Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Grand Tactical Series】「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」The Race for Caen AAR

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昨日はFORGER氏と 「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」の「The Race for Caen」シナリオを対戦。こちらは先日ソロプレイした「To the Sea」の拡張版・本格版とも言うべきシナリオで、6月6日のD-Day当日、上陸直後のイギリス第50歩兵師団による内陸侵攻と、それに対するドイツ第21装甲師団の反撃を扱っている。1300ターン開始、2100ターンにイギリス第6空挺師団チットが引かれたら、その時点で即座に終了してしまう。

勝利条件は両軍それぞれ3つあり、どれが高得点になるかはランダムに決定される。今回自分はイギリス軍を担当したが、最も得点が高い第一勝利条件はStp17陣地とWater Twr砲台の占拠となった。ドイツ軍の勝利条件は、海岸沿いを走る連絡道路Aに第21装甲師団ユニットを入れるか、ペガサスブリッジを取るか、61高地を確保するかなので、そのあたりを警戒しつつ、作戦を行うことに。

上写真は1300ターン終了時だが、第8歩兵旅団は早くもStp14陣地を強襲で落とし、最優先目標Water Twr砲台攻略に向かっている。一方、第185歩兵旅団もStp17陣地に隣接したが、この陣地、周囲をぐるりと地雷原で囲まれているため、強襲をかける前に「地雷原から出られるか」チェックが必要。その地雷原を啓開するためにシャーマン・クラブ戦車中隊も駆り出されている。とにかくシナリオ開始時、イギリス軍は海岸にうじゃうじゃいる状態なので、どのユニットをどの順番でどちらへ振り向けるか、その交通整理に悩まされた。

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1500ターン終了時。Water Twr砲台には、運良くシャーマン・ファイアフライ戦車中隊の砲撃が命中。強襲も難なく成功し、すでに第8歩兵旅団が占拠している。海岸では、イギリス第41海兵コマンドがWn21陣地を攻略中だが、こちらは地雷原に阻まれ苦戦中。

ドイツ軍は、増援の第22装甲連隊第1大隊(IV号戦車中隊✕3)をペガサスブリッジ方面に投入。また反対側の地図盤西側には自走迫撃砲などに支援された装甲擲弾兵大隊に尾根(Ridge)を越えさせた。その動きだけを見るなら、ドイツ軍の狙いはペガサスブリッジか海岸の連絡道路Aのように思える。しかし地形の関係で、増援の投入先はだいたい決まっており、勝利条件がどうであろうと、増援はだいたいこの形で登場すると思われる。問題はどちらに重心をかけて攻めてくるかだ。

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1700ターン終了時。このターンのドイツ軍は、序盤から連続活性化し、押せ押せムード。ペガサスブリッジ方面ではファイアフライ戦車中隊(IV号戦車より射程が長いためアウトレンジ攻撃される可能性がある)を弾幕で目潰しし、その間に距離を詰めて討ち取る策に出たものの、射撃はいまひとつ振るわず。

ドイツ軍は地図盤西側に、さらなる増援の第22装甲連隊第2大隊(鹵獲フランス製戦車中隊✕3)も投入し、先鋒の擲弾兵中隊を海岸まで1Km(2ヘクス)の地点まで進出させた。これがM3スチュアート戦車中隊+砲撃によって制圧された対戦車砲中隊スタックめがけて強襲を試みたものの、武勇チェック(強襲ができるかどうかの士気チェック)に失敗し、前進停止。

総じてドイツ軍は、ペガサスブリッジと海岸線、双方で攻勢をかけており、どちらが第一勝利条件かはよく分からない。もっとも第21装甲師団の指揮ポイント、派遣ポイントは潤沢なので、ブラフとしての攻勢をかけるだけの余裕もあるようだ。

これに対しイギリス軍は、海兵コマンドの攻撃によって海岸沿いのWn21陣地、Wn24陣地を占拠。連絡道路Aを確保したうえで、進出してきた装甲車や自走砲ファイアフライとM10アキリーズ駆逐戦車中隊で撃破した。第185歩兵旅団は、何度かStp17陣地に強襲をかけたが、いまだ落ちず。

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1900ターン終了時。ドイツ軍はペガサスブリッジ方面でさらなる攻勢に。擲弾兵中隊が空挺陣地に強襲をかけ、ペガサスブリッジへ隣接。IV号戦車隊も、ファイアフライに隣接する距離まで肉薄したが、なかなか射撃が当たらない。ここまで攻めてくるということは、ドイツ軍の第一勝利条件はペガサスブリッジの確保なのだろうか?

