Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【戦国群雄伝】「関八州古戦録」箱根の坂 (小田原征伐) Solo-Play Set-Up

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大河ドラマ真田丸」もいよいよ小田原征伐。ということで、ツクダ戦国群雄伝シリーズ「関東制圧」の同人エキスパンション「関八州古戦録」収録の小田原征伐シナリオ「箱根の坂」を初めてソロプレイすることにした。ゲーム期間は、天正十八年(1590)3月第2週ターンから7月第1週ターンまでの全16ターン。勝利条件は、豊臣方が北条氏直・氏政を共に討ち取るか、小田原城を陥落させるか、最終ターンまでに120得点(城の獲得と敵ユニットの除去など)を取れば勝利。逆に豊臣秀吉を討ち取ればその時点で北条方の勝利だが、まあ相手の総大将を除去するのはなかなか難しい。やはり小田原城を落とすか、最終ターンまでの得点の積み上げになるのだろう。※以下、武将の能力表記は(戦力・野戦修整・行動力)

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豊臣方・東海道方面軍先鋒は、駿府城に集結した徳川家康(★★344)3万1千(93戦力)と織田信雄(★★202)率いる美濃衆1万5千(30戦力)。頼りなさ過ぎる信雄隊に比べ、徳川隊は豊臣方最強の軍勢である。家康本隊1万3千(39戦力)を中核とし、酒井忠次(★334)隊6千(18戦力)、本多忠勝(★334)隊4千(12戦力)、榊原康政(★334)隊4千(12戦力)、井伊直政(★334)隊3千(9戦力)と、徳川四天王全員が野戦修整3、行動力4という頼もしさだ。

ちなみにルールには明記されていなかったが、水野忠重(★324)は、豊臣家臣バージョン(202)に差し替えた。その代わり、徳川家康の統率力(ユニットを何個率いられるか)を9から12に上昇。こちらも明記されていないが、追加統率ボックスは用意されているので、多分そうなんだろうと思う。

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第1ターンに登場する豊臣家第一陣は、豊臣秀次(★★213)隊1万3千(26戦力)を中心とする総勢5万1千(102戦力)。しかしまともに作戦できそうなのは、豊臣秀勝(★★213)隊7千(14戦力)、蒲生氏郷(★224)隊5千(10戦力)程度で、いかにも烏合の衆。堀秀政(★224)には、病没チェックもある……

第2ターン登場の豊臣家第二陣1万9千(38戦力)は、さらに烏合の衆っぽい。福島正則(★222)も、まだ一手の将としての器ではない。徳川家を出奔した石川数正(224)がいるのがご愛敬。

第3ターンにようやく第三陣として豊臣秀吉(★★★224)隊1万5千(30戦力)を含む3万8千(76戦力)が登場。頼りになる小早川隆景(★224)に1万(20戦力)を預け、「水攻めで城を落とすと追加2勝利点」という特別ルールがある石田三成(☆213)にも6千(12戦力)を任せた。無論、目指すは「のぼうの城忍城である。

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信濃上田城に結集した豊臣方・中山道方面軍は、前田利家(★★224)率いる1万8千(36戦力)、上杉景勝(★★333)率いる1万(30戦力)、真田昌幸(★344)を含む信濃衆7千(21戦力)と、合計3万5千(87戦力)に及ぶ。ちなみに前田家の将・奥村永富(★222)は「一夢庵風流記/花の慶次」でも知られる奥村助右衛門。主人公・前田慶次郎前田利益(232)としてユニット化されている。また上杉隊には直江兼続(★333)、真田隊には矢沢頼綱(333)と、大河ドラマ的な面々も勢揃い。

これに対して北条方は、松井田城に大道寺政繁(★312)率いる2千(6戦力)の手勢がいるのみ。一応、武蔵・鉢形城には「北関東を見捨ててはおけぬ!」と小田原城から駆けつけた北条氏邦(★★322)隊5千(14戦力)がいるが、これまた勝ち目は無さそうだ。そして武蔵・忍城には酒巻靱負(334)が待ち構えているが、このユニット名も「のぼうの城」以後の発売であれば「成田長親」だったのだろうなあ……と思う。※「関八州古戦録」発売は「のぼうの城」発売(2007年11月)直前の2007年夏。惜しい!

