Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Advanced Squad Leader】Primosole Bridge Campaign Game II 「Paying the Devil's Bill」Solo-Play AAR

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2017年は「OCS:Sicily II」「OCS:Tunisia II」「BCS:Baptysm by Fire」「GTS:Operation Mercury」とWWII地中海モノに明け暮れた1年だった。なので今年最後のソロプレイも、ASL(Advanced Squad Leader)の地中海系シナリオで〆ることに。選んだのは「ASL Journal #6」(2005年発売)の付録「Primosole Bridge Campaign Game」。こちらは1943年7月13日、シチリア島のプリモソーレ橋近辺にイギリス第1空挺師団が降下したところから始まるキャンペーンゲーム。史実では、イギリス空挺部隊がいったん撃退され、あらためて海岸から上陸したイギリス軍部隊が橋の奪取を目指す。キャペーンゲーム全体としては7月17日までを扱い、午前・午後・夜間に戦闘シナリオが行われ、その合間合間では、両軍プレイヤーがポイントを払って部隊を購入し、増援部隊をやりくりするというものである。自分もASLキャンペーンゲームはほとんどプレイしたことがなかったが、ちょうど今年4月に和訳も公開されたので、この機会にちょっと試してみることにした。

※「Primasole Bridge」の和訳はこちら。A grove of ASL

「Primosole Bridge Campaign Game」には3つのキャンペーンゲーム(CG)がある。最初はCG1に挑戦しようかと思ったが、夜間の空挺・グライダー降下から始まるため、ちょっと面倒臭いなーと思い却下。結局、上陸したイギリス軍による橋の奪取を扱うCG2「Paying the Devil's Bill」を選んでみた。 

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防御側・枢軸軍は、ドイツ軍降下猟兵工兵中隊(4-6-8分隊×12、火炎放射器と爆薬装備)、80mm野砲支援あり、88mm対空砲は確定。さらにポイントを消費して、増援として降下猟兵機関銃小隊、対戦車砲小隊(40mm対戦車砲✕2)、突撃砲小隊(III号突撃砲✕2輌)、イタリア軍迫撃砲小隊を購入。各部隊には「完全戦力か半減戦力かチェック」や「付随する指揮官チェック」を行い、実際の戦力を決定する。今回はすべて完全戦力で、降下猟兵工兵中隊には、9-1指揮官1、8-1指揮官2が付くことになった。

枢軸軍は、橋の南北を確保しているが、橋の南側に配置できるのは6個分隊まで。砲は、橋の南に置けない。4つのトーチカ(1+5+7)は、配置箇所が決められている。また橋には、すでに破壊された車輌の残骸があり、通りにくくなっている。地図盤の南端には3カ所、連合軍の進入口があるため、とりあえずそれを塞ぐ形で6個分隊を配置しようとしたが、半個分隊ずつ散開させても、さすがに数が足りず、西側の進入口は開けることに。購入した増援部隊の中には、最初から配置可能な部隊もあるため、対戦車砲小隊は、橋の北詰に配置。機関銃小隊とイタリア軍迫撃砲小隊も、川の北岸に配置し、南部での戦闘を支援できるようにしてみた。

対する攻撃側・イギリス軍は、シャーマンIII(a)戦車小隊✕2(うち1個が半減戦力だったため、総数3輌)、事前の砲爆撃に加えて、軽歩兵中隊✕2(4-5-8、4-5-7、4-4-7各分隊4個)、機関銃小隊、迫撃砲小隊を購入した。軽歩兵中隊2個の指揮官は、8-1指揮官3、8-0指揮官3と、やや頼りない。