また海岸近くの装甲擲弾兵中隊は、今度こそ武勇チェックに成功したものの、M3スチュアート戦車の機会射撃をくらってステップロスし、強襲から退却。支援の装甲車たちもイギリス軍戦車に次々討ち取られ、攻撃力が弱まっていった。後続の鹵獲フランス戦車中隊も、スピットファイア戦闘機の航空攻撃を食らい、ファイアフライ戦車と対戦車砲の射撃ゾーンに足止めされている。

一方イギリス軍第185歩兵旅団は、ようやく強襲に成功し、Stp17陣地を確保した。

最終2100ターンは、海上チット=艦砲射撃から始まり、ペガサスブリッジに迫った擲弾兵中隊が砲撃一発で除去された。そのまま早い段階で第6空挺師団チットが引かれてしまい、シナリオエンド。ドイツ軍の第一勝利条件はペガサスブリッジだったそうだが、これを確保できず、イギリス軍勝利となった。

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2100ターン終了時のペガサスブリッジ方面。双方の戦車大隊が睨み合っているが、お互い弾幕を撃ち合っての目潰しに終始し、どちらもさしたる損害は負わなかった。 

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2100ターン終了時の海岸線。車輌支援を失った平地の擲弾兵たちに、ファイアフライ、M10アキリーズ、対戦車砲が迫るという酷い構図。これがキャンペーンゲームなら、続く夜間ターンのうちに街や村ヘクスに入っておきたいところだ。

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この地域は、東西に尾根(茶色いヘクスサイド)が走っているが、これがある意味、防壁のように機能している。尾根を越える道路は、防壁の出入り口たる門であり、いち早く確保すべき目標なのだ。今回はその確保が遅れてしまい、ドイツ軍の海岸線進出を許してしまった。

シナリオとしては、午前中から始めて午後6時頃終了という1日サイズ。 プレイするたびに勝利得点が異なるため、盤面が同じでも勝ったり負けたりするはず。そういうあたりは面白いし、例会などで1日じっくり遊ぶには良いシナリオだと感じた。

【Grand Tactical Series】「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」On to Bayeux Solo-Play AAR

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今日は「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」の「On to Bayeux」シナリオをソロプレイ。このシナリオは、D-Day+3日の6月9日、ようやくこの戦域に到着したドイツ装甲教導師団による反撃と、内陸へ向かおうとするイギリス第50歩兵師団らの遭遇戦を扱ったもの。両軍はそれぞれ秘密裏に目標地点を決め、そこへ向かって攻撃を行う。装甲教導師団には4つの攻撃部隊があり、3つの攻撃ルートのどこに配置するかはダイスによってランダムに決定される。

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今回ドイツ軍は、まず右翼に装甲捜索大隊が、中央に第130装甲連隊第2戦車大隊(IV号戦車✕4)が配置された。写真ではマーカーを外してあるが、2つの攻撃部隊とも縦隊状態で道路上を北上している。ちなみに他師団のIV号戦車ユニットは火力(ユニット左上の数値)6だが、この師団のIV号戦車中隊は火力7という高評価を得ている。部隊練度(ユニット右上の数値)も7と極めて高く、ドイツ軍にとっては頼もしく、連合軍にとっては面倒な存在となっている。

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対する第50歩兵師団も、第8機甲旅団のシャーマン・ファイアフライを従え、南下中(こちらも縦隊マーカーを外してある)。ファイアフライ中隊も火力7、IV号戦車に優る射程4を誇るが、あいにく第8機甲旅団には指揮官がおらず、あまり期待はできない(フォーメーション・チットを入れても、指揮官がいないため第2アクションが行えない)。今回は、上写真に見えるConde-sur-Seulles村、Ducy-Ste-Marguerite村が、ともにドイツ軍の目標地点の可能性があるため、この地域の防衛に徹することにした。

イギリス軍は目標地点として、防備の厚いTilly-sur-Seulles村、Lingevres村を諦め、一番奥まった位置にありながらも手薄なLa Senaudiere村を目指すことにした。そちらには最初のターンに増援として登場する第22機甲旅団、第56歩兵旅団を向かわせる予定。

一方のドイツ軍も、すでにイギリス軍が抑えている二カ所を奪うのは難しいとみて、シナリオ開始時にガラ空きのEllon村を目標地点とし、これをシナリオ終了時まで保持することを考えた。

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さて開始1100時ターン。最初のチットは、Gerhardt戦闘団と決められているため、左翼に配置されたこれを一気に北上。目標地点のEllon村を早速、確保した。また同じく左翼に置かれたIV号駆逐戦車半個中隊✕3と、7.5cm砲装備のハーフトラック中隊を前衛として広く展開。このターンにイギリス第22機甲旅団と第56歩兵旅団が登場する増援ヘクスCに隣接するヘクスをすべて射撃ゾーンに収めてこれを封鎖。イギリス軍の登場箇所を少し離れた登場ヘクスBに変更させた。

