Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Grand Tactical Series】「Operation Mercury」 Descent into Hell Solo-Play AAR

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GTS:Operation Mercury」のシナリオ5「Descent into Hell」をソロプレイしてみた。こちらもMalemeマップ1枚のみ使用のシナリオだが、最終的には4個師団が登場するため師団ディスプレイ4枚を広げる必要があり、ルール的にも砲兵集結地が導入されるため、本格シナリオの感がある。降下するドイツ第7航空師団の狙いは、Maleme飛行場と、島の首都とも言えるCaneaへの突破である。Maleme飛行場付近には降下突撃連隊が、Caneaの西には第3降下猟兵連隊が降下する。飛行場の滑走路連続2ヘクスを確保すれば、シナリオ2日目の夕刻には第5山岳師団の2個大隊も空路到着するが、ほぼ終幕なので、ドイツ軍で実質戦うのは降下兵2個連隊か。対する連合軍は、第2ニュージーランド師団とクレタ混成守備隊(イギリス王立海兵隊含む)が展開している。

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まずドイツ軍は、Maleme飛行場周辺に航空攻撃をかけ、対空砲1を除去。降下突撃連隊は、第9中隊を降下時に失うも(敵の真っ只中に降りた)、早くも第3中隊が対空砲を潰して滑走路西端を確保した。一方、Canea西方に降りた第3降下猟兵連隊は、第1(0700)ターンに仕込んだはずのフォーメーションチットが最後に引かれたため、本格的な活動開始は0900ターン以降となった。

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その0900ターンには、降下突撃連隊第5中隊が、Maleme飛行場南の107高地に陣取るニュージーランド軍A27機関銃中隊陣地に強襲をかけ、見事この観測地点を確保した。しかし1100ターンになるとドイツ軍にも疲れが出たのか、第7航空師団チットが最後に引かれて翌ターンに持ち越され、攻勢は小休止。

これに対して連合軍はようやく反撃に着手し、1500ターンにはMNDBO(海軍根拠地機動守備隊)が、孤立していた第3降下猟兵連隊第11中隊に3度の強襲をかけてこれを除去している。しかしこのターンには、降下突撃連隊もMaleme飛行場の滑走路連続2ヘクスを確保し、第5山岳師団のお迎え準備は整った。

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この後も降下突撃連隊は前進を続け、1700ターンには対空砲中隊が英軍マチルダ戦車半個中隊を一発で撃破する殊勲もあり、飛行場の防備を固めていった。連合軍は、東から第28マオリ族大隊を呼び寄せているが、道路途中で降下突撃連隊の一部とぶつかり、飛行場には近づけていない。

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一方、Caneaの西では、両軍ともフォーメーションチットが投入できないわ、指揮ポイントが少ないわで、あまり活発な活動はみられない。まあ、どうしてもMaleme方面にリソースを優先せざるを得なかったので致し方なし。唯一気を吐いていたのが、ドイツ軍の降下工兵大隊で、強襲を重ねてギリシア軍大隊を殲滅している……と、1900ターンまで進めたところで、1500、1700ターンのドイツ軍増援を出し忘れていることに気づき、今回は味見ということもあって、ここでお開きとした。

途中までしかプレイできなかったが、ここまでに触れた中では最も面白そうなシナリオである。最後までプレイすれば、ドイツ軍がMaleme飛行場を奪えるか、そして第5山岳師団が到着するまでに連合軍が奪い返せるか、というストーリーが味わえると思う。戦場もMaleme飛行場方面と、Canea方面に分かれているので、複数プレイヤーで部隊を担当するにも良いシナリオかと。

【Grand Tactical Series】「Operation Mercury」A Heraklion Effort Solo-Play AAR

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シナリオ1「SNAFU」に続き、シナリオ3「A Heraklion Effort」をソロプレイしてみた。こちらも空挺侵攻初日1941年5月20日の1700ターンからスタートだが、シナリオ終了は22日夜間ターンと、やや期間が長い。ドイツ軍第7航空師団第1降下猟兵連隊(と第2連隊の一部)は、やはりHeraklion港と飛行場の奪取を目的とする。こちらのシナリオも、離れて降下した部隊があるため、Heraklionハーフマップだけでは収まらないが、隔絶した部隊は第2ターンに地図盤東端から進入、とか処理しても良い気がする。

