Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの置き土産

【Operational Combat Series】「Beyond the Rhine」 A Time for Trumpets Set-Up

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「OCS:Beyond the Rhine」のバルジ戦シナリオ「A Time for Trumpets」をセットアップした。本シナリオは、1944年12月15日ターン~1945年1月12日ターンまでの全9ターンを用いてバルジ戦の時期を扱うが、対象範囲は一般的なバルジ戦ゲームよりかなり広く、ドイツ軍の目標都市であるアントワープブリュッセル、メッツ、ヴェルダンまで含まれている。一般的なバルジ戦ゲームであれば、最初から連合軍の増援は固定されているが、本シナリオではバルジ戦区外からいつ、どのように増援を持ってくるかは自由だし、ドイツ軍にしてみれば、北のアーヘン戦区や、南のメッツ戦区で助攻をかけてもいいし、史実とは異なり、南に作戦重点を置いてもいい。再現度より自由度を楽しめそうなシナリオ、という感じだろうか。しかしマップ1枚シナリオとはいえ、地図盤の長辺を戦線が横切っているため、配置ユニットも多いし、密度も高い。セットアップには半日かける気力が必要だ。

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こちらが北部戦線。イギリス軍が最北部に展開しており、地図最北端は、マーケットガーデン作戦でもお馴染み、アイントホーフェンからフェーヘルへ向かう「地獄のハイウェイ」である。つまりこの地域、真っ平らに見えるが、実は運河と沼沢地が入り組んだ厄介な地形であり、ドイツ軍側から助攻を行うのも厳しそうだ。その南ではアーヘン攻略を終えたアメリカ軍歩兵師団群がスクラムを組んで押し出してきている。アメリカ軍戦線が最も厚い地域であり、戦線後方に控えるアメリカ第2・第3・第7機甲師団は、ドイツ軍攻勢への対応に用いられるだろう。

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そしてこちらが中央戦線。一般的バルジ戦ゲームでの範囲である。しかしユニットの配置自体、史実をそのままなぞっているワケではない。ドイツ軍第501SS重戦車大隊は、第1SS装甲師団に組み込まれておらず、軍団直轄部隊として留め置かれ、どこに送り込むかも自由だ。フォン・デア・ハイテの空挺大隊も地上ユニットとして配置されている。前線のアメリカ軍スタックがあちこちで補給ポイントを背負っているのは、孤立してもそれでしばらく生き延びろということか、あるいはドイツ軍がパックマンの如く、その補給ポイントを奪って食べて前進しろということか。

またちょうど地図盤中央にバストーニュが位置しているが、この街が、南北に延びる一級道路と鉄道の交差点になっているため、バストーニュを取れば一応、北のブリュッセルアントワープと、南のヴェルダン、メッツに進めることになっている。そういう意味では、運命的な街なのかもしれない。

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そしてルクセンブルグ、メッツ、ヴェルダンを含む南部戦線。ドイツ軍には、こちらから正面突破できるほどの戦力は無く、もしメッツ、ヴェルダンを狙うなら、やはり中央戦線で突破し、南へ旋回して、連合軍戦線の裏へ回る方がいいのだろうが、果たしてそんな突破が出来るかは微妙……

連合軍としては、36火力砲兵を移動モード(18火力)にして機動防御的に、突破してくるドイツ軍装甲部隊に阻止砲火を浴びせつつ、遅滞活動を行うのが良さそうだ。対するドイツ軍としては、阻止砲撃一発で攻撃が頓挫しないよう、複数スタックにしたうえで、敵砲撃目標を分散させたいが、この入り組んだ地形では、どうしても道路に集まらざるを得ないのが厳しい。

また、ドイツ軍装甲師団の主力は戦車大隊(黄色い装甲)ユニットのため、Heavy Woodsで戦闘力1/2、Major Cityで攻撃力1/3となるが、アメリカ軍機甲師団は複合兵科(赤い機械化)ユニットのため、Heavy Woodsでは戦闘力が落ちず、Major Cityでの防御力も変わらない。つまりアメリカ軍の機甲師団編成の方が、この地域では有利なのだ。かつてのOCS作品では、黄色装甲ユニットが強く、赤色機械化は弱い、という評価だったが、今は赤色機械化ユニットの方が使い勝手が良くなっている。