地図盤への進入口は3カ所あるが、ドイツ軍陣地の正面にあたる中央部は避け、東西2カ所から1個軽歩兵中隊ずつ進入させ、両翼包囲を狙うことにした。しかしイギリス軍の事前砲爆撃は、建物やトーチカの防御効果によってドイツ軍にまったく被害を与えられず。東側から進入した軽歩兵中隊が、砲爆撃に耐えたドイツ軍から激烈な臨機射撃を受け(ドイツ軍が射撃DR3を3回叩き出す)、早くも3個分隊を除去される始末。しかも潰走しようにも、後退するスペースが無い。一応、盤外へ脱出し、次回の戦闘で復帰するルールもあるのだが、これは作戦としてマズ過ぎるということで、やり直し決定。 

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結局、事前の砲爆撃はまったく効果無しというところから再開。イギリス軍は、両翼包囲を諦め、西側の進入口から1個軽歩兵中隊のみを入れ、川幅が狭くなったところから渡河し、ブドウ&オリーブ畑を通って橋の北側の村落に向かうことにした。またシャーマンIII(a)3輌は、南側陣地へ砲撃を行っている。 

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これに対して枢軸軍は、対岸から40mm対戦車砲でシャーマンIII(a)を狙い撃つも、正面装甲に弾かれるのみ。そこで増援のIII号突撃砲✕2輌に橋を渡らせ、シャーマンIII(a)と正面から撃ち合ったが、双方ともに、やはり側面から射撃しないとほぼ撃破できないことが判明(先に砲威力ぐらい見ておけ)。 

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イギリス軍は、迫撃砲で煙幕を張りつつ、北岸に軽歩兵中隊を渡河させたが、残る1個軽歩兵中隊をそれに続かせるか、それとも戦車と共に南側陣地を攻めさせるか、悩んでしまった。やはり南側陣地は盤端からあまりに近く、潰走して逃げ込める遮蔽物も無いことから、結構攻めにくいよなあと。また枢軸軍としても、開けてしまった西の進入口に対しては、平野部に塹壕を築いて兵を置けば良いのでは?と思い、そうするとイギリス軍は西から対岸に渡ることも難しくなり、うーん、このシナリオどうすればいいのだ……と、煮詰まってきたので、2.5ターンほど進めたところでプレイを止めてしまった。まあ、長丁場のキャンペーンゲームなので、こうして一回味見してみて、そこから配置をどうするか、部隊を出す順番をどうするか、よく考えた方が良いかもしれない。

もし次回キャンペーンゲームを味見するなら、「ASL Journal #9」の付録「Suicide Creek Campaign Game」(1944年1月ニューブリテン島グロスター岬でのアメリカ第1海兵師団と日本軍との戦闘)にしようかなと。そちらも和訳は公開されているし、来年は早々に「CSS:Saipan」にも取り組むので、2017年の地中海イヤーから、2018年は太平洋イヤーになるかもしれない。

そう、作戦級スケールの「OCS:Sicily II」で触れた戦場に、戦術級スケールの「ASL」で触れ直すというのも、なかなか面白いと思った。しかしこの手のASLキャンペーンが楽しくなると、ヒストリカル・モジュールが欲しくなってしまうのが困ったところ。今までは『そこに手を出すとまた金がかかる』と思って回避してきたが、プレオーダー中の「HASL:Red Factories」(スターリングラード戦のヒストリカル・モジュール)が発売されたら、手を出してしまうかも……気をつけよう。

【Company Scale System】「Saipan:The Bloody Rock」

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前々から気になっていたWWII作戦戦術級CSS(Company Scale System)第一弾「Saipan:The Bloody Rock」を入手した。以前にもこのBlogで書いたが、このCSSは、MMP社のGTS(Grand Tactical Series)から派生した兄弟シリーズであり、ゲームスケールはGTSとまったく同じで、大枠でのシステムもほぼ同じである。GTS大好きマンの自分としては、発売と同時に手を着けても良さそうなものだったが、あいにくその余裕が無く、まあ2018年になったら着手するか……と思っていたら、自分の予想より早く入手することになってしまった。CSSに関しては、少々遅刻した感もあったが、その間にゲームより早く翻訳ルールを頂いてもいたので、ある意味、準備万端で入手できたとも言える。