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さてゲーム開始。20日1700ターン、ドイツ軍は航空支援で運良くHeraklion周辺のギリシア軍ユニット2個を吹き飛ばした。これによって第1降下猟兵連隊第3大隊(部隊名がピンク色のバー)が、難なくHeraklion市街に突入。あわてて連合軍も、ヨーク&ランカスター連隊第2大隊(2/Y&L)を陣地から引き抜き、Heraklion市街に投入。早くもHeraklion港を巡る市街戦が勃発した。

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一方、飛行場周辺には、第1降下猟兵連隊第2大隊(部隊名がオレンジ色のバー)が降下。第2大隊第5中隊は、英軍ブラックウォッチ連隊第2大隊の迫撃砲班を強襲するチャンスを得ながらも、部隊練度チェックに失敗し、これを取り逃がした。後々この迫撃砲班がドイツ軍を執拗に阻むことになろうとは。またこちらでも、ライセスターシャー連隊第2大隊(2/Leices)が陣地を出て、降下部隊を包囲している。

続く1700ターンには、飛行場近くの英軍対空砲がダイス0射撃(最良)で、第2降下猟兵大隊第7中隊を半殺しにし(1ステップロス)、英軍234砲兵中隊も阻止砲撃を開始した。

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早くも日が暮れ、20日夜間ターンとなる。ドイツ軍は、翌0700ターンに第1連隊第3大隊、第2連隊第2大隊のフォーメーションチットを仕込み、連合軍も2/Y&L大隊のチットを0700ターンに投入した。

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夜が明けて21日0700ターン。いきなり降下猟兵連隊の迫撃砲が、ダイス0射撃を連発し、英軍234砲兵中隊を除去。しかし連合軍も、軽迫撃砲火力(紫色)による無償射撃を連発し、1100ターンまでに包囲した第2降下猟兵大隊第6中隊と軽対空砲を除去した。さらに対空砲で半殺しにされていた第7中隊に対し、英軍ブラックウォッチ連隊D中隊が陣地を飛び出して強襲をかけ、これも除去。早くも午前中の段階で、第2降下猟兵大隊は、その戦力の大半を失うこととなった。しかし飛行場東の戦線には、離れて降下していた第1降下猟兵連隊第1大隊が到着。第2大隊と入れ替わる形で前線へ出るや、第7中隊の仇とばかりに、ブラックウォッチ連隊D中隊に強襲をかけ、これを除去した。

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一方、Heraklion市街では、第1降下猟兵連隊第3大隊と、2/Y&L大隊ががっぷり四つに組んで射撃戦を展開。一応、連合軍は、ギリシア軍+イギリス軍というスタックで市街ヘクスを守っているが、ドイツ軍はまず脆弱なギリシア軍から狙い撃ってこれを除去し、イギリス軍を孤立させる構え。対して連合軍も、歩兵化された第7中砲兵連隊のユニットを市街へ増派し、防衛線を厚くしている。

午後になり、1300、1500、1700ターンと経過していくが、一進一退の攻防が続く。両軍とも派遣ポイントが溜まらないため、効率的に攻撃できるフォーメーションチットが得られないのだ。ドイツ軍に至っては、1500ターンに強襲のための部隊練度チェックに4回失敗する(そして指揮ポイント4を浪費する)など、疲れが見えてきている。結局、睨み合いのまま、21日夜間ターンとなり、両軍は再び翌0700ターンにフォーメーションチットを仕込んで攻勢を待った。

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明けて22日0700ターン。連合軍は、旅団チットと直接指揮チットの連発からスタートし、攻勢に出るであろう(そして実際にフォーメーションチットをこのターンに投入していた)第1降下猟兵連隊第1大隊に迫撃砲を撃ち込み、その出鼻を挫いた。だが結局0700ターンに第1大隊のフォーメーションチットは出ず、すべての弾幕マーカーが撤去された直後の翌1100ターンの最初にそのチットが活性化され、第1大隊はこの時を待っていたとばかりに強襲をかけ、英軍戦線を食い破った。

またこの前進から逃れようとしたブラックウォッチ大隊の迫撃砲班が、臨機射撃を誘発して、あえなく除去。一方、Heraklion方面でも1300ターンに、市外から阻止弾幕を撃ち込んでいた迫撃砲班が、強襲をくらって除去され、遂に阻止弾幕を撃てるユニットをすべて失った連合軍は、急速に弱体化していった。