ドイツ軍は大戦略として、北を狙うか南を狙うかだが、なにしろOCSなので、最初の突破攻撃で逆奇襲をくらい、出オチ的に攻勢が頓挫する場合もある。とりあえず各所で攻撃をかけ、突破できた所から後続を流し込んでいく感じだろうか。それでも一番手近な目標都市リエージュぐらいは取りたいので、やはり向かうは北か……という、おおざっぱなイメージだけ描いてソロプレイしてみようと思う。

A Time for Trumpets: The Untold Story of the Battle of the Bulge (English Edition)

A Time for Trumpets: The Untold Story of the Battle of the Bulge (English Edition)

 

【Operational Combat Series】「Beyond the Rhine」Nordwind AAR

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今日は秋葉原イエローサブマリンにて、FORGER氏主催の「OCS:Beyond the Rhine」に参戦。シナリオは、1945年1月1日に始まったドイツ軍最後の攻勢「Nordwind(ノルトウィンド=北風)」である。今回はFORGER氏が連合軍を担当、自分はノルトウィンド作戦の主攻勢部隊であるG軍集団(主力は第21装甲師団、第10SS装甲師団、第17SS装甲擲弾兵師団、第25装甲擲弾兵師団)を担当、N村氏が助攻部隊であるオーバーライン軍集団(司令官はあのハインリヒ・ヒムラー)を担当した。

ドイツ軍は、ストラスブール(D22.24-23.24)を取ればサドンデス勝利。またはザールブルグ(D28.32)、サヴェルネ(D26.28)、ヘーゲナウ(D27.23)、コルマール(D13.31)のうち2カ所を最終第13ターン(2月12日ターン)まで保持すれば勝利する。積雪のため、道路上でも1移動ポイント消費が必要(本来は1/2消費)。

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まず第1(1月1日)ターン。G軍集団の第21装甲師団・第17SS装甲擲弾兵師団が、旧マジノ要塞線(地図盤上の青い六角の縁取り)に陣取るアメリカ軍部隊へ攻撃開始。アメリカ軍は、予備砲兵で第21装甲に阻止砲火を浴びせ、これを混乱。それでもドイツ軍は、第353火炎放射戦車中隊を斬り込み役にしてアメリカ軍戦線を突き崩し、マジノ線の一角を占拠した。南方のオーバーライン軍集団も、第106装甲旅団で攻撃をかけ、サドンデス勝利都市ストラスブールまで2ヘクスに接近した。

これに対し連合軍は、第1ターン裏・第2(1月5日)ターン表とダブルムーヴを獲得。ストラスブールを守りつつ、さらに南から自由フランス第1機甲師団でオーバーライン軍集団の背後を攻めるも、これをドイツ軍の山岳歩兵大隊1個が食い止める善戦を見せた。

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第2ターン裏、G軍集団はヘーゲナウ目指して第10SS装甲師団でも攻撃開始。また第17SSも、先に奪ったマジノ線ヘクスを足がかりに突破口を広げた。

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さらに第3(1月8日)ターン表、今度はドイツ軍がダブルムーヴを獲得。G軍集団は、第21装甲師団で3つ目のマジノ線ヘクスを奪い、アメリカ軍戦線に大穴を穿ち、予備にしていた第25装甲擲弾兵師団の戦車大隊を突破させた。また阻止砲火に遮られた第10SS装甲に代わって、第6SS山岳歩兵師団も斬り込み、アメリカ軍戦線を両翼から包囲する格好となった。ただし、ここまで3ターンにわたる攻撃によって、G軍集団のSP(補給ポイント)は枯渇寸前である……

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南のオーバーライン軍集団も、ストラスブールを目前にして停止中。もちろん、増援SPを優先的にG軍集団に譲っていただいたせいなのだが、オーバーライン軍集団の輸送手段は馬車1台しか無く、そのあたりも厳しい。そして第3ターン裏の連合軍も補給は厳しいらしく、包囲された戦車大隊が補給切れで除去され、このままではまずいとばかりに戦線を下げてターンを終えた。一応、P51戦闘機の群れが、第10SS装甲に空から襲いかかってきたが、迎撃に出たBf109戦闘機によって追い返されている。