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結果、1100ターン終了時はこのように。地図盤北端から湧いて出たイギリス第22機甲旅団、第56歩兵旅団は、IV号駆逐戦車の広い射撃ゾーン(射程4)に入れず、増援登場ヘクスから一歩踏み出した程度で終わっている。第8機甲旅団も、艦砲射撃の弾幕に隠れてIV号戦車たちの間合いに踏み込んだ。

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続く1300時ターン。先手を取ったドイツ軍は、第8機甲旅団のファイアフライに猛射を浴びせ、早くも2ステップロスを負わせた。ファイアフライ中隊が減少面になると、ただのM4シャーマンとなって戦力が急低下するため、イギリス軍にとっては痛い損害だ。

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このシナリオでは派遣(Dispatch)ポイントによるチット購入ルールは省き、指揮ポイント2を払えばチットが買える。イギリス軍は、第22機甲旅団フォーメーション・チットを購入。弾幕でIV号駆逐戦車を目潰し、一気に間合いを詰めたものの、第2アクションで射撃をする余力=指揮ポイントはあまり無い。第22機甲旅団フォーメーション・チットは毎回カップに投入したいので、2指揮ポイントを余らせる必要があるのだ。イギリス軍は指揮ポイントをケチりながらも、IV号駆逐戦車1個、7.5cm砲ハーフトラック1個を撃破してEllon村へ迫った。

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1300時ターン。今度はイギリス軍が先手を取り、第22機甲旅団フォーメーション・チットから開始。満を持してファイアフライ8個中隊がIV号駆逐戦車に射撃を浴びせたが、これがなんと全弾外れ!たしかにIV号駆逐戦車は当たりにくい(防御修正-4)が、ヒットひとつ与えられないとは……。これにより後続の第56歩兵旅団も(IV号駆逐戦車が射撃ゾーンを展開しているため)前進できず、仕方なく快速M3スチュアート中隊が敵射撃ゾーンを迂回してEllon村の西へ進出した。

対してドイツ軍も、手薄なLa Senaudiere村に自走対空砲などを配し、歩兵に陣地を築かせて、M3スチュアートの滑り込み勝利を防ぐ構えである。これを見たイギリス軍は自軍勝利を半ば諦め、Ellon村の奪取によってドイツ軍勝利を防ぎ、ドローに持ち込むことを目指した。

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1500ターン、1700ターンは、お互い弾幕の撃ち合いに躍起になり、なかなか射線が通らない。それでもイギリス軍はEllon村の自走迫撃砲を潰し、ボカージュに立て籠もる歩兵に艦砲射撃を浴びせたが、村を奪うには至らず。最後の1ユニットとなったIV号駆逐戦車も頑強に抵抗している。イギリス軍の虎の子、航空攻撃(修正無しの7複合火力)✕2も、さしたる戦果を上げずに終わり。

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1900ターン。イギリス軍は、ようやく最後のIV号駆逐戦車を潰したものの、時すでに遅し。Ellon村に立て籠もる歩兵部隊までは除去できず、ドイツ軍勝利となった。

後から考えると、イギリス軍は頑強なEllon村をスルーして、後方のLa Senaudiere村を攻めるべきかとも思ったが実際どうだか。とりあえず毎ターン、第22機甲旅団チットは必須。できれば第8機甲旅団チットも入れたいが、チット2枚分、4指揮ポイントを余らせるのもなかなか苦しい。

ドイツ軍も、Ellon村を守り切れたが、配置される部隊が変われば状況が変わってしまう。今回はIV号駆逐戦車が活躍したが、Gerhardt戦闘団だけだったら結構厳しいだろう。また今回、Scholze戦闘団は後方に留守番として残し、イギリス軍目標地点に陣地を築かせたが、これで良いものかどうか。一応、M3スチュアートによる滑り込み勝利は防いだが、後方に残すと前線の攻撃力が足りない気もする。

まあ、このシナリオ自体「The Greatest Day」で最もフリー・フォームだと明記されているし、ドイツ軍の攻撃ルートをいろいろ組み替えて楽しめば良いかと。良い練習シナリオだと感じた。

