スタックは混乱2にまで回復。それでも日本軍は突撃したが、やはり事前の臨機射撃でその大半を失い、続く白兵戦で殲滅……という展開だった。第3ターン以降もさらに日本軍は登場するのだが、まあ展開は同じだろうということで、ソロプレイはここまでとした。ただ今回はすべて失敗したものの、万歳/玉砕突撃そのものは、運良くダイス差さえ広がれば、劣勢な日本軍にもワンチャンあると思った。

感想。シナリオ1なのに、キャンペーン終盤でしか使わない玉砕突撃をやらせるあたり、良くも悪くもAdam節は健在だなと思った。まあ、たしかに万歳/玉砕突撃は、本ゲームの特徴的なルールなので、早めに触れて理解した方が良いのかもしれない。

それより、CSSそのものの基本的な処理確認に手間取ってしまった。最初はGrand Tactical Series(GTS)とだいたい同じだろうと思っていたが、実際にプレイすると意外に差異が多かった。

特に第1・第2アクションでも、基本的には同じアクションを行って良い、というのは大きな変更だと思う。1回の活性化で、移動・移動も可能。そのせいかGTSにあった強行軍ルールが無い。間接射撃・間接射撃もOK。ただし直接射撃・直接射撃はダメらしい。それから『師団チットの第1アクションでも射撃や白兵戦が行える』『スタックの中から射撃できるのは1ユニットのみ』『混乱したユニットが他のユニットの上に移動すると、他のユニットも混乱する』というあたりもGTSとは異なる。

またコマンドポイントは、直接指揮チットを引いた時にダイスを振って増加させる、というのは改良点かなと感じた。GTSでは、師団チットを引いた時にダイスを振ってコマンドポイントを増加させるが、そのせいで『コマンドポイントが無い時に直接指揮チットを引いてしまい、何もできずに終わる』という状況も良くある。CSS式なら、少なくともそういった状況は避けられるだろう。

まあ、自分も10年GTSをプレイしてきたので、もうGTSシステムが頭に入っている分、それが固定観念になって邪魔をしている部分もあるが、CSSにもルールの記述が甘い部分があるのも事実。そのあたりは、いずれシリーズが進むにつれ改善されるのだろうが、とりあえず今は本作をプレイして、CSSに慣れていこうと思う。

【Wargaming Column】ゆく年くる年2017

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2017年の購入ゲームは、5個+1冊+ASLの小物7点だった。ここ数年に比べればだいぶ買った方だが、それ以上に処分も進めたので、所有ゲームは大幅に減っている。春のゲームマーケットで買った中越戦争ゲーム「The Battle of South Caobang 高平南之戦」「Red Dragon Storm 赤龍暴風」セットもすでに売却済み。そこそこ面白かったが、シリーズものとして追いかける体力が無く、手放してしまった。

それを除いた今年の購入ゲームは「OCS:Sicily II」「OCS:Tunisia II」「GTS:Operation Mercury」「BCS:Baptism by Fire」「CSS:Saipan」と、5点中4点がMMP製品、しかもWWII地中海戦線モノだった。「OCS:Sicily II」に関しては、FORGER氏主催のキャンペーンゲームにも参加させてもらったし、その他のWWII地中海ゲームもすべてプレイしたので、2017年はまさに地中海Yearだったと思う。

その中でもベストワンを選ぶとすれば……ゲームとしての完成度から言えば「GTS:Operation Mercury」なのだが、むしろ良く出来過ぎていて、プレイした時『あっ、これは大丈夫だ。普通に面白い。じゃあ次に行こう』となってしまったのも事実。「OCS:Sicily II」と「OCS:Tunisia II」も、内容的には安定していた反面、驚きや新鮮味はあまり感じられなかった。 

その、驚き、新鮮味という点で言うと「BCS:Baptism by Fire」こそ、2017年のベストワンだった。BCSというシステム自体、まだ固まっていない部分もあり、完成度としては荒削りなのだが、プレイしてみると『えっ、そんな風に処理するの?』『なにその斜め上の発想!』というゲーム体験ができたので、非常に面白かった。ただ驚きや新鮮味を省いて考えると、微妙に自分の好みとは違う部分もあり、来年以降も購入するかは定かではない。WWII大隊級なら、自分の中ではGOSSの方が優勢なのだ。