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この未曾有の大軍に対し、北条方主力4万2千(94戦力)は、もちろん小田原城にある。とりあえず当主・氏直(★★★323)隊1万6千(39戦力)、御大・氏政隊(★★★323)1万6千(33戦力)、北条氏房(★313)隊6千(13戦力)、内藤綱秀(★323)隊4千(9戦力)に編成してみた。氏直・氏政親子もそれなりのレーティングだが、なにしろ相手が大軍(しかも精鋭徳川隊含む)なので、決戦ともなれば、恐らく大敗した後、士気喪失して小田原城に逃げ込み、そのまま落城……ということに成りかねない。一応、山中城に北条氏勝(★312)隊5千(14戦力)、韮山城北条氏規(★333)隊4千(12戦力)が初期配置され、箱根ルートは塞いでいるものの、足柄ルートは無人なので、別働隊を送らなければならないだろう。ちなみに自由配置の武将については、デザイナー・錦大帝氏のQ&Aにあったヒストリカル配置を採用している。

関八州古戦録Q&A - 錦大帝の雑記帳

さらに北条方には、下総・佐倉城に千葉清胤(★212)6千(12戦力)があるものの、これも豊臣方の関東武将……常陸太田城佐竹義重(★★333)1万(30戦力)、下野・宇都宮城の宇都宮国綱(★213)4千(8戦力)に比べると、いかにも頼りない。また豊臣方、下野・結城家の家臣に水谷蟠龍斎(344)なるチートユニットがあるが、こちらは「負け知らずの猛将」と称えられた結城四天王の一人だそうで。

結局、おおよそ豊臣方20万vs北条方6万という、豊臣方のワンサイドゲームになるのだろうが、実際、豊臣方が小田原城を落とすまでどれくらいかかるのか、小田原が落ちるまでにどれだけ関東の城を落とせるのか、というあたりを検証するなら楽しくなりそうだ。小田原征伐には「豊臣家の威勢を関東諸将に見せつける」という裏テーマもあっただろうから、あえて精鋭徳川隊を外し、史実のように豊臣本軍で山中城韮山城を力攻めしてみたり、忍城を水攻めにしてみようとも思う。それではソロプレイ開始。

のぼうの城

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【Wargaming Column】あれから35年:三つ子の魂百まで。

10年前の記事の続き。今日でウォーゲーマー歴35年になった。と言っても「あれから25年」記事を書いた2006年当時と比較すると、ウォーゲームに対するモチベーションもずいぶん下がった。コレクションは半分以上、処分したし、月イチで開催していた自宅会もとんとご無沙汰。新作も滅多に買わなくなった。最近は、新作をプレイしている自分が全然イメージできず、買っても遊ばないなー、だったら買うのは延期するかー、という感じだ。相変わらずの、ほぼ引退状態キープ、である。

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しかし35年経っても、本質的な部分は35年前とたいして変わっていないなあとも思う。35年前の1981年6月6日、初めて買った「Panzer Leader」のオマハ海岸上陸シナリオを遊んだが、ここ最近プレイしている「GTS:The Greatest Day」も、おおざっぱに言えば同じようなものだ。ゲームとしてものすごく洗練され、進化したとは言え、結局はノルマンディ海岸での戦術級ゲームを楽しんでいるのだから、三つ子の魂百までとは良く言ったものだ。

三つ子の魂百までと言えば、自分が2番目(1981年12月)に買ったウォーゲームは、SPI「NATO Division Commander」だった。あの、ちまちまとした詳細な作戦級に、初心者ながらも挑んだあたりが、今の「GOSS(Grand Operational Simulation Series)」や「OCS(Operation Combat Series)」のプレイに繋がっている気がする。そして3番目(1982年1月)に買った「Squad Leader」の流れは、もちろん「ASL(Advanced Squad Leader)」に繋がっている。これから先は、そういった三つ子の魂的に昔から好きな要素があるモノにしか手が出ないのかもしれない。

全体的に見ても、新作に挑戦するエネルギーが減って、馴染みのあるシステムにしか手が出なくなっている。もちろん知見を広げるという意味では、いろいろなゲームに触れた方が良いのだが、あいにくそのエネルギーは無いし、無理する必要もないかなと思う。一時期はだいぶ手を広げたので、今は収束する時期なのだろう。これからも「馴染みのシステムの新作」は追いかけるが、生粋のご新規には手が伸びないかもしれない。と言いつつ、The Gamersの新シリーズBCS(Battalion Combat Series)はどんなもんかな、と気にはしているが、さて5年後、10年後、どうなるかは未知数……