【戦国群雄伝】「関八州古戦録」天正壬午の乱 Solo-Play AAR

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今年は久しぶりに大河ドラマを初回から見続けている。「真田丸」も先日の放送で天正壬午(じんご)の乱が終わったが、この戦いを扱ったウォーゲームはプレイしたことが無い。しかしよくよく考えてみると、2007年に購入した戦国群雄伝シリーズ「関東制圧」の同人エキスパンション「関八州古戦録」に天正壬午の乱シナリオがあったのだ。カウンターも購入直後に作ってあるし、ちょうど良い機会なのでソロプレイしてみることにした。

※以下、武将名の後に能力レーティングを表記。★★★と★★=総大将。★=大将。能力値は戦力・野戦修正・行動力。野戦修正は最高4。行動力も最高4。

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シナリオは、天正十年六月第三週ターン、北条氏直(★★★323)が滝川一益(★★234)を襲った神流川の合戦から強制的にスタートする。北条軍は総勢5万2千(52ユニット、122戦力)、滝川軍は1万8千(18ユニット、36戦力)と一方的だが、ある意味、儀式的な幕開けなので気にする必要も無い。

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合戦の結果、滝川軍はすべてステップロスして敗北。碓氷峠を越えて信濃に逃げ込み、この後、盤端から退場していった。北条軍は、わずか6ステップロスに留まり、部隊を分散させて厩橋、箕輪、松井田、国峰といった滝川方の城を奪取。そのまま信濃へなだれ込んだ。

信濃には真田昌幸(★344)2千(2ユニット、6戦力)がいるが、これはまだ中立。攻め寄せる北条軍にも「どうぞどうぞ」とばかりに刃向かいはしない。しかし待てそれは昌幸の罠だ。真田は、七月第二週以降、反北条方が望むターンから反北条方として行動できる。だったら先に潰してしまえ、とも思うのだが、今回は信濃に守備隊を残して真田に備えることにする。

北条方の勝利条件は、十月第一週ターンまでに甲斐の城をすべて奪取するか、ユニット除去や城獲得による得点で反北条方を上回ればいい。史実の北条軍はこの後、北信濃へ向かって上杉景勝(★★333)軍と対峙したが、わざわざそれをやる必要はない。基本的に上杉軍1万8千(18ユニット、54戦力)は越後・春日山城に留まっており、北条方が上野・信濃に守備隊を10ユニット残しておかなかった場合、反北条方として南下してくる。そのため5万2千あった北条軍は、上野に1万(10ユニット)を残し、4万2千の軍勢として信濃に入っている。

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北条軍は、徳川方に降った旧武田家臣・依田信蕃(★334)の小諸城を攻略。依田ユニット自身は徳川方と合流するため城を捨て、高遠城から来た徳川軍・酒井忠次(★334)と共に甲斐へ入った。北条軍は、大軍にモノを言わせて小諸城を落としつつ、総大将・氏直自身早くも甲斐に進入。また七月第一週ターンから行動を開始した徳川家康(★★344)も、遠江から甲斐・新府城へ到着している。

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北条・徳川両軍は史実通り、新府への入り口、若神子城で対峙。実際には正面決戦を避け、小競り合いで終わったようだが、今回は北条軍にまともに決戦を挑ませてみた。

ということで七月第三週ターン、第二ステージ、若神子合戦の火蓋が切って落とされた。北条軍3万1千(信濃にも守備隊を残してきたため31ユニット、79戦力)、徳川軍1万7千(17ユニット、51戦力)と、兵力的には北条軍有利だが、野戦修正は氏直2、家康4のため、ダイス修正的には徳川軍有利である。

しかし5ラウンドに及んだ合戦の結果、徳川軍敗北。本多正信を含む6ユニットが討ち死にし、新府へ敗走することとなった。だが北条軍も、31ユニット中29ユニットまでステップロスされ、満身創痍。首の皮一枚残しての辛勝である。北条軍は、とりあえず若神子城へ前進してこれを落とし、失ったステップの補充に努めることとなった。

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と、翌七月第四週ターン、ここぞとばかりに表裏卑怯な真田昌幸が反北条方として行動開始。あえて負けた徳川方につき、恩を売る気か。北条氏房(★313)六千(6ユニット、13戦力)が守る小諸城へ攻めかかった。わずか2ユニットの真田隊だが、野戦修正差は±3。この差が恐ろしいほどモノを言い、氏房隊はあれよあれよと言う間にステップロスし、逆に真田隊への反撃はまったく当たりもしない。上野=信濃間の補給ルートを塞がれては、甲斐の北条軍主力が補給切れになってしまう。あわてて内藤綱秀(★323)が甲斐から引き返してくるが、彼もまだ合戦後の補充が間に合っていない状況である。