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さて本作のお題は、1944年6月15日~7月9日にかけて行われたサイパン島での戦闘である。1ヘクス=500mのCSS/GTSスケールで、ちょうどマップ2枚に全島が収まっている。 太平洋戦役での島嶼戦というと、なんとなくアメリカ軍の物量に日本軍がすり潰される一方的な展開を想像してしまうが、作戦戦術級スケールで見た場合のサイパン戦の注目点のひとつは『まだ日本軍の対上陸方針が水際撃滅だった』点かと思う。実際、サイパン上陸作戦時、日本軍の海岸陣地の健闘や、上陸からわずか5時間後に第40歩兵連隊が戦車を伴って上陸海岸を攻撃しているため、アメリカ軍が上陸初日にして死傷者2000名以上という損害を被ってもいる。これが後のグアム戦、沖縄戦と進むにつれ、両軍とも慎重になり、アメリカ軍は事前の砲爆撃を入念に行い、日本軍は水際撃滅を諦めて内陸誘引になるのだが、このサイパン戦ではまだそういった形になっていないあたりが注目点かなと。

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こちらが師団ディスプレイシート。GTSでは、師団毎に1枚ずつシートが用意されていたが、CSSでは基本的に2個師団でシート1枚になっている。まあ、ディスプレイシートも並べるとスペースを食うので、これはこれでOK。ちなみにアメリカ軍は、第2海兵師団、第4海兵師団、第27歩兵師団が登場。このサイパン戦で第27歩兵師団は、師団長が二度変わる(スミス少将⇨ジャーマン少将⇨グライナー少将)という珍事、いわゆる「スミス対スミス事件(上陸軍指揮官のスミス中将が、稚拙な指揮を執ったスミス師団長を更迭)」が起きているが、それを反映して師団の能力値も、師団長によって変わっている。

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カウンターシートは6枚。カウンター総数1056個。こちらがアメリカ軍ユニット。GTSより数値も少なくシンプルだ。またユニット表面を戦闘隊形、裏面を移動隊形としたのもGTSとは違う(GTSでは、裏面がステップロスか車輌移動隊形。移動隊形はマーカーで表す)。自分はもうGTSに慣れてしまったから良いが、多分CSSの方が分かりやすいと思う。

また以前のBlog記事で『戦車が支援火器扱いなのは寂しい』と書いたが、よく考えれば、CSSでは戦車を単独の中隊としても表現しているし、歩兵支援火器としても表現しているので、表現の幅が広がっていることになる。本作には入っていないが、たとえばアメリカ軍のM10駆逐戦車など、中隊ユニットとしてより、支援火器として表現した方が妥当だと思うので、そのあたりは自分の第一印象をあらためた。

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日本軍は、第43師団、独立混成第47旅団、海軍の諸部隊が登場。またこのサイパン戦の注目点のひとつとして『日本軍による、太平洋戦役最大の戦車攻撃とバンザイ突撃(ボックス裏の説明より)』が行われた点だろうか。日本軍には、第9戦車連隊(写真の4個中隊ユニット)があり、これが実際、歩兵と連携して攻撃を行っている。ただ連隊長自身は、もっと早期に、戦車連隊単独での攻撃を主張しており、そのあたりがどう表現されているかも確かめたい。夜間のバンザイ突撃もまた然り。ちなみに映画「太平洋の奇跡」で有名になった大場栄大尉(第43師団第18連隊の衛生隊長。終戦後もサイパン島タッポーチョ山でゲリラ戦を展開)のカウンターは無し。まあ……ね……

太平洋の奇跡 ?フォックスと呼ばれた男?Blu-ray

太平洋の奇跡 ?フォックスと呼ばれた男?Blu-ray

 

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マーカー類は、GTSを踏襲して、両軍専用のマーカーとして用意されている。