そして年末ぎりぎりに購入したため、プレイには至らなかったが、もし「CSS:Saipan」をプレイしていたら、「BCS:Baptism by Fire」を抑えてベストワンになったかもしれない。まあ、CSSに関しては、2018年の課題として集中的に触れていきたい。

そのあたりを踏まえて、2018年に購入したいゲームを挙げると「CSS:Guam」「CSS:Montelimar」(こちらは3月発売予定)、そして数年前から欲しいと思っている「ASL:Hakkaa Päälle!」「ASL:Yanks 2nd」とそろそろ発売される「ASL:Forgotten War」は、きっちり揃えておきたいところ。そこまで買えば、いよいよ自分の中のラスボス的存在「GOSS:Atlantic Wall」が見えてくるか。余裕があればGMTの「Holland'44」に手を出し、プレオーダー中の「OCS:Smolensk」が出れば、それも……

プレイの方も、購入した新作はきっちり遊びつつ、その合間合間でASLをこなしていく、というのが定番化してきたので、それを続けたい。しかし2017年は、このBlogも久しぶりに50記事を書けたが、来年も今年ほど遊べるかは未定である。2018年は、ゲーム以外でいろいろありそうなので……

というわけで、今年遊んでいただいた皆様、どうもありがとうございました。

2018年も引き続き、ほぼ引退状態ですが、何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m 

【Advanced Squad Leader】「なぜ初心者プレイヤーに悪いことが起きてしまうのか」を訳してみた

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引き続き、「ASL Journal #8」(2010年発売)に掲載された入門記事「Agony of Defeat」(敗北の苦悩)を訳してみた。サブタイトルは「なぜ初心者プレイヤーに悪いことが起きてしまうのか」だが、なかなか魅力的な見出しである。筆者曰く『これまでのASL記事は、最適な戦術についての記事ばかりで、初心者の間違いを指摘するものではなかった』『対戦相手も、それを指摘するにはお行儀が良すぎる』としたうえで、この記事を『初心者に対する愛のムチ』だとしている。と言っても、書いてあることは、ASLプレイでのお作法ばかりで、特にキツい言い回しでもない。

本記事のアドバイスを、ざっと並べてみると『無闇にスタックするな』『最初の臨機射撃は機関銃だけで射撃し、次の臨機射撃は分隊の固定火力で撃ち、その後は連続臨機射撃で撃て』『残留火力を活かせ』『即応射撃を活かせ』『スカルキングを活かせ』『消極的に攻撃するな』『だからといって無謀に攻めるな』『戦力を集中しろ』『戦車は準備射撃をするのではなく、煙幕を張り、移動しながら機関銃を撃ち、相手のヘクスに突っ込んでフリーズさせろ』等々、先に訳した「あなたのASLプレイを上達させる13のステップ」でも言及される手筋が多い。まあ、それだけ定番のお作法なのだろう。

自分は、初心者にインストする場合、ルールを教えるだけでなく、対戦中にそういった手筋や選択肢まで教えるようにしていた。『今、そのユニットを臨機射撃しちゃうと、もう他のユニットは撃てなくなるよ』とか『今からこの建物ヘクスに移動するけど、建物に入ってから4火力+2修整で撃つ?それとも建物に入る前に即応射撃で2火力+0修整で撃つ?』とか。たとえ手筋を教えてそのゲームに負けたとしても、それはそれで良いのだ。初心者には、早めにルールとお作法を覚えてもらって、そこから先で、技量差の少ないプレイがしたいのだから。初心者が基本的な手筋を知ったところで、それを使うタイミングはやはりベテランの方が上手いだろうし。

ちなみに自分の場合、初心者との技量差が縮まった後は、『ほらほら、これ臨機射撃しなくていいのかな~』とか『そのヘクスなら白兵戦を仕掛けても勝てるんじゃないの~?』などと、正解のような間違いのようなジレンマを提示し、初心者が『いや、その半個分隊には臨機射撃しません!』などと決断してくれるのを楽しんでいた。それも一種のウォーゲームを通じたコミュニケーションという奴か?違うか?