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北条氏房も城に居るうちに補充を……と思ったが、なかなかステップが回復しない。とうとう真田昌幸は、内藤隊を蹴散らし、さらには氏房隊を上野まで追い払ってしまった。これにより「信濃に北条方の守備隊10ユニット」という条件が崩れてしまい、春日山の上杉勢が行動開始。たぶん真田昌幸から「信濃を守るためにお力添えを……」とか何とか頼まれて丸め込まれたのだろう。上杉景勝は、真田昌幸と合流すべく信濃へ南下し始めた(真田隊は6戦力しかないため、レベル1の小諸城が奪えない=城攻めには最低でも城レベル✕10戦力が必要)。

一方、甲斐では徳川軍が高い行動力を活かし、全戦力を回復。いまだ若神子城にて回復を続ける北条軍主力に対し、二度目の合戦を挑んだ。

八月第二週ターン、第三ステージ、第二次若神子合戦は、徳川軍1万1千(11ユニット、33戦力)、北条軍2万7千(27ユニット、57戦力)で始まった。今回も兵力的には北条軍有利だが、北条軍の半数はいまだステップロスしたままである。これが響いて、4ラウンドの合戦後、北条軍が敗北。4ユニットを失って若神子から撤退していった。徳川軍も裏返らなかったユニットは2個だけであり、今回は徳川軍が首の皮一枚で勝った形である。

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これを見た真田昌幸は、小諸城・平原城の攻略を上杉軍に任せ、北条軍主力の連絡線を断つ位置に進出。退却中の北条軍にしてみれば「げげーっ、孔明真田!」というところか。翌八月第三週ターン、連絡切れにより、北条軍主力はそれぞれ士気が1ずつ落ち、すでに合戦による退却で最低士気の-4まで落ちていた北条綱成隊6千が全滅、除去された。戦わずして相手の兵力を削ぐとは、さすが真田、やり方が汚い(笑)。北条軍は、北に上杉・真田、南に徳川に挟まれ、万事休す。ソロプレイもここで終わりとした。

真田丸 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

真田丸 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

 

感想。北条・徳川の戦力差が絶妙で面白いシナリオだった。北条軍が甲斐に持って行ける兵力は3万程度。これを徳川軍が全力で迎え撃つと、どちらが勝ってもおかしくないバランスになっている。だったら北条軍は、わざわざ上野=信濃経由ではなく、いったん小田原に戻り、駿河の徳川方の城を落として連絡線を繋ぎ、甲斐に入ればいいじゃないか、と思われるかもしれないが、そこは特別ルール。駿河へ侵攻してしまうと、徳川方10ユニットが追加で出てきてしまう。しかも「上野・信濃に北条方の守備隊10ユニットが無い」なら、越後から上杉軍も出てくるわけで、如何ともしがたい。相模から山中に連絡線を繋いで直接、甲斐・岩殿山へ向かうルートもあるが、うーん……

今回は真田の嫌らしさも光ったが、やはり北条軍はこれを先に潰すべきか。しかし真田隊が3レベルの上田城に籠もれば、城攻めに30戦力は必要になる。強襲すれば真田昌幸にがつがつとダメージを喰らうし、地道に包囲するしかない。仮に上田城が落とせたとしても、その後で甲斐まで奪える時間があるかどうか。対する反北条方は、総大将同士の合戦は避け、有能な武将(真田昌幸酒井忠次あたり)による野戦で北条の兵力をちくちく削ぐ方が良いのか。もしまたプレイする機会があるなら、そういったアプローチで挑戦してみたい。

しかし大河ドラマでも描かれたが、北条が信濃に入った時は北条につき、北条が甲斐に入った後で徳川につく、という真田の身の振り方は、このシナリオでも良いタイミングだなあと。結局、徳川・北条は和睦してしまうが、天正壬午の乱だけを切り取るなら、その身の処し方も正しいと思えてしまった。うん。

【Grand Tactical Series】「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」To the Sea Solo-Play AAR

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昨日に続いて「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」の「To the Sea」シナリオをソロプレイしてみた。この導入シナリオは、D-Day当日の夕刻に行われたドイツ第21装甲師団の反撃を扱っている。史実では、ブロニコウスキー大佐率いる戦車隊が海岸へ向かう途中でイギリス軍の射撃を受けて被害甚大、という結果に終わったがさてどうなるか。用いる地図盤はハーフマップサイズ、1700時ターンに始まり1900時ターンに終わるため、2ターンのみのシナリオだが、ドイツ軍は2個戦闘団+海岸防備部隊、イギリス軍は2個歩兵旅団+1個戦車旅団+コマンド部隊+海軍と、結構な戦力が集まっているため、プレイのし甲斐はありそうだ。