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シナリオブックを開くと、使用ユニットが図示されている。これは便利。収録シナリオは6本。2本のキャンペーンシナリオ(史実配置と自由配置)に加えて、上陸当日シナリオ、上陸からの一週間シナリオがあり、さらにミニシナリオ2本という構成。とりあえず(ミニ)シナリオ1「Shattered Jewels」から始めるつもりだが、いきなり夜間のバンザイ突撃戦闘を扱うもので、いつものAdam Starkweatherだなと思った(Adam作のGTSも、だいたいシナリオ1からしてヒドい状況なのが常)

ということで、ようやくCSSにも着手できるわけだが、カウンター切りはお正月に、実際のプレイはお正月明けでいいかなと思っている。また年明け早々に、CSS第二弾「Guam:Return to Glory」も入手するかもしれない。とりあえず2018年は、CSSでスタートということで。

【Operational Combat Series】「Sicily II」Campaign AAR part.6

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今年2月から続いてきたFORGER氏主催の「OCS:Sicily II」キャンペーンも、残すところ3ターンとなり、今回で最終回。第14(8月24日)ターンも、連合軍先攻で始まった。

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FORGER氏率いるイギリス軍は、カタニアから北の海岸道路沿いに攻撃開始。予備スタックを用いた二度の攻撃でメッシナへ通じる主要道路2ヘクスを打通した。東部枢軸軍(自分が担当)は、長きにわたって戦線を支えてくれた30火力イタリア軍砲兵連隊も失い、メッシナ防衛のため戦線を下げざるを得なくなり、遂にエトナ山戦線崩壊である。

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一方、HA氏率いるアメリカ軍は、一気にシチリア島北岸に達し、(勝利条件にも関わる)主要港パレルモに隣接。海軍部隊も港の沖合に進ませ、この地の攻略を狙ったが、移動モードの戦車大隊だけでは戦力的に不十分ということで、攻撃は次ターンに先送りした。

これに対してN村氏率いる西部枢軸軍は、アメリカ軍の根っこにあたる補給線を切る位置に部隊を斬り込ませ、まだまだ徹底抗戦の構えを見せた。

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第15(8月28日)ターンも、連合軍が先攻。東部枢軸軍は、島の中央から部隊を引き抜き、海岸道路を埋めてはみたものの、一時的に予備モードの砲兵スタックがいなくなったため、ある意味ノーガードの状態に。また接敵されたイタリア軍海岸砲兵があっさりと降伏し、海岸で孤立した降下猟兵戦闘団が損耗・除去される始末。それでも迎撃覚悟でイタリア本土から出撃したドイツ空軍スタックが、スピットファイヤを追い返して連合軍先鋒歩兵師団にの損害を負わせる活躍を見せ、どうにかCalatabiano(5224)でイギリス軍を食い止めた。

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N村氏がアメリカ軍後方に送り込んだイタリア軍機械化大隊は、きっちりその補給線を断っており、これを排除しようとしたアメリカ第1歩兵師団がオーバーランで挑むも、奇襲に成功しながらダイス目で負けて逆に除去される始末。このイタリア軍機械化大隊は後に除去されるが、それまでにかなりの戦力のアメリカ軍を誘引し、立派に任務を果たした。

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またパレルモに対しては、アメリカ軍が空海陸から包囲攻撃を仕掛けたが、イタリア軍Assieta師団(アクションレーティングほぼ最低の1)がその猛攻に耐えに耐え、残り1ステップでこれを確保している。

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最終第16(8月31日)ターンも、連合軍が先攻。イギリス軍は、メッシナ目指して再び海岸道路沿いに攻撃を仕掛けたが、東部枢軸軍は再び予備モードの砲兵スタックを2つ用意し、攻撃部隊をDG(混乱)に。枢軸軍の前線スタックは後退させられたものの、連合軍のメッシナへの突破は何とか防いだ形である。