【Grand Tactical Series】「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」On to Bayeux AAR

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昨日は、Karter氏と3ヶ月ぶりの自宅会。自分もソロプレイ含めてウォーゲームをプレイするのは2ヶ月ぶりだった。とりあえずカンを取り戻すために「GTS:The Greatest Day:Sword, Juno, and Gold Beaches」の「On ti Bayeux」シナリオを初対戦。ドイツ装甲教導師団と、イギリス第50歩兵師団+独立機甲旅団の遭遇戦を扱ったシナリオである。

Karter氏が受け持った装甲教導師団は、4つの攻撃部隊がランダムに進撃路に配されるが、今回は東に1部隊(IV号突撃砲1.5中隊)があるのみで、西に3部隊(IV号戦車大隊、装甲捜索大隊、装甲擲弾兵大隊)が固まり、中央の進撃路にはゼロ、という配置となった。

開始1100ターン、先手ドイツ軍は、勝利条件地点のひとつであるConde-sur-Seulles村を中心としてIV号戦車大隊(4ユニット)を広く展開し、各中隊をヘッジロウヘクス(隣接しないと目視できない)に入れたうえでボカージュ・マーカー(火力、防御修整などが上昇)を乗せた。東のIV号駆逐戦車隊は、稜線に接した103高地、102高地に陣取り、こちらも鉄壁の構え(ユニットの防御修整-4、稜線で装甲防御-2、高地で装甲防御-2、合計-8防御修整)。イギリス第22機甲旅団が進入してくる近辺には、前衛部隊としてプーマ装甲車などを配置して、イギリス軍の攻撃を待ち構えた。

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対するイギリス軍は、鉄壁過ぎる東の進撃路を諦め、盤中央へ部隊を展開。艦砲射撃でドイツ軍戦車に目潰しをくらわせ、視界を遮った隙に、シャーマン・ファイアフライ部隊を前進させた。こちらは終盤まで射撃の応酬が続いたが、どちらも決定的なダメージは与えられなかった。またこのファイアフライ隊に対しては、Tilly-sur-Seulles村に陣取ったsFH13/1(15cm)自走砲がしきりと弾幕を浴びせ大活躍。直接命令チットでも行動できるフォーメーション・ユニットの便利さが際立っていた。

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1100ターン終盤に登場したイギリス第22機甲旅団は、圧倒的な物量にモノを言わせて、ドイツ軍前衛のプーマ装甲車中隊を撃破。しかし1300ターンの艦砲射撃が(艦船ユニットが10個もあったのに)1発しか当たらなかったため、ドイツ軍の射撃ゾーンを減じられず、ちまちまとした前進に。ヘッジロウに立て籠もったIV号戦車中隊は隣接しないと目視・射撃できないため、危険は承知で接近していったが、イギリス軍の射撃はさっぱり当たらず、逆にIV号戦車に次々ステップロスさせられていった。後からよく考えれば、弾幕だけ浴びせて、迂回突破すれば良かったような……

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それでもイギリス軍は1500ターン、ドイツ軍対空砲の傘の外にあったEllon村近辺のSd.kfz251/9(7.5cm砲装備)装甲車中隊めがけて戦闘爆撃機を召喚。ステップロスを与えた後、戦車隊でこれを撃破し、後方に隠れていた自走迫撃砲部隊へ肉薄。ボカージュに立て籠もった装甲擲弾兵に対しても射撃を加え、Ellon村へ圧力を加えた。1700ターンには縦隊モードになったM3スチュアート✕2個中隊が、Ellon村の脇をすり抜けて、後方の勝利条件地点、La Senaudiere村へ走れるか……といったあたりで、時間切れ、お開きとなった。

シナリオは、ランダム配置とは言え、やはりドイツ軍は早めに北上してイギリス軍の進入路を塞ぎつつ、ボカージュなり高地なりに立て籠もるのが良いなと。今回、早めに動き出したドイツ軍は、歩兵部隊もヘッジロウヘクスでボカージュに入り、さらには拠点(Improved Position)も築いて、最終的な防御修整を-5にするなど、艦砲射撃に対する備えも万全だった。これでは単発の射撃で崩れるはずもなく、と言って強襲しても、複合(戦車にもダメージを与えられる最強の火力種別、恐らくパンツァーファウスト装備を表している)強襲力によって返り討ちは必至、という手を出したくない厄介な状態になっていた。やはり相手より先に緊要地形を確保するのが大事、ということだ。

