Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Eagles of France】Hexasim「Fallen Eagles II : Waterloo 1815」

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クロノノーツゲームさんから、フランス製のナポレオン会戦級シリーズ「Eagle of France」の「Fallen Eagles II : Waterloo 1815」(2022年発売)を購入。その名の通り、お題は1815年6月18日に行われたナポレオン戦争最後の大会戦、ワーテルロー戦。「II」とあるように、初版は2015年発売だが、未見なので差異はよくわからない。

先日購入した「Battles of Napoleon」シリーズの「Eylau 1807」のデザイナーズノートを翻訳したところ、『Eagleシリーズは、プレイするのは楽しいけれど、ナポレオン時代の感覚が足りない』というデザイナー本人の感想が書かれていたので、だったら比較検討しようと入手してみた。こうして1つゲームを買ったせいで、また別のゲームが欲しくなるということは往々にしてある……

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まず地図盤は、1ヘクス=200メートル。「Triumph & Glory」が1ヘクス=300メートル、「Eylau 1807」が1ヘクス=150メートル、バタイユが1ヘクス=100メートルなので、この手の会戦級ゲームとしては大まかな部類だが、ワーテルローの戦場がフルマップ2枚に収まっているのは手頃だなと。バタイユや「Wellington's Victory」のように、フルマップ4枚だとなかなか……

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また、ウーグモン城館、ラ・エイ・サンテ農場、プランスノア近辺だけを切り取った、ミニシナリオ専用の地図盤も付いている。これは便利。

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カウンターシートは4枚、カウンター総数520個と、こちらも手頃にまとまっている。

こちらはフランス軍。指揮官カウンターには肖像画が入り、活性化判定用のイニシアチブ値と、回復や練度(QF)判定を修正したり、自力で活性化できるスタック数を表すリーダーシップ値を持つ。

戦闘ユニットは、歩兵/騎兵が連隊、1兵力が歩兵/騎兵100人を表している。各戦闘ユニットには、兵力・練度(QF:Quality Factor)・移動力が記され、裏面は戦力減少(ステップロス)面を表す。

特徴的なのは、ナポレオン会戦級ゲームでよく見られる隊形ルールが無いこと。各ユニットを縦隊や横隊や方陣に転換することはない。そこは「Eylau 1807」のデザイナーからも『ナポレオン戦争のウォーゲームで隊形ルールが無いなんて、なかなか難しい決断だ』とツッコまれていたけれど、本作のデザイナーに言わせれば、その場その場で適切な隊形に転換できるかどうかは、各ユニットの練度に含まれていると。つまり、もし騎兵ユニットが敵歩兵ユニットを白兵攻撃した時に、ダイス目が悪くて騎兵側が損害を被るようなことがあったら、それは多分(ゲームとしては表現していないけれど)その歩兵ユニットが方陣に転換して迎え撃ったのだろう……と解釈すればいいと。

またデザイナー氏曰く、騎兵が歩兵の方陣に突っ込むようなことは史実的にほぼ無く、一応それが可能なルールを入れて面倒なマーカーや修正を入れるようなことはしなかったと。そう、なので本作には、よくある隊形マーカーや方陣マーカーも無い。

ちなみに、これもナポレオン会戦級ゲームではよく見かける、ユニットの「向き」ルールも基本的には無く、選択ルールで採用してもいいことになっている。

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こちらはイギリス他の連合軍。ちなみに活性化しやすい指揮官で言うと、ナポレオン、ウェリントンブリュッヒャーが最良の11(ダイス2個振って11以下なら活性化)、ネイが10、アクスブリッジが10、各軍団長は8程度。

個人的には、各ユニット毎に練度が異なっているのが好み。「Eylau 1807」は、そこがエリートか新兵かの一律なので、それこそ「雰囲気が感じられない」んだよなー。

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各フォーメーション(軍団/師団)には、「目標地点に向かう」「防御する」という命令か、「命令無し」状態、増援部隊には「長距離」命令が与えられ、それは命令シート上でマーカー管理される。軍司令官、軍団司令官は、各ターン毎に2回まで活性化できるが、連続活性化は不可。

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活性化したフォーメーションは、攻勢射撃、移動、白兵戦闘の宣言、戦闘前の騎兵退却、機会射撃/反撃突撃、防御射撃、白兵戦の解決、騎兵追撃、という順で手番を進めていく。