【Advanced Squad Leader】「あなたのASLプレイを上達させる13のステップ」を訳してみた

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前々から「ASL Journal」等に掲載されている入門者向け記事を訳そうと思っていたが、ようやく年末になってヒマな時間が出来たので、まずは「Out of Attic #2」に掲載されている「13 steps to Improving Your ASL Game」=「あなたのASLプレイを上達させる13のステップ」という記事から訳してみた。これはアバロンヒル時代の「General vol.30 no.1」(1995年)に掲載されていたそうで、3段組とはいえ、たった2ページの記事である。

内容は、ASLのプレイに関する基本的なコツがまとめられており、いわく『スタックはするな(それより射撃グループを作れ)』『受け身になり過ぎるな(リスクを取る決断ができるのが良いASLプレイヤーへの第一歩)』『DR2でしか回復できない奴は回復させるな(DR2で回復すると戦渦が発生して狂暴兵化し、自殺的突撃をしてしまう)』『混乱した相手をさらに蹴飛ばせ(常に動揺状態DMにさせろ)』『利点を活かせ(静粛な分隊があるなら白兵戦に持ち込め、射程で優るならアウトレンジ射撃を心がけろ)』『装甲車両は、煙幕を張って、移動中射撃を行い、敵区域に突っ込ませろ(その全部が移動フェイズに行える。準備射撃をしたら、それでおしまいだ)』『装甲車両を敵区域に突っ込ませて、敵の強力なスタックを無力化しろ(いわゆるVBMフリーズ戦法。そのために装甲車両を犠牲にすることを躊躇するな)』『常に捕虜を取れ(ただし9-2以上の指揮官は殺せ)』『煙幕を多用しろ(敵に投げつけるなら白燐弾を投げろ)』等々。もちろん筆者本人も、そのすべてがいつも有効とは限らないし、そこがASLの面白いところだよねとは書いているし、自分も訳しながら、楽しく読ませてもらった。

しかし一番面白かったのは、13ステップの最後にある「Moral」の項目だった。ユニットの「士気」の話かと思ったら、プレイヤー自身の「品性」の話だったのだ。

この記事によると、どんなプレイヤーでも、不運や不利な状況によって、精神的に混乱してしまうことがあると。そうなったプレイヤーは、戦況を見直したり、部隊を再結集させるのではなく、自暴自棄に陥ってしまう……まあ、ウォーゲーマーなら(自分のこととしても、対戦相手のこととしても)一度や二度は経験があるだろう。それが最終ターンならともかく、第1ターンが不運だったからといって、いきなり第2ターンで自暴自棄になるべきではないと。

また『精神的に混乱したプレイヤーは、自分の4-3-6分隊が、30火力、修整-4で撃たれて、それに耐えられなかったとしても愕然とする』という書き方には、思わず苦笑してしまった。外野から見れば、そりゃ耐えるのは無理だ、諦めろと言いたくなる。また『対戦相手のダイスロールが全部(最悪の)11か12になりますように……と祈っているようなら、そのプレイヤーの品性は壊れている』という表現にも笑った。

そのように自分自身の品性が崩壊しそうになったら、冷たいコーラかビールでも飲むか、お風呂に入ってさっぱりしろ、とアドバイスしているのも微笑ましい。また、自分が不利な状況のゲームに戻る場合、そこから新しいゲームが始まるつもりになってやってみろ、というのも面白い。それはある種の心理的欺瞞だが、そういった精神的タフさは、ASLに限らず、すべてのウォーゲーム、ボードゲームにも当てはまるので、実はそこが一番役に立ったかもしれない……

【Advanced Squad Leader】Primosole Bridge Campaign Game II 「Paying the Devil's Bill」Solo-Play AAR