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そして第4(1月12日)ターン表。ドイツ軍先攻。G軍集団としては、もはやSPが枯渇気味だったので、さてどうするかと思案している最中、なんと盤上のスタック下に、忘れていた6SPを発見(セットアップに参加していなかったツケ)! この隠し資金を糧に、第10SS、第21装甲、第17SSが再び息を吹き返し、さらにアメリカ軍戦線に食い込んだものの、目標都市ヘーゲナウにはまだまだ届かず。そして突破口は開いたものの、伸び始めた戦線を埋める部隊がいないというていたらく。逆に連合軍は、第4ターン裏、戦線を縮小して各スタックの厚みを増し、ヘーゲナウを守る構えを見せた。北ではアメリカ第14機甲師団が進出してきたが、これはドイツ軍の予備砲兵がリアクション砲撃で混乱させた。

と、第4ターンを終えた時点で両軍ジリ貧になってきたので、今回はここでお開き。今回ドイツ軍は、低密度スタックをバラまき、敵砲爆撃の焦点を分散することを心がけたが「非隣接or3スタックからの攻撃が成功しても突破は得られない(ルール9.13b)」にあたる場合も生じてしまい、なんともかんとも。それでも「OCS:Beyond the Rhine」の味見はできたので、そのうちバルジ戦シナリオ「A Time for Trumpets」にも挑戦したいところだ。

【Battalion Combat Series】BCS Rules v1.1 First Impression part.3

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WWII大隊作戦級BCSルールv1.1の第一印象・その3。OCS先輩は「13:1で攻撃したはずなのに、逆奇襲をくらった結果3:1になってしまった」という振れ幅の大きい戦闘システムだったが、BCSにそのような戦闘の変動はない。むしろBCSは、第2活性化に成功し、1ターンに4回の攻撃回数を獲得することで、相手へのダメージを倍加させる、という感じだろうか。

やはりBCSで振れ幅が大きいのは、フォーメーションが部隊機能判定(SNAFU)に失敗して、いきなり師団・戦闘団全体が戦闘・移動不能に陥る部分か。さながら「あの師団、昨日まで元気に戦っていたのに、急に倒れるなんて疲れていたのかな……」という過酷な労働環境を彷彿とさせるシステムなので、勤労ウォーゲーマー諸氏は、自身のワークライフ・バランスを考える意味でも、この「疲労」に主眼を置いたBCSシステムに是非触れていただきたい。

カセリーヌ峠の戦い1943―ロンメル最後の勝利 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ 世界の戦場イラストレイテッド)

カセリーヌ峠の戦い1943―ロンメル最後の勝利 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ 世界の戦場イラストレイテッド)

 

さて面白いと思ったのは、射撃戦(Engagement)の処理だ。多くのウォーゲームでは、射撃と言えば一方的に撃ち、相手へのダメージを判定するが、BCSではお互いに撃ち合った結果を判定する。つまり撃ったのは自分なのに、逆に自分だけが損害を被る……という場合もあるのだ。まして射撃戦を自分から仕掛けると、疲労レベル上昇チェックをしなければならないため、ムダ撃ちは避けたい。もちろん、射程2を持つユニットが2ヘクスの距離から射撃戦を仕掛け、射程1しか持たないユニットからステップロスを被った場合、その損害は無効となる……という、いわゆるアウトレンジ射撃も再現されている。

射撃戦では、ユニットの射撃値(AV)+アクションレーティング(AR)の差分を基にして判定する。これも射撃値+ARが戦闘力になっている感じだ。上のサンプル画像で言うと、ドイツ軍のティーガーI戦車中隊は射撃値4+AR5=基本値9であり、アメリカ軍戦車大隊は射撃値2+AR4=基本値6。その差3。ティーガー中隊が射撃側なら、ダイス2個振って6以上でアメリカ軍戦車大隊の1ステップロス&後退となる。アメリカ軍戦車大隊が射撃側なら、ダイス2個振って9以上で双方ステップロス、運良く12が出ればティーガー中隊がステップロスだ(そしてティーガー中隊は1ステップしかないため全滅し、再建不可なので二度とゲームには帰ってこない)。

また、他のウォーゲームでは、射程内に侵入した敵ユニットに対して、防御側ユニットが臨機射撃を行うが、BCSでは、もしも防御側ユニットの実効射撃ZOC(Real AV ZOC)に入ったなら、侵入したユニット側が射撃戦を仕掛けなければならない。これは停止射撃戦(Stopping Engagement)と呼ばれるが、なるほど、これも仕掛けた方が損害を被る場合があり、実質、臨機射撃としての役目を果たしている。