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こちらは、フルバトル・シナリオのみで使用される、選択ルールの戦略カード。シナリオ開始前に3枚ランダムに引き、1枚だけプレイできるというもの。史実的にあり得た選択肢や、ダイスの振り直しや、すでに2回活性化したフォーメーションを3回活性化させる等々。まあ、最初はこれ無しでプレイして、飽きてきたら入れればいいかなと。

まあ、隊形ルールが無いとは言え、「バタイユ」のような精密戦術級システムほど面倒ではないし、「Triumph & Glory」よりもうちょっと細かいという立ち位置を、絶妙と感じるか、微妙と感じるかは人それぞれかなあと。個人的には、1日プレイしてワーテルロー戦をそれなりに進められるという意味では、良さそうだなと。

 

しかしワーテルロー戦のゲームなら、もうバタイユ・シリーズの「La Bataille de Mont Saint Jean   Deluxe 2nd Edition」も買ったし、「Wellington's Victory」も買ったし、しかもどちらもカウンターを全然切ってないじゃないかと我ながら思うが、関ヶ原にしろバルジにしろ、こういった有名会戦はどうしても複数タイトル出ているし、遊び比べたいのよね。とりあえず「Eyrau 1807」との比較も含めて、近いうちに動かしてみたい。

GMT「France'40 2nd Edition」

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クロノノーツゲームさんから、GMTの新作「France'40」の第2版を購入。自分の中では、まだまだ新しいゲームだと思っていたが、初版が発売されたのは2013年と、もう10年以上前の作品だった。そりゃ第2版も出るわな。お題はタイトル通り、1940年の独仏戦で、ドイツ軍による英仏海峡への突破戦を描いた「Sickle Cut」と、イギリス軍の撤退戦を描く「Dynamo」の2in1ゲームなのは初版と同じ。ただし今回の第2版では、2つのゲームを連結するシナリオもあり、ユニットの数値や、戦闘結果表、ルール等も微妙に修正されているそうなので、うーん、だったら買っておくかと。

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第2版の地図盤には、道路がいくつか書き加えられているそうだが未確認。

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カウンターも、連結ゲーム用のユニットが追加されている。

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実際、連結ゲームをやるかと言われると微妙というか、10年前にプレイした感覚では「Sickle Cut」は面白かったけれど、「Dynamo」はそこまでではなかったので、あくまで「Sickle Cut」だけなら再挑戦したいかなと。Simonitch氏の「194X」シリーズは、スターリングラードにしろノルマンディにしろバルジにしろ、『とりあえずこれがあれば良いだろ』的な、21世紀のスタンダード作戦級としての安定感があるし、それは本作も同じだと思っている。まあ、ある程度、面白いのはわかっているので、今さら取り組まないかもしれないが、とりあえず手元に置いておこう。

【Battalion Combat Series】「Panzers Last Stand」Operation Spring Awakening Solo-Play AAR Part.3 (Tribute to Dean Essig)

「春の目覚め」作戦、第4(3月9日)ターン。天候は引き続き悪天。ソ連軍には増援として、強力なISU-122/SU-100襲撃砲旅団(しかもフルステップ5)が2個到着。

このターンは、北部のヴァレンツァ湖方面から活性化。まず戦力を消耗したドイツ第1装甲師団が、後続部隊に道を譲るため、2級道路から外れるように移動。そのついでに第509重戦車大隊含めた部隊が、ソ連軍機関銃陣地を突破しようとしたが、支援の対戦車砲を引っ剥がした程度で終了。そして空いた2級道路へ、今まで待機していた第2SS装甲師団が進入してきたが、こちらも前進路を塞ぐ機関銃陣地を除去するのにまるまる2活性化を使ってしまった。その間に、ソ連第18戦車軍団は、T34/85旅団を用いて、第44「ドイツ騎士団長」擲弾兵師団の1個大隊を殲滅している。

ドイツ第23装甲師団は、すでに対戦車支援を失ったソ連第30狙撃兵師団が移動モードで後退しているところを追撃したが、ダイス目が悪くて前進もできず、疲労度も上がってしまった。それに抗するために前線背後に到着したソ連第1親衛機械化軍団は、混在(Mixed)を避けるため、まだ反撃は仕掛けず。