6月6日1700ターン時点で、ソード海岸に揚がったイギリス第50歩兵師団先鋒は、すでにヴィエヴィル(Bieville-sur-Orne ヘクス37.022近辺)まで進出している。しかしヘクス29.013の海岸砲台とStp17陣地が落ちておらず、海岸線のWn21、Wn24陣地も健在のため、隣のジュノー海岸とは連結できていない。

ドイツ軍の第一勝利条件は、この海岸線に沿って走る連絡道路Aの確保だ。幸い海岸へ通じるマップ西側の道路はいまだドイツ軍の勢力下にあり、早速最初のチットとしてRauch戦闘団のフォーメーションチットを選択。38(t)対空戦車中隊を一気に海岸の連絡道路Aまで突っ走らせ、道路の打通を狙うイギリス軍コマンド部隊の前に立ち塞がらせた。その他のRauch戦闘団ユニットも同時に北上。交通の要になりそうな47.015、46.015の尾根(Ridge)あたりを確保した(その代わり第二勝利条件のペガサス・ブリッジ奪取は諦めた)。

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続いて第21装甲師団チットが引かれたので、イギリス軍先鋒が籠もるヴィエヴィルへ攻撃開始。まずは面倒そうなシャーマン・ファイアフライ弾幕を張り、IV号戦車中隊✕3が尾根越しに射撃。さらに弾幕の目つぶしが効いているうちにと、捕獲フランス戦車中隊も間合いを詰めたが、これらの攻撃がさっぱり当たらない。それでもドイツ軍は、一応イギリス歩兵中隊1個を除去し、ヴィエヴィルを包囲する形に持ち込んだ。

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こちらが1700ターン終了時。イギリス第50歩兵師団は、海岸砲台、陣地の攻略を進めつつ、ペガサス橋とヴィエヴィルの間隙を埋めるため、第1ノーフォーク大隊、第2ワーウィック大隊(黄色い帯ユニット)を前線に上げている。これら紫火力のイギリス軍ユニットは、師団チットの第1アクションでも射撃可能なので、できるだけ敵に隣接させた方が良いと思って。

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またヴィエヴィルに居る第27独立機甲旅団のシャーマン・ファイアフライは、ドイツ軍から猛射を浴びたものの、無傷でこのターンを乗り切っている。

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こちらが1900ターン終了時。ブロニコウスキー戦闘団は、なんとかファイアフライ中隊1個を撃破し、ヴィエルヴィルの街中へ擲弾兵中隊を突入させた。すでに砲撃で制圧されていたイギリス軍歩兵中隊が強襲で除去され、対戦車砲も下車・展開する間もなく昇天。ヴィエヴィルはドイツ軍の手に落ちた。しかしペガサス橋~ヴィエルヴィル間の平原では、III号戦車中隊がM4シャーマンと歩兵の共同攻撃によって除去されている。またイギリス軍は、ヘクス29.013の海岸砲台とStp17陣地双方を落としており、そちらの部隊も夜間のうちに前線に向かってくるのだろう。

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こちらは海岸へ向かう西側道路の争奪戦。史実ではイギリス第9歩兵旅団長がD-Day当日に戦死したため、こちらに配置された第9歩兵旅団ユニットにも指揮官が無く、ほぼ何も出来なかった。しかしやはり史実通り、この戦区に配置された第20対戦車連隊のM10駆逐戦車が大活躍。Rauch戦闘団の装甲車、自走迫撃砲を次々に一発除去し、組織的な抵抗を粉砕した。

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結局、コマンド部隊は連絡道路Aの打通ならず、ドイツ軍勝利となった。海岸縁のWn21陣地は、写真では制圧されているものの、あと1損耗打撃をくらえば除去、という所で生き残ったのだ。コマンド部隊がいる陣地周辺ヘクスにはドイツ軍の地雷原があり、そこから飛び出してWn21を強襲するには、地雷原脱出チェックに成功せねばならず、これに失敗するユニットが続出し、全力では攻めきれなかった。

ちなみに艦砲射撃は、戦艦2、モニター艦1、巡洋艦4、駆逐艦3と豊富にあったものの、一番強力な戦艦とモニター艦に一度も無線が通じないという残念っぷりである。

たった2ターンのシナリオとは言え、やはり処理するチット枚数が多いため、十分な遊び応えがある。双方ともに複数指揮官を持つため、GTS2.0での独立ユニットの使い方(なるべく複数指揮官の指揮範囲にまたがるように配置する)を覚えるには良いと思う。地雷やコマンド部隊のルールも覚えられるし、今回は使わなかったが、後衛や対砲兵射撃もあり得るし、良い入門シナリオかと。