そのような射撃戦含めた攻撃を、各スタックは行動中に2回まで行える。攻撃回数を2回消費したら、そのスタックは行動完了となるので、2回目の攻撃を移動のどの時点に持ってくるかが鍵だ。行動を開始したヘクスからまったく動かず、2回攻撃してもいいが、それで行動は終わる。あるいは移動→攻撃→移動→攻撃(完了)でもいい。移動→攻撃→攻撃(完了)でもいい。攻撃→移動→攻撃(完了)でもいい。

また各フォーメーションは、あらかじめ攻撃(目標)OBJマーカーを配置し、そのマーカーから2ヘクス以内にしか攻撃できない(射撃戦はマーカー範囲外も可)。この攻撃OBJマーカーは、各師団・戦闘団の索敵能力、情報収集能力、攻撃計画力を表しており、部隊機能判定(SNAFU)に成功すれば、通常通り、各活性化毎に2マーカーを獲得できる。攻撃箇所を2カ所にしてもいいし、2枚のマーカーを重ね置きしてダブル攻撃OBJゾーンを形成すれば、攻撃に有利な修整が付く。しかし部隊機能半減なら攻撃OBJマーカーは1枚しかもらえない(つまり1カ所しか攻撃できないし、ダブル攻撃OBJゾーンは形成できない)。しかし偵察ユニットによる、敵ユニットへの偵察行動(ダイス1個振ってアクションレーティング以下なら成功)に成功すると、追加の攻撃OBJマーカーが配置できる。

さらに戦闘に関する砲爆撃、準備防御、後退のルール、もっと言えば補給まわり……主要補給ルート(MSR)とその遮断や混線(Crossing the Stream)、前線補給部隊(Combat Trains)とその機能不全状態(Ghost Side)等々にも触れたいが、そろそろ書き疲れてきたので、この辺でお開きに。Part.4は、現物として新作「Baptism by Fire」が届いてからということで。

まあ、ルールを読んだだけの第一印象としては、やはりOCSやTCS同様、独創的なシステムながらも未洗練な部分も散見され、ルールがver3.0とかver4.0になる頃には安定するのでは?とも思ってしまう。システムとして完成させずに走り出し、走りながら修理していくという、ある意味、The Gamersブランドの伝統芸を継承しているかもしれない。デザイナーのDean Essigが「このルールは曖昧だけど、あまり理屈っぽく考え過ぎたり、悪用しないでね」とプレイヤーの善意やお作法に委ねているのも、ああ、この人も変わらないなあと思ったり。とは言え、なんだかんだ書きつつも、かなり惹かれているシステムだし、走りながら修理するプロセスにもつき合う気満々なので、今から取り組むのが楽しみだ。

【Battalion Combat Series】BCS Rules v1.1 First Impression part.2

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MMP/The Gamersの新WWII大隊作戦級シリーズ、BCS(Battalion Combat Series)ルールv1.1の第一印象・その2。今回はユニットの能力値(特に攻撃能力)を中心に、戦闘ルール周辺を眺めてみたい。

まずユニット右側に記された数値は、移動力(MA)。赤い移動力は戦術移動(敵ZOCから敵ZOCへ移動可)、白い移動力は徒歩移動(敵ZOCで停止)、黒い移動力はトラック移動(射撃戦ゾーンで停止)。ユニット中央に記された数値は、そのユニットの質を表すアクションレーティング(AR:5が最良)。ARが黄色い〇で囲まれている場合は、補充による再建不可。ARの下(ユニット中央下)の数値は、射程。このあたりは、先輩格OCSと相通じる部分なので、OCSプレイヤーの自分にとっては理解しやすい。

問題は、ユニット左側の攻撃能力だ。白い矢印⇧は「通常攻撃(Regular Attack)」能力を表している。「通常攻撃」とは、⇧ユニットによる攻撃で、歩兵攻撃を表していると思えばいい。「通常攻撃」では、攻防ユニット双方のAR差を基にして結果を出すため、ARがそのまま戦闘力になった印象だ。1回の攻撃では(攻防どちらかが)最大2ステップロスを被る。ユニット左上の▢で囲まれた数値が保有ステップ数であり、そのユニットの打たれ強さを表している。