バラトン湖東方でも、枢軸軍はフォーメーションを入れ替えた。まず待機していたドイツ第3装甲師団が、疲弊した第1SS装甲師団(ハンセン戦闘団、パイパー戦闘団)を追い抜いて、連続活性化でソ連第135狙撃兵師団を追撃(しかも疲労無し)。第12SS装甲師団もさらに前進したが、こちらはすでに疲労度3となり、そろそろ休みたい。ハンセン戦闘団の疲労が回復すれば交替できるかも。そして側面を固めるためドイツ第3騎兵旅団が前進し、さらにその間隙を埋めるため、後方からハンガリー第25歩兵師団も前進しているが、こちらは最初から疲労度2で、まだ回復もできていないという有様。まあ、とりあえず戦線を埋めてくれればいいかなと。

第5(3月10日)ターン。枢軸軍には増援としてドイツ第6装甲師団が登場したが、前線までは間に合わず。ドイツ第12SS装甲師団は、第一活性化で回復を選び、いったん疲労度を2まで戻してから、第二活性化でわずかに前進。それに対して、いよいよソ連第5親衛騎兵軍団が反撃に出た。増援で配属された第209襲撃砲旅団を用いて、ヤークトパンター装備の第560駆逐戦車大隊と撃ち合い、これをステップロスさせて撃退。さらにV号パンター装備の師団戦車大隊も撃退し、まさに猛獣狩り。

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ソ連軍は戦線中央でも、第1親衛機械化軍団が、混在(Mixed)上等とばかりに、第30狙撃兵師団と入り交じる形で前線に部隊を送り込み、ドイツ第23装甲師団の装甲偵察大隊を撃退し、歩兵大隊には直接射撃(Attack by Fire)を浴びせてステップを削り取った。第23装甲師団はすでに消耗しているため、交替用の第9SS装甲師団が来援している。

ソ連軍は北部でも、第18戦車軍団によって反撃。第2SS装甲師団の戦車大隊と撃ち合い、V号パンター大隊を撃退した。また第2SS装甲師団は、III号突撃砲(この時期では頼りない)の支援しかないため、力に優るソ連襲撃砲部隊がその支援を喪失させつつ、歩兵部隊に直接射撃を浴びせてステップを削った。第1装甲師団所属の第509重戦車大隊は、師団の疲労度がすでに3だったので行動できず……

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……と、全9ターンのうち前半5ターンを終えたところで、今回のソロプレイは終了。ソ連軍的にはここから反撃が始まるのでなかなか楽しそうだが、ドイツ軍としては第1装甲師団と第2SS装甲師団疲労度3、第12SS装甲師団と第1SS装甲師団ハンセン戦闘団が疲労度2と、いったん休息しつつ、また別のフォーメーションを前線に出したいタイミング。

シナリオ全体としては、すごく乱暴に言うと「地形が険しくないバルジの戦い」といった印象。登場するドイツ軍師団も似通っているし、枢軸軍はとにかく前進すればいいと。もちろん戦場はだだっ広いとは言え、これだけの師団数なのでどうしても混在・混線する地域もあり、フォーメーションの入れ替えや、Primary/Secondaryの指定も考えさせられた、という意味ではなかなか面白かった。対するソ連軍にしても、反撃するまでには時間がかかるが、やれることはいろいろあるので、手持ち無沙汰でもない。総じてオススメ度の高いシナリオだと思うので、自分もいつか再度プレイしてみたい。やはり一回ある程度進めてみないと、どのフォーメーションをPrimaryに指定すればいいのか、どの地域に送り込めばいいのか、なかなかわからないしね。

 

まあ、この程度のプレイで供養になったかはわからないが、もし時間があれば、引き続き故Essig氏のOCS(Operational Combat Series)と、TCS(Tactical Combat Series)でも追悼ソロプレイをしてみたい。「OCS:The Third Winter」は練習シナリオしかプレイしてないし、シリーズ最新作の「OCS:Crimea」と「TCS:Ariete」はカウンターすら切ってないからなあ……

【Battalion Combat Series】「Panzers Last Stand」Operation Spring Awakening Solo-Play AAR Part.2 (Tribute to Dean Essig)