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2017年は「OCS:Sicily II」「OCS:Tunisia II」「BCS:Baptysm by Fire」「GTS:Operation Mercury」とWWII地中海モノに明け暮れた1年だった。なので今年最後のソロプレイも、ASL(Advanced Squad Leader)の地中海系シナリオで〆ることに。選んだのは「ASL Journal #6」(2005年発売)の付録「Primosole Bridge Campaign Game」。こちらは1943年7月13日、シチリア島のプリモソーレ橋近辺にイギリス第1空挺師団が降下したところから始まるキャンペーンゲーム。史実では、イギリス空挺部隊がいったん撃退され、あらためて海岸から上陸したイギリス軍部隊が橋の奪取を目指す。キャペーンゲーム全体としては7月17日までを扱い、午前・午後・夜間に戦闘シナリオが行われ、その合間合間では、両軍プレイヤーがポイントを払って部隊を購入し、増援部隊をやりくりするというものである。自分もASLキャンペーンゲームはほとんどプレイしたことがなかったが、ちょうど今年4月に和訳も公開されたので、この機会にちょっと試してみることにした。

※「Primasole Bridge」の和訳はこちら。A grove of ASL

「Primosole Bridge Campaign Game」には3つのキャンペーンゲーム(CG)がある。最初はCG1に挑戦しようかと思ったが、夜間の空挺・グライダー降下から始まるため、ちょっと面倒臭いなーと思い却下。結局、上陸したイギリス軍による橋の奪取を扱うCG2「Paying the Devil's Bill」を選んでみた。 

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防御側・枢軸軍は、ドイツ軍降下猟兵工兵中隊(4-6-8分隊×12、火炎放射器と爆薬装備)、80mm野砲支援あり、88mm対空砲は確定。さらにポイントを消費して、増援として降下猟兵機関銃小隊、対戦車砲小隊(40mm対戦車砲✕2)、突撃砲小隊(III号突撃砲✕2輌)、イタリア軍迫撃砲小隊を購入。各部隊には「完全戦力か半減戦力かチェック」や「付随する指揮官チェック」を行い、実際の戦力を決定する。今回はすべて完全戦力で、降下猟兵工兵中隊には、9-1指揮官1、8-1指揮官2が付くことになった。

枢軸軍は、橋の南北を確保しているが、橋の南側に配置できるのは6個分隊まで。砲は、橋の南に置けない。4つのトーチカ(1+5+7)は、配置箇所が決められている。また橋には、すでに破壊された車輌の残骸があり、通りにくくなっている。地図盤の南端には3カ所、連合軍の進入口があるため、とりあえずそれを塞ぐ形で6個分隊を配置しようとしたが、半個分隊ずつ散開させても、さすがに数が足りず、西側の進入口は開けることに。購入した増援部隊の中には、最初から配置可能な部隊もあるため、対戦車砲小隊は、橋の北詰に配置。機関銃小隊とイタリア軍迫撃砲小隊も、川の北岸に配置し、南部での戦闘を支援できるようにしてみた。

対する攻撃側・イギリス軍は、シャーマンIII(a)戦車小隊✕2(うち1個が半減戦力だったため、総数3輌)、事前の砲爆撃に加えて、軽歩兵中隊✕2(4-5-8、4-5-7、4-4-7各分隊4個)、機関銃小隊、迫撃砲小隊を購入した。軽歩兵中隊2個の指揮官は、8-1指揮官3、8-0指揮官3と、やや頼りない。

地図盤への進入口は3カ所あるが、ドイツ軍陣地の正面にあたる中央部は避け、東西2カ所から1個軽歩兵中隊ずつ進入させ、両翼包囲を狙うことにした。しかしイギリス軍の事前砲爆撃は、建物やトーチカの防御効果によってドイツ軍にまったく被害を与えられず。東側から進入した軽歩兵中隊が、砲爆撃に耐えたドイツ軍から激烈な臨機射撃を受け(ドイツ軍が射撃DR3を3回叩き出す)、早くも3個分隊を除去される始末。しかも潰走しようにも、後退するスペースが無い。一応、盤外へ脱出し、次回の戦闘で復帰するルールもあるのだが、これは作戦としてマズ過ぎるということで、やり直し決定。 

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結局、事前の砲爆撃はまったく効果無しというところから再開。イギリス軍は、両翼包囲を諦め、西側の進入口から1個軽歩兵中隊のみを入れ、川幅が狭くなったところから渡河し、ブドウ&オリーブ畑を通って橋の北側の村落に向かうことにした。またシャーマンIII(a)3輌は、南側陣地へ砲撃を行っている。 