しかし以前なら深夜2時までプレイしてシナリオを完遂できたものを、昨夜は19時に夕食を摂ったら、もうプレイ意欲が萎えてしまった。来月でウォーゲーマー歴も35年になるが、体力的にも、確実に引退状態が進行しているようだ……

【参考文献】「ドイツ軍事史 その虚像と実像」

ドイツ軍事史――その虚像と実像

ドイツ軍事史――その虚像と実像

 

ウォーゲーム雑誌「コマンドマガジン」や「シックスアングルズ」に掲載されていた、大木毅氏の戦史記事を収録した「ドイツ軍事史」を購入。自分も、その手の雑誌はいくつか購入していたが、買わなかった号もあり、処分したものもあるので、こういった形で書籍化してくれた方がありがたい。

収録記事は、七年戦争からナポレオン戦争第一次大戦から第二次大戦へと多岐にわたる。個人的に興味深かったのは「スモレンスク戦再評価」「ヴェルキエ・ルーキの死闘」「クルスク戦の虚像と実像」あたりか。特に「OCS:Smolensk」は、この記事にもあるような最新の知見を取り入れたウォーゲームだと思うので、ちょうど良い参考記事になるかと。

【Grand Tactical Series】「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」O Canada Solo-Play AAR

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引き続き「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」シナリオ検証作戦を継続中。今回はD-Day当日のジュノー海岸上陸から翌日日没までの戦闘を扱う「O Canada(初めて知ったがカナダ国歌の名前だとか)」をソロプレイしてみた。

タイトル通り、主役はカナダ第3歩兵師団である。このシナリオでは上陸戦闘から始まり、地図盤中央を横切る連絡道路Bを確保しつつ、地図南端にあるカルピケ飛行場近くまで進出すれば勝利となる(盤上のオレンジ色のマーカーがカナダ師団の目標地点)。対するドイツ軍は、海岸近くに第716歩兵師団の部隊が散らばっているだけで、地図盤の南半分はほとんど部隊が存在していない。

このスッカスカの戦区に駆けつけるのがドイツ第12SS装甲師団だが、D-Day当日の昼間に登場するのは3ユニットだけで、主力の第25装甲擲弾兵連隊(パンツァー・マイヤーことKurt Meyer大佐指揮)はD-Day日没後に到着する。翌D-Day+1日には、IV号戦車装備の戦車大隊も到着するため、本格的な反撃は6月7日からになる(盤上の青いマーカーが第12SS装甲師団が確保すべき地点)。

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まずは6月6日0700ターン、海上チットによる第一波上陸からスタート。しかし荒れた海面状況によってDD戦車2中隊が全滅。海岸障害物を除去する役目の第79機甲師団の工兵戦車も2ステップロス、独立工兵中隊も2中隊が全滅と、カナダ師団は手痛い損害を被った。それでも第一波が上陸し終わった時には、抵抗拠点レベルを0に、海岸障害物レベルは2までに低下させている。

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さらにカナダ第7歩兵旅団はWn33陣地を撃破し、カナダ第8歩兵旅団が突破口レベルを0に低下。0700ターン終了時には、全突破口啓開となっている。第48海兵コマンドは早くも海岸を脱し、縦隊モードで地図盤西端へ向かっている。

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0900ターン、カナダ師団はWn27、Wn28、Wn28b、Wn29、Wn30、Wn31陣地を順調に撃破。いまだ海岸の地雷原が除去しきれていないため混雑しているが、内陸へ向けて進出し始めた。ドイツ軍は、ひたすら後衛ユニットを捻出し、なんとかカナダ軍の進出を遅らせようと試みている。

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1100ターン。派遣ポイントが枯渇してきたカナダ師団は一休み。Wn26陣地を潰しつつ、内陸のドイツ軍に接近していく。 海岸には後続の第9歩兵旅団も揚がっている。

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1300ターン。このターンに海岸が掃討(Clear)され、海岸オーバーレイが外された。

カナダ第8歩兵旅団は、写真右上に見えるDouvres-la-Delivrande(49.012)付近の陣地に迫ったが、ここには陣地+歩兵中隊スタックが2つ存在し、どちらも2ステップ、部隊練度は高く、しかも地雷原に囲まれたうえ、要塞ヘクスに塹壕を築くという恐るべき鉄壁ぶりである。なおかつ陣地も歩兵中隊も自主指揮下(Auto-Command)ユニットという変わり種。