結局パレルモはこのターンにアメリカ軍の手に落ちたが、パレルモにしろカタニアにしろ、要求するターンまでに落とせなかったため、枢軸軍に作戦達成点が入っている。

ということで全16ターンを終え、最後までシチリア島を確保した枢軸軍の勝利と相成った。とは言え、自分が受け持った東部枢軸軍は、基本的にずっと受け身であり、戦略的持久に徹したその展開は、さながら沖縄戦のごとし。エトナ山で延々時間を稼ぎ、一度も討って出ることのなかった自分は、さながら「シチリアの八原作戦参謀」状態だ。麾下のユニットはほとんど壊滅し、ゲーム的には勝利しましたと言われても、はあそうですかという感じである。一方のN村氏は、最後まで果敢に攻撃を仕掛けてアメリカ軍を拘束し続けたので、もし次回プレイする機会があるなら、N村氏のような果敢な防御策も試してみたい。

イギリス軍を率いたFORGER氏は、慎重かつ重厚な正面攻撃で、終始、手堅く攻め続けて来た印象。アメリカ軍を率いたHA氏は、今回のメンバーの中では一番OCS経験が浅かったため、苦戦した部分もあったと思うが、徐々にOCS特有の駒使いにも慣れたきたご様子。まあ、一応この「Sicily II」はフルマップ1枚だし、ユニットも少ないため、ボリューム的には敷居が低いが、陸海空の統合作戦を指揮しなきゃならんというハードルもあり、素直に入門者向けと言い難い部分があるのも事実。やはり真のOCS入門作は「Reluctant Enemies」か「Korea」か、今現在プレオーダー中の「Smolensk」だろうか。

とにもかくにも、ご参加の皆さん、お疲れさまでした。そして毎回ユニット位置を記録し、プレイ準備をしていただいた主催のFORGERさん、ありがとうございました。いずれまた別の戦場にて……

※西部枢軸軍担当:N村氏のBlogはこちら⇩

【Advanced Squad Leader】「ASL Action Pack #10 #11」「Rivers to the Reich」「Winter Offensive Bonus Pack #4 #5 #6」

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MMP社のVeteran's Dayセールで購入したあれこれが到着。ここ3~4年、ずっと見て見ぬ振りをしてきたASLだが、そろそろ本腰を入れて、買い漏らし商品を揃えていこうと。

まずは「ASL Action Pack」の「#10」(2014年発売)と「#11」(2015年発売)。「#10」は、地図盤2枚(69、70)、ウクライナパルチザンvsソビエトパルチザンという怪しげな戦闘含めてシナリオ8本収録。「#11」は、地図盤2枚(71、72)、アメリカ第29歩兵師団が参加した、ノルマンディ上陸から、ブルターニュ半島、アーヘン近郊でのシナリオ10本が収録されている。 

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こちらは元祖「Squad Leader」時代のシナリオをASL用にアップデートするUシリーズの「Rivers to the Reich」(2013年発売)。かつての「G.I Anvil of Victory」や追加シナリオ集「Rogue Scenarios」「Scenario 300」から西部戦線後期のシナリオ15本が再録されている。特に「Rogue Scenarios」に収録されていた、オランダ、レオポルド運河での戦闘を扱う「U36 Operation Switchback」(地図盤6枚、15ターン)と、それに続く「U37 Scheldt Fortress South」(地図盤8枚、17ターン)、さらにその連結シナリオ「U38 Clearing the Breskens Pocket」あたりは、学生時代にシナリオカードを眺めてその大規模さに唸っていた思い出が……

f:id:crystal0207:20171124162238j:plainさらに「Winter Offensive Bonus Pack #4」(2013年)、「#5」(2014年)、「#6」(2015年)も入手。

こういった小品も、放置しておくと数が溜まり、後で買う時、結構な金額になるのがASL沼の恐ろしいところである。それでもセールだったので、6点合計50ドルで済んだのは幸い(ただし送料が高い)。