【Grand Tactical Series】「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」Day of Days AAR

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本日はFORGER氏に誘われ、秋葉原イエサブにて「GTS:The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」の「Day of Days」シナリオを初対戦。このシナリオは、6月5日夜間に行われたイギリス第6空挺師団の降下に始まり、翌D-Day日没までを扱うもの。第6空挺師団が、上陸海岸の東側面を守るためペガサス・ブリッジなどの要衝を確保し、海岸からやって来る増援部隊を待つというシチュエーションである。

本作では、「The Devil's Cauldron」「Where Eagles Dare」の降下ルールとは少々異なり、降下結果によって損失を被ったユニットは離散兵(Strugglers)なる迷子ポイントを発生させる。この離散兵ポイントは、各大隊毎に集計され、あらかじめ決められた集結地点(Rally Point)に補充ポイントとして変換され、周囲3ヘクスのユニットを回復させたり、集結地点上にユニットとして登場したりする。この新ルール、離散した部隊を再結集させる、なかなか面白いアイデアだが、今回は最初に降下した6個大隊のうち3個大隊が無傷で降下してしまい、大きな混乱は見られなかった。

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第6空挺師団は、6月5日夜間ターンを終える頃には、最重要目標ペガサス・ブリッジとホルサ・ブリッジを確保。降下ゾーンN近辺にいたドイツ第21装甲師団の工兵中隊に痛撃を浴びせて後退させ、順調な滑り出しである。

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海岸に近い降下ゾーンVの第3空挺旅団第1カナダ空挺大隊は、降下した結果、全中隊が後衛(Rearguard)に変換されるという混乱に陥ったものの、同旅団第9空挺大隊は無傷で降下し、重要目標メルヴィル砲台へ接近。夜間のうちに砲台へ強襲をかけ、最初の2個中隊が武勇(Bravery)チェックにしくじったものの、最後の1中隊がなんとかこれを制して事なきを得た。

海岸に布陣するドイツ第716歩兵師団は、上写真ではKrug指揮官が居るものの、実は特別ルールによってランダムに来ては去り、来ては去りをくり返し、なかなか指揮下になれなかった。指揮ポイントも僅かしかなく、ほぼ置物状態に……

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明けて6月6日0700時ターン。海岸ではいよいよ上陸が始まり、第6空挺師団にも艦砲射撃の恩恵が来た……と思ったら、頼みの巡洋艦2隻が双方砲撃ダイスで9を出し、弾幕マーカーさえ張れぬ失態。それでも中央の降下ゾーンNに降り立った第5空挺旅団は、ドイツ第21装甲師団の部隊にダメージを与えつつ前進を果たしている。

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こちらは0900ターン終了時。ドイツ軍は、増援の自走迫撃砲部隊を降下ゾーンNに向かわせたが、イギリス空挺歩兵の強襲をくらってあえなく全滅。ペガサス・ブリッジに向かった7.5cmPak装備の装甲車隊も、対戦車砲と艦砲射撃に叩かれ除去。さらに歩兵も失った第21装甲師団のLuck指揮官は、いったんTroarn(ヘクス11.030)方面に退却して部隊を集めることに。

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こちらは1100ターン終了時。すでに写真左下には、上陸海岸から急行中のコマンド部隊の縦隊列が見える。退却したドイツ軍を追って第5空挺旅団は広く散開。しかしドイツ軍にも増援のStG200(火力は高いが装甲は無い簡易突撃砲)中隊が駆けつけ、ようやくLuck麾下の部隊も戦闘団らしく行動し始めてきた。なにしろ内陸に居る第21装甲師団の歩兵たるや、強襲力が複合火力(最も効果的な射撃種別、恐らくパンツァーファウスト装備)で赤文字(強襲の際は強襲力で2回射撃する)、しかも通常火力より強襲力の方が高いという、殺る気満々の精鋭部隊であり、とても軽装備の空挺歩兵がかなう相手ではない。

そこで第6空挺師団は、このあたりから後衛ユニットを捻出。後衛とは、歩兵ユニットが捻出できる0ステップの小部隊で、GTSver1.1では移動もできず、射程も1しかない、単なる足止め部隊に過ぎなかった。ところが本作の連合軍後衛は、なんと移動が出来るようになり、ルールブックにも「後衛の使い方を習得するのがGTSver2.0をうまくプレイするコツ」と書かれているほどだ(ちなみにドイツ軍には、移動できるうえに複合火力、さらに射程が2以上ある後衛もいる)。