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ドイツ軍はとどめとばかりに、1500、1700ターンに大隊フォーメーションチットを複数仕込んで攻勢をかけた。特にHeraklion市内では、連合軍が立て籠もる1ヘクス毎に火力を集中して防御スタックを弱体化させ強襲で潰す、の繰り返しで、ようやく残るはHeraklion港ヘクスのみとなった。

連合軍は、次々に大隊が全滅していたが、最後に残った2/Leices大隊チットを1900ターンに投入し、果敢に反撃。飛行場に迫る第1降下猟兵大隊第1中隊を除去し、後方の迫撃砲中隊にも攻めかかろうとしたが、強襲の部隊練度チェックに失敗してしまった。

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結局、最終夜間ターンに、ドイツ軍がHeraklion港を占領。しかし滑走路連続2ヘクスの確保はならず、連合軍勝利となった。もっとも損害は連合軍の方が断然多く、このまま続ければ、飛行場の確保も危ういと思われる。また今回すっかり忘れていたが、両軍とも後衛ユニットが捻出できるので、それも使った方が良かったかもしれない。もっとも後衛を捻出する時間があるかは微妙だが。英軍の紫火力(師団チット第1活性化での射撃が可能)は、歩兵相手ならかなり使える能力で、なるべく相手にベタ付けして射撃しまくりたいが、そうするには陣地を捨てる必要があり、どちらを取るかは悩ましいかも。

総じて、先のRethymnonシナリオより面白く感じたので、もう一回プレイするなら、こちらを選ぶと思う。まあ、次はMalemeシナリオに進むとしよう……

【Grand Tactical Series】「Operation Mercury」SNAFU (Rethymnon Historical Airdrops) Solo-Play AAR

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GTS:Operation Mercury」のシナリオ1「SNAFU(Rethymnonへの史実降下)」をソロプレイしてみた。お題は、1941年5月20日、ドイツ軍空挺侵攻第一波である第7航空師団第2降下猟兵連隊が、Rethymnon港と飛行場の奪取を図るというもの。5月20日1500ターン開始、翌21日1900ターン終了と、全11ターン。Rethymnon周辺だけを切り取ったハーフマップだけでも遊べそうだが、1ユニットだけその範囲外に降下しているため(⇧写真右上)、やはりRethymnonフルマップが必要となる。飛行場周辺には、第19オーストラリア旅団(歩兵2個大隊+ギリシア軍4個大隊)がびっしり陣取っていて、そのうえドイツ軍は飛行場の東西に分散して降下しているため、降下猟兵にしてみれば、早くも国に帰りたいレベルの苦境である。

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まずは20日1500ターン、ドイツ軍の降下からシナリオ開始。飛行場東に降りた第2降下猟兵連隊第1大隊(部隊名が青いバー)は、早速、降下地点近くにいたオーストラリア軍砲兵半個中隊を強襲で除去したものの、1500ターン最後にフォーメーションチットが出てしまったため、攻撃は翌1700ターンに持ち越し。また飛行場西に孤立していた第2中隊は、本隊と連絡が取れた(指揮範囲内に収まった)ものの、連合軍の射撃によって射すくめられ、制圧されている。

同じく第3大隊(部隊名がピンク色のバー)は、東西に部隊が分散してしまったが、とりあえず指揮官を東に配置してこちらを指揮下とし、第1大隊と足並みを揃えて東から飛行場を攻める策を取った。

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一方、飛行場の西でも、第3大隊の一部が連合軍陣地に迫っているが、こちらは指揮外のため、第2アクションが行えない。第3大隊のさらに西には、作戦目標であるRethymnon港があるが、いきなりそちらへ向かえば、連合軍に追撃されるとみて、まずは飛行場を攻め、大隊の合流を目指した。

これに対し連合軍は、1500ターンにいきなり派遣ダイス「0(最良)」を出し、派遣ポイント3を獲得。これは大規模な反撃を実施すべしということで、2/1歩兵大隊と2/11歩兵大隊、2つのフォーメーションチットを1900ターンに仕込み、積極的な反撃を企図した。

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その1900ターン。ドイツ軍は、イベントで出た「英雄(部隊練度と防御修整が1良くなる)」マーカーを、孤立している第1降下猟兵大隊第2中隊に配置。これが効いたか、第2中隊は連合軍の猛攻を1損耗打撃のみで切り抜け、飛行場脇を死守している。