そしてユニット左側の数値は、Armor Value(AV)。直訳すると装甲値であり、色によって種別が異なるが、実際にAVが表現しているのは、そのユニットの射撃能力だ。赤いAV(Red AV)はその数値で射撃を行え、中抜きで書かれたLimited AVは自ら射撃する場合に数値が1落ちる。上の画像で言えば、中抜きAVは、III号突撃砲ヘッツァー、V号ヤークトパンター等、防御向けの戦闘車両を装備している。他にもSupport AV(M10駆逐戦車など、同じフォーメーションの歩兵ユニットに分割配備できる)や、Standoff AV(88mm砲など、分割配置できるうえに、射撃戦ゾーンを形成する)といった射撃能力の差異を表している。またIV号突撃砲ブルムベアやVI号突撃砲シュトゥルムティーガーは、AVを持たない(イメージとしては歩兵)ユニットに対して優位を得るBreakthrough AVであり、第2弾「Baptism by Fire」からは小火器のみを装備したLight AVも登場するようだ(BCSv1.1で追加)。

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だったらこのAVとかいう数値、素直にFire Rating(射撃値)にしてくれ!と思った。実際、Armor Value=装甲値とクソマジメに訳すと、日本語文として理解しにくくなるので、My翻訳ルールでは、Red AV=攻勢射撃値、Limited AV=防勢射撃値、Support AV=支援射撃値、Standoff AV=遠距離射撃値、Breakthrough AV=突破射撃値、LIght AV=小火器射撃値にしてしまった。

基本的にこのBCSのルールには、そういった作り手側の「あえてひねった言葉を選ぶナルシシズムが満ちている。もちろん、ひねった言葉を選ぶ遊び心はあっていいし、新たな知見も得られることもあり、自分も好きだ。しかし枝葉のルールならともかく、根っこや幹にまで、そのひねった感覚が蔓延しており、ルールの根幹が分かりにくくなっているのなら失敗だと思う。「AVってなに?」「えーと、これは装甲値だけど射撃能力を表していて……」と、根本部分を説明する必要を生み出してどうする。とりあえずこのBlogでは、そういったナルシシズムを無視し、理解しやすい訳語を勝手にあてはめていくので以後よろしく。『シン・ゴジラ』風に言うなら「お前は好きにやった。俺も好きにする」である。

で、射撃値(AV)を持つユニットが、同じく射撃値(AV)を持つユニットを射撃する場合、Engagementとなる。これもクソマジメに訳せば、会敵や参戦、なのだろうが、要するに「射撃戦」である。また、射撃値を持つユニットが射撃値を持たないユニットを「射撃」する場合はAttack by Fire=直接射撃」となり、射撃値を持たないユニットを「攻撃」する場合はShock Attack=急襲攻撃」となり、処理が異なる。またアメリカ軍の戦闘団(Combat Command)に代表されるように、⇧と射撃値(AV)を両方持っている複合兵科(Dual)ユニットもあり、部隊編成の柔軟性も表現されている。

つまり射撃できるかできないか、相手も射撃値を持っているかいないかで、戦闘は「通常攻撃(Regular Attack)」「急襲攻撃(Shock Attack)」「射撃戦(Engagement)」「直接射撃(Attack by Fire)」の4つに分類され、各ユニットも、そのうちどの攻撃パターンが取れるか、分類されているわけだ。(さらに「偵察(Recon)」も攻撃回数を消費するが、実際には攻撃ではない)

とりあえず、BCSv1.1の戦闘がどのように表現されるかは、part.3にて。

【Battalion Combat Series】BCS Rules v1.1 First Impression part.1

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そろそろ発売予定のBCS(Battalion Combat Series)第2弾「Baptism by Fire:The Battle of Kasserine」(業火の洗礼:1943年2月カセリーヌ峠での戦闘)をMMP社に直接プレオーダーした。昨年、シリーズ第1弾の「Last Blitzkrieg」(こちらは1944年12月のバルジ戦)が出た時は、自分好みのWWII大隊作戦級ということで、興味は持ったものの、購入するまでには至らなかった。ところが「Baptism by Fire」の情報を追ううち、ネットに上がっていたBCSv1.1ルールを読み始め、おっ、これはなかなか面白いシステムなのでは?と気づき、結局BCSv1.1を訳し終わってしまった。まだ現物には触れていない段階だが、現時点でのBCSv1.1への感想をまとめておこうと思う。

BCS Rules v1.1 NM

デザイナーズノートを読むと、そもそもBCSは、先輩格OCSの大隊バージョンとして企画され、最初のうちは『補給ポイントを燃料と弾薬に分けよう』などという正直迷惑な方向性で開発が進められていたようだが、実際のBCSは、そのような形には落ち着いていないのでご安心を。