カナダ師団は、この強固な陣地含めて東に第8旅団を向かわせ、西には第7旅団、後続の第9旅団を中央に進めることにしたが、どうもこの選択はあまり良くなかったようだ(理由は後述)。

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1500ターン。西端では海兵コマンドが側面からドイツ軍戦線へ斬り込み、第9歩兵旅団も徐々に前線へ上がってきている。Douvres-la-Delivrandeの陣地周辺では、独立工兵中隊が地雷原を啓開中。陣地へはM10駆逐戦車、対戦車砲なども射撃を浴びせているが、なにせ要塞ヘクス+塹壕+陣地の防御修正は酷く、10面体ダイスで「0」を出すしか被害が出ないような状況である。

ドイツ軍戦線後方では、唯一の第12SS装甲師団擲弾兵中隊が、必死に後衛を捻出し、二次防衛線のようなものを構築している。後衛とは言え一応、最良の複合火力、しかも射程が3あるため、カナダ師団もおいそれとは近づけないだろう。またここまで第12SS装甲師団は、指揮・派遣ポイントを溜めに溜めまくっているので、翌日はフォーメーションチット連発の反撃が試みれるはず。

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1700ターン。カナダ師団はようやく派遣ポイントを充填し、第7・第8歩兵旅団フォーメーションチットで攻勢に出た。第7歩兵旅団は、独立重火器中隊の支援もあって、Ste-Croix-sur-Mer(69.010)近辺のドイツ軍を撃滅。地図盤中央に陣取っていた対戦車砲スタックも潰し、海兵コマンドと共に地図盤西側の第716歩兵師団ユニットをほぼ掃討した。

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一方の第8旅団は、La Delovrande(47.010)近辺の陣地を潰したものの、例の要塞陣地には苦戦中。一応、二度にわたる強襲によって北の要塞の歩兵中隊は全滅させたが、陣地ユニットはなお健在である。

ただし良く考えれば、この2つの陣地はカナダ師団の勝利条件にはまったく関係ない。もしかするとカナダ師団はこれを放置して内陸に進み、陣地の処理は1900ターンに上陸してくるイギリス第51歩兵師団第153歩兵旅団に任せればいいのだろうか?と気づいたところで仕切り直したくなり、ここでソロプレイを終えた。

恐らくそうなのだ。キャンペーンゲーム的に考えても、イギリス第51歩兵師団は6月11日以降、東に進んでイギリス第6空挺師団戦区に入るのだから、東寄りに上陸するはず。主役のカナダ師団は、もっと西寄りに展開し、ドイツ軍の増援が来ないD-Day当日のうちに内陸深くまで進出する方が良いのだろう……というあたりが分かったのが今回の収穫か。※追記:D-Day当日のジュノー海岸上陸後の戦況図を発見。やはりLa Delovrandeの陣地をスルーしている。

No. 48 (Royal Marine) Commando - Wikipedia, the free encyclopedia

今回は第12SS装甲師団の反撃までたどり着けなかったが、恐らく指揮・派遣ポイント満タンの状態で6月7日朝から暴れまくるはずなので、そのあたりも楽しめそうだ。マップ1枚のシナリオだが、まる2日間の戦闘を完遂するには、リアルタイムでも2日ぐらいかかるかもしれない。そういった部分も見定めたうえで、いずれ再挑戦してみよう。

しかし上陸から内陸侵攻まで通してプレイすると、まるまる1個師団、または1上陸海岸戦区を統轄するだけで手一杯な気がした。キャンペーンシナリオでは連合軍プレイヤー4人(3つの上陸海岸戦区と空挺師団担当)を揃え、それに対応してドイツ軍も4人揃えたうえで、合計8人でプレイしろと書いてあるが、たしかにうなづける。

【Grand Tactical Series】「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」The Race for Caen AAR

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昨日はFORGER氏と 「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」の「The Race for Caen」シナリオを対戦。こちらは先日ソロプレイした「To the Sea」の拡張版・本格版とも言うべきシナリオで、6月6日のD-Day当日、上陸直後のイギリス第50歩兵師団による内陸侵攻と、それに対するドイツ第21装甲師団の反撃を扱っている。1300ターン開始、2100ターンにイギリス第6空挺師団チットが引かれたら、その時点で即座に終了してしまう。