ユニット単位での火力・練度に優るドイツ軍は、連合軍陣地をひとつずつ潰して飛行場に迫りつつあり、連合軍はその攻撃を座して待つよりも、あえて陣地を捨ててドイツ軍ユニットに接敵し、軽迫撃砲火力の恩恵(射撃が禁じられている師団フォーメーションチットでの第1活性化でも無償で射撃が行える、射撃戦を多用した連合軍ドクトリンを反映したもの)を活かすことにした。

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夜間ターンは、火力が2低下するため、散発的な射撃のみに留まった。また両軍とも、翌朝0700ターンに2枚ずつフォーメーションチットを仕込み、本格的な戦闘は夜明け以降としている。そしてこの夜間ターンに、第2降下猟兵連隊チットが引かれなかったため、翌0700ターン最初のチット扱いとなってしまった。つまり第2降下猟兵連隊は、夜間ターンの間に、指揮・派遣ポイントの増加ダイスを振るチャンスが失われ、1ターン分のポイントが得られなかったということだ。これはドイツ軍としては、かなり痛いチット巡りである。

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明けて翌21日0700ターン。両軍のフォーメーションチットが入り乱れるはずのターンだが、天運は連合軍に味方した。なんとオーストラリア軍2/1歩兵大隊の迫撃砲班が、2回続けて砲撃ダイス「0(最良)」を叩き出し、その砲撃2回だけで第3降下猟兵大隊第10中隊を全滅させてしまったのだ。さらにドイツ軍は、第3降下猟兵大隊第9中隊が損耗打撃2の痛手を負い、しかも第1降下猟兵大隊のフォーメーションチットが最後に残ったため、このターンは空振り、翌ターン最初に持ち越されるという不運だった。

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続く0900ターン。派遣ポイントに余裕のある連合軍は、このターンも大隊フォーメーションチット2枚を即投入。さらに積極的反撃を継続することにした。

ドイツ軍は、第10中隊を失ったため、飛行場の東南で組織的な戦闘が出来なくなり、やむなく第3降下猟兵大隊の指揮官を飛行場西側へ移動。今度は西から攻撃をかけ……と思いきや、意外にも練度2のギリシア軍3 1/5中隊が鬼のような奮戦を見せ、第3降下猟兵連隊第9中隊を射撃で除去してしまった。

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第10中隊を葬った連合軍は、ギリシア軍部隊を前進させてドイツ軍を分断しつつ、飛行場は手堅く陣地で守る形となった。また連合軍は、前日の1900ターンに続いて、今日も0700ターン、1100ターンにイベントで「情報(指揮ポイント+2、派遣ポイント+1追加)」が出たため、師団運用に余裕があり、イベント的にも幸運だった。

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結局この後1700ターンまでプレイしたものの、第1降下猟兵大隊がようやく滑走路に隣接するヘクスに到達しただけで、とても飛行場の奪取はおぼつかなく、港に至っては手を出す余裕すらないという状況だった。まあ、チット運的にもダイス運的にも、かなり連合軍に傾いた展開だったが、これがもう少しドイツ軍側に傾いていたとしても、ドイツ軍が勝つのはなかなか難しいかもしれない。しかしバランスはともかく、GTSの基本的な歩兵戦闘を学ぶには良いシナリオだと思う。ユニットやターン数などから鑑みても、半日プレイすれば決着が見えるだろうし、例会などで遊ぶにも良い感じだ。次はHeraklionマップのシナリオあたり試してみたい。

【Grand Tactical Series】「Operation Mercury」Storming the Kastelli Solo-Play AAR

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GTS:Operation Mercury」のルールを訳したので、早速ソロプレイ開始。まずは練習用シナリオ「Storming the Kastelli」から。A4マップ1枚、双方10ユニット以下、全5ターンというミニシナリオである。状況としては、クレタ島に空輸されたドイツ第5山岳師団が、増援の装甲部隊を揚陸できるKastelli港を確保すべく、第95山岳工兵大隊に港を攻撃させるというもの。守る連合軍は、頼りないギリシア軍しかいないが、両軍とも自由な攻撃が行えるフォーメーション活性化チットは使用できず、師団チットと直接指揮チットだけでどうにかしろという制限つきだ。