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これに対して枢軸軍は、対岸から40mm対戦車砲でシャーマンIII(a)を狙い撃つも、正面装甲に弾かれるのみ。そこで増援のIII号突撃砲✕2輌に橋を渡らせ、シャーマンIII(a)と正面から撃ち合ったが、双方ともに、やはり側面から射撃しないとほぼ撃破できないことが判明(先に砲威力ぐらい見ておけ)。 

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イギリス軍は、迫撃砲で煙幕を張りつつ、北岸に軽歩兵中隊を渡河させたが、残る1個軽歩兵中隊をそれに続かせるか、それとも戦車と共に南側陣地を攻めさせるか、悩んでしまった。やはり南側陣地は盤端からあまりに近く、潰走して逃げ込める遮蔽物も無いことから、結構攻めにくいよなあと。また枢軸軍としても、開けてしまった西の進入口に対しては、平野部に塹壕を築いて兵を置けば良いのでは?と思い、そうするとイギリス軍は西から対岸に渡ることも難しくなり、うーん、このシナリオどうすればいいのだ……と、煮詰まってきたので、2.5ターンほど進めたところでプレイを止めてしまった。まあ、長丁場のキャンペーンゲームなので、こうして一回味見してみて、そこから配置をどうするか、部隊を出す順番をどうするか、よく考えた方が良いかもしれない。

もし次回キャンペーンゲームを味見するなら、「ASL Journal #9」の付録「Suicide Creek Campaign Game」(1944年1月ニューブリテン島グロスター岬でのアメリカ第1海兵師団と日本軍との戦闘)にしようかなと。そちらも和訳は公開されているし、来年は早々に「CSS:Saipan」にも取り組むので、2017年の地中海イヤーから、2018年は太平洋イヤーになるかもしれない。

そう、作戦級スケールの「OCS:Sicily II」で触れた戦場に、戦術級スケールの「ASL」で触れ直すというのも、なかなか面白いと思った。しかしこの手のASLキャンペーンが楽しくなると、ヒストリカル・モジュールが欲しくなってしまうのが困ったところ。今までは『そこに手を出すとまた金がかかる』と思って回避してきたが、プレオーダー中の「HASL:Red Factories」(スターリングラード戦のヒストリカル・モジュール)が発売されたら、手を出してしまうかも……気をつけよう。

【Company Scale System】「Saipan:The Bloody Rock」

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前々から気になっていたWWII作戦戦術級CSS(Company Scale System)第一弾「Saipan:The Bloody Rock」を入手した。以前にもこのBlogで書いたが、このCSSは、MMP社のGTS(Grand Tactical Series)から派生した兄弟シリーズであり、ゲームスケールはGTSとまったく同じで、大枠でのシステムもほぼ同じである。GTS大好きマンの自分としては、発売と同時に手を着けても良さそうなものだったが、あいにくその余裕が無く、まあ2018年になったら着手するか……と思っていたら、自分の予想より早く入手することになってしまった。CSSに関しては、少々遅刻した感もあったが、その間にゲームより早く翻訳ルールを頂いてもいたので、ある意味、準備万端で入手できたとも言える。

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さて本作のお題は、1944年6月15日~7月9日にかけて行われたサイパン島での戦闘である。1ヘクス=500mのCSS/GTSスケールで、ちょうどマップ2枚に全島が収まっている。 太平洋戦役での島嶼戦というと、なんとなくアメリカ軍の物量に日本軍がすり潰される一方的な展開を想像してしまうが、作戦戦術級スケールで見た場合のサイパン戦の注目点のひとつは『まだ日本軍の対上陸方針が水際撃滅だった』点かと思う。実際、サイパン上陸作戦時、日本軍の海岸陣地の健闘や、上陸からわずか5時間後に第40歩兵連隊が戦車を伴って上陸海岸を攻撃しているため、アメリカ軍が上陸初日にして死傷者2000名以上という損害を被ってもいる。これが後のグアム戦、沖縄戦と進むにつれ、両軍とも慎重になり、アメリカ軍は事前の砲爆撃を入念に行い、日本軍は水際撃滅を諦めて内陸誘引になるのだが、このサイパン戦ではまだそういった形になっていないあたりが注目点かなと。