勝利条件は両軍それぞれ3つあり、どれが高得点になるかはランダムに決定される。今回自分はイギリス軍を担当したが、最も得点が高い第一勝利条件はStp17陣地とWater Twr砲台の占拠となった。ドイツ軍の勝利条件は、海岸沿いを走る連絡道路Aに第21装甲師団ユニットを入れるか、ペガサスブリッジを取るか、61高地を確保するかなので、そのあたりを警戒しつつ、作戦を行うことに。

上写真は1300ターン終了時だが、第8歩兵旅団は早くもStp14陣地を強襲で落とし、最優先目標Water Twr砲台攻略に向かっている。一方、第185歩兵旅団もStp17陣地に隣接したが、この陣地、周囲をぐるりと地雷原で囲まれているため、強襲をかける前に「地雷原から出られるか」チェックが必要。その地雷原を啓開するためにシャーマン・クラブ戦車中隊も駆り出されている。とにかくシナリオ開始時、イギリス軍は海岸にうじゃうじゃいる状態なので、どのユニットをどの順番でどちらへ振り向けるか、その交通整理に悩まされた。

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1500ターン終了時。Water Twr砲台には、運良くシャーマン・ファイアフライ戦車中隊の砲撃が命中。強襲も難なく成功し、すでに第8歩兵旅団が占拠している。海岸では、イギリス第41海兵コマンドがWn21陣地を攻略中だが、こちらは地雷原に阻まれ苦戦中。

ドイツ軍は、増援の第22装甲連隊第1大隊(IV号戦車中隊✕3)をペガサスブリッジ方面に投入。また反対側の地図盤西側には自走迫撃砲などに支援された装甲擲弾兵大隊に尾根(Ridge)を越えさせた。その動きだけを見るなら、ドイツ軍の狙いはペガサスブリッジか海岸の連絡道路Aのように思える。しかし地形の関係で、増援の投入先はだいたい決まっており、勝利条件がどうであろうと、増援はだいたいこの形で登場すると思われる。問題はどちらに重心をかけて攻めてくるかだ。

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1700ターン終了時。このターンのドイツ軍は、序盤から連続活性化し、押せ押せムード。ペガサスブリッジ方面ではファイアフライ戦車中隊(IV号戦車より射程が長いためアウトレンジ攻撃される可能性がある)を弾幕で目潰しし、その間に距離を詰めて討ち取る策に出たものの、射撃はいまひとつ振るわず。

ドイツ軍は地図盤西側に、さらなる増援の第22装甲連隊第2大隊(鹵獲フランス製戦車中隊✕3)も投入し、先鋒の擲弾兵中隊を海岸まで1Km(2ヘクス)の地点まで進出させた。これがM3スチュアート戦車中隊+砲撃によって制圧された対戦車砲中隊スタックめがけて強襲を試みたものの、武勇チェック(強襲ができるかどうかの士気チェック)に失敗し、前進停止。

総じてドイツ軍は、ペガサスブリッジと海岸線、双方で攻勢をかけており、どちらが第一勝利条件かはよく分からない。もっとも第21装甲師団の指揮ポイント、派遣ポイントは潤沢なので、ブラフとしての攻勢をかけるだけの余裕もあるようだ。

これに対しイギリス軍は、海兵コマンドの攻撃によって海岸沿いのWn21陣地、Wn24陣地を占拠。連絡道路Aを確保したうえで、進出してきた装甲車や自走砲ファイアフライとM10アキリーズ駆逐戦車中隊で撃破した。第185歩兵旅団は、何度かStp17陣地に強襲をかけたが、いまだ落ちず。

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1900ターン終了時。ドイツ軍はペガサスブリッジ方面でさらなる攻勢に。擲弾兵中隊が空挺陣地に強襲をかけ、ペガサスブリッジへ隣接。IV号戦車隊も、ファイアフライに隣接する距離まで肉薄したが、なかなか射撃が当たらない。ここまで攻めてくるということは、ドイツ軍の第一勝利条件はペガサスブリッジの確保なのだろうか?