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とりあえず、先攻ドイツ軍第95山岳歩兵大隊(ユニット名に印刷ミスがあるので注意)から前進開始。ドイツ軍は、あらかじめ航空支援で前線のギリシア軍に打撃を与え、続けとばかりに強襲をかけたものの、先手ギリシア軍の射撃ダイスが冴え、いきなり損耗打撃2をくらう幸先の悪いスタート。正直、山岳工兵たちも部隊練度5~4と平均以下なので、さほど攻撃が上手いわけでもない。それでもなんとか前線の2個ギリシア軍中隊を除去した時には、もう3ターン目に入っていた。

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その間、Kastelliの街に立て籠もったギリシア軍警察中隊は陣地を構築。ドイツ軍は、さらに頑強な抵抗を受け、損耗を重ねながらも街の外縁にとりついたが、ここで日没、連合軍勝利でシナリオ終了となった。

まあ、GTSの歩兵戦闘を学ぶシナリオなので、経験者が今さらプレイする必要もないのだが、練習用シナリオとしては良い感じだ。なにしろ、かつて「The Devil's Cauldron」の導入用シナリオでは、待ち構えるドイツ軍88mm砲へ向かって、見晴らしの良い堤防道路を、撃たれやすい縦隊で、イギリス軍戦車隊を進ませて皆殺しにさせ「ほら、こうなるから堤防道路と縦隊には気をつけてね」とスパルタ&トラウマ式にシステムを教育させてきたり、映画『遠すぎた橋』でお馴染みとは言え、面倒な強襲渡河をやらせてどこが導入なんだよと言いたくなるシナリオもあったが、それに比べればGTSも優しくなったものだ……

【Grand Tactical Series】「Operation Mercury:The Invasion of Crete」

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プレオーダーしていたMMP社の新作、GTS(Grand Tactical Series)第5作「Operation Mercury」が到着。お題は1941年5月の、ドイツ軍によるクレタ島侵攻作戦=メルクール作戦である。

これまでGTSのシリーズ・デザイナーは、Adam Starkweatherが務めてきたが、どうやらMMP社とケンカ別れしたらしく、シリーズ開発から脱退。シリーズ・デザイナーを失ったGTSの存続が危ぶまれたが、Joseph Chaconがデザイナーに名乗りを上げ、無事に本作が発売された。Chacon氏は、すでに先日のConsim Expoで、新作「GTS:Race to the Bastogne(1944年12月のバルジ戦・バストーニュ周辺の戦闘)」や「GTS:The Greatest Days:Utah Beach(1944年6月のノルマンディ上陸作戦・ユタ海岸編)」のテストプレイも披露しており、今後の展開も楽しみだ。

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そのChacon氏による「Operation Mercury」のゲームスケールは、1ヘクス=500m、1ターン=2時間とGTSの標準スケールである。地図盤は、フルマップ5枚+ミニマップ2枚(+さらにシナリオ用ハーフマップ2枚)だが、横長のクレタ島の3カ所で行われた侵攻を網羅するため、地図盤をすべて繋げるのではなく、フル3枚+ミニ2枚、フル1枚、フル1枚と、3つの地域に分けられている。詳しくは以下リンク。

「GTS Operation Mercury Map Layout」

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3地域間を繋ぐ、盤外移動ディスプレイもあり。

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カウンターシートは全8枚、カウンター総数約1400個(プレオーダー発送分の中にはカウンターシートNo.4が入っておらず、No.1が2枚入っているモノがあるそうなので注意)。侵攻するドイツ軍として、第7航空師団(この当時はまだ降下猟兵という名前ではなかった)と第5山岳師団が登場。第7航空は練度7のユニットが多く精鋭師団という感じだが、第5山岳もなかなか頼もしそうだ。もっとも装甲車両はまったく無い……と思ったら、第5山岳師団に1個だけII号戦車半個中隊があった。これ、空輸したのか?

基本ルールは、GTSv2.0にエラッタ等を修正したGTSv2.0bが適用されている。「GTS:The Greatest Days」にもあった空挺部隊の集結地点、海軍チット等も見受けられる。

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こちらが連合軍。第2ニュージーランド師団とクレフォースと呼ばれる混成守備部隊に分けられている。水色の兵科シンボルはギリシア軍ユニットだが、練度が1とか2とか、ほぼ最低レベルである。むしろギリシア警察部隊の方が練度が高い。まあダメな国ってそういうものか。連合軍にはマチルダMk.IIA戦車ユニットもあるが、その火力種別は「対戦車」である。ドイツ軍には(II号以外)戦車など無いのに!