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こちらが師団ディスプレイシート。GTSでは、師団毎に1枚ずつシートが用意されていたが、CSSでは基本的に2個師団でシート1枚になっている。まあ、ディスプレイシートも並べるとスペースを食うので、これはこれでOK。ちなみにアメリカ軍は、第2海兵師団、第4海兵師団、第27歩兵師団が登場。このサイパン戦で第27歩兵師団は、師団長が二度変わる(スミス少将⇨ジャーマン少将⇨グライナー少将)という珍事、いわゆる「スミス対スミス事件(上陸軍指揮官のスミス中将が、稚拙な指揮を執ったスミス師団長を更迭)」が起きているが、それを反映して師団の能力値も、師団長によって変わっている。

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カウンターシートは6枚。カウンター総数1056個。こちらがアメリカ軍ユニット。GTSより数値も少なくシンプルだ。またユニット表面を戦闘隊形、裏面を移動隊形としたのもGTSとは違う(GTSでは、裏面がステップロスか車輌移動隊形。移動隊形はマーカーで表す)。自分はもうGTSに慣れてしまったから良いが、多分CSSの方が分かりやすいと思う。

また以前のBlog記事で『戦車が支援火器扱いなのは寂しい』と書いたが、よく考えれば、CSSでは戦車を単独の中隊としても表現しているし、歩兵支援火器としても表現しているので、表現の幅が広がっていることになる。本作には入っていないが、たとえばアメリカ軍のM10駆逐戦車など、中隊ユニットとしてより、支援火器として表現した方が妥当だと思うので、そのあたりは自分の第一印象をあらためた。

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日本軍は、第43師団、独立混成第47旅団、海軍の諸部隊が登場。またこのサイパン戦の注目点のひとつとして『日本軍による、太平洋戦役最大の戦車攻撃とバンザイ突撃(ボックス裏の説明より)』が行われた点だろうか。日本軍には、第9戦車連隊(写真の4個中隊ユニット)があり、これが実際、歩兵と連携して攻撃を行っている。ただ連隊長自身は、もっと早期に、戦車連隊単独での攻撃を主張しており、そのあたりがどう表現されているかも確かめたい。夜間のバンザイ突撃もまた然り。ちなみに映画「太平洋の奇跡」で有名になった大場栄大尉(第43師団第18連隊の衛生隊長。終戦後もサイパン島タッポーチョ山でゲリラ戦を展開)のカウンターは無し。まあ……ね……

太平洋の奇跡 ?フォックスと呼ばれた男?Blu-ray

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マーカー類は、GTSを踏襲して、両軍専用のマーカーとして用意されている。

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シナリオブックを開くと、使用ユニットが図示されている。これは便利。収録シナリオは6本。2本のキャンペーンシナリオ(史実配置と自由配置)に加えて、上陸当日シナリオ、上陸からの一週間シナリオがあり、さらにミニシナリオ2本という構成。とりあえず(ミニ)シナリオ1「Shattered Jewels」から始めるつもりだが、いきなり夜間のバンザイ突撃戦闘を扱うもので、いつものAdam Starkweatherだなと思った(Adam作のGTSも、だいたいシナリオ1からしてヒドい状況なのが常)

ということで、ようやくCSSにも着手できるわけだが、カウンター切りはお正月に、実際のプレイはお正月明けでいいかなと思っている。また年明け早々に、CSS第二弾「Guam:Return to Glory」も入手するかもしれない。とりあえず2018年は、CSSでスタートということで。

【Operational Combat Series】「Sicily II」Campaign AAR part.6

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今年2月から続いてきたFORGER氏主催の「OCS:Sicily II」キャンペーンも、残すところ3ターンとなり、今回で最終回。第14(8月24日)ターンも、連合軍先攻で始まった。

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FORGER氏率いるイギリス軍は、カタニアから北の海岸道路沿いに攻撃開始。予備スタックを用いた二度の攻撃でメッシナへ通じる主要道路2ヘクスを打通した。東部枢軸軍(自分が担当)は、長きにわたって戦線を支えてくれた30火力イタリア軍砲兵連隊も失い、メッシナ防衛のため戦線を下げざるを得なくなり、遂にエトナ山戦線崩壊である。