この後は、ようやくフィンランド軍モジュール「Hakkaa Päälle」、アメリカ軍モジュール「Yanks 2nd」に手を伸ばし、新作の朝鮮戦争モジュール「Forgotten War」に備える予定。それにしても、ずいぶん長い間、見て見ぬ振りをしてきたんだなあ……とあらためて思った。

【Advanced Squad Leader】ASLJ41「By Ourselves」Solo-Play AAR

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本日は「ASL Journal #3」収録の「By Ourselves」をソロプレイ。1940年5月11日、ノルウェイに侵攻したドイツ軍山岳猟兵連隊が占領した村を、ノルウェイ軍が奪い返さんとするシナリオである。本当は、もう少し大規模なシナリオを選ぼうかと思ったが、まだまだ基本ルールが身に染みついておらず、「あ、ELR適用するの忘れた」「さっきのDR、狙撃兵ナンバーだった」とポカが多いので、いったん純粋な歩兵戦に立ち戻ろうと。ちなみに上の画像のように、ASLの地図盤、シナリオカード、チャート、マーカートレイ、ダイストレイなどプレイ用具一式が、卓上にコンパクトにまとまっている写真が妙に好きなのだ。海外のASLerも、よくこういった画像をアップしているが、自分にとっては非常にフォトジェニックなプレイ風景に感じてしまう。

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それはさておき、ソロプレイ開始。攻撃側ノルウェイ軍の勝利条件は、ドイツ軍に10損害点以上を献上することなく、地図盤22内の建物を16個以上支配すること。ROARでの対戦成績は、ドイツ軍87勝・ノルウェイ軍76勝と、ほぼ互角。とりあえずノルウェイ軍は、MMGスタック2つで正面から攻め、両翼から村内に浸透する算段である。

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第3ターン表には、ドイツ軍右翼が崩れ、ノルウェイ軍右翼も建物と森伝いに村内へ接近。

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しかし第3ターン裏、増援のドイツ軍が来援。村中央の石造建築(工場)の守りを固め、村内へ迫るノルウェイ軍右翼の前に立ちはだかった。

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第4ターン、ノルウェイ軍9-2指揮官スタックのMMG(中機関銃)が故障し、この後、右翼のLMG(軽機関銃)も故障。火力の落ちたノルウェイ軍は、立て籠もるドイツ軍に効果的な射撃を与えられずにいる。

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結局、後半はこの位置で睨み合ったままでゲームが過ぎ、第6ターン表でノルウェイ軍投了。DR平均は、ノルウェイ軍6.69、ドイツ軍7.12。そう、ノルウェイ軍のダイス目は結構良かったのだ。低火力ながらも、何度もドイツ軍に「2MC」「3MC」を強いる場面があったが、ドイツ軍はしぶとく士気チェックに成功し、ゲーム後半では大崩れすることはなかった。ドイツ軍が、一度も(最悪の)DR12を出さなかったのもラッキー。まあ、しばらくはこの手の歩兵戦シナリオを続けて、ルールを体得せねば……

【参考文献】「機動の理論」

 主に戦車登場以降の、機動戦理論について、簡単に解説した一冊。ある程度のウォーゲーマーなら自明の範囲だけれど、入門者が読むには良いかなと。

【Advanced Squad Leader】ASL136「The Agony of Doom」Solo-Play AAR

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今日は「Beyond Valor 3rd Edition」収録の「The Agony of Doom」シナリオをソロプレイした。元々このシナリオは、元祖「Squad Leader/Cross of Iron」のシナリオ110として登場したが、「ASL Annual '89」でASL用シナリオA8として改訂。さらに「BV 3rd」で再改訂されている。