その先輩格OCSでは「補給」に主眼が置かれていたが、BCSでの主眼は「疲労」に置かれている。OCSは「いくら部隊があっても補給が無ければ役立たず」なシステムだったが、BCSは「いくら部隊があっても疲労しているなら役立たず」なシステムだ。

両軍プレイヤーは、それぞれ幾つかのフォーメーション(師団や戦闘団)を持ち、先攻プレイヤーから、ひとつずつフォーメーションを活性化させて行動(移動や戦闘)を行わせる。行動は、スタック単位で解決し、ひとつのスタックが移動・戦闘を解決したら、同じフォーメーションの別のスタックの行動を解決する。各スタックには2回までの攻撃回数(Fire Events)が許されており、移動途中での攻撃も可能。フォーメーション内のすべてのユニットが行動を完了したら、第1活性化が終わる。

ここでさらに第2活性化チェック(フォーメーションによって成功率が異なり、優秀な師団・戦闘団は第2活性化に成功しやすい)に成功すると、もう一度、そのフォーメーションのユニットが行動を行える。第2活性化まで完了すると、後攻プレイヤーに手番が移り、後攻側のフォーメーションがひとつ活性化される。そして同じことの繰り返し。ある意味「I Go, You Go(俺の番、君の番)」システムとも言える。

つまり、優秀なフォーメーションは1ターンに2回活性化でき、そうでもないフォーメーションは1回しか活性化できない。だったら優秀な師団や戦闘団が存分に暴れ回れるのかと思いきや、そこで足枷になるのが「疲労」である。「師団・戦闘団の継戦能力」とも言えるだろうか。

各フォーメーションは、活性化を終える際、もし攻撃に関する行動を取っていたなら、疲労レベルが上がったかどうかを判定する。疲労レベルは、完全充足(Fresh)⇨疲労レベル0⇨1⇨2⇨3⇨4と上がり、疲労レベル4になったら第2活性化は行えない(v1.1での改訂)。フォーメーションは、まるまる1ターンを回復に費やせば、疲労レベルを1回復できる(ただし完全充足には戻らない)が、恐らくはある程度の疲労を抱えたまま、作戦を続けることになるのだろう。作戦目標を達成するまでに師団・戦闘団が疲弊しきるかどうかがプレイの鍵になるため、疲労面から考慮するに無駄な攻撃は避けた方が吉。

そして疲労レベルは、各フォーメーションが活性化の前に行う部隊機能判定(SNAFU)に関係してくる。この部隊機能判定(SNAFU)に「成功(Pass)」すれば、そのフォーメーションは通常の制限内で移動・戦闘が行える。しかし「機能半減(Partial)」になると、攻撃目標の選定が半減、移動力半減、砲兵ポイント半減と、フォーメーションの戦闘能力がまさに半減してしまう。さらに「失敗(Fail)」に陥ると、移動も戦闘も不能となるのだ。疲労レベルは、この判定値にモロに影響するため、疲れてきたフォーメーションは、たとえ強力なユニットがあろうが、機能停止に陥ってしまうわけだ。

ちなみに「失敗」に陥った場合、すぐさま「じゃあこのターンは回復するね」とばかりに回復転換(Failure Flip)チェックに成功すれば、疲労レベルを1回復できるが、それにすら失敗したなら本当に機能停止だ。

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たとえばバルジ戦を扱う「Last Blitzkrieg」で言えば、ドイツ軍第1SS装甲師団パイパー戦闘団の活性化値(上画像、最上段、一番右のHQユニットのサイコロの目)は3であり、六面体サイコロを1個振って3以上が出れば第2活性化が行えるという、恐ろしく優秀なフォーメーションである(活性化値は4で優秀、5で普通、6で劣悪)。しかし活性化した分、多くの攻撃を繰り返せば、当然疲労レベルが上がる確率も増し、疲労が溜まれば突然、機能不全に陥ることになる。優秀なフォーメーションなだけに、1ターンに2回活性化して突破もできる反面、他の師団が追随できず、史実通りスタヴローあたりで孤立するかもしれない。いや、まさにそういう状況を再現したいのだろう。そういった戦闘と疲労のジレンマをどう管理するかが、BCSのキモのように感じた。

そしてこの「疲労レベル」「部隊の継戦能力」「スタック順に解決」「移動途中での攻撃可」「I Go, You Go」というコンセプトは、昔懐かしいSPIのセントラルフロント・シリーズを彷彿とさせるなあ……と気づいたあたりで、よし、では手を出してみようと思った次第。