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一方、HA氏率いるアメリカ軍は、一気にシチリア島北岸に達し、(勝利条件にも関わる)主要港パレルモに隣接。海軍部隊も港の沖合に進ませ、この地の攻略を狙ったが、移動モードの戦車大隊だけでは戦力的に不十分ということで、攻撃は次ターンに先送りした。

これに対してN村氏率いる西部枢軸軍は、アメリカ軍の根っこにあたる補給線を切る位置に部隊を斬り込ませ、まだまだ徹底抗戦の構えを見せた。

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第15(8月28日)ターンも、連合軍が先攻。東部枢軸軍は、島の中央から部隊を引き抜き、海岸道路を埋めてはみたものの、一時的に予備モードの砲兵スタックがいなくなったため、ある意味ノーガードの状態に。また接敵されたイタリア軍海岸砲兵があっさりと降伏し、海岸で孤立した降下猟兵戦闘団が損耗・除去される始末。それでも迎撃覚悟でイタリア本土から出撃したドイツ空軍スタックが、スピットファイヤを追い返して連合軍先鋒歩兵師団にの損害を負わせる活躍を見せ、どうにかCalatabiano(5224)でイギリス軍を食い止めた。

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N村氏がアメリカ軍後方に送り込んだイタリア軍機械化大隊は、きっちりその補給線を断っており、これを排除しようとしたアメリカ第1歩兵師団がオーバーランで挑むも、奇襲に成功しながらダイス目で負けて逆に除去される始末。このイタリア軍機械化大隊は後に除去されるが、それまでにかなりの戦力のアメリカ軍を誘引し、立派に任務を果たした。

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またパレルモに対しては、アメリカ軍が空海陸から包囲攻撃を仕掛けたが、イタリア軍Assieta師団(アクションレーティングほぼ最低の1)がその猛攻に耐えに耐え、残り1ステップでこれを確保している。

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最終第16(8月31日)ターンも、連合軍が先攻。イギリス軍は、メッシナ目指して再び海岸道路沿いに攻撃を仕掛けたが、東部枢軸軍は再び予備モードの砲兵スタックを2つ用意し、攻撃部隊をDG(混乱)に。枢軸軍の前線スタックは後退させられたものの、連合軍のメッシナへの突破は何とか防いだ形である。

結局パレルモはこのターンにアメリカ軍の手に落ちたが、パレルモにしろカタニアにしろ、要求するターンまでに落とせなかったため、枢軸軍に作戦達成点が入っている。

ということで全16ターンを終え、最後までシチリア島を確保した枢軸軍の勝利と相成った。とは言え、自分が受け持った東部枢軸軍は、基本的にずっと受け身であり、戦略的持久に徹したその展開は、さながら沖縄戦のごとし。エトナ山で延々時間を稼ぎ、一度も討って出ることのなかった自分は、さながら「シチリアの八原作戦参謀」状態だ。麾下のユニットはほとんど壊滅し、ゲーム的には勝利しましたと言われても、はあそうですかという感じである。一方のN村氏は、最後まで果敢に攻撃を仕掛けてアメリカ軍を拘束し続けたので、もし次回プレイする機会があるなら、N村氏のような果敢な防御策も試してみたい。

イギリス軍を率いたFORGER氏は、慎重かつ重厚な正面攻撃で、終始、手堅く攻め続けて来た印象。アメリカ軍を率いたHA氏は、今回のメンバーの中では一番OCS経験が浅かったため、苦戦した部分もあったと思うが、徐々にOCS特有の駒使いにも慣れたきたご様子。まあ、一応この「Sicily II」はフルマップ1枚だし、ユニットも少ないため、ボリューム的には敷居が低いが、陸海空の統合作戦を指揮しなきゃならんというハードルもあり、素直に入門者向けと言い難い部分があるのも事実。やはり真のOCS入門作は「Reluctant Enemies」か「Korea」か、今現在プレオーダー中の「Smolensk」だろうか。

とにもかくにも、ご参加の皆さん、お疲れさまでした。そして毎回ユニット位置を記録し、プレイ準備をしていただいた主催のFORGERさん、ありがとうございました。いずれまた別の戦場にて……

※西部枢軸軍担当:N村氏のBlogはこちら⇩