では「春の目覚め」作戦開始。第1(3月6日)ターン。天候は悪天(視界1ヘクス、自動車化ユニットは移動力半減)。両軍ともに航空ポイント無し。

枢軸軍は、第一種活性化6フォーメーションとして、パイパーとハンセン戦闘団(第1SS装甲師団)、第12SS、第1、第3、第23装甲師団を指定。第二種活性化3フォーメーションは、第9SS装甲師団、第44「ドイツ騎士団長(Hoch und Deutschmeister)」擲弾兵師団、第4騎兵旅団とした。

まずバラトン湖東方では、第12SS装甲師団と第1SS装甲師団ハンセン戦闘団が、ソ連第135狙撃兵師団の前線に攻撃開始。ソ連軍歩兵大隊には、対戦車砲旅団の支援もついていたが、ドイツ軍の両フォーメーションもIV号駆逐戦車/70に支援され、ソ連軍は各所で射撃戦(Engargement)に撃ち負け、支援を喪失して後退していった。しかしハンセンとパイパー戦闘団は、主要補給ルートが混線(Crossing)し、部隊も混在(Mixed)していたため、半減活性化1回のみというスロースタート。そのせいもあってか、パイパー戦闘団のIV号戦車大隊は、ソ連軍対戦車砲大隊に撃ち負け、ステップロスして渋滞に陥り、後続の第501SS重戦車大隊(ケーニッヒスティーガー装備)が前に出れないという失態。

一方、ヴァレンツァ湖南方から出撃したドイツ第23装甲師団は、順調に敵前線を突破し、ソ連第30狙撃兵師団司令部も攻撃。見事この司令部を後退させ、師団全体の準備防御状態も引っ剥がし、補給段列も機能不全(Ghost)に陥らせた。さらに北のドイツ第1装甲師団も渡河攻撃に成功。この両装甲師団の間を埋めるように、第44「ドイツ騎士団長」師団も前進しつつある。このターンに攻撃したドイツ軍フォーメーションは、運良くいずれも疲労度チェックに成功したので、継戦能力も落ちること無く次ターンへ。

これに対してソ連軍は、前線のフォーメーションを再び準備防御で固めながら、接敵しているドイツ軍ユニットに対して砲撃を浴びせ、ちくちくとステップを削っていく。また後方の第18戦車軍団、第1親衛機械化軍団、第5親衛騎兵軍団を、ドイツ軍の進路に接近させた。

第2(3月7日)ターンも、天候は悪天。両軍は、増援と補充を受け取り、再びフォーメーションを第一種/第二種に指定し直した。

ドイツ第12SS装甲師団は、ソ連第135狙撃兵師団に頑強に抵抗され、司令部まであと一歩迫れず。第1SS装甲師団のハンセン戦闘団も、混線と混在に悩まされつつも前進。パイパー戦闘団は、前ターンで手こずった対戦車砲旅団に2個戦車大隊を注ぎ込み、IV号戦車とV号パンター戦車それぞれ1ステップを失いながらも、なんとかこれを除去。血みどろの消耗戦である。

ドイツ第23装甲師団も、対戦車砲との戦闘でIV号戦車大隊が相討ちに。しかも2級道路の渡河点を守るソ連軍歩兵がしぶとく、勝利点ヘクスであるSarkereszturまであと一歩のところでストップ。一方、ドイツ第1装甲師団も、増援に来た第351火炎放射戦車大隊まで注ぎ込んでソ連機関銃大隊の陣地を突破せんとしたが、こちらも頑強に粘られ、同じく勝利点ヘクスのZichyujfaluまで達していない。そしてソ連軍は、その戦線の背後に第18戦車軍団の精鋭旅団(T34/85戦車装備)を配置に就かせている。

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第3(3月8日)ターンも、天候は悪天。ドイツ第12SS装甲師団は、ソ連第135狙撃兵師団の司令部を真っ先に撃退し、師団全体の準備防御態勢を失わせた。しかしこちらにも、ソ連第5親衛騎兵軍団のT34/85戦車連隊が迫っている。

北部では、遂にソ連第18戦車軍団が、今回初の反撃を開始。ドイツ第1装甲師団の先鋒戦車スタックめがけてT34/85旅団2個を投入し、相討ちでステップを削り合う形で、IV号戦車大隊と火炎放射戦車大隊を除去した。また第1装甲師団は、この時点でまだ活性化されていなかったため、これが誘発攻撃(Spoiling Attack)を受けたと見なされ、このターンの活性化には不利なダイス修正を被ることになった。