また海岸近くの装甲擲弾兵中隊は、今度こそ武勇チェックに成功したものの、M3スチュアート戦車の機会射撃をくらってステップロスし、強襲から退却。支援の装甲車たちもイギリス軍戦車に次々討ち取られ、攻撃力が弱まっていった。後続の鹵獲フランス戦車中隊も、スピットファイア戦闘機の航空攻撃を食らい、ファイアフライ戦車と対戦車砲の射撃ゾーンに足止めされている。

一方イギリス軍第185歩兵旅団は、ようやく強襲に成功し、Stp17陣地を確保した。

最終2100ターンは、海上チット=艦砲射撃から始まり、ペガサスブリッジに迫った擲弾兵中隊が砲撃一発で除去された。そのまま早い段階で第6空挺師団チットが引かれてしまい、シナリオエンド。ドイツ軍の第一勝利条件はペガサスブリッジだったそうだが、これを確保できず、イギリス軍勝利となった。

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2100ターン終了時のペガサスブリッジ方面。双方の戦車大隊が睨み合っているが、お互い弾幕を撃ち合っての目潰しに終始し、どちらもさしたる損害は負わなかった。 

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2100ターン終了時の海岸線。車輌支援を失った平地の擲弾兵たちに、ファイアフライ、M10アキリーズ、対戦車砲が迫るという酷い構図。これがキャンペーンゲームなら、続く夜間ターンのうちに街や村ヘクスに入っておきたいところだ。

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この地域は、東西に尾根(茶色いヘクスサイド)が走っているが、これがある意味、防壁のように機能している。尾根を越える道路は、防壁の出入り口たる門であり、いち早く確保すべき目標なのだ。今回はその確保が遅れてしまい、ドイツ軍の海岸線進出を許してしまった。

シナリオとしては、午前中から始めて午後6時頃終了という1日サイズ。 プレイするたびに勝利得点が異なるため、盤面が同じでも勝ったり負けたりするはず。そういうあたりは面白いし、例会などで1日じっくり遊ぶには良いシナリオだと感じた。

【Grand Tactical Series】「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」On to Bayeux Solo-Play AAR

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今日は「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」の「On to Bayeux」シナリオをソロプレイ。このシナリオは、D-Day+3日の6月9日、ようやくこの戦域に到着したドイツ装甲教導師団による反撃と、内陸へ向かおうとするイギリス第50歩兵師団らの遭遇戦を扱ったもの。両軍はそれぞれ秘密裏に目標地点を決め、そこへ向かって攻撃を行う。装甲教導師団には4つの攻撃部隊があり、3つの攻撃ルートのどこに配置するかはダイスによってランダムに決定される。

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今回ドイツ軍は、まず右翼に装甲捜索大隊が、中央に第130装甲連隊第2戦車大隊(IV号戦車✕4)が配置された。写真ではマーカーを外してあるが、2つの攻撃部隊とも縦隊状態で道路上を北上している。ちなみに他師団のIV号戦車ユニットは火力(ユニット左上の数値)6だが、この師団のIV号戦車中隊は火力7という高評価を得ている。部隊練度(ユニット右上の数値)も7と極めて高く、ドイツ軍にとっては頼もしく、連合軍にとっては面倒な存在となっている。

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対する第50歩兵師団も、第8機甲旅団のシャーマン・ファイアフライを従え、南下中(こちらも縦隊マーカーを外してある)。ファイアフライ中隊も火力7、IV号戦車に優る射程4を誇るが、あいにく第8機甲旅団には指揮官がおらず、あまり期待はできない(フォーメーション・チットを入れても、指揮官がいないため第2アクションが行えない)。今回は、上写真に見えるConde-sur-Seulles村、Ducy-Ste-Marguerite村が、ともにドイツ軍の目標地点の可能性があるため、この地域の防衛に徹することにした。

イギリス軍は目標地点として、防備の厚いTilly-sur-Seulles村、Lingevres村を諦め、一番奥まった位置にありながらも手薄なLa Senaudiere村を目指すことにした。そちらには最初のターンに増援として登場する第22機甲旅団、第56歩兵旅団を向かわせる予定。

一方のドイツ軍も、すでにイギリス軍が抑えている二カ所を奪うのは難しいとみて、シナリオ開始時にガラ空きのEllon村を目標地点とし、これをシナリオ終了時まで保持することを考えた。

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さて開始1100時ターン。最初のチットは、Gerhardt戦闘団と決められているため、左翼に配置されたこれを一気に北上。目標地点のEllon村を早速、確保した。また同じく左翼に置かれたIV号駆逐戦車半個中隊✕3と、7.5cm砲装備のハーフトラック中隊を前衛として広く展開。このターンにイギリス第22機甲旅団と第56歩兵旅団が登場する増援ヘクスCに隣接するヘクスをすべて射撃ゾーンに収めてこれを封鎖。イギリス軍の登場箇所を少し離れた登場ヘクスBに変更させた。