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シナリオは、キャンペーン含めて13本収録。その半分以上がフルマップ1枚程度に収まっているので、サイズ的には遊びやすそうだ。特別ルールも多くないので、さっさと翻訳して遊んでみようと思う。

ただ、すでに「GTS:The Greatest Days」で派手な戦車戦を経験した身なので、ほぼ歩兵オンリーの戦いである本作は、やや地味に思えてしまう。そのあたり含めて、本作でなければ感じられない魅力があるかどうかも確かめたい。もちろん自分的には、GTSのスケールもシステムもグラフィックも、すべてのシミュレーション・ウォーゲームの中でベストオブベストなので、結局は楽しめてしまうのだろう。地味とは思いながらも、2017年My Bestウォーゲーム第一候補である。そして早くもエラッタが公開中⇩

CSW Forum - Operation Mercury: The Invasion of Crete (MMP) GTS 2.0

Crete 1941: Germany's lightning airborne assault (Campaign)

Crete 1941: Germany's lightning airborne assault (Campaign)

 
Crete: The Battle And The Resistance (History and Warfare)

Crete: The Battle And The Resistance (History and Warfare)

 

【Operational Combat Series】「Sicily II」Campaign AAR part.3

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今日は秋葉原イエサブにてFORGER氏主催の「OCS:Sicily II」キャンペーン会、第三回。第6(7月28日)ターンからの再開である。自分の担当は、引き続きシチリア島東部の枢軸軍。前回の終わりに「戦線の破断界も近いような気がする」と書いたが、まさに今回はその破断界を味わう展開となった。

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第6(7月28日)ターンの先攻は連合軍。すでにイギリス軍は、正攻法でゴリ押しできるだけの戦力を前線に積み上げ、カタニアへ北上開始。内陸部で、イギリス第1空挺師団を先鋒とした渡河攻撃を成功させた。ただしイギリス軍も、部隊はあるが補給ポイントがまだ少ないため、大規模な攻撃1カ所だけに留め、じりじりとした進撃である。一方、空では、引き続き連合軍が積極的な制空作戦を展開しており、枢軸軍の戦闘機はあちこちでその戦力を削られていった。

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この内陸部におけるイギリス軍の前進によって、枢軸軍東部・西部の間にクサビが打ち込まれかけた。実は、エトナ山の西からシチリア島北岸へと続く道路はがら空き状態で、そこを突破されると枢軸軍が完全に分断される危機が生じたため、枢軸軍は全体的に後退開始。とは言え、戦線を埋めきれるほどのユニット数も無く、少数のユニットをバラ撒き、結局は各個撃破されるであろう手しか取れなかった。

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アメリカ軍と相対する西部枢軸軍(N村氏指揮)も、ここまで「攻撃は最大の防御」とばかりに果敢な反撃を試みていたが、そろそろシチリア島東北部への撤退を検討する段階に。(西部枢軸軍の戦況についてはN村氏Blogをどうぞ)

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第7(7月31日)ターンも、先攻は連合軍。このターン、イギリス軍は再び内陸部でのゴリ押し的攻撃で突破を得て、続く突破攻撃でも枢軸軍ユニットを除去し、カタニア平原をほぼ制圧する勢いを見せた。写真で見るとわずか2~3ヘクスの前進だが、もはやカタニア平原は放棄するしかなく、全戦線を大きく下げないとまずい。一応、枢軸軍砲兵部隊は、リアクション砲撃で連合軍攻撃スタックに混乱(DG)を与えているが、すでに連合軍攻撃スタックの数の方が多く、対処しきれない状況だ。

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仕方なく第7ターン裏も、枢軸軍は後退。エトナ山西部にイタリア軍司令部を移設し、山岳突破に備えている……というあたりで今回はお開き。一応まだ、東部枢軸軍の前線は精強(アクションレーティング5)なドイツ第1降下猟兵師団が固めているが、これとて各ヘクスに1戦闘団(大隊規模)がいる程度。しかも再建不可のため、いったん除去されるともうゲームには復帰できない。つまり第1降下猟兵師団が壊滅すれば、その穴を埋める部隊はもう無いのだ。恐らく次の第8ターンから、その降下猟兵ユニットたちがひとつずつ揉み潰されていくのではないだろうか。

史実では、先にアメリカ軍が突破を果たしてメッシナへ到達したが、今回のプレイでは、イギリス軍がそのまま力押しでメッシナへ先乗りするかもしれない……という予感を抱きつつ、また次回へ。