シナリオ110は、かつてシミュレイター誌に深見耕一氏がリプレイを書かれたので、ご記憶の方も多いかもしれない。シナリオ110では、ドイツ軍の増援としてV号ヤークトパンター1輌と、VI号ヤークトティーガー1輌が登場したが、A8からV号ヤークトパンター2輌に変更されている。またA8の勝利条件は『ソ連軍が地図盤内の複数建物をすべて支配すること』だったが、ASL136では『地図盤内の複数建物4つを支配すること』となっている。盤内には複数建物が5つあるので、ソ連軍の勝利条件が少し緩和された形だ。ちなみにROARで見ると、A8時代の対戦成績はドイツ軍51勝・ソ連軍11勝と、なるほどドイツ軍にかなり傾いている。ASL136の対戦成績はまだ少ないが、ドイツ軍8勝・ソ連軍2勝と、相変わらずのバランスのようだが…… 

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さて第1ターン。村を守るドイツ軍は、地図盤3の△522高地上にティーガーI型戦車1輌と75mm対戦車砲を配置。盤内に進入するソ連軍に睨みを効かせるはずだったが、早くもISU-122自走砲の射撃を浴びてティーガーが撃破炎上。75mm砲にもAPCR弾が無く、早くもドイツ軍苦戦である。ソ連軍は、村の側背にT34/85戦車1輌を送り込み、トラック2輌に乗車させた6-2-8✕4個分隊を地図盤5の森林で下車させ、これも村の側面から攻めさせる算段。 

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第2ターンに登場したドイツ軍増援のV号ヤークトパンター✕2は、村の側面に迫ったT34/85を撃破すべく、地図盤5の平野部へ進出。しかしヤークトパンター最初の射撃が、まさかのDR12で主砲故障となり、こちらでも数的劣勢に追い込まれた。 

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一方のソ連軍も、ISU-152自走砲が射撃DR12で主砲故障となり、修理にも失敗して主砲使用不能に。またISU-122もDR11で弾薬切れとなり、後に主砲使用不能に。どちらも機関銃が未装備なので、主砲が壊れるともう攻撃兵器としては使い道が無い。それでも最後に残ったISU-122が、75mm砲の操作班を吹き飛ばして△522高地を沈黙させた。しかし村内では、第1ターン増援で登場したドイツ軍9-2指揮官率いるパンツァーシュレックのスタックが良好な射撃を連発し、ソ連軍の村内突入を防いでいる。 

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しかし5ターン頃、パンツァーシュレックも故障し、9-2指揮官スタックも潰走。ソ連軍歩兵が怒濤の如く、村内になだれ込んできた。一方、村はずれの平野部には、ISU-122も駆けつけ、T34/85✕2輌と共に、主砲が健在なヤークトパンターを包囲し、これを撃破。もう1輌も、ようやく主砲が直ったと思った直後、側面に122mm砲を叩き込まれ、結局ヤークトパンターは2輌とも撃破された。 

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第7ターン。ヤークトパンター2輌を撃破したソ連軍戦車隊は、ドイツ軍の背後から村内に突入。T34/85がハノマーク装甲車を撃破し、ISU-122がN2複数建物を砲撃。正面からの歩兵攻撃に晒され、ドイツ軍9-2指揮官も、T6-U6の複数建物から叩き出されている。 

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第8ターン。残るもう1輌のハノマーク装甲車も撃破され、追い詰められたドイツ軍9-2指揮官も戦死。ソ連軍が複数建物4つを支配し、勝利した。

ちなみに今回のDR平均は、ソ連軍7.81、ドイツ軍7.38。ソ連軍の出目はやや悪かったが、火力の集中で押し切った感がある。ドイツ軍も、最良のDR2が一度も出なかったという意味では不運だったし、ヤークトパンターの主砲故障(そしてなかなか直らない)には参った。また今回、ドイツ軍初期配置のティーガーIと75mm砲は、前のめりに配置したが、これも村内に配置すべきだったのだろうか?ASL136になってもドイツ軍の勝率が高いのだから、もっとうまく守れるはずだが、自分にはまだよく分からない。まあ、今回も、ルールの覚え直しがテーマなので、シナリオ分析は味見程度で。