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結果、1100ターン終了時はこのように。地図盤北端から湧いて出たイギリス第22機甲旅団、第56歩兵旅団は、IV号駆逐戦車の広い射撃ゾーン(射程4)に入れず、増援登場ヘクスから一歩踏み出した程度で終わっている。第8機甲旅団も、艦砲射撃の弾幕に隠れてIV号戦車たちの間合いに踏み込んだ。

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続く1300時ターン。先手を取ったドイツ軍は、第8機甲旅団のファイアフライに猛射を浴びせ、早くも2ステップロスを負わせた。ファイアフライ中隊が減少面になると、ただのM4シャーマンとなって戦力が急低下するため、イギリス軍にとっては痛い損害だ。

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このシナリオでは派遣(Dispatch)ポイントによるチット購入ルールは省き、指揮ポイント2を払えばチットが買える。イギリス軍は、第22機甲旅団フォーメーション・チットを購入。弾幕でIV号駆逐戦車を目潰し、一気に間合いを詰めたものの、第2アクションで射撃をする余力=指揮ポイントはあまり無い。第22機甲旅団フォーメーション・チットは毎回カップに投入したいので、2指揮ポイントを余らせる必要があるのだ。イギリス軍は指揮ポイントをケチりながらも、IV号駆逐戦車1個、7.5cm砲ハーフトラック1個を撃破してEllon村へ迫った。

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1300時ターン。今度はイギリス軍が先手を取り、第22機甲旅団フォーメーション・チットから開始。満を持してファイアフライ8個中隊がIV号駆逐戦車に射撃を浴びせたが、これがなんと全弾外れ!たしかにIV号駆逐戦車は当たりにくい(防御修正-4)が、ヒットひとつ与えられないとは……。これにより後続の第56歩兵旅団も(IV号駆逐戦車が射撃ゾーンを展開しているため)前進できず、仕方なく快速M3スチュアート中隊が敵射撃ゾーンを迂回してEllon村の西へ進出した。

対してドイツ軍も、手薄なLa Senaudiere村に自走対空砲などを配し、歩兵に陣地を築かせて、M3スチュアートの滑り込み勝利を防ぐ構えである。これを見たイギリス軍は自軍勝利を半ば諦め、Ellon村の奪取によってドイツ軍勝利を防ぎ、ドローに持ち込むことを目指した。

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1500ターン、1700ターンは、お互い弾幕の撃ち合いに躍起になり、なかなか射線が通らない。それでもイギリス軍はEllon村の自走迫撃砲を潰し、ボカージュに立て籠もる歩兵に艦砲射撃を浴びせたが、村を奪うには至らず。最後の1ユニットとなったIV号駆逐戦車も頑強に抵抗している。イギリス軍の虎の子、航空攻撃(修正無しの7複合火力)✕2も、さしたる戦果を上げずに終わり。

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1900ターン。イギリス軍は、ようやく最後のIV号駆逐戦車を潰したものの、時すでに遅し。Ellon村に立て籠もる歩兵部隊までは除去できず、ドイツ軍勝利となった。

後から考えると、イギリス軍は頑強なEllon村をスルーして、後方のLa Senaudiere村を攻めるべきかとも思ったが実際どうだか。とりあえず毎ターン、第22機甲旅団チットは必須。できれば第8機甲旅団チットも入れたいが、チット2枚分、4指揮ポイントを余らせるのもなかなか苦しい。

ドイツ軍も、Ellon村を守り切れたが、配置される部隊が変われば状況が変わってしまう。今回はIV号駆逐戦車が活躍したが、Gerhardt戦闘団だけだったら結構厳しいだろう。また今回、Scholze戦闘団は後方に留守番として残し、イギリス軍目標地点に陣地を築かせたが、これで良いものかどうか。一応、M3スチュアートによる滑り込み勝利は防いだが、後方に残すと前線の攻撃力が足りない気もする。

まあ、このシナリオ自体「The Greatest Day」で最もフリー・フォームだと明記されているし、ドイツ軍の攻撃ルートをいろいろ組み替えて楽しめば良いかと。良い練習シナリオだと感じた。