またBCSv1.1の戦闘システムも、なかなか興味深いのだが、それについてはpart.2にて。

【Operational Combat Series】「Operational Matters / Sicily II」

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昨年発売された「OCS(Operational Combat Series)」専門の特別冊子「Operational Matters(作戦課題集)」を購入した。「ASL Journal」のOCS版といったところか。付録ゲームは、以前から遊ばせていただいている「Sicily II」。やはりキャンペーンプレイも始まったことだし、手元にも持っていようということで。本誌には、各OCSタイトルにつき1記事ずつが掲載され、記事中の地図戦況図を眺めていると、久しぶりにあれに触れたい、これにも触れたいと思ってしまう。

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元祖「Sicily」との比較画像。「Sicily II」が出たものの、スケールの異なる「Sicily」にもまだまだ価値はあると思う。まあ、どちらにせよ、上陸作戦と大規模航空作戦をやらされるため、マップ規模に比して、意外と遊ぶハードルは高いが。

しかしこういう雑誌付録という形で、1マップサイズのOCS作品が出るのもファンとしては嬉しい限り。現在開発中の情報が聞こえているOCSは、1944-45年のハンガリー戦線を扱った「Hungarian Rhapsody」、1943年夏以降の東部戦線を扱った「Third Winter」(絶版「Hube's Pocket」の拡張再版版でもある)と大物が多いが、たしか1941年のスモレンスク戦(つまりOCS版Panzer Gruppe Guderian)をマップ1枚で作るという話もあったので、そのあたり「Operational Matters 2」にでも収録してほしい。

【Operational Combat Series】「Sicily II」Campaign AAR part.1

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2017年初ウォーゲーム。今日は秋葉原イエサブにて、FORGER氏主催の「Sicily II」キャンペーンプレイ第1回に参加してきた。本日は第2ターンまでプレイしたが、カウンターの位置・状態をすべて記録し、次回また同じ状態で、第3ターンから続きをやっていこうという連続企画である。ちなみに主催のFORGER氏がイギリス軍、HA氏がアメリカ軍、N村氏が枢軸軍西部、自分が枢軸軍東部を担当した。

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枢軸軍東部を受け持った自分は、FORGER氏率いるイギリス軍と対峙することに。シチリア島南東部に上陸したイギリス軍は、早速、イタリア軍沿岸師団を攻撃した。士気の低い沿岸師団は、攻撃を宣言されただけで2/3の確率で降伏してしまうのだが、今回は徹底抗戦を選択。どうせ降伏するだろうと高をくくっていたイギリス軍歩兵連隊が、まさかの逆撃をくらって除去される羽目となった。沿岸師団ユニットは、この後の補給切れチェックにも生き残り、連合軍を少しだけ足止めさせた。

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一方、N村氏率いる西部枢軸軍は、第1ターン裏、果敢にアメリカ軍上陸海岸へ突進。上陸海岸を分断する位置に突っ込み、阻止爆撃をくらいながらも、留守番のアメリカ軍砲兵もろともLST(戦車揚陸艦)港湾を破壊する活躍を見せた。さらに枢軸軍は、第2ターンのイニシアチブで先手を取ったものの、このまま上陸海岸にいては返す刀で討ち取られるとばかりに後退。艦砲射撃の届かない内陸に戦線を張った。

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自分が受け持つ枢軸軍東部では、前線のイタリア軍部隊を後退させ、イタリア本土からドイツ第1降下猟兵師団を空輸し、これをカタニア平原に展開。III号突撃砲大隊を含む戦闘団を予備に指定し、連合軍の反撃を待った。しかし後から考えると、艦砲射撃を受けてしまう海岸沿いに予備部隊を置くのは危険。といって道路事情の悪い内陸部に予備を置くと、肝心な場所に急行できないし、痛し痒しである。

第2ターン裏、連合軍はシラクサを陥落させ、次なる目標アウグスタに狙いを定め、続々と部隊を上陸……というあたりでお開きとなった。東部枢軸軍担当としては次回、アウグスタでどれだけ時間が稼げるか、その後、カタニア平原でどれだけ粘れるかが鍵だろうか。あるいは粘っている間に、アメリカ軍がパットン将軍よろしくパレルモからメッシナへ突破するかもしれないが、まあそれはそれで。