第6空挺は、この後衛ユニットをわらわらと(工兵アクションによって)生産し、後衛ではなく前衛として中隊ユニットの前に展開。なにしろ一応、射撃ゾーンを持つので、ドイツ軍としても師団活性化の第1アクションでは隣接できない。後衛は0ステップ・ユニットなので損耗打撃を一発くらえば死亡だが、わざわざそんな矮小ユニットのために射撃アクションを消費するのも面倒臭い。除去されても、すぐまた再生産されて、前線に出てくるゾンビのような存在になってしまった。また第6空挺師団の場合、後衛カウンターは15個も用意されており、数も脅威になっている(他の連合軍歩兵師団ではせいぜい5個)。

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そして1300ターン終了時。増援のコマンド部隊は、今やペガサス&ホルサ橋を渡っており、写真では判別できないが、橋の近くには戦車隊(M3スチュアートとシャーマン・ファイアフライ装備)も到着している。第5空挺旅団の一部は、すでにカーン市郊外の要塞ヘクスに進入。ドイツ軍の増援を塞ぐ構えである。

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降下ゾーンK周辺には第3空挺旅団第8大隊が陣地を築き、これに第21装甲師団の砲兵支援下、StG200突撃砲、IV号戦車中隊、歩兵中隊が襲いかかっている。赤いイギリス軍ユニットも多くいるように思えるが、その実、写真だけでも8個の後衛ユニットが見える。イギリス軍は、ドイツ軍の射程外で後衛を捻出して前線に送り、除去されたらまた別の後衛を送り込むという戦術を用い、なんとか急場をしのいだ。ドイツ軍からは「イギリス空挺部隊はアレクニド@宇宙の戦士か!」という悲鳴が上がったが……

本日は1300ターン終了時にて時間切れ。これにて「The Greatest Day」の空挺シナリオも味見できた。やはりイギリス軍にとって後衛が重要、というか後衛を使わないと勝てないと思う。プレイ後に後衛をマップから取り除いてみると、実際のイギリス軍戦線はスカスカで、この状態ならドイツ軍戦車隊を駆使して海岸まで突破できると思われた。後衛のルール変更はちょっとしたものだが、いやいや、プレイに及ぼす影響は確かに大きいと実感したシナリオだった。

【参考文献】「戦術学入門 戦術を理解するためのメモランダム」

新刊「戦術学入門」を購入。古今東西の戦術研究の歴史を紐解き、戦闘原則を交えつつ、現代の戦場に適合した戦術判断を導き出すには?というあたりが主眼か。

個人的に興味深かったのは、アメリカ陸軍の状況判断プロセスであるMDMP(軍事意思決定プロセス)とTLP(小部隊指揮手順)の紹介。部隊規模で言うと、旅団戦闘チームや大隊以上の判断はMDMP、中隊以下の判断はTLPとなる。このMDMPのために、CRM(危険見積)とIPB(情報見積)があり、7段階のステップを踏んで進めるわけだが、途中の4段階目にウォーゲームの実施が挟まっている。そしてウォーゲームの結果を見た後、指針を修正し、最終判断を下す……という、なかなか面倒なプロセスになっている。ややお役所仕事的にも感じるが、旅団規模ともなると、そこまで入念な準備が必要なのだろう。しかしTLPも、8段階のステップを踏むため、小部隊の判断でも、それだけ念入りにということか。4段階で済むOODAループは、まだ簡単な方なんだなと。

ただ、このMDMP、TLPという判断ステップを、自分もウォーゲームをプレイする際に、自然とやっているかもしれない。つまり、対戦するゲームを決めたら、その情報と危険を見積もり、事前にソロプレイをして、作戦を修正した後、本番で対戦する……みたいな。それをお役所仕事的に書き連ねるとMDMPになるのかもしれない。

【参考文献】ラリー・コリンズ & ドミニク・ラピエール「パリは燃えているか(上下)」

パリは燃えているか」の新装版文庫が出たので購入。実はこの版が出るまで、読んだことがなかったのだ。昔からハヤカワ文庫版で見かけていたのに、スルーし続けて来たのはなぜなのか。もしかしたら昔、映画版の「パリは燃えているか」を観た時に、あまり面白く感じなかったせいかもしれない。その映画も今、観直してみたら、印象も違っているのだろうな。

あいにくパリ解放に焦点を絞ったウォーゲームは手元に無く、その存在も知らない。「Decision in France」でも、連合軍がノルマンディ半島を突破した後は、あれよあれよと一気に後退戦が始まるし、ドイツ軍もわざわざパリに踏みとどまらない場合があるので、あまり戦闘の焦点にならなかったような……うん、そういうことだから、本書のことも、ずっとスルーしてきたのかもなあ。