しかしドイツ第1装甲師団は、返す刀で、配属されていた第509重戦車大隊を投入。これがT34/85旅団2個を除去したものの、活性化も半減(Partial)だったため、前進はできず。

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一方、第1SS装甲師団パイパー戦闘団も、いよいよ第501SS重戦車大隊(ただし1ステップしかない)を投入し、ソ連軍歩兵陣地を急襲攻撃(Shock Attack)で突破せんとしたが、ダイス目が最悪でステップロスしてしまい、一発退場と相成った。またパイパー戦闘団はこの後、ソ連軍の砲撃によって、同じく残り1ステップのみだったIV号戦車大隊も除去される羽目になる……

ドイツ軍は、消耗したパイパー戦闘団をいったん諦め、後方に待機していた第3装甲師団を前に出し、この歩兵陣地を撃砕した。

ドイツ軍は他にも、戦車戦力を失った第1装甲師団に代わって、後方に第2SS装甲師団を送っている。作戦開始から3日経ち、枢軸軍の疲労度はさほど上がっていないものの、戦車戦力の消耗が著しく、やはりこのあたりでいったん予備部隊と入れ替える形か。

ソ連軍としてはここからが本格的な反撃だし、対戦車砲はルール上、自動的に復活するので、なんとかドイツ軍を消耗させたいところ……というあたりで、本日のソロプレイはここまで。明日も、もう1~2ターン進めてみたい(全9ターンシナリオ)。

【Battalion Combat Series】「Panzers Last Stand」Operation Spring Awakening Solo-Play AAR Part.1 (Tribute to Dean Essig)

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先日亡くなられたウォーゲーム・デザイナー、Dean Essig氏の作品を何かプレイしようと、あれこれ考えた末、氏のシリーズで一番好きなBCS(Battalion Combat Series)から、「Panzers Last Stand」(1945年ハンガリー戦)の中でもまだ未プレイだった「春の目覚め作戦」シナリオを選択。第二次大戦におけるドイツ軍最後の大攻勢という意味でも、追悼プレイにふさわしいかなと。

「春の目覚め」作戦は、1945年3月6日に開始され、3月15日に終了している。本シナリオも、その全期間を扱っている(1ターン=1日)。史実でのドイツ軍の最終進出線はこんな感じ。「Panzers Last Stand」全体としては、さらにこの北(上)にマップ2枚が存在し、盤外右上に包囲されたブダペスト市がある。

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攻める枢軸軍は、バラトン湖とヴァレンツァ湖の間から出撃する。10個装甲師団(ドイツ第1SS、第2SS、第3SS、第5SS、第9SS、第12SS、第1、第3、第23装甲師団ハンガリー第2戦車師団)を擁しているが、その大半は前年末のバルジの戦いで損耗し、補充を受けたばかりの師団で、武装親衛隊と言えど、歩兵大隊の練度(アクションレーティング)は平均以下に落ちている。また第3SS、第5SS、ハンガリー第1は、戦線の穴埋めに使われ、すでに疲労度2(4が最悪)で作戦開始。そしてこれだけ装甲戦力があるのに、それ以外は歩兵師団が3個、騎兵旅団が2個のみという頼りなさ。つまり突破しても側面を支える戦力が少ないという有様。

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守るソ連軍は、ブダペストに近い北部では四重にわたる分厚い防御線を構築しているが、南部では戦線がスカスカになっている。一応、ソ連軍は、枢軸軍が攻勢をかけてくるとの事前情報を得ていたため、前線の各師団は準備防御(Prepared Defence)に入り、砲兵ポイントも増派されているが、機動予備としては、第5親衛騎兵軍団、第1親衛機械化軍団がある程度で、しかもすでに戦車戦力は損耗している状態なので、こちらもまた頼りない。

ちなみに両軍とも損耗している部隊が非常に多く、初期配置だけで、普段用意しているステップロスマーカーを使い切ってしまい、追加で準備しなければならなかった。

また、いつもならフォーメーションカードを使って各部隊の状況(疲労度、砲兵、準備防御、支援)を表すが、今回は部隊も多く(枢軸軍15、ソ連軍22)、盤面をいっぱいに使うようだったので使用を諦めた。