※イギリス軍担当FORGER氏のBlog⇩

【Battalion Combat Series】「Baptism by Fire」Between a Rock and a Hard Place Solo-Play AAR

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「Baptism by Fire」の「Between a Rock and a Hard Place」シナリオをソロプレイしてみた。先日プレイした「Operation Spring Wind」シナリオは、戦役序盤を扱っていたが、このシナリオは枢軸軍がKasserineを落とした後、戦略目標をTebessaかLa Kefに決定して進撃するという、戦役後半を扱うものである。こちらもマップ1枚のみなので、プレイしやすそうだ。

シナリオ開始時、撃退されたアメリカ軍第1機甲師団は戦線後方に下がり、Kasserine北の峠はTF Starkと地雷原によって固められている。さらに西の山中には(連合軍に降伏して味方になった)フランス軍部隊が陣取っており、TebessaとLa Kefへ向かうルートを塞いでいる。攻める枢軸軍は盤上にDAKしかいないが、後々、南と東から増援部隊が繰り出してくる予定だ。

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最初の2月19日ターン、晴天。枢軸軍が戦略目標チットをランダムに引いた結果、目指す目的地はTebessa(つまり北ではなく西へと突破する)と決まった。とりあえずDAKがKasserine北の峠を塞ぐ地雷原へ進入。一方、疲弊した連合軍は、疲労レベルの回復に入った。また地図盤北からは、イギリス軍NickForceなる部隊が登場し、La Kefへ向かう道の守備に就いたが、彼らの出番は無かった……

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2月20日ターン、晴天。地雷原を啓開したDAKが、TF Starkへの攻撃を開始。南からはイタリア軍センタウロ戦車師団が、東からはKG Reim、KG Gerhdtが登場したが、本格的な攻撃発起は翌2月21日ターンから。また連合軍にも増援として、アメリカ第1歩兵師団が登場している。

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2月21日ターン。枢軸軍の本格的攻撃が始まるという日に雨天=良くても部隊機能半減まで=攻撃OBJマーカーが1枚までしかもらえない=各フォーメーションは1カ所しか攻撃できないし有利な修整も得られない。それでもDAKは、TF Stark(準備防御中のため後退しにくい)を執拗に攻め、Kasserine北の峠にぎりぎりと食い込んでいく。後方には増援のKG Langも到着。

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西では、センタウロ戦車師団がアメリカ軍第1レンジャー大隊が籠もる山道を攻撃。イタリア軍XIV戦車大隊の射撃が冴え、この後、レンジャー大隊は全滅する。

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2月22日ターン、晴天。ようやく役者=フォーメーションも揃い、枢軸軍の本格攻撃開始である。しかし先んじてTF Starkが、アメリカ第9歩兵師団砲兵隊の支援を受け、阻止弾幕を展開。この砲撃により、DAKは戦力半減していた歩兵大隊1を失い、戦車大隊にも損失が出る始末。怒りに燃えたDAKはこの後、TF Stark司令部に殴り込み、これを大きく後退させ、峠に突破口を開いた。

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DAKに続けとばかりにKG GerhdtとKG Langが峠を突破して西進。KG Reimは、イギリス軍を牽制するように北進。それでもなおTF Starkの3/39歩兵大隊が頑強に抵抗し、その後方には回復したアメリカ第1機甲師団CCCとCCB、アメリカ第1歩兵師団が展開している。

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西では、アメリカ第1機甲師団CCAも息を吹き返し、山道を攻め上るイタリアXIV戦車大隊を3/1戦車大隊が攻撃し、これを追い返した。東側の山道を攻めるイタリア軍スタックに対しては阻止砲撃を喰らわせ、ステップを削っている。

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そして最終2月23日ターン。枢軸軍は、TF Starkの残敵掃討に手間取り、シナリオ終了時の最大進出線はここまで。すでに幾つかのフォーメーションは疲労レベル2に達しており、第2活性化に至れないものが多かった。西のセンタウロ師団も、たいした前進は出来ていない。連合軍も戦力的にはボロボロだが、どこにでも配属できる第9師団砲兵の便利さがありがたかった。

先の「Operation Spring Wind」シナリオより登場ユニットは多いが、こちらも馴れれば、午前中から始めて夕方には完遂できるサイズだと思う。枢軸軍がどこを戦略目標としているのか、連合軍プレイヤーには分からないため、競技用シナリオとしても面白いし、二度三度プレイしたくなるのは、こちらのシナリオかもしれない。