しかし部隊が多いとは言っても、「Panzers Last Stand」では各ターンにすべてのフォーメーションを活性化させるわけではない。本シナリオでは、各ターン毎に、ドイツ軍が第一種(Primary)活性化割当が6フォーメーション、第二種(Secondary)が3フォーメーション、ソ連軍は第一種が3、第二種も3フォーメーションずつとなっている。第一種に指定されたフォーメーションは、部隊練度判定(SNAFU)に成功すれば第2活性化まで行える。第二種に指定されたフォーメーションは、第2活性化は不可である。なので盤面には結構な数のユニットが並んでいるが、北部で睨み合っている部隊はほとんど活性化させないと思う。

また、この時期のハンガリー戦では天候も気になるが、天候表を見ると、好天(視界4ヘクス)はまったく無く、ほとんどが悪天(視界1ヘクス)か、たまに通常(視界2ヘクス)という程度。これでは長射程を誇るドイツ軍戦車も、至近距離でソ連軍戦車と撃ち合わなければならない。地表状態は常に悪く、自動車化(Truck)移動力は半減される。これも、戦術(Tactical)移動力を持つ戦車ユニットは前進できても、自動車化歩兵が追随できないという事態になりそうだ。

というあたりまで確認したところで、追悼ソロプレイ開始……

【参考文献】「月間 世界の艦船 2024年5月号 海上自衛隊vs中国海軍」

世界の艦船」今月号を購入。特集は「海上自衛隊vs中国海軍」ということで、最近よく耳にする台湾有事における海上自衛隊の役割や、中国海軍との戦力比較が述べられている。とは言え、単純に艦船スペックがどうのこうのと言うより、実際に各国軍がどう動くのかが知りたいところ。恐らくアメリカ海軍は、開戦序盤では空母打撃群を遠方に留めておくのだろうが、海上自衛隊は中国海軍と間近に接する位置に留まらなければならず、と言って高価値目標である「いずも」型をいきなりやられては困るから、まずは西太平洋に配置して……という説明は、とてもウォーゲーム的だなあと思った。

今号の記事でも、大型艦のレーダー反射面積(RCS)の高さ=探知されやすさが言及されていたが、「全域戦場」でもRCSの高い艦から優先的にミサイル攻撃目標とされるし、空母のようなバカデカい船をどう運用したらいいか、ウォーゲーム的にも考えさせられる。

先日も「全域戦場」で、米中空母打撃群同士の戦闘をシミュレートしてみたが、当然、手持ちのミサイルが多い方が相手を凌駕してダメージを与えられるわけで『戦いは数だよ兄貴』の世界となる。ただ、この数的優勢というやつも、昨今のウクライナ戦争を見てもわかるように、無人機も含めての話だし、将来的にどうなるんだか。なにしろ面倒なことに、これは地元日本も含めての話なので、何ごとも起きないことを祈る……

【Wagaming Column】Dean Essig氏、逝去

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The Gamersブランドから各種ウォーゲーム・シリーズを発表してきたDean Essig氏が昨日亡くなられたとのこと。以前から健康状態の悪化が伝えられていたが、享年63歳、現代ではまだまだ若い年齢なので、惜しいというしかない。

自分の場合、作戦級のOCS(Operational Combat Series)、戦術級のTCS(Tactical Combat Series)、大隊戦術作戦級のBCS(Battalion Combat Series)で氏の作品には触れてきたが、しばらく疎遠だったウォーゲームに出戻ったキッカケのひとつが「OCS:Burma」だった。2000年当時、『今時のウォーゲームはこんなにカラフルなコンポーネントなんだ!』とビックリしたのを覚えている。いやもちろん、システムも面白かったけれど、象とか牛までキレイに印刷されているカウンターを見た衝撃はいまだに忘れられない。

システム的には、最晩年のシリーズとなったBCSが一番好き。いや、そう考えると、OCSという人気シリーズがあったにも関わらず、まだ新しいシリーズ・システムを出してくるのが凄いなと。

いったんは全部手放してしまったTCSも、結局また買い直しているので、やはり氏のシリーズには独特な魅力があるのだろう。

年内のどこかで、追悼ソロプレイでもしたいと思う……R.I.P...